2021年2月4日木曜日

産経“プロエク風”記事のミスリード


こんにちは、日向です。


1/31付産経新聞のプレミアムニュースに、和歌山市について、以下のような記事が掲載されていました。







これ、当ブログでも、以前取り上げた話題(日本でいちばん本を読まないのは和歌山市民?)なので、タイトルだけみて、ああ、あのことねと早合点してしまい、中身をちゃんと読みもせずにスルーしていました。



ところが、ツイッター等でこの記事について、こんな主旨のコメントが散見されるんです。

へえー、和歌山市結構やるじゃん


なんじゃ、それ? と思いまして、

改めて件の記事を読んでみましところ、タイトルからして、なんか微妙にヘンなんですよ。もう一度引用します。




記事中では、新しいデータまで引いてきて、和歌山市民の読書離れを強調しています。

和歌山県民の読書離れは別のデータからも見て取れる。和歌山市教委が日本図書館協会の「日本の図書館 統計と名簿」の30年度データをもとに、昨年までに指定された全国60中核市の市民1人当たりの図書館貸し出し資料数を比較したところ、和歌山市は秋田市、宮崎市とともに2番目に低い2・3点だった。最低は盛岡市の1・9冊だが、トップは大阪府吹田市の9・6冊で、和歌山市と4倍以上の開きがある。


そのうえで、和歌山市は、新たな部署まで設置して、起死回生の策を講じたみたいな話へとつながっていきます。


これって、もしかしてNHK「プロジェクトX」みたいな話になってない?という悪い予感。

たとえば、記事タイトルから連想するストーリーとしては、こんな感じでしょうか。 

市民が日本一本嫌いと言われていた和歌山市。これまで市民の意識を変えようと、さまざまな試みが行われたがなにひとつうまくいかなかった。そんなある日、この状況をなんとか変えたいと職員有志が立ち上がった。そして、特命を果たすめに新たに誕生した部署が「読書活動推進課」だった―。

この部署の活躍によって生まれたのが新図書館。新図書館には、スターバックスが入っていて、ゆったりとした空間でソファーでくつろぎながら読書ができるようになった。そのおかげて、図書館の貸出数も大きく延びた。もう日本一読書率が低いなんて言わせないと。

バックに中島みゆきの「かぜのなかの、すーばるー」と、『地上の星』が流れる、そういうストーリーをもしかしたら、思い浮かべた人もいたかも。



しかし、この間の事情をつぶさにみてきた者としては、これ、とんでもないフェイクニュースなんですよ。

「読書活動推進課」という部署が2019年12月にできたのは、12/19から南海電鉄和歌山市駅に一部仮オープンしたとき、契約上、新和歌山市民図書館の指定管理がスタートしたからです。運営者は、もちろんTSUTAYAのカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)。

その際に、市役所内の一部署であった「和歌山市民図書館」の業務は、CCCに丸投げしてなくなったため、自動的に、残った職員の受け皿としてできた、というか改名したのが「読書活動推進課」なんですよ。詳しくは以下をお読みくたださい。



事実は、サンケイの記事とは順序が逆です。

この記事が悪質だぁと思うのは、書いた記者もそんなこと百も承知で、あえて、いかにもありそうで読者が喜びそうなストーリーに、現実をあてはめたのではないの?って思われるところです。

新・市民図書館が、いわゆるTSUTAYAで知られるCCCが運営するツタヤ図書館であることすら、どこにも書かれていません。


建物は5階建て。1階に蔦屋書店やスターバックスコーヒーが入り、1~4階が図書館ゾーン。ソファが書庫の合間に置かれ、ほとんどのスペースで飲み物を手に本を読める。高い天井で開放感もある。平井薫館長(51)は「読書率を高めるきっかけづくりをしたい」と意気込む。

となっていて、記事中には、CCCのしの字も出てこないんですよ。カルチュア・コンビニエンス・クラブ社員の平井館長も、これでは市の職員だとみなさん思いますよね。



読書活動推進課ができた経緯については、もしかしたら私も知らないことがあるのではないのか

そう思いまして、念のため、市の関係者に非公式に聞いてみました。以下の記述のようなことが、たとえ一部でもあったのかどうか。


こうした状況を打開するため、和歌山市教委は一昨年12月、読書活動推進課を設置。

答えは、

いや、そのような経緯があったなんて知らない。

でした。

本当を言えば、ズバリ「和歌山市の読書率が低いことを改善するためにできた読書活動推進課の設置経緯がわかる一切の文書」を情報開示請求をして、公式に「不存在」決定を出してもらえば、一瞬で終わる話なんですが、

そうしますと、また答えが出るまでに時間がかかってしまいますので、今回は、あえてそこまではしませんでした。



いつものことながら、ツタヤ図書館をめぐる報道というのは、次々とフェイクニュースが立ち現れては、ウォッチャーのみなさんがそれに火消して=否定して回るという騒動の繰り返しです。今回もそのたぐいのひとつでした。


ところで、この記事中には、以下のような新しいデータが盛り込まれていました。

市民図書館開設後、市全体の図書館貸し出し資料数は増えている。半年間の統計をもとに1年間の貸出数を試算すると3・1点で、平成30年度より0・8点多くなっている。

この計算方法についても、早速「平成30年度の和歌山市の人口をもとに計算しても、このような数字にはならない。市民への貸出に絞っているのだろうか?」との指摘があがっています。

このへんのことについても、読書活動推進課には市のサイトで発表するなりして、丁寧な説明をお願いしたいところです。


よろしくお願いいたします。

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