2023年5月31日水曜日

ゼネコンに辞退された木更津市の動きをメモ


 こんにちは、日向です。


木更津市の駅前庁舎の整備計画が中止になった件、詳細が少しだけわかってきましたので、忘れないうちに、メモしておきます。


まず、5月19日に、ゼネコン(新昭和)が木更津市に通知してきた内容が判明しました。要約すると次のようなことでした。


・2022年3月1日付で木更津市と締結した協定書に基づき、事業契約を締結するための協議をつづけてきた


・しかし、その合意期限である5月15日までに事業推進の決定ができず、事業契約の締結を断念せざるをえなくなった


・よって、事業契約締結の協議を終了したい


・理由は、建築費高騰によって事業費総額が大幅に上昇したことと、事業用地の地権者と土地利用に関して最終合意を得ることができなかったこと




この通知をがあったことを、市当局が全議員にメールしたのが5月19日(金)の朝9時のこと。


この後、さぞや関係者周辺はハチの巣をつついたような騒ぎになったことでしょう。


そこで執行部は5月24日になって、議会への説明会を実施しました。5人の議員さんが質問に立ち、それについて、現状でわかっていることが説明されました。


質問者のひとりである田中紀子議員が、その模様をコンパクトにまとめて速報として出されていますので、以下、そちらを引用させていただきます。


田中のりことみんなの会 田中のりこの議会速報 2023年5月29日
 より


注目ポイントは、駅前庁舎の整備計画については、まるっきり白紙に戻ったのか、それとも、賃貸方式に変更した2020年6月の庁舎整備基本構想及び基本計画(改訂版)にもどるのかという点です。


執行部の回答は、後者、つまり2020年6月改訂版の計画通りに進めるというものでした。


議会での説明では、賃貸方式からして見直すべきではとの意見が出たものの、執行部サイドは、それつにいては頑なに拒否している様子です。



気になるCCCと船場が基本設計・基本計画を受託したツタヤ図書館もどきの市民交流プラザですが、市の回答はこうでした。



 (仮称)市民交流プラザは? 


延期する。庁舎整備基本構想・基本計画では、駅周辺庁舎に、市民交流スペ ース等の複合化を検討とあり、今回、 市民交流プラザも再検討。


中心市街地活性化基本計画では、(仮称)市民交流プラザの補助金がらみもあり、目玉だったと思うが、第2期計 画をつくる業者選びはどうする? 


当初の予定どおり行う。補助金要望 は一旦取り止める。



「再検討」と言いながら「予定通り行う」というのは、意味がわかりませんね。



そして、もうひとつ気になるのがツタヤ図書館になりそうな吾妻公園の複合施設の計画については、こう回答しています。


吾妻公園の複合施設(中規模ホー ル・公民館・図書館)の実施計画をつく る業者選びは予定通り、実施する



駅前庁舎の整備を担当する事業者が新昭和からほかの会社に変わっても、その施設の目玉である市民交流プラザについては、予定通り「ツタヤ図書館もどきにしたい」、複合施設に入る新図書館も「ツタヤ図書館にしたい」という市当局の頑なな姿勢が現われていると思いました。




木更津市の市庁舎整備は、もともとは、官公庁の建物が並ぶ一角にある木更津警察署近くの旧庁舎跡地に再建築する計画だったのが、2014年、東京五輪を前に建設資材が高騰し、業者が「見積もりが合わない」と入札を辞退。そこで出てきたのが、民間が建物を整備してその一部を市が賃貸することで整備費を圧縮した2020年6月改訂版でした。


今回、二度目の見直しということになり、新昭和が辞退したことで、市庁舎整備のプロポーザルは、三度目ということになりそうです。建築業界に詳しいある関係者は、前代未聞とも言えるこの事態に、こう呆れます。


既に2回も基本計画・基本設計・実施設計が無駄になっているという木更津市の無能っぷりが際立ちます。



また、新昭和が辞退したことの背景については、こう解説してくれます。



完全な推測ですが、事業主である新昭和は資材高騰で損益分岐点が上昇し、おそらく市に対して「家賃の値上げ」を要請し、それを市が断った。

民間ビル入居が安いという甘い事業計画で議会を通したはずですから。

民間事業者は当然「じゃあ中止します」....かと推察します。


新昭和の駅前庁舎は、市庁舎の他は駐車場と賃貸マンションですから、市庁舎の家賃以外に吸収できる収入源がなさそうです。

イオンの朝日庁舎は、商業施設としての相乗効果で、資材高騰ぶんも吸収できると踏んだのでしょうか。



ゼネコンが施工のみ担当する通常の事業と比べると、役所が有利な条件で借りてくれるとはいえ、自社が所有するリスクを抱えている分、強気の立場で交渉できるということなのでしょうか。



市政に詳しい木更津市民も、今回のドタバタ劇について、こう訝しがります。


地権者との最終合意が得られなかったと言いますが、そんなのは、もともと市が水面下で交渉して内諾を得ていたはず。それがどうして、この期に及んで、破談になったのかが不可解です。なにか表に出せないウラ事情があるのではと思いますね。日向さんの記事のせいじゃあないですか?


そう言われてみて、はたと振り返りますと、田中議員の議会質問をとりあげた拙稿(木更津市、あからさまな市民無視の市政…市長と船場が癒着か、CCCを不公正に優遇)が出たのが5/14(日)で、新昭和が辞退してきたのがその週末の5/19(金)でした。なので、ことの推移としては、もしかしたら、なにかしらの影響はあったかもしれません(たとえば、地権者がこんな記事が出るほど不透明な事業者選定が噂される事業には土地を提供したくないと意志表明するなど)。ただ、私の記事が直接の影響を与えるなんてことは考えにくいので、もし万が一関連があるとしたら、官製談合疑惑で、司直の動きがあったのか、なかったのか…。


ということで、取り急ぎメモだけしておきます。


よろしくお願いいたします。


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2020年8月29日土曜日

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