2021年2月21日日曜日

CCCの劣化データをひた隠す和歌山市の情報提供～司書資格者が三分の一に～

 

こんにちは、日向です。


昨年、和歌山市民図書館は、当初の予定（2019年10月）よりも大幅に遅れて、6月にグランドオープンを迎えました。


CCCが指定管理者になる前年12月の一部オープン（貸出受け渡しのみ）のときから、いろいろとわからないこと、知りたいことをまとめて情報開示請求しようと思っておりましたが、担当部署がフルオープンまでは大忙しだったようなので、しばらくは控えておりまして、


そろそろ落ち着いはずと思って7月くらいから、担当部署に、知りたいこと一覧の文書を投げまして、どのような形式で開示請求したらいいのかを相談しておりました。


その結果、この部分は情報提供として出しますとか、この部分は、こういう文言で開示申出書を出してくださいというようなやりとりが、しばらくありまして、10月くらいには、すべて出していただいたと記憶しています。


なのに、このときに出してもらろっていた情報をみなさんにお知らせずに、机の書類の山の中に埋もれておりました。


といいますのは、昨年はとにかく、CCCが新規受託した自治体の情報をキャッチアップするのに、右往左往していたからです。


6月からは和歌山市のグランドオープンに合わせて、CCCが選定会議の2年前に単独で市長プレゼンをしていたり、内部告発と思われる工期の延長に関する責任のなすりあいなどを記事にしておりました。また、6月に丸亀市が市民センターの指定管理者にCCCを選定して、それを追いかけているうちに、今度は、9月くらいから、宇部市が井筒屋の跡地に図書館もどきを建設するにあたって、CCCと連携協定を締結した件の取材が続きまして、年末には、宇城市と門真市のダブル受託となり、それで気がついたら、和歌山市のネタをいくつも眠らせたままでした。


で、さきほど、未公表の和歌山市の開示資料みつけて、改めてみてみましたところ、いやこれが中身が酷いんですよ。


これとこれは、正式に情報開示を請求しなくても、こちらで情報提供しますよというのが結構ありまして、その情報提供されたものが、公文書とは思えない、ただのメモなんですよ。





●CCC指定管理で司書資格者が激減！


このなかで、ひとつ気になったのは、昨年、7/7に朝日新聞デジタル（変わる公立図書館、いいの？　司書半減…でも屋上テラス）でも報道されましたように、CCCの指定管理になってから、スタッフのうち司書資格者は半減したと指摘されていた点です。



これ、提供情報をみても、なんのことかさっぱりわからないんです。





そこで、他の情報も合わせて表にしてみました。以下のようになりました。



本館

スタッフ総数

パート

フルタイム

フルタイムのうち司書資格者

2020/3/31

68

49

19

14

2020/6/30

67

51

16

12



西館

スタッフ総数

パート

フルタイム

フルタイムのうち司書資格者

2020/3/31

11

7

4

4

2020/6/30

10

6

4

4






本館と西館の合計

スタッフ総数

パート

フルタイム

フルタイムのうち司書資格者

パートのうち

司書資格者数

司書資格者計

有資格率

2019/3/31（※）

37

23

14

10

22

32

86%

2020/03/31

77

56

23

18

10

28

36%

2020/6/30

77

57

20

16

10

26

33%



（※）令和元年版　図書館要覧9ページより

https://web.archive.org/web/20191023083252/https://www.lib.city.wakayama.wakayama.jp/youran/youran_R01.pdf




朝日新聞の前出記事では、


旧図書館（昨年3月時点）では職員37人中32人が司書だったが、新図書館ではパート従業員らを含む職員56人のうち司書は16人になったという。


となっていましたが、和歌山市の情報提供では、グランドオープン以降のスタッフ数は77人で、うち57人がパートとなっています。


おそらく、77人というのは、蔦屋書店のスタッフも含めた人数で、図書館の業務も兼務しているので、人件費計算上の「図書館スタッフ人数」としては56人ということなんでしょう。


それにしても、驚くのが有資格率の低さです。指定管理前は、パートも含めて86%だったのが、CCC指定管理者になると33%までダウン。半減どころか、三分の一近くまで減っていますね。


移転前の直営時代も、全員が図書館業務をしていたわけではないと、朝日新聞の記事では、CCCと担当部署は釈明していたみたいですが、


私が知る限り、司書資格を保持していない準備班の数名を除けば、ほぼ全員が図書館業務にたずさわっていたはず。準備班の人にしても、新図書館の立ち上げのためにカウンターパートであるCCCと日々交渉していたはずですから、図書館業務に精通していないと、CCCのいいなりになってしまいます。


まぁ、カルチュア・コンビニエンス・クラブとしては、蔦屋書店とスターバックスの集客装置である市民図書館に司書なんかいらないということなんでしょうね。ふつうに運営してくれれば、あとはオレらが都会の雰囲気を味わわせてやるからてなもんでしょう。



それにしても、和歌山市の情報提供は、その点、実に巧妙で、私が指定管理前後の推移と依頼しているのを無視して、グランドオープン前後、つまり、CCC指定管理以降の数字だけを出して比較していて、ほとんど変化はないようにみせています。


これは、意図的なのか、煙にまこうとしているのか、かなり悪質なデータの見せ方といえますね。


あの海老名市でさえ、司書資格者は、パートも含めた全体の半数以上を義務付けているのに、和歌山市では、到底その水準をクリアできそうもないですね。こういうことは、いくら図書館の現場を穴のあくほど見てきても、一切わかりません。


●平井館長の謎の経歴


それから、もう一点気になったのは、館長の経歴・司書資格の有無です。


情報提供をみますと、館長は「司書資格者」となっていて、


「高梁市立図書館で図書館業務に従事、その後和歌山市民図書館の館長に就任」とされています。




メディアに出てくる市民図書館の館長さんは、平井薫さんという人で、ネット検索しますと、


TSUTAYA カンパニー 主要人事（2012 年 4 月 1 日付け）で



FC 本部 北関東特販第 6 支店 支店長

https://www.ccc.co.jp/news/pdf/20120402jinji-final.pdf


となっていました。



どこかの図書館から転職してきた人かと思ったら、長年TSUTAYAのFC店舗でご活躍されてきた方なんですね。


ところが、昨日公開した和歌山市審査請求裁定書CCC提案書24ページのなかで、


館長、副館長兼マネージャーに「図書館勤務経験年数3年以上」「CCCが管理・運営する図書館の運営経験者（館長または副館長経験クラス）


となっていましたので、


早速「館長の平井薫氏にそのような経歴があるのでしょうか」「高梁市図書館の開館は2017年2月4日なので、2019年12月19日の和歌山市民図書館の一部開館と指定管理の開始までに、高梁だけでは3年にはなりませんね」との疑問の声が上がっています。




「高梁市立図書館で図書館業務に従事、その後和歌山市民図書館の館長に就任」通りだとしたら、平井氏は、ほかの図書館でも経験があるということなんでしょう、きっと。


公職に就かれる以上、よもや経歴詐称なんてことはないでしょうけれど、カルチュア・コンビニエンス・クラブでは、一昨年、海老名市で、未経験無資格で半年前に中央図書館に異動したばかりの人物（高橋哲氏）を新館長に据えた前歴があるだけに、なんかもやもやが残りますね。　（不機嫌な新館長 参照）



ほかの点もナゾだらけなんですが、それはおいおいみていきたいと思います。


よろしくお願いいたします。


【追記】和歌山市が指定管理者に要求している、「“パート従業員らをのぞく全従業員の半数以上は司書資格者」とした基準を決定するプロセスを開示したところ、「不作成のため不存在」との回答が正式にあった。







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