2019年11月16日土曜日

最強の「0円入札」

こんにちは、日向です


来年4月開館予定の新市民図書館の運営をTSUTAYA本社・CCCに任せた和歌山市について、これまで続けてことの経緯をレポートしてきましたが、

本日は、市内の学校図書館までCCCに任せてTSUTAYA化してしまうのではないかと危惧されている点について、新たな展開がありましたので、メモ代わりに書いておきます。


これまでの経緯は、以下の通りです。

・市内の小中学校にある学校図書館は、担当教諭が忙しくてなかなか開けることができない

・国から司書配置に関する地方交付税交付金が1.5校に1人司書を配置できるだけの予算が出ていて、教育に熱心な自治体では、ほぼ全校配置を達成している

・そうしたなか、教育にはカネかけないドケチの和歌山市では、市内に72校あるのに、学校司書をたった1人しか雇用しておらず、その1人が2~3校兼任している状態だった

・今年秋開館予定の市民図書館の運営をTSUTAYA本社のCCCが指定管理することが決まっているので、CCCに、公共図書館のついでに学校図書館もめんどうみてもらうことになった

・なにをどうするかは、まだ決まっていない。これからモデル校を決めて試験的にやっていく


・学校図書館までTSUTAYAの食い物にされることに危惧を抱いた市民たちが、学校図書館には直接雇用の司書を配置してほしいとの請願を議会に提出すべく、署名活動を展開中。12月議会に提出をめざしている

・この請願署名に関しては、市議会では、CCCの営業マンや市長のイジワルを恐れているのか、支援する議員がほとんどいない

・一度支援を表明していた議員も、土壇場で腰が引けてきている

あらすじをとしては、そんな状況なんですね。

で、今回わかったのは、学校図書館まで民間企業に委託するとことに反対する市民に対して

市当局の言うことが、微妙に変わってきていることです。

いわく


・CCCから派遣されたスタッフは、直接生徒を指導しない 

・ただ本を運んできて、棚の整理を手伝うだけ 

・生徒のいる時間帯には派遣されない 

・CCCスタッフは、ボランティアなどの支援を行う


これ聞いたとき、
はい? なんですか、それ?

という感想でした。


もともと、市教委は、市民図書館が学校図書館を支援に関して、具体的になにをどうするかを

明言することを避けてきました。言うと、突っ込まれて窮地に立たされるのは目に見えてましたから。

そうしたなか、市当局も、当ブログでも取り上げた偽装請負等のリスクを認識したのかどうかわからないですが

CCCにストレートに任せると、いろいろと法的な問題も出てくるのではないか、とりわけ民間企業のスタッフが

生徒に直接指導なんかしたら問題になるのではないか

と考えて、このような回答をしているわけなんです。


でも、コレ、偽装請負に関しては、なんの解決にもなってないですね。

生徒を指導するのが問題なのではなくて、現場で派遣先のスタッフ(教師)の指示命令のもとに動いたり

あるいは一緒になって作業する、いわゆる「混在」が、都立高校では、労働局に違法認定されたわけですから、

それについては、「本を運んで」教師と相談しながら配架したら、それだけでアウトなんですよ。


【関連記事】
2019.09.14

東京都、都立高校図書館で“偽装請負”蔓延か…労働局が調査、ノウハウない事業者に委託


まぁ、そんなこと検討もしてないんでしょうね。



さて、長くなりましたんが、こんな強引なやり方が通るのも、これ個別に予算がついてないからなんです。

つまり、CCCに払う市民図書館の指定管理料の中でやってもらうので、別に教育委員会や議会で承認を受ける必要がないわけなんですね。

しかし、単に、市民図書館の指定管理料に含まれているというだけで、

決して無料ではないんですね。

にもかからわず、市教委や議員さんは


「CCCが無料でやってくれるんなら、願ってもないこと」

ととらえているんですね。


少しわかっている人でも、予算があがってこないと議会でも反対できないと困っている次第なんです。



昔、役所のシステムを大手企業が「1円入札」して話題になったことがありましたが、

それと似ていまして、

いわば

「0円ステルス入札」

みたいなものですね。

これがどれだけ、行政の手続き上おかしいことなのかは、BJの記事でも以前専門家にコメントしてもらいましたが

“めちゃくちゃ”な行政手続き

そんなことどうでもいい和歌山市は、ひたすらTSUTAYA化に向かって暴走しようとしているんですよ。

まぁ、その裏ではCCC社員が指示しているのではという話もあって、本当にTSUTAYAに一度つかまってしまった自治体市民は、タイヘンな苦難を強いられますねえ。困ったものです。



関連記事
教育現場の“Tカード汚染”
根拠は7文字
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