2022年6月17日金曜日

激安!目的外使用料のカラクリ

 


こんにちは、日向です。


本日は、


2022年6月12日日曜日



2020年6月5日に、ツタヤ図書館としてグランドオープンした和歌山市民図書館。その館内に設置されたCCC経営のスターバックスと蔦屋書店の賃料は、年間235万円、月19万円と、相場の15分の1以下であることを以前から問題視していました。


どうしてそうなったのか?については、単に、昔のままの条例を適用しただけで、「不作為の作為」は問えるとしても、そこに何か積極的な不正=利益供与の痕跡はみつかりませんでした。


ところが、先日、ひょんなことで2年前に開示された資料を見直していたら、募集要項では、そんなに安い賃料ではなかった(年706万円・月約60万円)ことに気づきました。実際にオープン後に適用になる賃料のほぼ3倍です。


ということは、指定管理者がCCCに決まってから、この賃料を当初の予定の三分の一に値下げしていた、という不正行為の疑惑がにわからクローズアップされてきたわけです。



今回は、その賃料のしくみについて詳しくみていきたいと思います。



下をみてください。





行政財産使用許可申請は、この決裁文書では、6/3に起案されて、翌日に決裁、そしてその翌日6/5から施行となっています。





ちょっとややこしいんですが、CCCからの申請書は、その前にグランドオープン予定だった4/24に出ているんです。そのときは新型コロナの感染者数が急増していたため、予定日のオープンは中止。一部分のみ開館となり、スタバ・蔦屋書店も営業できませんでした。


なので、申請してしばらくは許可がおりてません。CCCの申請は、「使用希望期間」となっていて、この後、改めて申請を出さなくても、全面開館が決定した時点で許可を出せるしくみでした。


当初の予定では、2019年10月オープンとアナウンスされていましたが、コロナ禍とはまったく関係なく、工期延長によって2020年4月まで延期になってましたので、二度の延期を経て、ようやく6/5にグランドオープンにこぎつけたという経緯です。


なお、この申請をみますと、実質、店舗の賃料が発生するのがオープン日からという運用になっていますが、一般の民業でしたら内装~スタッフ研修も含め開業準備等、そのスペースを独占的に占有する日以降には賃料が発生しますので、その点でもかなり優遇されていることも忘れてはいけません。(つまり開店準備の数か月は家賃タダ)




では、この図書館内の民業店舗の賃料=行政財産の目的外使用料は、何を根拠に決まっているのかというのが本日のテーマです。



以下に計算式部分を出してみましょう。




計算式は、少しややこしいので、文末にまとめておきましたので、そちらを参照してもらうとして、とりあえず、計算のしくみを説明しますと、以下のようになっています。


・新しく建設された市民図書館の評価額を面積で割って、1㎡あたりの単価を出します。


・1㎡あたりの単価に条例で定められた「料率」という数値を掛けると出てくるのが 1㎡あたりの目的外使用料 です。


・1㎡あたりの目的外使用料に、使用許可面積(スタバ+蔦屋書店=221㎡)をかけて、使用料を出します


・この計算を、土地と建物、それぞれ別に行なって、最後に、その土地の使用料と、建物の使用料を合計すると、CCCが納める目的外使用料が出ます




 ポイントは、2つあります。


(1)評価額は、何を根拠としているか?


(2)「料率」とは、なんなのか?



まず評価額については、


計算方法を開示した文書のなかに、市民図書館長から依頼を受けて、資産税課長が固定資産評価額を回答しています。




図書館長が2019年10月16日付で、資産税課長に依頼した和歌山市民図書館の固定資産評価についての回答文書。(依頼文は開示されていないが、固定資産評価額と明記した依頼か?と確認したところ、「固定資産との明記はない」とのこと)

この評価依頼の回答では、「仮評価」となっているが、担当部署等に聞いてみると、この文言は慣例にすぎず、この回答が正式な評価額として採用されるようだ。また、竣工したばかり建物の評価ができるのか?との疑問に関しては、「図面さえあれば、一通りのことはできる」とのこと。





固定資産評価額は、固定資産税を算定するために使用される数字だそうで、令和元年(2019年)10月18日付と、10月25日付で、土地建物の評価額が出ています。


新しい市民図書館については、この固定資産評価額を基準に目的外使用料が決まっているわけです。




では、「料率」とはなんなのでしょうか?




和歌山市管財課に問い合わせましたところ、「行政財産の使用許可に関する使用料条例」で決まっているとのこと。





その条例では、


第2条 使用料の額は、別表のとおりとする。



となっていて、その別表にありしまた。








土地については、


1平方メートル当たりの評価額の100分の4に相当する額



建物は、「その他の用途に使用する場合」として、


1平方メートル当たりの評価額の100分の5.50に相当する額に当該土地の使用料を加えた額



要するに、土地は固定資産評価額の4パーセント、建物は固定資産評価額の5.5パーセントをかけて計算するわけです。






さて、本題に戻りますと、2017年10月の募集要項では、年706万円、月60万円だったのが、なにゆえCCC選定後に、その三分の一に値下げされたのかです。



「料率」のほうは、いつ決まったのかというと、管財課によれば、条例が最初に制定された昭和39年以来、土地については一度も改定されておりません。建物については、消費税がなかった時代は5パーセントだったのが、それが制定されて上がるたびに改定されて5.5パーセントになっているとのこと。



ということは、あとから目的外使用料の金額を、恣意的に変えるとしたら、料率ではなく、評価額のほうをいじったのではないか、という結論になります。



で、その評価額として採用しているのが、固定資産税を徴収する際の基準になる額でした。


土地に関していえば、よく「一物四価」と言われるように、「路線価」「固定資産税評価額」「公示地価」「実勢価格」と、さまざまな指標があります。そのなかでもいちばん低く算定されるのが「固定資産税評価額」と言われています。


和歌山市がここで出している「固定資産評価額」(「税」の文字がない)も、基本は、同じ数値らしいのですが、ここを操作することで、当初の金額よりも安くすることが可能です。


じゃあ、他の自治体は、どうなの?と思って、和歌山市と同じく、最近、CCC運営の新築物件(マルタス)の目的外使用料を算定した香川県丸亀市のケースをみてみますと、固定資産評価額ではなく、「再建築価格」を基準に算定していました。


「再建築価格」とは、評価対象のもの(同一の構造で、同程度の部材を用いて建築するもの)を、評価の時点においてその場所に再び新築するとした場合に必要とされる建築費のことですが、これも固定資産税を算定するときに使われる評価なので、大きな違いはないようです。


ところが、なぜかこちらのほうが高い金額が出ているようなので、もしかしたら、和歌山市でも、当初、募集要項では、丸亀市と似たような評価方式を使って算定していたのかもしれません。




では、その結果、どうなったか。


丸亀市マルタスは、50㎡で月12万円、和歌山市は、220㎡と、4.5倍の面積なのに、使用料(家賃)は、月19万円と、三分の一以下になっていることがわかります。


平米当たりの単価で比較しますと、丸亀市2400円、和歌山市863円と、その差は歴然。


凄いですね。人口11万人の丸亀市の3倍以上の36万人の人口があり、なおかつ県庁所在地で、私鉄ターミナル駅に直結している真新しいビル。その一等地に入っている和歌山市の公共施設が、そこまで安く叩かれていることには、改めて異様な感じがします。



大阪府豊中市にあった時価9億円の国有地を1億3000万円で売却した森友学園のスキャンダルと似たような、なにか特別な力が働く背景がないとできないことのように、私には思えます。



これを決めたのが、市長もしくは当時の教育長でしたら、その人物が和歌山市民の貴重な財産を安く民間に提供している“A級戦犯”と指弾されかねません。


もちろん、その市長か教育長の意向を忖度して、CCCの値下げ要請に応じたかもしれない当時の坂下館長、準備班の宮地班長も、“A級戦犯”と言われても仕方ないでしょう。



もうひとつ、この賃料に大きな影響を与えているのが、目的外使用エリア区分けです。


通常でしたら、公共施設等の一階の入り口からつづく超一等地のワンフロアを独占的に使用するのであれば、通路部分も含めて賃料が発生するはずですが、和歌山市では、スタバの専用テーブルや、販売用の棚・平台単位で細かく区分けされていて、まるで、1ミリでも賃料が発生しそうなところを除いているかのようです。


スタバの専用スペースは、商品を購入しない客は着席不可なのに、賃料を払っていない図書館のほかのスペースには自由に持ち込めるというんですから、ズルいですね。


これももし、通路部分も賃料の対象にすれば、たちまち使用料は、何倍にもハネあがることでしょう。


和歌山市民図書館のCCC店舗の賃料は、「周辺相場の15分の1以下」という私の試算が、決して大袈裟なものではないことが、おわかりいただけるかと思います。




再度、本題に戻りますと、2019年10月の募集要項では、年706万円、月60万円だったのが、なにゆえCCC選定後に、その三分の一に値下げされたのか――については、いま和歌山市民の方が正式に情報開示請求をされたそうなので、その結果を待ちたいと思います。



よろしくお願いいたします。


↓今回の記事で取り上げた開示文書はこちら

市民図書館における行政財産使用許可申請書の決裁


19万円の家賃はどのように算定されたか?




まず土地の評価額を土地の面積で割って、平米単価を求めます。





・次に、その平米当たりの単価に「料率」とよばれる数値をかけて、平米当たりの使用料を求めます。






・平米当たりの使用料に、使用許可を出す場所の面積をかけると、土地の年間使用料が出ます。





・建物も土地と同じく、まずは、評価額を面積で割って、平米単価を求めます。





・建物の評価額の平米単価に「料率」をかけると、平米当たりの使用料が出ます。







・建物も平米当たりの使用料に、許可を出す建物の面積をかけると年間使用料が出ます。





・土地の年間使用料と建物の年間使用料を足すと、目的外使用料が出ます。









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2020年8月29日土曜日

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