2019年7月21日日曜日

激烈なダンピング屋

こんにちは、日向です。


本日も昨日に続いて、東京都立高校の偽装請負についてです。

おもわせぶりな書き方をして、たいへん恐縮ですが、先に断っておきますと、

今回は、今後、固有名詞が出てきたら書きにくくなるかもしれないことを、先に書いておこうと思います。

またこのエントリーは、突然、削除するかもしれませんので、その点あらかじめご了承いただければと思います。




20億円市場が生まれる




東京都立高校は、現在188校あります。関係者によれば、そのうち学校図書館を民間委託している高校は123校で、割合にして約65%となっています。

民間委託が始まったのは2011年。初年度は18校、10%弱からのスタートでした。【1】

今後も年々増えていく見込みで、いずれ188校すべての都立高校の図書館の運営は、民間委託されることになるかと思います。



さて、そこで気になるのは、一校当たりの単価(年間)です。以前にも、少し触れましたが、従事者は、少し多めに見積もっても平均2名/日(午後のみ複数名、午前と夜間(定時制のみ)は1名)ですから、

委託業者が負担する人件費コストは、1人200万円×2名とすると、一校当たり400万円という計算になります。【2】


それに対して、落札価格の平均単価は、2012-2014年までは、450-500万円でした。

まともにやると、儲けが出ない状態ですね。

なので、まともにやらない、ただ人を派遣するだけになってしまうわけですが、

関係者によれば、この落札価格は、都が想定していたよりもかなり低い価格だったらしく、


みる人がみれば


なにがなんでも仕事を獲るダンピング価格

だということが一目瞭然だったようです。


ところが、2017年度からは、それまでの単年度入札、電子入札の価格のみで事業者を選定する方式から

複数年度契約、技術点も含めた総合採点方式(総合評価方式による随意契約)に変わりまして、少しずつ単価は上がりました

最新の2019年度は、一校当たりの平均年度単価は、710万円まで上がっています。



年々労働力人口が減り続ける求人難の時代ですから、

委託費は、常識的なラインまであがらざるをえませんので、今後は、1000万円くらいまで右肩上がりに伸びていくことが予想されます。(ただし、現場の司書の賃金は、最低賃金プラス数十円のままで、委託費とはまったく比例しない)



で、将来的に、188校すべての民間委託が完了したあかつきには、どうなると思いますか?

単純計算ですが、市場規模にすると、20億円近いビジネスが現れるわけです。

(人件費はいまの2割増になったとしても、粗利10億円以上)


となれば、大手も参入してきて、事業者間の競争原理によって、不祥事を起こすような事業者は、いずれ淘汰されるのではないかと

誰もが考えると思いますが、


現実の動きをみていますと、それとは正反対の流れができつつあるようです。




談合不調なら、ダンピング



つまり、当初、ダンピングで仕事をとってきたとみられてきた事業者が、次第に経験を経るにつれて高い「技術点」を獲得するようになってきていて、総合評価で勝ち抜けるようになってきているということです。(評価者の胸先三寸のウェイトが高くなった)







この総合評価方式の導入は、私がかつてみてきた東京都内の某区が、中央をのぞく区立図書館をすべて指定管理者にして、地元数社の事業者を優遇した動きとソックリでした。


で、そうした元ダンピング事業者数社によって、この20億円の市場が、ほぼ寡占状態になりつつあります。

入札は、「指名競争」ですので、どこの会社でも参加できるわけではありません。都が声をかけたところのみ参加が許されます。


さて、ここからは、あくまでもウワサですが、往々にしてダンピング事業者は、談合に参加することもあり、ときには、協力金をもらってひきます。

逆に、もし不調に終われば激烈なダンピングに走る。現場は、他社にはできない独特の方式により、常識破りの低価格でも儲けは出るように運営していると囁かれてています。


公共の指定管理と学校の委託とでは、まったく世界は違いますが、

CCCが、2013年に武雄市をツタヤ図書館にしたときの指定管理料は1億円1000万円と、開館時間を大幅に増やしたにもかかわらず、直営時代よりも費用を1000万円減らすことに成功したとウソ八百【3】【4】アピールしていました。

実際には、むしろ直営時代よりも費用は増えていたことがあとから判明していますが、それにしても「ツタヤ図書館1号店」は、ダンピングに近い価格でした。

また、のちに同社の図書館部門トップを務める高橋聡カンパニー長が述べた通り、CCCは、それまで図書館運営経験がゼロの「ド素人」でしたが、武雄市が経験する場をを与えて、実績を作らせました。


ところが、安かったのは、武雄だけ。その後、CCCは、海老名や多賀城では、直営時代よりも2倍の指定管理料をもらうようになっていました。

「開店セール」みたいなものですね。

都立高校を受託した事業者にも、そうしたことと一部共通する傾向を読み取ることができます。

市場が大きく広がれば、ビジネスチャンスも飛躍的に広がっていきます。


もっとも、CCCの場合は、武雄市からして不祥事乱発してしまい、市場を席捲することは不可能になりましたが、

もし成功していたら、ダンピングを突破口にして、いずれたっぷりと利益を得ながら、TRC等と一緒に市場を寡占できる状態となっていたことでしょう。

都立高校の場合、非常に不透明なのが、特定の事業者との癒着が疑われかねない事実がいくつか出てきていることです。


さて、ここからの問題は、固有名詞が出てくる受託企業の話になりますので、また後日にしたいと思います。

よろしくお願いいたします。


【1】もともとと都立高校は、2000年までは、正規の司書が全校配置。2001年からは司書教諭の兼任となり、不配置の高校が増加したが正規職員を補充しないままだった。そこを補うために2010年に民間委託が決定した。

【2】実際には、当時時給900円程度で募集されていましたので、延べ2名年間200日稼働で人件費が300万円弱

実態としては、1校3~4名シフト勤務で、1人当たり年収70~80万円といったところでしょうか。


【3】武雄市図書館・歴史資料館が2013年にツタヤ図書館として新装開館した当初、CCCに支払われる指定管理料は、図書館単独で年間1億1千万円。直営時代の1億2000万円よりも1000万円運営費用が削減できたとされていたが、直営時代の費用は、併設されている歴史資料館の運営費4000万円も含めた金額だったことを考慮すると、実質的には新装開館時点でも、3000万円運営費用は高くなっていたことがあとで判明した。

【4】海老名市 直営時代1億6000万円→CCC指定管理3億3000万円 多賀城市 直営時代1億2000万円→CCC指定管理3億8000万円





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