2025年7月10日木曜日

ビジネスジャーナルの連載終了のお知らせ

 

こんにちは、日向です。


本日は、長年、皆様にご購読(無料ですが)いただいておりましたビジネスジャーナルのツタヤ図書館問題の連載終了のお知らせをしておきたいと思います。


同サイトで拙記事が最後に掲載されたのは、2023年12月27日でした。


和歌山市ツタヤ図書館、所在不明本が急増…1度に7千冊を除籍、CCC運営で


2017年11月にCCCが指定管理者に選定され、2020年6月にオープンした和歌山市民図書館における、開館後の運営の実態を、「除籍」と「不明本」という、ふだんは表に出てこない数字を追いかけることで、詳しくみてきたものです。


はからずも、この取材の課程で、隠ぺいされていたCCCの始末書が出てきまして、非常に地味な内容であるにもかかわらず、みなさまから、たいへんご好評をいただいた記事でした。


これを発表した際には、まさか、最終回になるとは夢にも思っておりませんでしたので、ご報告をすることもなく本日まできてしまいましたが、実は、この直後に、編集部から「当面は、新規の原稿は控えてほしい」との連絡がありました。


同サイトを運営していたサイゾーが、BJの身売りを検討しているとのことでしたので、売却先が決まるまでは、これまでのように数多く記事を出さない方針のようでした。



私のほうは、奇しくも、ちょうどそのタイミングで、これまでに書いてきたツタヤ図書館関連の記事を一冊の本として出版する企画を通しておりましたので、当面は新書の執筆に専念するということで、BJの連載は一時休止するだけというつもりでした。


そもそも、BJ編集部とは、最初から「ツタヤ図書館問題」について連載記事をスタートするという合意はありませんでした。ツタヤ関連で、なにかしらニュースとして書くべき事案が発生するたびに、編集部と相談をして取材執筆を進めてきたところ、気が付いたら長い連載記事になってしまったという経緯でしたので、終わりを意識することがまったくなかったのが、こうなった理由です。


しかし、今年3月から、運営会社が変わりまして、これまで通りツタヤ図書館問題を取り上げていくのは容易ではないように感じましたので、一応、昨年10月の新書刊行を一区切りとして、BJでのツタヤ図書館問題についての連載は終了ということを告知させていただくことにしました。


もちろん、CCCやツタヤ自治体で、新たに事件が起きるなどすれば、連載としてではなく、単発記事として書く可能性はあるとは思いますけれど、2015年から続いてきたBJでのツタヤ図書館問題は、2023年12月末を持って一区切りとさせていただこうと思います。


“図書館民営化”というモンスター


2015年にスタートしたときには、このテーマはせいぜい2、3本書いて終わりのつもりでしたが、2016年に宮城県多賀城市に、武雄市、海老名市につづく「第三のツタヤ図書館」がオープンして、その選書リスト分析記事を書いたのをきっかけに、次々と他の自治体での疑惑や不祥事にも首を突っ込むことになりました。


2017年11月の和歌山市でのCCC選定発表からは、とんでもなく大きな闇が背後に控えているのではないかという認識を抱くようになりまして、2018年からは、一時的に、週プレNEWSにも舞台を移して、CCC選定の裏にあるものをしつこく追及していきました。


いま数えてみたら、2017年から2018年にかけてだけでも30本近く発表しております。なので、2015年から2023年末までには、少なくとも50本以上、当ブログだけに発表した取材記事もいれると、ゆうに100本は超える記事を書いてきたことになります。


特定企業のひとつの事業だけについて、これほど多くの記事が書かれることは、めったにないことだろうと思います。例をあげるとすれば、国鉄民営化とか郵政民営化とかに匹敵するくらいの問題をはらんでいるテーマであり、たまたま私が遭遇したので、いきかがかり上、8年にもわたって同じテーマの記事を書いてきましたが、行政運営上はもちろん、地域の教育文化育成の面でも、もっともっとほかのメディアも取り上げるべき重要な問題だろうと、いまも思っています。



残念ながら、地元メディアが、このテーマで批判や検証記事を書くことはまずなく、マスメディアにいたっては、CCC関連では提灯記事しかみかけません。


どんな非常識なことが起きても、私が書かなかったら、まったくなかったことにされてしまいそうでした。それにおいうちをかけるように、snsでの個人の発信によって、ツタヤ図書館が、いかにオシャレで快適な施設であるかを“映える”画像で大量に流されることが常態化しており、行政が特定企業の食い物になっている実態など、ほとんどの人は知らないまま、今日まできています。



そういうなかで、ビジネスジャーナル編集部が、8年間にもわたって、未熟な書き手である私にこの問題を書かせていただいたことには、文字通り、感謝の念しかありません。


この場を借りて、改めてBJ編集部の方には、お礼申し上げたいと思います。



ということで、BJの連載は、一区切りつきました。


気になるのが過去記事の扱いです。いまのところ、運営会社が変わっても、過去記事は、そのまま掲載されているようですが、編集部に確認しますと「原則として2年を経過したものから掲載終了になる」とのことでした。


なので、当ブログでリンクをはっている記事のなかにも、すでにアクセスできなくなっているものも、チラホラみかけるようになっています。


その際には、以下のサイトで魚拓がとられていないかどうか確認してみてください。


https://web.archive.org/


かつて「たけおクラスタ」と呼ばれていた方たちは、消される可能性のある情報はすぐさま魚拓を取るという優れたビヘイビアをお持ちでしたので、もしかしたら拙記事についても、どこかに保存していただいているかもしれません。


ただ、それでも過去記事にアクセスするのが難しいことに変わりありませんので、今後、当ブログにアーカイブの形で、順次、転載していきたいと思っています。


ということで、取り急ぎ、BJ連載終了りお知らせをさせていただきました。


今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。



2025年7月9日水曜日

「ほぼ月刊ツタヤ図書館」が休刊してることについての近況報告

 

こんにちは、日向です。


本日は、昨日の講演会告知で予告しました“四方山話”を書いておきたいと思います。


昨日の更新は、今年1月28日以来のことでした。


2025年1月28日火曜日

教育委員会を徹底排除? 坂出市ツタヤ図書館の衝撃


それから5か月ちょっとの期間、新しい情報を発信することができなかったのは、


第一に、先月発売となりました、私の専門といいますか、本業としているビジネス書籍の改訂作業に2月から3月にかけて専念しておりまして、ブログを更新する余裕がなかったためです。


第10版 失業保険150%トコトン活用術 (DO BOOKS)

2025年5月31日 同文舘出版刊

https://www.dobunkan.co.jp/books/detail/003458


ゼロから書き下ろすのではなく、すでにある本の改定でしたので、原稿執筆作業自体は、そんなに手間どらないのですが、5年、10年に一度の法改正となりますと、確認すべきことが多くあり、法改正によってなにが変わって、何が変わらないのかをひとつずつ調べていく根気のいる作業に時間がとられておりました。


一方、ツタヤ図書館関連で、まったくネタがなかったわけではありません。開示請求もつづけて行なっておりますし、和歌山市などツタヤ自治体の方からの情報提供もいただいておりますので、随時、それらをアップするべきでしたが、ちょうど本の改定作業が一段落した、4月になった頃に、今度は、体調を崩しまして、ほぼ一か月間丸々休養することになりました。


といっても、大病したわけではありません。泌尿器科系の病(抗ヒスタミン薬の副作用が引き金)で、一週間くらいは悶絶したものの、おかげさまで、その後は、通院と投薬でなんとか普通の生活に戻ることができました。結果、大きな支障はなかったのですが、一度休みますと、本調子に戻るまでには少し時間がかかったということでした。


あとは、諸般の事情(近隣工事が原因で自宅建物が損傷)により、6月に自宅の引っ越しを余儀なくされまして、その対応に大わらわだったという事情もありまして、仕事場の資料や本の整理はまだまだこれからですが、とりあえず生活は落ち着いたという感じです。


そうして気が付いたら、2025年も半分が過ぎてしまい、これはいかん、なんとか後半戦に向けてエンジンをかけないとと焦っている次第です。


それから、ビジネスジャーナルの連載はどうしたの?とご心配いただく方もいらっしゃる方もしれません。その件は、すこしややこしいので、別のエントリーを立ててご説明します(といっても、なにか取り立てて問題があったわけではありません。


できるだけ早くご報告したいのは、今年1月に行なった情報開示請求について坂出市が4月に文書を開示してきまして、それに対して6月末付けで、不服を申し立てる審査請求を行なった件です。


後日、ご報告するつもりですので、少し気にかけておいていただければ幸いです。


ということで、本日は、近況報告のみさせていただいて、明日以降、少しずつエンジンをかけていきたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。


2025年7月8日火曜日

7月13日日曜日に「東京の図書館をもっとよくする会」で講演します

 

んにちは、日向です。


しばらくブログの更新をしておりませんでしたが、なんとか無事に生きております。


さて、本日は、緊急でひとつお知らせをしたいと思います。


タイトルにある通り、7/13日曜日午後1時半から、「東京の図書館をもっとよくする会」の総会において講演をします。


タイトルは、近著と同じく『黒塗り公文書の闇を暴く』です。いまのところ、新書に書いた内容をダイジェストにしてお話しようと思っていますが、もし時間が許せば、質疑応答等で、本には書けなかったことなどもお話したり、また、黒塗りされた公文書の現物を会場に持ち込んで、可能な範囲で、参加者のみなさんに“海苔弁”をご鑑賞していただこうと思っています。


会場は、東京・中央区茅場町にある日本図書館協会です。「東京の図書館をもっとよくする会」の総会での開催となりますので、会員限定かと思いきや、事務局に確認しましたところ「どなたでも参加可能」(無料)だそうです。


オンライン配信(Zoom)もあるそうですから、来場は難しい方は、そちらに申し込んでいただけれ、ご自宅からも視聴可能です。


事前申し込みも不要で、オンライン視聴の申し込みも当日まで可能だそうです。


当ブログの読者の方と、直接お話する機会はめったにありませんので、もしよろしければ、これからでも、ご検討いただければと思います。


ブログ更新を怠っていた期間についての、よもやま話は、この後、別の記事に書きたいと思っています。


よろしくお願いいたします。







詳細は、「東京の図書館をもっとよくする会」のサイトをご参照ください。





2025年1月28日火曜日

教育委員会を徹底排除? 坂出市ツタヤ図書館の衝撃

 

こんにちは、日向です。



ツタヤ図書館問題を調べていると、各自治体の非常識な対応に、めったやたらと遭遇しますので、もうたいがいのことには驚かなくなっているんですが、


そんななかでも、本日、またメガトン級の“非常識ネタ”に出会いました。


香川県坂出市が昨年9月に発表した、JR坂出駅前にツタヤ図書館を核とした複合施設を建設する件です。



https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20240911/8030019332.html より




坂出市は8月27日、JR坂出駅前と坂出緩衝緑地の再整備を進める事業者として、大手ゼネコンの大林組を代表とするグループを選定し、このほどグループから提案された計画を明らかにしました。


それによりますと、駅前に作る拠点施設は吹き抜けの4階建てで、カフェやラウンジのほか、「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが手がける図書館も入るということです。(NHK NEWS WEB09月11日 JR坂出駅前の再整備 “図書館を核に” 拠点施設計画を公表より)


この件について、先週、CCC選定までの詳細なプロセスがわかる公文書を坂出市の総務課に開示請求しましたところ、


所管しているはずの教育委員会には、「文書はなにもない」と情報公開担当課の方から連絡がありました。


ということは、坂出市は、最近よくある図書館など教育文化施設の所管を教育委員会から市長部局に移管していて、


通常、教育委員会で必要とされている手続をしないでも、市長部局だけの決裁でなんでもできるようにしているんだろうと思ったんですね。


一応、その確認をしようと、本日、図書館部門のトップである館長さんに直接聞いてみたところ、


(市長部局へ)移管はしていません


とおっしゃるんですよ。


えっ?


でしたら、教育委員会でなんらかの手続を経ないと、いきなり駅前の複合施設に新しい図書館を建設するなんていう計画ができるわけがないのでは? 計画どころか、PFIで建設から運営まで担当する事業者もすでに選定されていて、そこにちゃっかりCCCが入っているんです。


図書館を駅前に移転して建替え、いまの中央図書館は廃止し、その運営を民間企業に委託(指定管理がどうかは不明)するという、地元元市民にとっては、このうえもなく重大な事柄について、所管する教育委員委員会では一度も議題にのぼることがなく、もちろんその承認も一切経ておらず、民間委託へ向けた条例の改正もなく進められていたわけで


いきなり、


賑わい創出のための図書館を駅前につくるよ、すごいでしょ。


と市長が宣言したということなんですよ。



新しい図書館を建設するとなければ、まずは図書館協議会などで議論したうえで、パブリックコメントを募集して市民の意見を聞いたり、ワークショップを開催したり、検討委員会を立ちあげて有識者の意見を聞いたりしたうえで、新図書館の基本計画を策定するものです。


村民への説明会を一度も開催しなかったと批判されている、あの沖縄県読谷村ですら、10年前に策定した図書館基本計画はありました(消されていた検討委員名簿)。多賀城市も和歌山市も、同様の計画文書は存在しました。


どの自治体も、曲がりなりにも、一応は、教育委員会内部でそれらのプロセスを経ていて、そこから初めて、新図書館の基本構想とか施設の基本設計を担当する事業者が決まるという流れでした。


建設と運営を一括にして民間に15年~20年委託するPFI案件であっても、教育委員会の承認が必要ないはずがありません。現に、読谷村は、坂出市と同じくPFI案件でした。



「いくらなんでも、教育委員会の手続がなにもないというのはおかしいんじゃないんですか?」と、館長さんにお聞きしましたら


えっ、なにが悪いの? それあなたの意見でしょ?


みたいな対応をされまして、図書館部門のトップなのに、まったく話が通じないといいますか、法制度が異なる外国の人と会話しているようでした。



そういうことは全部、公民連携・DX推進課で決めてますよ


と、おっしゃるんです。



図書館協議会は、一応設置されているそうなので、その場で今回の駅前図書館の件は議論はされているのでは?


と館長さんにお聞きしましたところ、



議論はしていないけど、パンフレットなどの資料は委員全員に配布した


そうです。当然、プロジェクト内容について詳しい説明はされたのでは?


と、さらに、しつこくお聞きしましたところ


市民向けのパンフは委員全員に配布したけど、特に説明はしていません


とのことでした。



ということで、徹頭徹尾、所管する教育委員会をパスというか、ないがしろにして、新しい賑わい創出型図書館を駅前に建設するという坂出市は、市長の独断でツタヤ図書館を誘致した12年前の佐賀県武雄市の原点に戻ったかのような様相を呈しているんです。


これまたすっかり忘れていましたが、坂出市がツタヤ図書館を誘致するであろうことは、以前書いた記事で予想していましたが(「公民連携」の種明し)、現実に、教育委員会をここまで徹底的に無視した市長独断の実態を目の当たりにすると、もう言葉がないと言いますか、とてつもない衝撃を受けました。


武雄市図書館・歴史資料館が2013年4月にオープンして以来、CCCによる図書館運営を決めた自治体の不適切な決定ブロセスが世間の批判を浴びて、もういまでは、あんなあからさまなことはできなくなったと思っていた矢先に、まるで12年前に時計を逆戻ししたかもような自治体が現れるとは、夢にも思いもしませんでした。



そう言えば昨年9月、この計画が報道された直後に、坂出市の担当部署に、テンプレの質問をしていたことを思い出しました。



選定されたカルチュア・コンビニエンス・クラブは、2019年2月に基幹事業が消費者庁に違法認定されて、1億円の課徴金を課せられた“嘘つきTSUTAYA”を違法認定)ことはご存じですか?



担当課の回答は


知りません


でした。



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2025年1月10日金曜日

沖縄読谷村、“月給10万円で館長募集”の真相

 

こんにちは、日向です。


今年10月からツタヤ図書館として開館予定の沖縄読谷村について、ひとつ気になったことがあったので、取り急ぎメモしておきます。


1月5日に、いつもsnsでツタヤ図書館情報をウォッチしている方が、


読谷村が月10万円で図書館長を募集してる


との情報をポストされていました。






鳴り物入りで開館する沖縄・読谷村のツタヤ図書館の館長の給与が月10万円だなんて、いくらなんでも酷い待遇だなぁ


そう思って、読谷村の募集条件を詳しくみてみたら、


“週3日勤務の会計年度任用職員”としての募集でした。


また勤務期間も、CCC運営になる前の今年4月~9月末までとなっていて、その期間中は移転作業のため休館しているはずなんです。


ということは、教育委員会から学校教育関係者を館長に据えて、その人物が10月から横滑りでCCCの職員として、民間委託した図書館の初代館長になるのではないのかと思いました。


2016年にツタヤ図書館としてオープンした宮城県多賀城市立図書館がまさにそのパターンで、地元で校長までつとめた図書館協議会の会長だった人物が、定年退職後に、CCCに入社して新図書館準備室の室長になり、新図書館開館後に初代館長として就任していました。

ツタヤ図書館、市から「天下り入社」疑惑の新館長を直撃!「市長から声かけられた」


それと同じパターンで、教育委員会がCCCのお目付け役としての館長を募集しているのではないかな


そうとらえたんですね。


ところが、本日、読谷村役場のあちこち確認したところ、そんな私の推測は完全に間違ってました。



結論から言えば、現在、直営館の館長をつとめている方が4月以降も、そのまま館長を継続する見込みであり


すでに、マネージャーとして現地に赴任しているCCC社員のI氏という人物が10月から館長に就任する予定である


ということがわかりました。


じゃあ、なんで募集しているの?


そう思いますよね。これ、会計年度任用職員というおかしな制度の特徴なんですが、原則単年度の契約(任用)なので、勤務希望者はそのつど履歴書を提出して登録するというしくみになっているらしく、今回の図書館長も、単にその登録者の募集をしていただけということのようです。



https://www.vill.yomitan.okinawa.jp/gyosei_joho/jinji_saiyo/shokuin_saiyo/R5_1/2184.html



すでに定年退職されていて、再任用のような形で図書館長を務めていらっしゃる方が「4月以降も勤務すると聞いている」とのことです。


なるほど、だから、週3日勤務・月給10万円という条件だったんですね。この条件の範囲なら、受給中の年金が減額されることなく働けるメリットがあるわけです。




さて、ここで注目したいのは、募集条件に「司書資格」が求められていないことです。多くの自治体では、直営の図書館長になるのは、特定の専門畑を歩んでこられた方ではなく、いろんな部署をご経験されてきた、いわゆる行政職ですから、司書資格を持っていないことが多く、読谷村でも、おそらくその例にもれず司書資格のない館長さんがつとめられているんだろうと思います。


現在CCCのマネージャーとして、新図書館の立ち上げを担われている方が、新図書館の初代館長に就任されることが予定されているそうです。ただし、新館長就任については、教育委員会での協議が必要になるとのことで、まだ決定ではないそうです。


果たして、その方は司書資格の保持者でしょうか。直営とは違って、民間企業が運営を受託する場合には、専門知識のあることを証明するために、必ず司書資格のある社員がその任にあたるものですが、CCC運営のツタヤ図書館では、どういうわけか、司書資格のない社員が館長になることがこれまでも何例か(不機嫌な新館長)ありました。


彼らとしては、図書館本体の運営なんかどうてもいいとまではいいませんが、そこでの専門性よりも、派手なイベント企画・開催や組織マネジメント能力を重視しているようなので、商業施設の店長のような役割を果たす人が就任するものと思われます。


そうしたなかで、もうひとつ気になるのが4月から半年間、休館して行われる旧館から新館への移転作業です。これは、他のツタヤ自治体でも関係者の方が、さかんに指摘されていたことなんですが、自治体サイドの職員がCCCのスタッフと一緒になって、移転作業を行うと、偽装請負になってしまうのは避けられないということです。


蔵書の引っ越しなどは、その業務を受託したCCCが単独で完遂することが求められていますが、しっかりしたノウハウと十分な人員を確保できていないそうなので、どうしても自治体側の職員が現場で手助けしてしまうらしいんです。


自治体職員が、あらかじめ仕様書で定められたこと以外について、業務責任者を通さず現場でで指示命令を出したり、具体的なアドバイトをしたり、作業を手伝ったりすると、それだけで偽装請負になってしまうんです。かといって、なにからなにまで知り尽くした旧館のスタッフが黙ってみているわけにはいかず、結果的には、一緒になって作業をすることが他のツタヤ自治体でもあったそうなんですね。


その点を読谷村の関係者にお聞きしますと、偽装請負に陥ってしまうリスクは認識されている様子でしたが、具体的にどうするかというところまではまだご検討はされていないようでした。


3年前、PFI決定までのプロセスでも、あまたの不正疑惑にまみれ、署名活動までされて要求されてきた住民説明会も一度も開催することなく、今年10月にいよいよオープンする読谷村のツタヤ図書館(説明会開催せずに逃げまくった読谷村の宣伝文句 読谷村のSPCからクレームがきました)。お祭り騒ぎのように新図書館オープンの話題が、これから地元メディアを賑わすと思いますが、その内実は10年前とたいして変わっていないような気がして仕方ないのですが。



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地元企業とタッグを組むCCC

 

こんにちは、日向です。


近く完成する和歌山市の西コミュニティセンター(コミセン)の指定管理者にCCCが選定されていた件、本日は、私の感想を少し書いておきたいと思います。


まず、事実関係を簡単に整理しておきますと、


和歌山市にはすでに、公民館的機能を果たす地域交流の場として市内7か所にコミセンが設置されています。


地元の方によれば、そのうち6か所には図書室が設けられていて、いずれも和歌山市民図書館とオンラインで結ばれて互いに貸出・返却などのサービスを受けることができるそうです。つまり、和歌山市のコミセンは、一館をのぞいて、実質的には地域の図書館機能も担っているわけです。


ところが、新たにできる8館目の西コミセンは、なぜか、この図書館機能が設けられていません。


にもかかわらず、そこの指定管理者に選定された団体にCCCが入っているのは、とってもヘンだと思いませんか。


前にも述べたように、CCCが延岡市エンクロスや丸亀市マルタスで運営している、本の貸出はせずに閲覧だけに限定した“図書館もどき”市民センターを、和歌山市でも設計段階から関与できれば、1円の投資もせずに、自社の思うままの施設を作りあげることができるメリットがあります。しかし、和歌山市からすれば、CCCにコミセンを任せるメリットなんかあるのでしょうか。


そう疑問に感じていたところに、昨年11月の選定結果の表をみて「なるほど、そういうことなのか!!」と思ったのが、阿形教育長とつながりの深い㈱KEGキャリア・アカデミーが、指定管理者に選定された団体・ぶんきょうの杜舎の代表企業になっている点でした。





この団体にCCCが参画した時点で、選定結果は、もう決まったようなものでした。


採点結果をみてみれば、その点は一目瞭然です。ぶんきょうの杜舎がほかの2団体に大差をつけているのは、CCCがいつものようにツタヤ図書館もどきの実績を、広告宣伝風に提案書で過大にアピールしたからでしょう。同社の運営実態をご存じない選定委員の方々にとっては、「延岡市エンクロス年間200万人来館!」という誇大宣伝(読谷山市長が暴いた来館者数のカラクリ)をすっかり信じ込ませられたであろうことは想像に難くありません。



一方で、2020年度から、“若竹学級運営委託事業”と呼ばれている学童保育を受託している㈱KEGキャリア・アカデミーは、「天の声」(天下りした企業を選定した和歌山市・阿形教育長)を受けていてもおかしくないポジションにはいましたが、コミセンの運営を一社で任せるとなると、やや疑問符がつきます。


ということは、㈱KEGキャリア・アカデミーとCCCをくっつけた人物がいて、その人物の思うままに、今回は、ことが運んだんだろうと思いました。それが誰なのか、地元の市議なのか、市長の関係者なのか、それとも民間の人物なのかはまだわかりません(ご存じの方はぜひ、コメント欄に情報をお寄せください)。


なお、和歌山市のコミセンは、現在、一館のみ直営で、残り6館は、公益財団法人である和歌山市文化スポーツ振興財団が非公募で選定され、運営にあたっています。いわば半官半民のような形で運営されてきたわけです。そこに新たにできる西コミセンを民間企業の指定管理にするということは、いずれ8館すべてを民間委託しようという腹積もりなのでしょう。


CCCからしてみれば、図書館運営は結構な人件費がかかってしまうため、たいしてうま味はないと感じているのかもしれません。その点、市民センターであれば、本の貸出をしないので図書館ほど人手をかけることなく、本を納入するだけで利益率は高くなるでしょうし、何より、すでに市民図書館の運営を担っているマネージャーに、新しいコミセンの立ち上げも担当させることもでき、司書資格のいらないスタッフを兼務させることもできなくはないでしょう。


そうして、和歌山市の行政に、より深く入りこむことで、周辺の事業を受託することも容易になるという計算があるのかもしれません。


全国のTSUTAYA店舗が大量に閉店したり、TカードブランドがsmbcのVカードと合併して消滅する一方、次の事業の柱になるはずのシェアラウンジ事業や海外展開での苦境が伝えられるなど、本業は衰退の一途をたどっているCCCにとっては、唯一の成長分野が公共サービス部門なのだろうと思いました。


役所の中の人も選定委員も、特定企業を優遇した民間委託であることは百も承知で、ただ流れに身を任せているだけなのかもしれませんが、市民の大切の公共施設が民間企業の食い物にされることの意味をもう少し真剣に考えてほしいと思うのですが…。




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2024年12月26日木曜日

天下りした企業を選定した和歌山市・阿形教育長

 

こんにちは、日向です。


先日、和歌山市教育長が教育委員会所管の施設運営者について、とってもおかしな決裁をしていたと書いた件(和歌山市の教育長が“李下に冠を正す”の巻)で、ひとつ重大な事実を見落としていました。


下をみてください。



 2021年に教育長に就任する際、地元紙が報じた阿形氏の経歴にご注目ください。今回、西コミセンの指定管理者に選定された㈱KEGキャリア‧アカデミーに入社される前には、市教委で、教育局長をつとめていたと書かれています。


教育局長といえば、教育長に次ぐポストで事務方のトップです。和歌山市議会では、教育長に代って教育委員会の施策について答弁する機会も多く、CCCが指定管理者に選定された直後などは、図書館運営についての質問は、もっぱら教育局長が回答していました。


その事務方のトップだった人が、なぜか2020年には、民間企業の㈱KEGキャリア‧アカデミーに転籍されていました。下に掲示したのは、2020年にコロナ禍で学校が休校になったとき、この会社が受託している学童保育が貴重な子どもの居場所になっていることを報じた記事です。この記事でコメントしているのが、当時、㈱KEGキャリア‧アカデミーの事務局長だった阿形氏なのです。


わかやま新報2020年5月10日 『子どもの居場所も緊張感 休校中の学童保育』より
https://wakayamashimpo.co.jp/2020/05/20200510_93859.html




つまり、役所で教育局長まで上り詰めた人物が、その影響下にあるというか、密接な利害関係のある民間企業に天下っていたわけです。


で、ここまででしたら、「まぁ、そういうこともあるのかなぁ」くらいで話は終わりますが、この後、民間企業に一度天下った阿形氏が古巣にもどって、今度は絶大な権限を持つ教育長に返り咲き。その権限を駆使して、かつて天下った民間企業をコミセンの指定管理者に選定していたということになってしまいます。


こんなあらさまな癒着はなかなかないと言いたいところですが、和歌山市では、こういうことは、そんなにめずらしいことではないのかもしれません。


教育分野に深い知見を持った教育長が、市が仕事を発注する企業とズブズブの関係だったなんていうのは、にわかには信じられないことです。


そこで疑問が沸いてくるのが、なにゆえ、㈱KEGキャリア‧アカデミーという会社が2020年時点で放課後にこどもたちを預かる学童保育事業を受託していたのかという点です。


市議会の議事録を調べてみると、2019年9月議会で、“若竹学級運営委託事業”と呼ばれている学童保育の民間委託について活発な議論が行われていました。


民間委託する理由としては、学級数の増加に伴う指導員の人員不足があげられていました。翌年度から会計年度任用制度が始まることもふまえて、民間委託したほうがより柔軟に人を採用できて、より高い保育サービスを提供できるとした執行部の説明に対しては、民間委託に反対する議員はもちろん、それに賛成する議員からも、民間委託したときのデメリットをどう解消するのかという方向で、厳しい意見があがっていました。


https://ssp.kaigiroku.net/tenant/wakayama/SpMinuteView.html?council_id=539&schedule_id=2&minute_id=4&is_search=true


それぞれの意見の内容について書くと長くなるので辞めておきますが、令和2年度から令和4年度までの3年間に、14億6020万円、1年あたり4.8億円にもなる学童保員事業を民間委託するにあたっては、直営(15億円)よりも安くなるという試算が提示されて、最終的には、この議案が通ってしまいました。


そもそも直営では指導員の人員を確保できない状況、つまり、それだけ現場で働くスタッフの労働条件が劣悪になっている事業を、民間委託したら、ウソのように人手不足が解消されて、民間のノウハウが導入されたり、企業間の競争原理が働くことでサービスも向上するはずという民間委託神話が教育現場の周辺にも深く根差すようになっていることがよくわかるわけですが、ここの議論をみるだけでも、この事業がとても一筋縄ではいかないと思わせる難しさを感じました。


そこで、教育委員会がとったのが、民間企業に任せるけれども、ロクにノウハウのない企業にやらせて何か不祥事が起きても困るということで、教育委員会からお目付け役のような人物を派遣したのではないか、それが教育局長までつとめた阿形氏だったのではないのかって、思いました。


似たような事例は、ツタヤ図書館誘致自治体でもよくみられる人事です。たとえば、2016年に駅前移転してオープンした宮城県多賀城市立図書館の初代館長は元小学校の校長( ツタヤ図書館、元協議会長が天下り? ツタヤ図書館、市から「天下り入社」疑惑の新館長を直撃!「市長から声かけられた」)でした。また2017年にこれまたツタヤ図書館として駅前移転した岡山県高梁市も初代館長も元校長(ツタヤ図書館、再び天下り人事疑惑)でした。


いずれも、受託企業に天下りさせることでお目付け役にしたいという教育委員会の思惑と、一方で受託企業側からすれば、役所と太いパイプを持つ人物を受け入れることで、より自分たちの都合のいいように事業を進めていきたいという思惑が一致した結果と言えるのではないかと思います。


そういう視点でみますと、阿形氏の委託企業への天下りは、典型的な官民癒着の構造を浮き彫りにしたものと言えると思います。


今回注目すべきなのは、教育長という絶大なる権限を持つポストに座った人物が、かつて天下りした企業の選定に深く関与する格好になったという点です。


私は、今回、阿形氏の天下りが判明した瞬間に、どうして西コミセンの指定管理者選定発表が構成企業を明記しない団体名だけだったのかというナゾが解けたように気がしました。


選定結果の発表を起案した職員はもちろん、その情報を発表ページにアップした職員も、ほぼ例外なく教育長が、学童保育を委託した企業へ天下りしていた事実を知っていたはず。なので、その天下り先の企業が新しいコミセンの指定管理者の代表企業になったことは、できれば表に出したくないという心理が働いたのではないのか。そう思わざるを得ません。CCCよりも、むしろ、㈱KEGキャリア‧アカデミーという社名を出したくなかったから、団体名のみ発表したのではないでしょうか。


担当課の生涯学習課はもちろん、担当課が議決スケジュールを相談したという教育政策課、さらには情報公開を担当する総務部市政情報班の方もみんな、「指定管理者選定発表で団体名だけで構成企業を出さないのはおかしいのでは?」という私の質問に対して「いえ、おかしくはないと思います」と回答していましたが、その言葉の裏には、なにかを隠しているかのようなニュアンスを感じました。

ということで、本日は、ここまでしにします。



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