2018年9月23日日曜日

「海老名市TRC離脱」のデマ駆け巡る舞台裏!

 昨日書きました海老名ツタヤ図書館の件、いまひとつニュースの中身が伝わっていないようなので、もう少し背景を詳しく説明しておきます。

まず、昨日ページの末尾に掲載しましたこの表を、もう一度みてください。海老名市立図書館でCCCが過去に発生させた不祥事と疑惑の一覧です。





ひとつの受託先だけで、これだけの問題起こしていると、普通は、再受託なんてありえないですよね。

ところが、海老名市当局は、現在のCCCとTRCのJVに、なにがなんでも再受託させたいのか、用意周到な準備をしてきました。

●不祥事連発なのに最高評価

詳しくは、昨日紹介した記事にも書きましたので、のちほどそちらも参照していただくとして、一例を挙げますと、今年1月に行なわれた社会教育委員会での図書館指定管理者の評価です。

以下に抜粋しておきます。






さきほどの、不祥事一覧と対比させてみてください。凄いですよね。これが同じ指定管理者なのかって思うほど、その評価は、かけ離れています。

どっちが本当なのかって、みなさん思われるかもしれないですが、この市当局の評価は、平成29年度だけに限定したものなんですね。で、あとの、来館者数が増えたとかというのは、図書館本来の機能とはあまり関係ないことばかり評価しているのに注目してください。


過去に発生した不祥事は、すべてなかったことにして、とりあえず1年間だけ高い評価をなんとかひねり出したともいえるわけです。

まぁ、そんなに熱心に図書館のことウォッチしている人もいないので、そう言われたら「まぁ、いろいろあったけど、いまは市民に喜ばれてるね」なんて、教育委員のみなさん思ってしまう仕掛けになっているわけです。

●ガセネタ流した犯人探し

で、もうひとつ舞台裏を明かしますと、先日の議会答弁で「応募したのは一事業体のみ」だったことが判明した数日前から、それとは正反対の情報が関係者の間に駆け巡ってました。

いわく「ついにTRCがJV離脱!」「TRCは単独応募!」というものでした。

私も、うっかりまに受けてしまい、記事を書く準備をしていたところでした。

ところが、件の議会答弁の前日になって、「それはガセネタ」であることが判明。かなり信頼のできるソースが、そのウワサを完全に否定したらしいのです。

いったい、誰がそのガセネタを流したのかと、いま関係者の間で「犯人探し」が始まっているようです。

議会で図書館に関する質問が予定されていましたから「厳しい追及をされたら困ると思った市当局の周辺で、意図的にガセネタを流した人物がいたのでは?」という噂まで、出ているほどです。

新しい指定管理者は、10月中に正式発表。12月議会での承認というスケジュールになっています。

それぞれの立場で思惑が違い、情報戦の様相も呈してきました。

今回の出来事に先立つ今月13日、市民団体からCCCを指定管理者から外してほしいとの陳情が出されました。委員会で否決はされたものの、地元市民のなかにも、ツタヤ図書館継続に反対する人が少なくないことを印象づけました。

強引にCCCに決めると、そのプロセスの綻びと矛盾点が次々と出てきますので、まだしばらくは、海老名市の動きから目が離せません。


海老名市議会でCCC継続決定がバレた理由

こんにちは、日向です。

昨日、海老名市ツタヤ図書館の関連で、興味深いニュースがひとつ飛び込んできましたので、今日は、急遽その件について書いておきます。

2015年10月、武雄市に続く二番目のツタヤ図書館としてリニューアルオープンした海老名市立図書館の指定管理者に、どうやらこれまで通り、CCCとTRCのJVの継続がほぼ決定したとの情報が入ってきました。

●今後CCCと組むことはない

海老名市立図書館の指定管理者は、TSUTAYAのCCCと業界最大手のTRC(図書館流通センター)のJV(共同事業体)です。

3年前、同館の新装開館直後、TRCが、突然「CCCとの提携を解消する」と発表したのを覚えておられる方も多いいのではないかと思います。CCCのあまりにも杜撰な図書館運営に業を煮やしたTRC幹部が公然とCCC批判し始め、ついには「思想が違う」とまで言及して三行半をつきつけた格好でした。

このときは内野市長のとりなしで、なんとかTRCは矛を収めて提携継続しましたが、TRCの石井社長は、

「今後CCCと組むことはない」と、将来の離脱を宣言していました。

指定管理期間満了を来年3月に控えて、翌月4月からの新しい指定管理者の公募が現在行なわれているのですが、

そうなると、誰もが気になるのがそのこと。「今度こそTRCは、提携解消して、単独で指定管理者に応募してくるのでは?」との憶測が流れていました。

●CCC継続が事実上決定

そんななか、9月19日の議会質疑のなかで、

図書館の指定管理者の公募に何社応募しているかを聞かれた教育部次長が「一事業体のみ」と正式に回答したのです。

TRCがJV離脱して、単独応募するのならば「一事業体のみ」にはなりません。そのことから、これまで通り「CCC・TRCのJV継続が事実上決定」したことが判明したわけです。

この情報は、瞬く間にネット上を駆け巡りました。

ただし、今回の募集では、公民館のリニューアルの設計提案事業者と共同事業体での応募も条件に挙げていたことから、

TRCは離脱して、CCCと設計事業者との共同事業体が応募した可能性も残っている。

そう考える人もいるかもしれませんが、現実問題として、その可能性はほとんどありません。

●TRCも最善の策

なぜならば、まず第一に、TRCが自社は単独応募もせずに、ただ黙ってJVを離脱するのは、なんのメリットもないからです。

ある図書館関係者は、こう話します。

「TRCのとりうる最良の方法は、屈辱的ではありますが、TRCのために動いてくれる市の幹部や議員を通じて、JVを崩さないように働きかけることです。それは、市としても望むことなので、CCCに働きかけてJVの継続を画策したと思います。

『なぜ、JVを解消しなかったのか』という問いかけには、「市から続けてほしいという話があったとTRCは答えるでしょう。CCC単独で大丈夫かと、市は思っていますから」

この仮説をある関係者にぶつけたところ、アッサリ裏が取れました。

●出来レースの匂いに敏感

もうひとつの疑問は、今回、海老名市が行なった図書館指定管理者の公募に、どうして他社が応募してこなかったのかという点でしょう。

ちなみに、市が開催した説明会には6社が参加したとのことですので、そのうち2、3社が応募してもおかしくないと思われるかもしれません。

私がウォッチしている範囲では、最近の傾向として「出来レースの匂いのする案件には、ほとんどの事業者はまず応募してこない」ことが挙げられます。

応募するにあたってプロポーザル一式を書くにも、それなりのコストがかかります。事業者が雇用しているスタッフのなかで、プロポーザルが書ける人材は限られています。

戦力として現場を統括しているその幹部スタッフを何ヶ月も応募作業専念させたあげく、仕事が取れなかったら大損です。なので、取れそうもないと判断したところには、まず応募してきません。

役所側から、応募してくれるようアプローチしているケースもあると聞きます。

図書館の指定管理は、良心的に取り組もうとしたら儲からないのでCCCには勝てないのではとの指摘もありましたが、私の認識では、図書館の指定管理者で、良心的なところは一社もみあたりません。


いずれにしろ、CCC・TRC体制の継続が事実上決定したわけですが、海老名の市議会は、決して積極的「CCC推し」議員が大勢を占めているわけではありません。正式決定される12月議会までには、おそらく、まだ一波乱もニ波乱もあるでょう。


なお、この件の背景については、7月に書いた以下の拙稿に詳しいので、もしよろしければ、こちらをお読みください。


不祥事続出で有名なツタヤ図書館、海老名市が議論抜きで今後5年の委託継続決定か?




海老名市ツタヤ図書館不祥事・疑惑一覧
20159
開館直前、購入予定の選書リスト約8000冊中、4000冊近くが「料理本」判明

選書リスト中に、タジン鍋、おろし金、メガネ拭きなどが混入、またアジアの風俗ガイド本など不適切な図書もみつかる

新装開館前日の記者会見で、中央図書館の館長を務める高橋聡氏が「武雄市図書館の時、僕たちはド素人でした」と告白して世間をアッと驚かせる
201510
平成26年度図書購入費3億9千万円のうち未購入残金9千万がCCCからが海老名市に返却されていないことが発覚(予算未執行

CCC独自のライフスタイル分類による図書の配架が話題になり、職員すらどこになにがあるのかわからず大混乱に陥

『旧約聖書出エジプト記』や『カラマーゾフの兄弟』が「旅行」に分類されていることがネット上で話題になり、利用者からは「本を探しにくい」と批判が集中した

共同で市立図書館を運営していたTRC企業理念が異なるのでCCCとは一緒に仕事できない海老名からは撤退するとJV離脱を表明

市長の仲介で、TRC離脱表明撤回するも「今後は一緒にやらない」と社長コメント

蔦屋書店、スタックスの年間賃料は3,293,580と、世間相場の半額以下の激安であることが判明し、その決定が不透明と批判される
201511
指定管理者の応募資格だった個人情報保護の規格であるプライバシーマークをCCC密に返上していたことが発覚
201512
指定管理でコスト削減と言われていたが、運営費は1.6億円から3.3億円と倍増していることが議会答弁等で判明

CCC・TRC共同事業体との海老名市立図書館の基本協定解約と、市長へ5億円の損害賠償請求することを求めて市民団体が横浜地裁に提訴

図書館サイトのイベント案内ページの画像を他社サイトから盗用していたことが発覚。文章も、生活総合情報サイトに掲載された記事から無断転用していた
20161
図書館でTカード機能付貸出カードを作ったら、知らない会社からDMが送られてきたとのツイートを発端に、CCC管理によって個人情報が図書館の外に流失しているのではとの疑惑が浮上
2016年4月
海老名市民が来館者データの情報開示請求したところ、201621日の来館者数が4303人で、大混雑した新装開館日よりも多い数字が報告されていたことから、来館者数カウントで不正が行われているのではとの疑惑が浮上
20166
電気・水道のメーターが市立中央図書館と、目的外使用部分(スタバ、蔦屋書店)が別契約になっていないことが判明。「82の割合で支払っている」と市教委答弁するも、市民の税金で民業部分の経費を一部負担しているのではとの疑惑が浮上
20169
カフェと書店の賃料が相場の10分の1、固定資産評価が図書館新築時30年前の評価で算定してい。海老名市財産規則13条(価格の再評価)違反を指摘される

図書館のホームページのデザインが多賀城市・高梁市のHPと同じであることが基本協定書28条3(物品の帰属)に違反と指摘される

中央図書館長が、CCC図書館カンパニー社長を兼職している行為図書館法13条の2に違反と指摘される
20186
CCC運営の中央図書館において司書の有資格率が48.8%と、50%割り込んでいることが判明。協定書第9条違反を指摘される



2018年9月20日木曜日

南海電鉄取材メモ(2)「われわれのやり方で足りる」

このブログは、先日ビジネスジャーナルに発表しました以下の記事の背景を解説しています。

和歌山市、ツタヤ図書館に64億円税金投入…関連文書の情報開示請求に全面黒塗りで回答




こんにちは、日向です。

今日は、昨日につづいて、南海電鉄とのやりとりを記録した取材メモのつづきを公開いたします。

前半部分で、南海電鉄は、設計事業者を正式に公募せず、心当たりのある業者に決めた「随意契約」であったことが判明しました。その結果、代官山蔦屋を手がけてCCCと関係の深いRIAが設計事業者に選定されています。

南海電鉄は、そのプロセスを一切公表していません。昨日例示したとおり、同規模のプロジェクトである山形県酒田市のケースでは、補助金を受け取る会社が随時特設ページで、事業者の選定等プロセスを公表しているのとは対照的です。

さて、これから公開する後半部分で注目していただきたいのは、RIAを選定したのはいつだったかという点です。




後日、開示請求して出てきた1400枚の会議資料のほとんどが黒塗りだった



値段だけで決めた


--それ(何社見積をとったのか)も言わない。複数者と。そのなかで一定のレベルに達していたのであとは価格の問題だけだったとおっしゃるんであれば、なぜ、内容は、A社とB社とC社を比較しなくていいという話になるのか? かたほうは高層書架、片方は使わない(高層部分を)というのだったら、高層書架あぶないという話にはならない?

南海 こうぞうしょかですか?

--あれっ、和歌山のいま話題になっている図書館のことご存じない? 市民図書館のパースご覧になったことないんですか?

南海 ありますけども。

--こうそうしょかご存じない? みたことない?

南海 ああ、こうそうしょかですか。高い。背の高い。

--おそらく、abcあって、もう一社は高層書架でなかったら内容の評価になりますよね。こっちのほうがカッコイイとか、危険とか。そういう議論にはならなかった?

南海 そもそも基本設計始めた段階なんで、何もない状態なんですね。

--そういう提案もなし?

南海 提案型という形で受けたわけではなく。

--とりあえず、基本設計作ってよと、どんなことやるのかも、ただ値段だけ出してよと?

南海 いわゆるプロポーザル方式というのではなくて、要はわれわれとして信頼のできる会社さんに依頼した。

--値段だけで、内容はこれからスタートしてよという話?

南海 そうです。

--基本設計でプロセスを公開する必要性を感じなかった。理由はなんとなくであると?

南海 いえ、なんとなくというわけではなくて、われわれのやりかた。

--ああ、重視していないということ?

南海 してないわけではないが、われわれのやり方で問題ないという認識で進めてきたと。

--われわれのやり方で問題ないとは?

南海 いま言いました、複数者からの見積をとって、それで決めていくというやり方で問題ないと。

--で、それは公表する必要はないというのは、重要ではないから?

南海 いえ、それは単に公表する必要がないというだけの認識です。



われわれのやり方で足りる

--すみません。押し問答になって申し訳ないんですが、いまおっしゃったのは理由はなんですかとお聞きしているのですが?

南海 うん。われわれのやり方で足りると思って進めてきましたので、その公表・・。

--われわれのやり方とはどんなやり方?

南海 いま申しました複数者に見積をとって、それで選定して進める。

--それを公表する必要がないというのはどういう理由?

南海 そこまでする必要があるという認識ではなかったと。

--あまり重要ではないと?

南海 うーん、重要かどうかは別としまして。

--重要なものは公表するけれども、重要でないものは公表しないという理解の話の流れになりますよね。

南海 われわれが公表する必要があると認識するものは公表しますし。

--図書館というのは、税金が投入されて、いずれ和歌山市に譲渡されるんですよね?

南海 ええ、そうです。

--違います? 南海電鉄のプライベートなものですか?

南海 では、ございません。

--私の言うことおかしいですか?

南海 いえいえ、そうでは、ございません。


2016年の8月にRIAと契約


--わかりました。そういう見解は承りました。つづきをどうぞ。

南海 はい。そういう形で公表していない。

--する必要はないし、今後もする予定はないと?

南海 われわれからここに決まりましたと公表する予定はないと。当然聞かれたら、どこと契約すると回答します。

--プロセスについても聞かれたら、答えることもあるかもしれないが、答えないかもしれない?

南海 聞かれたら同じように答えます。

--で、公務ではないのでわれわれは情報開示請求はできない。で、税金を使っているけれど一般が情報開示請求できないのは理不尽ではないかと思うが?

南海 ちょっとわからないですね。

--ノーコメント?

南海 よろしいですか。

--それだけですね。

南海 はい。それと時系列という件ですね

--はい。

南海 基本設計の時期ですけれど、平成28年。

--2016年?

南海 2016年の8月に契約してまして。

--どこと?

南海 アールアイエーと。

--リアと契約したのは8月。それを決めたのは? 見積をとったのはいつ?

南海 同じく8月ですね。見積依頼は、3か月くらい前から出している。

--5月から依頼して8月に出て、はい、せえのでやったら、ここが安いねとなったのがリアだったと。

南海 そういうことです。


何かおかしいですかね

--これがすべて?

南海 契約までのそうですね。

--以上ですか?

南海 そおうで、よろしいですか?

--部署とお名前お願いします。

南海 えっと、南海電鉄株式会社の都市創造本部・施設部の〇〇といいます。

--わかりました。私はおかしいと思うんですが、それは南海電鉄の公式見解ということでよろしいですか?

南海 何かおかしいですかね。

--税金投入されるけども、プロセスは公開する必要はなかったと。

南海 プロセスというのは、たとえばどういうことを?

--どうしてこの会社に決まったの? いくらで決まったの? 途中経過は何月何日にどうしたと役所はみんなやりますよね。

南海 それをわれわれ自らがホームペじに乗せるとか?

--そうです。三者が共同でやっているわけですから、三者の話し合いのなかで、じゃあ、市に対してこうなりましたよと南海電鉄が報告して、市が公表する。

これがおそらく一般的な流れだろうと思います。南海電鉄みずから公表するということではなく、これは税金をお預かりしているものですから、いずれ、公共のものになるわけですから、われわれはこうやりますので、市の方で発表してくださいという流れになるのが妥当かなと思ったのですが?

南海 今回は、そこまでの認識ではなかったので。こちらのほうから公表するつもりはないです。

--わかりました。そのように書きますので。


税金から60億円もの補助金が支出されるにもかかわらず、新しい図書館の基本設計を担当する事業者の選定プロセスすら、情報開示がされない。

この南海電鉄とのやりとりの後、事業プロセスを詳細を知るための最後の手段として「和歌山市が南海電鉄と話し合ったすべての文書」を開示請求したわけですが、その結果は、先日書きましたように1400枚の会議資料のほとんど黒塗りされた文書が送られてきたわけです。



2018年9月19日水曜日

南海電鉄取材メモ(1)「じゃあ、ウソだったんですね!」

このブログは、先日ビジネスジャーナルに発表しました以下の記事の背景を解説しています。


和歌山市、ツタヤ図書館に64億円税金投入…関連文書の情報開示請求に全面黒塗りで回答



こんにちは、日向です。

和歌山市では、9月議会が始まりまして、傍聴された市民の方によりますと、2期めのスタートとなった尾花正啓市長は、施政方針演説で新しい図書館について一言もふれなかったそうです。

少し前まで、駅前再開発の目玉と派手に喧伝していたのは、いったいなんだったのでしょうか。


ソックリな酒田市のケース


さて、先日から続けています和歌山市ツタヤ図書館建設に関連して、情報開示請求の結果出てきた大量の黒塗り文書について、今日も詳しく解説していきたいと思います。

下の表をみてください。これは、山形県酒田市が進めている駅前再開発のプロジェクト「光の湊」について、その事業プロセスを一般に公開しているページです。

さらにその下は、設計事業者の選定で、コンペを行なった結果、基本設計をRIAに決定したもの。










図書館を賑わい創出の目玉にした酒田市の「光の湊」プロジェクトは、和歌山市の南海市駅再開発とソックリ。事業規模も和歌山市123億円に対して、こちらは約108億円と少し安いですが、和歌山市のような駅舎の解体がない分、規模としてはほぼ同じとみていいでしょう。

発表しているのは、酒田市と西松建設が共同出資して設立された光の湊株式会社。ここに補助金が総額で43億円くらい投入される予定です。まぁ、計画を立てているコンサルタントが和歌山市と同じRIAですので、計画そのものがソックリになるのは、当たり前の話なんですが。

ところが、なぜか、和歌山市のケースでは、このあたりの情報開示がほとんどなされていません。施主は南海電鉄なので「南海に聞いて」というのが市のスタンス。南海のほうは、どういう対応かというと、酒田市のような特設ページを開設して一般への情報開示を一切していません。

そういうなかで、唯一、建設プロセスがわかるのが南海と和歌山市が話し合った会議の内容なんですが、その開示資料1400枚が、ほとんど真っ黒だったというわけです。

今日は、私が直接、南海電鉄とやりとりした取材メモを全文公開することにします。記事中では、カギカッコでニ、三行しか書けませんけれど、プログならいくらでも詳しく書けますので。

以下は、今年2月に南海電鉄に「設計事業者のRIAは、いつどのようにして決まったの?」という私の質問に対して、一度、あやふやな回答をしてきたので、後日よく調べて改めて回答してくださいと御願いしたところ、かかってきたときの電話のやりとりです。


説明義務はないのか

南海 (問い合わせされたのは)設計者の選定理由と時系列、それと設計者を公表していないのはなぜかというところでよろしいか。

--はい。

南海 まず、公表していない件ですが、これについては、特に、われわれも公表するという認識では単にないということで、それでちょっと公表していないという。

--公表する認識ではないとは。公共施設を作られるんですよね?

南海 はい、そうです。

--民間の商業施設ではないですよね?

南海 ええ。

--そこに聞くところによると、補助金が60億円投入されるということ。それとの整合性は?

南海 実際、われわれは問い合わせがあればですね。対応するというあのー。

--いやいや、何を言っているのかよくわからないですよ。

南海 お伝えすることは否定していないんです。

--市民に対する説明の義務はないという解釈でよろしいか?

南海 もともと、公表は、こちらのほうからですね、公表しなければいけないというつもりはなかったと。

--三者で協議されているんですよね、県と市と。そこでは話は出なかった?

南海 当然、そのー、どこが設計者という話は出しているんですが、そのなかで公表しなければならないという話は出ていない。


施工業者だけ公表


--市のほうから要請はなかった。

南海 そのような要請はなかったですね。

--市は勝手にやってよという感じ?

南海 勝手にやってよという形ではないですが。こういう形で決めて設計すると。

--南海のほうは、税金が投入されるという認識はなかった? 全部自費でやると?

南海 当然、税金が投入される認識はあるんですけれども、そのなかで設計者をこちらから公表しないといけないという・・・。

--いやいや、設計者だけにかかわらず、(事業の)プロセスですよね?

南海 はい。

--税金が投入されることに関して、プロセスを公開するという南海電鉄ではなさってない。そういう発想がそもそもない?

南海 税金が投入されることについて、設計者を公表しないといけないという認識はない。

--設計ではなく、設計にかかわらず、事業のプロセスですよね。

南海 プロセスのどの部分かにもよるんですが。

--ええっ、どの不部分かによるんですか? ここはいい、ここはダメとか。

南海 当然、その内容で公表される内容もあるが。

--公表されたことはあるんですか? ほかでは?

南海 プロセス全体を公表するていう認識はこちらも持っていない。

--一部分どこを公表している?

南海 たとえば、施工予定者を。施工者を決めるところで、今回公募するという意味での公表はしていますね。


設計事業者の公募はしていない

--施工者の部分は全部公表している?

南海 全部というか、そういう必要がありましたので、こちらも公表した。

--施工者を公表するのに、基本設計はしない?

南海 施行者を決めるというのは、公募という形をとったので公表した。

--あっ、基本設計は、公募ではないんですか?

南海 公募ではございません。

--あれっ、こないだ公募と言ってたが。四社応募あってそのなかでいちばん安いところを選んだと。

南海 うん、複数者に対して見積取得して、そのなかで再安値のところにした。

--じゃあウソだったんですね。

南海 公募という言い方はしてましたでしょうか。

--してました。公募して四社のなかでいちばんやすいいところを選んだと。

南海 そうすると、それは間違いです。何社かというのも特にお伝えしていない。

--四社とおっしゃっていたが。

南海 誰が

--さっきおっしゃった、〇〇〇〇さん?

南海 〇〇〇〇です。そんな言い方はしていないはずですが。もちろん複数者という形が実際に。

--公募はしていない? どういう理由で?

南海 えー、しない理由ですか(はい)えー(なんとなく?)

精通しているその会社さんに複数者見積をすることで足りるということで考えたので、特に公募はしていません。

--基本設計はそれほど重視していないということ?

南海 いや、そういうわけではありませんが。

--だって、施工は公募するんですよね。(基本設計は)どこが違うんですか?

南海 ウーン・・・。そうですねえ。

--もう一回、みなさんと相談されてからお電話されないと、なんとなくというお答えですと、あのー、困るんですが。

南海 もちろん。そのへんは打ち合わせしたうえで電話したつもりですが。

--なのに、なんとなくになってしまう?

南海 あくまで公募は和歌山市さんとの話で、工事については公募をすると言うことで進めまして、それで公募した。

何社か見積取ったかは言えない

--和歌山市は基本設計は公募しなくていいよというおっしゃった。もしくは、そういう雰囲気。

南海 進め方を話をしたうえで、それでオッケーというなかで進めてきている。

--南海電鉄は、自主的に多額の税金投入されているので、基本設計まで公募したほうがいいという考えはなかった?

南海 税金どうこうではなくて、われわれとしては、その設計で公募する必要は感じなかった。

--その理由をお聞きしている。なんとなく?

南海 認識していなくて。精通していると。

--図書館については、基本設計って大事ですよね。

南海 もちろんそう。

--大事だけど、公募する必要性はないと?

南海 われわれからすれば、再開発事業に精通しているコンサルタントに複数見積をとることでまぁ足りると。いうことで進めた。

--評価はどう進めた?

南海 再安値のところを。

--ただ再安値で中身は評価していない? 

南海 中身ですか。もともと一定のレベルのあるところに対して依頼しているので、そのなかでいちばん安いところを選んだ。

--図書館って中身大事ですよね。

南海 複数見積をとった段階で、こちらが信頼できるところに。

--それ何社なんですか?

南海 それはちょっともう申し上げられない。



2018年9月17日月曜日

どうして64億円も補助金が出るの?

このブログは、先日ビジネスジャーナルに発表しました以下の記事の背景を解説しています。


和歌山市、ツタヤ図書館に64億円税金投入…関連文書の情報開示請求に全面黒塗りで回答


今日は、来年開館予定の新しい和歌山市民図書館の建設計画についてまとめておきます。


20155月発表 南海和歌山市駅活性化構想

新図書館建設のスタートラインがこれです。

当時の新聞報道によりますと、

南海和歌山ビルで営業していた高島屋が20148月に閉店。その周辺の活性化について、南海電鉄と和歌山市が協議した結果、駅ビルと駅舎を建て直す計画を立てたのが「南海和歌山市駅活性化構想」です。

計画概要は、以下の通りです。


(1)現在の駅ビルは取り壊し、跡地に建てる4階建てのビルに市民図書館を移転させる

(2)隣接地に、ホテルや商業施設も入る7階建て延べ6000平米のオフィスビルを建てる
(3)そのほか駐車場、駐輪場、駅前広場なども同時に整備する

和歌山市発表資料より
なぜ図書館が主役になったのか?

ここまで読まれて、なんかこの計画ってヘンだなぁと感じませんか?

そもそもデパート撤退後のさびれた駅前を活性化するにはどうしたらよいかを、和歌山市は、南海電鉄と熱心に話しあっていたはず。

だとしたら、

華やかなショップが数多く立ち並ぶ商業ビルを建てるとか、USJばりの人気レジャー施設を誘致するとか、ブロードウェイなど本場のミュージカルが常時みれる劇場をつくるとかという話でしたら、わからなくもないんですが、よりによって、その中心に公共図書館をもってくるというんですから、なんかしっくりいかないですよね。

本来、駅ビルを建替えて、ついでにホテルや店舗も入るオフィスビルを建てるのが計画の柱なので、図書館は、その計画のオマケみたいなものではないかと思われた人もいるでしょう。



しかし「南海和歌山市駅活性化構想」についての和歌山市の発表資料をみてみると「構想の目的」のところに、いきなり「市民図書館の市駅への移転」が挙げられていて、明らかにこのプロジェクトの主役として図書館が位置づけられていることがわかります。


いったい、なぜか。この謎を解くキーワードが「補助金」です。


補助金めあての中心拠点誘導施設?


南海電鉄が一民間企業として駅前再開発プロジェクトを推進するというのでしたら、公共交通機関への多少の補助はあったにしても、その不動産開発事業に巨額の公金が支出されることはないはずです。

ところが、南海が市・県と協議してこのプロジェクトでめざしていたのは国の「社会資本総合整備計画」の認定を受けることでした。

「社会資本総合整備計画」とは、国交省が行なっている事業で、そのなかに中心市街地活性化を目的とした事業(都市再生整備計画)があります。さびれた駅前に活気を取り戻そうというものですね。

その事業の必須施設が「中心拠点誘導施設」です。これは、医療施設、社会福祉施設、教育文化施設などですが、目標にする駅前の賑わいを取り戻すためには、集客力のある施設でないと困ります。

そこで、「社会資本総合整備計画」の主役に、いきなり躍り出たのが図書館でした。

つまり、これら公共施設を計画に入れないと、補助金は1円ももらえません。

そして、公共施設のなかでもいちばん集客力がありそうなのが図書館だったというわけです。



国交省「社会資本総合整備計画」リーフレットより


64億円は、こうして決まった

こうして2015年に総事業費123億円にのぼる南海和歌山市駅の再開発プロジェクトがスタート

2016年には、国交省の「社会資本総合整備計画」の認定を受けて、国の補助金だけで32億円を獲得することに成功しています

それに追随する形で和歌山市が18億円、和歌山県が14億円の補助金を、それぞれ出すことを決めていて、南海電鉄は、総額64億円もの補助金がもらえるようになったという経緯です。

しつこいようですが、このプロジェクトの最大の目玉は、新しい市民図書館です。もしこれ計画になければ補助金は1円も出ません。

そして、このプロジェクトを公表するときに、和歌山市も南海電鉄も、常に全面に押し出されているのが「新しい市民図書館建設計画」です。

つまり、図書館は巨額補助金をもらうためのダシに使われたと言えるわけです。

さらに言えば、南海電鉄はじめ関係者の念頭にあったのは、当時「年間100万人が訪れた図書館」(実際には90万人以下)と派手に宣伝していた佐賀県武雄市のTSUTAYA図書館・第1号」の存在があったであろうことは、想像に難くありません。

実際に、地元金融機関の機関誌に南海電鉄の重役がこのプロジェクトについて寄稿している記事中に、以下のような記述があることを付け加えておきます。

「他都市では、公立の図書館に民間の運営ノウハウを導入することで賑わい作りに成功している例があると聞いておりますので、弊社としても大変期待しているところです」





2018年9月15日土曜日

黒塗りした理由を開示請求してみた


昨日、投稿した「黒塗りの図書館建設計画」に書き忘れたことがありましたので、もう少し捕捉しておきます。


なお、本題は、以下をご参照ください。


和歌山市、ツタヤ図書館に64億円税金投入…関連文書の情報開示請求に全面黒塗りで回答


開示資料をスキャンしてPDFにしたデータの一部をサムネイル表示したところ


黒塗りのワケ

和歌山市が回答した「不開示の理由」についてです。

1400枚の開示資料のほとんどが黒塗りだったわけですが、一応、開示請求の決定書には、不開示の理由として以下のような理由があげられていました。


1)法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるため


2)実施機関内部における審議、検討、協議等の意思形成過程に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため


3)実施機関が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため


4)公にすることにより、人の生命、身体、健康、生活又は財産の保護、犯罪の予防その他公共の 安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがある情報であるため



開示請求の回答で市が出してきた不開示の理由一覧

CIAのビルなのか?

要するに(1)は「企業秘密なので開示しないで」と(2)は「開示すると、率直な意見交換しにくくなる」ということなのでしょう。これは、理屈としては、理解できなくはないですね。

残る(3)と(4)は、正直よくわからないです。新図書館が入居する駅ビル建設に関する関係者会議の議事録の内容を公開すると、

「当該事務又は事業の公正又は適正な遂行に支障を及ぼす」なんてことが果たしてあるのでしょうか。

ましてや「人の生命、身体、健康、生活又は財産の保護、犯罪の予防その他公共の 安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれ」があるなんてのも理解不能です。

なにか防犯上の特別なシークレットが図面等のそこいらじゅうに記載している諜報機関専用のビルなんでしょうか。

まぁ、それはおくとして、問題は、不開示の箇所をどうやって市が発言者に確認したのかということです。

「ここは、企業秘密なので開示しないでほしい」と、南海電鉄とかRIAが言ったので黒塗りしたというのならば、

いつ誰がどのようにして、その意思を聞いたのか。

1400枚も資料があるのですから、1週間連続で関係者が集まって確認しないと、開示してはダメな箇所を特定できませんよね



電話で聞いたよ



すぐに、その点を市民図書館の担当者に質問しました。

すると、図書館の担当者、なんて言ったと思います?


「あっ、それは私が電話で問い合わせました」


一瞬「ポカーン」としましたね。これだけの箇所を電話で確認したと。もしかして、この人、とてつもない天才なんでしょうか。

で、それはなんかメモとかやりとりの文書とかは残ってるんでしょうかね。

すると、担当者は、自信満々にこう言いました。

「もちろんです」

そんなわけで、その点がわかる文書を再度開示請求しました。




全く同じ文面


まず、「意見聴取の結果」が以下の通りです。



・法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるものについては、不開示とする


要するに「企業秘密の部分は出さないでね」ということ。不開示にする箇所を指定しているんです。

で、次に「意見聴取の概要」という項目もありまして、こちらも似たようなことが書かれています。

・法人独自の企業 ノウハウや、営業活動上の秘密に関する情報等が記載されている部分については、法人の事業活動が損なわれる可能性があるため不開示とする

これは「法人の事業活動が損なわれる可能性があるため」と不開示の理由が書かれています。

面白いことに、書面は、南海電鉄とRIAの2枚ありまして、どちらも、示し合わせたように、まったく同じ文面でした。

えっ、どっちかの発言を丸写ししたんですか? 学生のレポートだったら失格じゃあないですか。

ちょっとややこしいんですが、要するに「企業秘密は出さないでね」ということを、電話で市の担当者が南海電鉄とRIAに確認しましたよというわけです。

さんざんひっぱってき、ここまで読んでいただいた方には、非常に恐縮なんですが、まとめますと、以下の一言になります。


「企業秘密なので、黒塗りにしました」


和歌山市の担当者が南海電鉄とRIAに関係書類の開示箇所について聴取した記録。全く同じ文面



市が企業秘密を判断

ここまでお読みいただいた方は、すでにお気づきのことと思いますが、この市の回答は、完全に論理が破綻しています。

南海もRIAも、市の担当者が電話で確認したら「企業秘密は出さないでね」と言ったまではいいんですが、じゃあ、どこが企業秘密なのかを南海もRIAも、一切指定していません。

市の担当者がもろもろの事情を忖度しまして、両社の発言と提出資料を、とにかく片っ端から黒く塗り潰していった

というのが、どうやらことの顛末のようです。





私が言いたいのは、この一言に集約できます。

なんでアンタにそれが「企業秘密」だって、判断できるんだよ!

南海電鉄は

「税金から総額64億円の補助金はもらいますけど、新図書館の入る市駅ビルの建設プロセスについては、企業秘密が外に漏れると困るので、一切説明したくないんで

と言っているのと同じですね。すっごいワガママですね。

ふーん、だったら、全額自費でやったらいいじゃないですか。

親にお小遣いもらっといて、「いちいちうるさいなー、自由にやらせてよ」って駄々こねている子供みたいじゃあないですか。

別に、やりたければ、全額自分たちが稼いだお金でやればいいじゃあないですか。TSUTAYA図書館も、公共図書館なんか入れなくてもレンタルと書店にカフェが入る代官山みたいな商業施設を全額自腹でやればいいじゃあないですか。

そう思いました。


どうして64億円も補助金が出るの? へつづく