2018年12月29日土曜日

「関西初出店となるツタヤ図書館」

こんにちは、日向です。

今日は、来年秋に開業が予定されています和歌山市のツタヤ図書館の建設計画に関連した話題を少し書いておきます。

まずは、これみてください。少し前に話題になった南海電鉄さんの非公式アカウントのツイートです。




2020年に開業する医療モールのテナント募集文なんですが、うたい文句がスゴイんです。


「関西初出店となるツタヤ図書館は、年間100万人来場想定!」

いやぁ、正直ですね。南海市駅の再開発プロジェクトの目玉は、やっぱり、ツタヤ図書館だったんでしょうか。昨年末にTSUTAYAの本部・CCCが指定管理者に選定されるよりも、ずーっと前から決まっていたので、うっかり、こういうところに本音がポロリと出ちゃうのでしょうか。

実は、このコピー、先日開催されました和歌山市議会の経済文教委員会でも配られました。

「南海電鉄さんは、新市民図書館のことを、『関西初出店』なんて宣伝してますよ! 図書館は「店」とか言ってますが、こんなこと許してていいんですかっ」と議員さんにチクられたわけです。

おかげで、このアカウントの担当者、真っ青になりまして、すぐさま同種のツイートはすべて削除したみたいです。せっかくチエ絞ってうまいこと書いたなぁと悦にいってたのに、残念でしたね。

あれっ、でも議会で南海電鉄は関知していないって、言ってませんでしたっけ? だったらすぐ反応して削除すること自体がヘンですよね。

さて、本題はここから。南海電鉄さんが行なっている和歌山市駅再開発プロジェクトの総事業費は123億円が見込まれています。

南海電鉄さん、思い切った投資しますねぇ。たいしたもんだ。あなたがそう思ったとしたら、それはとんでもない勘違いです。

実は、この123億円のうち100億円近くがあなたや私が納めている税金で賄われるんですよ。

えっ、そんなバカなって思いますよね。

そう思った人は、加計学園と今治市をイメージすると、わかりやすいかもしれません。

人口減少に悩んでいた今治市は、若者が来てくれるんならと、加計学園の獣医学部設置のために、93億円もの補助金を出すことになってます。総理肝いりで獣医学部を認可したことばかりが取り沙汰されますが、実はそっちのほうもたいへんな問題なんです。

和歌山市の場合は、寂れてしまった南海市駅前をなんとか活性化しようと、さんざん考えてひねり出したのが「図書館を核としたまちづくり」でした。

公式には、誰も言いませんが、活性化策を検討していた2014年当時、「年間100万人が訪れた図書館」(ウソ)として、佐賀県武雄市の元祖・ツタヤ図書館が話題沸騰だったことから、

「ヨッシャー、うちもコレで行かんか!」

となったかどうかは定かではありませんが、とにかく市駅周辺の再開発の目玉として市民図書館を持ってきたんです。

公共図書館は、なんだかんだ言っても結構集客力ありますからね。

で、なにがスゴイって、これが補助金の額です。

国交省が力を入れている中心市街地再開発関連の補助金は結構大盤振る舞いでして、社会資本総合整備計画を立てて認可されまして、

和歌山市の場合、国が32億円ポンと出してくれることになりました。

出したのは、こんなまちづくりをやると人口減少を食い止められますっていう案です。

加えて、市が18億円、県が14億円の総額64億円が、南海電鉄さんにポンとプレゼントされるんですから、

これまたとんでもなく大盤振る舞いですね。しかも、国や県の分も先に和歌山市が立替て南海電鉄さんに支払ってくれるんですから、もう至れり尽くせり

で、図書館については、建物完成後に、和歌山市が南海電鉄さんから30億円で買い取る予定なんですが、そのうち15億円は、これまた国が補助してくれるので、和歌山市としては、半額の15億円で新しい図書館を建てられるわけです。

これぞ、いまはやりの民間の資金とノウハウを活用したPPPマジック! と言いたいところですが、ちょっと待って、なんか、おかしいと思いません?

だって、市はすでに18億円補助金出してるんですよ。

30億円のうち自己負担が15億円だとしても、18+15は、合計33億円になります。

なぁんだ、国から補助してもらっても、ぜんぜんオトクじゃあないよねという話なんですが、ここで質問、さて、図書館を含む市駅再開発にかかる公金負担は、いくらになるでしょうか?

南海電鉄に対して64億円補助したうえに、和歌山市は30億円で図書館を買い取りますので、

負担金は、合計94億円になります。

図書館部分に国の補助15億円あると喜ぶのは和歌山市だけで、それもいずれ税金で賄うことには変わりないのですから。

みなさん、正解しました?

私、エラソーにいいましたけど、これ、市の担当部署の人に聞いてて、実は、私も一瞬「えっ、なんでそうなるの?」と思いました。

「おんどれ、補助金と負担金は、違うんじゃわぁ、そんなこともわからへんのか!」

と言わんばかりの沈黙のプレッシャーを感じまして、理解するのに、少し時間かかったのは、恥じ入るばかりです。Nさん、その節は、すみませんでした。

ということは、南海電鉄さんは、図書館部分は建ててあげて市に譲ることになりますが、そこが集客してくれるのですから、ある意味その効果もあてこんだ不動産賃貸業を展開できるわけです。

南海電鉄さんとしては、総事業費123億円のプロジェクトを、たったの29億円で実現できることになります。

これぞ“税金チューチューマジック”です。個人に置き換えたら、1億円のマンションを2900万円で買えるのと同じ。森友学園の土地8億円値引きなんて、南海プロジェクトの94億円負担(直接の補助金は64億円)と比べたら子供のお小遣いみたいなものですね。

市内で賃貸ビル経営している競争相手にとっては、とんでもなく不公平な話。公共交通機関だからって、副業のホテルとオフィスビルを税金で建てて、収入はゼーンブ自分たちの懐入れるのって、おかしくないですかね。いや、恥ずかしくないですかね。税金にたかっったうえに、公共図書館に集客してもらうなんて。

ここの重役、恥ずかしいどころか堂々と再開発計画アピールして、「図書館に期待」とまで発言していますから、やっぱりおかしい人たちなのかなって思います。
( どうして64億円も補助金が出るの? 
の記事末尾に南海電鉄専務の以下のような発言記録あり)


「他都市では、公立の図書館に民間の運営ノウハウを導入することで賑わい作りに成功している例があると聞いておりますので、弊社としても大変期待しているところです」

そうしますと、やはり巨額の税金が使われるわけですから、その建設プロセスなんていうのは、トーゼン情報開示しまくらないと、納税者の理解は得られないわけですよ。

ところがです。もう半年近く言い続けてきて、だんだん疲れ果ててきましたが、私が開示請求した「新市民図書館建設について南海電鉄と話し合った内容がわかるすべての文書」の開示資料1400枚がほとんど黒塗りで出てきたんです。







そのわずかに残された書類の白い部分を穴のあくほど眺めていっただけでも、えっ、これって最初からツタヤ図書館誘致が決まってたんでないのっていう疑いを抱く箇所が、あとからあとから湯水のごとく出てくるんです。

これも加計学園と似てますね。元首相秘書官の柳瀬唯夫さんが今治市の担当者に会ったかと聞かれて、「記憶にない」を連発してましたけど、和歌山市の場合も、決定前に、CCCと密談したでしょと聞かれたら、みなさん同じセリフを繰り返すでしょうから。

で、なんで、こんなザルな計画が実現できたのかっていう点は、近く発表するビジネスジャーナルの記事をご覧ください。

(↓2019.1.15にリリースされました)

ツタヤ図書館が目玉の和歌山市駅前再開発、94億円の税金投入…疑惑浮上


古典的な表現ですが「政官財」の癒着構造がクッキリと現れています。

国の予算をぶんどってきて、それをみんなで山分けする。その中心に、なぜかTSUTAYA図書館がいるという不思議な構図です。

長くなりましたので、今日はこのへんでやめておきますが、和歌山市さん、南海電鉄さん、いい加減、情報出してくださいね。出していただくまで、悪口じゃなかった、厳しい批判を続けます。

「ウマー!」ってばかり言ってると、日に日に信用ガタ落ちですよ。まぁ、巨額のゼイキン差し出してた事実すら、ほとんど知られていないので、開館したらしたで、空箱の高層書架眺めては「スゲーっ」とか「カッケー」とか、和歌山市民のみなさん喜ばれるのでしょうが。

でも、そのツケは、いずれ市民に回ってくるってことは、忘れないでくださいね。

では、また。

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