2019年1月3日木曜日

謎のISBNその(2)

 先日取り上げました、ISBNの話題を続けます。

 2016年にツタヤ図書館として、新装開館した多賀城市立図書館の新刊選書リストのなかに、

とっくの昔に廃止されたはずの10ケタISBNが、多数混入していることを発見したのです。

このことから、ツタヤ図書館の運営者であるCCCが 「新刊」と称して、古本あるいは新古書を入れているのではないかとの疑いをもって調べ始めたのですが、

いくら調べても、それを裏付けるものがなにもみつかりません。

 時間ばかりが経過していき、途方に暮れていたところ、ひょんなことから、手掛かりとなる情報にめぐりあうことができたのです。

 その端緒となっのが、まず、アマゾンのISBNでした。

書店関係者がこう解説してくれます。


「多くの中古本を扱う事業者の場合、販売サイトには、すべての在庫に13ケタと10ケタの両方を併記しているんです。

そうしないと、古い本は探せなくなりますから。

一般の新刊書店の流通と異なるのは、2007年以降の本でも、本体には印刷されていない10ケタのチェックデジットも計算して末尾に表示してある点です」

 新刊と中古を同じページで販売しているamazon.co.jpで検索してみると、なるほど、どの本にも13ケタと10ケタの両方が併記されています。書店関係者は、こう続けます

「アマゾンの場合は、自社販売商品すべてのジャンルにふられている独自コードASINが10ケタなんですよ。

なのでそれと統一するために、書籍の場合は、新しい商品にも、わざと10ケタの古いISBNをつけて、それを自社の独自コードASINとして使い、より商品を探しやすくしているんです」


 これはまさに「灯台元暗し」でした。

選書リストにある古本の価格をさんざん調べたり、不明な書籍についてキーワードを入れて検索したときも、

真っ先にアマゾンでの販売ページが出てきて、何を調べるにしても、常時、このサイトでの情報は欠かせなくなりつつあります。

 そこで、改めてアマゾンのISBN表記を詳しくみていくと、まったくその通りで、

13ケタのISBNと10ケタのISBN

--の両方が商品情報に記されていました。





 書店関係者の見解は、こうでした。

「『新番地に変更になっても旧番地で探す人のために、両方を併記してアクセスしやすくしているうちに、アマゾンが旧番地を自社の標準コードとして採用した。


中古事業者のなかに、その方式を取り入れるところが出てきていてもおかしくないでしょう」


 多賀城市教委に提出する選書リストを作成したのは、TSUTAYAの本部CCCです。

ということは、CCCは、なんらかの意図があって、選書リストのなかに、中古在庫のリストを混入させてしまった可能性があるといえるのです。

 しかし、このことを証明するのも、依然として至難の業でした。

選書リストは、あくまで購入予定のリストにすぎませんから、当事者が認めない限り、なんとでも言い訳はできるからです。

そうしたなか、また別の角度から、このリストの奇妙さが浮き彫りになったのです。

業界では、誰も知らない「亜流ISBN」だったことが判明する 
謎のISBNその(3) につづく


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