こんにちは、日向です。
11月に入ってから、突然、千葉県木更津市で、市民交流プラザの出来レース疑惑が持ち上がってきた影響で、和歌山市民図書館の光熱水費についての続報をしばらく休止しておりましたが、そちらを、そろそろ再開したいと思っているところです。
いま、合間みて開示資料のデータを整理しているところですので、まとまったレポートを発表できるまで、いましばらくお待ちください。
さて、本日は、その話題に本格的に突入する前に、和歌山市民図書館でのスタバ・蔦屋書店の賃料問題・又貸し問題につづいて、今度は光熱水費についてまで、私がどうして、しつこく調べているのか、その理由を述べておきたいと思います。
以前、ほかの事業者は決してマネすることがない、CCCによるツタヤ図書館の定義として、①高層書架、②独自分類、③Tカード(図書利用カードに採用)
――という3つの特徴があると述べました。(ツタヤ図書館3つの罠)
図書館にカフェと書店を併設した空間というよりも、図書館風のインテリアを施した商業施設というのが、ツタヤ図書館の本質なわけですが、
では、その利益の秘密はどこにあるのでしょうか?
その答えを一言で、表すのが
公 私 混 同
――です。
すなわち、本来は、明確に区別すべき、公共部分と民業部分のボーダーをできるだけ曖昧にすることで、私企業の営利部分の費用を公共部分に負担させることを意図的に行なっているのではないのか。その点が、ツタヤ図書館の隠れた利益の源泉ではないのかと、みています。
最たるものが、ツタバ(スターバックス+蔦屋書店)の家賃を激安に設定するスキームでしょう。
図書館部分と店舗部分に境界線はありません。和歌山市などは、目的外使用の許可申請において、店舗の棚とテーブル、平台単位で面積を図って使用料を納めます。通路やトイレ、事務室など共用部分は、文字通り「公私混同」です。駐車場も、本来、スタバ・蔦屋専用スペースを用意すべきですが、実質、共用されています。
誰がどうみても、一階部分はほとんどが、民業店舗なのに、賃料の対象はその面積の1割以下になっています。
そのため、和歌山市は、CCCからツタバの賃料月19万円、年間230万円くらいしかもらっていません。もし境界線を明確に引いたら、賃料は、少なくともその数倍にものぼるでしょう。
【※1】2016年にオープンした宮城県多賀城市だけは例外で、公共図書館と民業店舗の境界線を明確にしている。そのため、CCCが店舗の家賃として払う額(建物の所有者である第三セクターの多賀城北開発へ)は、年間5,460万円(月455万円)と、和歌山市の約24倍にものぼる。(賃料額は、平成28年多賀城市議会予算特別委員会会議記録(第5号) 平成28年3月4日(金曜日)より)
これと同じ構造なのが、民業店舗の光熱水費です。詳細は後日、アップする予定ですが、光熱水費についても、民業と公共部分の区分けが明確ではありません。
一応、民業部分と思われる箇所に、子メーターが設置されていて、その部分は、CCCが負担していることにはなっていますが、個々の子メーターが本当に民業店舗の使用量を適切に測定していることがわかる情報はこれまで一切開示されておりませんので、かなり疑わしいとみています。
よしんば子メーターの測定が適切だったとしても、共用部分は、どのような負担になるのでしょうか。気になる箇所をざっとあげてみましょう。
トイレ 通路 事務室 スタッフルーム 空調 エレベーター
なかでも、空調などは、特に「公私混同」しやすいものです。図書館全体の冷暖房が、館内の店舗も恩恵を与えますので、その分は、子メーターの使用料とは別に店舗が負担すべきです。
最初から、駐車場や空調等も考慮に入れた賃料になっていれば問題はないのですが、賃料がタダみたいに安いうえに、駐車場使用分や空調まで、公費で賄われているとしたら、周辺の書店やカフェを経営している事業者にとっては、とんでもない民業圧迫に映るでしょう。
そして、この「公私混同」の本丸は実は「人件費」なのです。
ツタヤウォッチャーの方が、CCCが図書館運営事業で出している求人広告の内容をよくsnsで話題にしています。
時給が低いだけでなく、仕事の内容にみなさん注目されます。
図書館スタッフの求人でも、書店業務が必ず入っていますので、1人のスタッフが公共の業務と私的な店舗業務を同時にこなしていることになり、その費用を計上するにあたっては、双方の業務従事割合を明確にした「按分」が行なわれていて、その率を公表するなり、クライアントの自治体サイドに報告すべきですが、そのようなことがなされている様子は、これまで一切みられませんでした。
つまり、人件費についても、意図的に公私混同させることによって、民業部分のコストを公共に付け替えるという不正が行なわれている可能性があり、実は、ここがいちばん隠された利益として大きいのではないのかと、ツタヤウオッチャーはみているわけです。
しかし、この人件費というのは、当然民業部分に深く絡んでくるものです。そもそも年間3億3000万円という和歌山市からCCCに支払われている指定管理料の積算は、自治体サイドでは行われず、CCCが独自に試算したものを精査することなく、ただ丸飲みした金額です。第三者がそこに深く切り込むのは、相当に困難です。
その観点からみますと、延岡市で、今年3月に行なわれたエンクロスの運営見直し案で、読谷山市長サイドが、独自の試算によって人件費を大きく削減してきたのは、非常に興味深い事例といえます。
施設内で働いているスタッフ全員の人数と全員の給与額を知ることができる唯一の立場にいる市町村(住民税の給与支払報告書提出先)だからこそ、正確な試算が可能なのだろうと理解しました(もちろん、延岡市がエンクロス従事者の給与額を実際に参照したかどうかは不明ですが)。
なので、外部のわれわれからすると、しつこく何度も請求することで出てきた開示資料によって、たとえ不正の一端でもかいまみれるかもしれないのは、いまのところ、民業店舗の賃料と光熱水費の2つだけなんです。
なので、この2つについては、なにもそこまでこだわらなくてもとみえるかもしれないくらい執拗に調べているわけです。
ツタヤ図書館の隠れた利益の源泉は、「公私混同」にあることをぜひ、みなさんも覚えておいてください。
よろしくお願いいたします。
【関連記事】
“賃料9割引”の次は、“又貸しボロ儲け疑惑”
ツタバ賃料9割引の後編リリース
2020年8月29日土曜日
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