2022年11月28日月曜日

和歌山市・光熱水費の謎（その4）～スタバは平均店舗の4分の1、蔦屋書店は、ほぼ無料～

 


こんにちは、日向です。



先週は、和歌山市民図書館の光熱水費について、3回にわたって、詳しくみていきました。





これまでの回は、開示資料からデータを集計するプロセスについての解説でしたので、少し退屈だったかもしれませんが、今回からは、いよいよ核心部分に切り込んでいきます。



まずは、これまで集計してきた光熱水費全体のデータを一覧表にしてみましたので、そちらをご覧ください。















この一覧表をもとに、ポイントを整理しておきましょう。


・図書館の光熱水費は、2020年度で総額で2400万円、一か月あたりの平均額で240万円くらい。2021年度は月平均188万円くらいかかっている


・スタバは、2020年度の電気代が月平均12万円、2021年度は月平均10万円程度を負担している


・スタバの水道代は、2020年度は49万円程度年度で、10か月間の平均は約4万9000円。2021年度は12か月間で59万円だったが、月平均は、どちらも4万9000円と安定している


・蔦屋書店は、水道代がダタで、電気代は2020年度は月平均6000円程度、2021年度になると月平均5000円程度を負担している


・スタバの電気代と水道代を合わせた光熱水費は、2020年度170万円程度だった。光熱水費の月あたりの平均額は、2020年は約17万円だった


・スタバの2021年度の光熱水費は、電気代が月平均10万円程度、水道代が月平均5万円程度の合計約15万円だった


ざっくりみたときのポイントとしては、そんなところです。






では、この数字は、どう評価されるでしょうか。


スタバが毎月電気代12万円と水道代5万円の計17万円（2021年度は15万円）光熱水費を負担していると聞いて「妥当な金額ではないの？」って、とらえた人もいるかもしれませんが、これ、実はとんでもない金額です。


飲食店では、光熱水費のめやすは、売上の7％程度と言われています。


仮にスタバの売上が月1000万円だとしたら、光熱水費は70万円くらいかかかっていることになります。


ところが、和歌山市民図書館に指定管理者特典として、カルチュア・コンビニエンス・クラブが出店しているスタバは、月17万円ということは、その4分の1の光熱水費しか負担していないことになります。


スタバの売上は、月1000万円もないのでは？と思われるかもしれませんが、この金額は、ごく平均的な店舗のものです。


2019年の段階で、同社の年間の売上高2011億円を1500店舗で割ると1.34億円になります。1店舗当たり、年間で1億3400万円を売り上げている計算…それを12ヶ月で割ると、1店舗当たりの月間売上が約1100万円と出てきます。（日本のスターバックスの業績 2019年の売上は前年比110% ロースタリー効果か!?　より）


2020年度に来館者70万人（大半が図書館利用目的ではなく、新しい南海市駅ビル・キーノ和歌山の来場者） もの人が押し寄せているのですから、平均的なスタバの売上を大きく上回っているはずなので、光熱水費負担も100万円を超えていてもおかしくないでしょう。


それが、たったの17万円ですよ。蔦屋書店に至っては、光熱水費は、電気代月6000円（2121年度は月5000円）だけというんですから、月19万円という賃料同様、特定企業へのあからさまな利益供与ではないのかと言われても仕方ありません。


蔦屋書店の月6000円の電気代ということは、一日当たり200円です。同店の月当たりの売上はいくらかわかりませんが、少なくとも1000万円はくだらないでしょうから、費用としてはほぼ考慮しなくていい金額、つまりタダ同然です。

（書店の１事業所当りの月商は、1,172万円、駅ビルの売上効率は郊外型の3.3倍　書店の売上は、月一千万円前後？）



では、どうしてこんなに電気料金と水道料金が安いのでしょうか？


真っ先に、考えられるのは、空調、つまり冷暖房にかかる電気代のほとんどを図書館部分が負担していて、スタバも蔦屋書店も、負担していない可能性です。


両店舗がもし負担していたとしても、賃料を納めているゾーンを細かく区分けしているのと同じく、ごく狭い範囲に限定したスポット的な空調でしょうか。いや、それでも月5000円という電気代では到底収まりませんので、書店・物販部分は、冷暖房は図書館全体の空調にタダ乗りしていて、ごく限られたゾーンの電灯のみ負担しているとしか考えられません。


いや、CCCの独自ノウハウを使って、第二電力と契約するなど、光熱水費を劇的に抑えたんだろうという指摘も、まったくあたりません。


なぜならば、一方で、CCCが管理している図書館の光熱水費は、ツタバ店舗（蔦屋＋スタバ）とは対照的に、ベラボウに高いのです。


この点は、次回に詳しく述べますが、他のツタヤ自治体と比べても、和歌山市民図書館の光熱水費は、とんでもなく高いのです。


いったい、これは誰がトクするスキームなんでしょうか。


市民図書館とツタバ店舗の光熱水費負担が、どのようなプロセスを経て決められたのかについて、これまでただの一枚の文書も出てきていません。すべてが、闇の中です。



2013年に武雄市で、元祖ツタヤ図書館が開館したときには、TSUTAYAの本部であるカルチュア・コンビニエンス・クラブが、民間のノウハウを活用して効率的に図書館を運営するというフレコミだったはず。


その実態は、なんのことはない、館内で営業させる民業部分の賃料と光熱水費をタダ同然に安くする一方で、自治体は、CCCに巨額の指定管理料を払うというバカげたものであることが、次第にわかってきました。


それでも、熊本県宇城市や、大阪府門真市、沖縄県読谷村と、そのスキームで公共図書館を運営させる自治体がいまだに続いているのです。


とにかく、詳しいことはわからないまま、気がついたら巨額の負担を押し付けられていて、ある意味、詐欺にあっているようなものではないのかって、思いますね。


とりあえず、和歌山市の市民の方は、ぜひこの事実を知ったうえで、このことを、ひとりでも多くの人に広めてください。


週末になると、大量に県外から押し寄せる、オシャレスポットめあての来館者がお金を落とすのは、CCC経営のスターバックスと蔦屋書店なのに、その店舗運営にかかる経費まで、あなたたちの税金で賄われているとしたら、どう思われるでしょうか？


オシャレな図書館ができて嬉しいという気持ちだけでは済まないはずです。


図書館に、にぎわい創出を実現して、大きな経済効果があるのならまだ我慢できるかもしれませんが、家賃を9割引きにしてあげて、光熱水費の負担は4分の1以下だとしたら、市内でまじめにカフェや書店を経営している経営者からしたら、とんでもない民業圧迫です。小さなお店は、とても太刀打ちできませんので、次々廃業していくでしょう。


こんな不公正な競争を強いられたあげく、CCC運営の図書館と店舗で働く人は、ほとんどが非正規雇用の最低賃金です。目に見える経済効果は、いったいどこにあるのでしょうか。


次回は、いよいよ図書館部分の光熱水費について、詳しくみていくことにします。


よろしくお願いいたします。



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2020年8月29日土曜日

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《2020年6月》

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