2022年11月29日火曜日

和歌山市・光熱水費の謎（その5）～家賃収入24倍の多賀城市の光熱費は、和歌山市の半額だった～

 

こんにちは、日向です。


本日も、和歌山市民図書館の光熱水費についてのまとめです。




前回記事までは、指定管理者のカルチュア・コンビニエンス・クラブが営業しているスターバックス（直営ではなくCCCが経営）と蔦屋書店が、いかに電気料金と水道料金の負担を低く抑えているかを詳しくみてきました。


では、図書館本体の光熱水費はどのようになっているのでしょうか。


改めて、その点を詳しくみていきましょう。


まずは、下をみてください。





市民図書館本体の光熱水費は、2020年度で年間2400万円、月平均額は240万円となっています。


翌年2021年度は、それよりもやや減って、年間2262万円、月あたりの平均で188万円でした。



この金額をみなさんは、どのように評価されるでしょうか。


比較対象がなければ、安いのか、高いのか、皆目見当もつきませんよね。


そこで、和歌山市と同じく、CCC運営で2016年に駅前に新築移転した宮城県多賀城市のデータをご紹介しましょう。







平成28年度多賀城市立図書館指定管理業務積算科目決算なる長いタイトルの資料に同館の光熱水費が記されています。（これは、2018年に多賀城市の市民団体が、館長不在期間中の人件費返還を求めた監査請求をした際に添付されていた資料です）


決算額のところに注目してください。電気料が703万円、水道料が184万円、ガス料金が385万円の1274万円となっています。


光熱水費総額は、和歌山市2400万円（2020年度）の半額です。


多賀城では、和歌山市と違ってガスを空調に使用するため、電気料金が700万円と安くなっていますが、実質的には、電気とガス料金の385万円と合わせた1088万円が和歌山市の電気料金にあたる数字で、これに水道料金が184万円プラスされて1274万円になっているわけです。


水道料金が184万円で、和歌山市の230万円（2020年）と比べると、少し少ない程度ですが、電気+ガスの光熱費はほぼ2倍とくれば、いったいどうしてこんなに差が出るのか不思議ですよね。


そこで面積を調べてみますと、和歌山市民図書館が延べ床面積7,597.16㎡に対して、多賀城市立図書館は3,450.08㎡とほぼ半分。


なあんだ、そういうことかと思われるでしょうけれど、フロアの構成を詳しくみていきますと、話はまるで違ってくることに気づきます。下をみてください。




和歌山市民図書館のフロア構成をみていきますと、まず、1 階 は「1,669.15㎡」となってますが、この中にスタバと蔦屋書店、催事の物販スペースも入っています。


和歌山市民の方によれば「1階はほとんどがスタバと書店という印象」だそうです。中二階部分にスタバの借景といいますか、高層書架に全集が飾られて知的空間を演出しているほか、奥に図書館の書架がある程度で、このフロアは、ほぼまるごとCCCによる商業スペースと言ってもいいでしょう。


純粋に図書館スペースといえるのは、2階から4階までで、そのなかにも「多目的ルーム」「プレイスペース」「地域子育て支援施設」に加えて、イベントを開催する屋上など、図書館ではないスペースも、かなり含まれていますから、実質的な図書館の面積はこの三分の二くらいです。


一方の多賀城市の場合は、和歌山市のように図書館と民業店舗の境界を曖昧にせずに、明確に区分けされていますので、一階部分の図書館面積などは、その数値のままといえます。


多賀城市立図書館の一階部分。黄色が図書館、緑が民業店舗部分。灰色の「共用部分」が極端に狭いことがわかる。




ですので、面積比でみれば、せいぜい和歌山市のほうが多賀城市に比べて3割増しといったところでしょう。それなのに、光熱水費は2倍というのは、ツタバ民業店舗部分の使用を図書館に付け替えているのではないのか？と考えざるをえません。



逆に、多賀城市では、境界線を明確にしていることと、公共施設の目的外使用ではなく、民民の契約の形式をとっているためか、間接的に（賃料をもらうのは、建物を所有する第三セクターである（株）多賀城北開発）CCCから得られる賃料は、年間5,460万円（月額450万円）と、和歌山市のざっと24倍！（ただし、レストラン、コンビニも含む賃料）


平成28年多賀城市議会予算特別委員会会議記録（第5号）平成28年3月4日（金曜日）より



和歌山市だって、月450万円の家賃をもらえるのであれば、蔦屋書店の水道代タダでも、ぜんぜんオッケーと思えるかもしれませんが、月額賃料がたったの19万円なのに、スタバの光熱水費までも4分の1というんですから、いったいどうなっているのかと憤慨される市民も多いはずです。


事実、光熱水費の対象についても、両者の差は大きく、和歌山市は、図面上は一階のフロアのほとんどを図書館が占有していることになっているのに対して、多賀城では、半分よりやや狭いスペースですから、民業店舗の光熱水費を公共部分に転嫁しにくいといえます。


さて、もう一度多賀城市のデータをみていきましょう。




上記の表中の金額は、予算と決算に分かれていることに注目してください。


これは、当初予算より決算額（実際に使用した金額）がもし下回った場合には、市に返還することになっていて、2016年度に実際にかかった光熱水費は、予算よりも1295万円安くすんだため、その金額を精算しています。


これに対して、和歌山市では、先日、読書活動推進課の井上課長に聞いた限りでは、光熱水費に関して精算する制度はないそうで「指定管理料の範囲内で運営して、CCCが当初の見込みよりも安く抑えられた場合には、その金額を同社の利益にしていい」というしくみだそうです。


しかし、そのような取り決めが明記された資料はこれまで、ただの一枚も開示されておりません。なんでも、CCCの言いなりで、決められているのでしょうか。


というわけで、和歌山市民図書館本体の光熱水費をみてきましたが、スタバと蔦屋書店の光熱水費が異様に安かったのとは対照的に図書館ではバカ高い光熱水費を負担している実態が、あきらかになりました。


ちなみに、同じくCCCが運営するエンクロスの延岡市と、マルタスの丸亀市ともに、光熱水費は、年間約1200万円程度でした。




2020年度2400万円、2121年度2200万円という、和歌山市民図書館の光熱水費は、なにゆえこんなに高いのでしょうか。


和歌山市民の方は、ぜひ、市当局に詳細な説明を求めていただきたいと思います。


よろしくお願いいたします。


なお、ご参考までに、多賀城市光熱水費の月別データも以下に貼り付けておきます。






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2020年8月29日土曜日

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