2019年2月25日月曜日

「官民連携」の正体


こんにちは、日向です。

昨日は「密談疑惑のパース」で、TSUTAYAの本部CCCと、まちづくりから都市開発を手掛けることで有名な㈱アール・アイ・エー(RIA)との、ただならぬ関係について解説しました。

和歌山市では、いまのところCCCが正式に選定される前に、同社がRIAと密談していた証拠は出てきていませんが、前回の記事でも書いたように、その先例となったのが2016年3月に“ツタヤ図書館”として新装開館した多賀城での「出来レース・スキャンダル」でした。

ツタヤ図書館ウォッチャーにとっては、“いまさら感”が強いかもしれませんが、一般の人にとっては、どうしてCCCがそこまで批判されるのかを知る重要ポイントのひとつだと思いますので、少し長いですが、あえて詳しく解説しておきたいとます。

下をみてください。週刊朝日が2015年11月に、CCC正式選定前から多賀城市の職員がCCCと密かに会議をしていた内部文書をすっぱ抜いた記事の一部です。



週刊朝日2015年11月27
日号『ツタヤ図書館 不透明な契約』


これ、よく読まないと、何が問題なのか非常にわかりにくいんです。

多賀城市は、2013年7月に市長が記者会見をして、駅前に建設中の再開発ビルに市立図書館を移転し、その運営をCCCに任せたいと表明していましたので、

市民からすれば、その時点で「CCC決定したのか」と思いがちですが、話はそんなに単純ではありません。

なぜならば、図書館を管掌しているのは、市長ではなくて教育長。どうするか決めるのは、あくまでも市の教育委員会だからです。

政治から独立して教育行政を推進していくために、地域の教育委員会があり、教育委員会は学校教育だけでなく、社会教育もつかさどっています。

で、ツタヤ図書館にするには、何より、まず、直営の図書館を民間企業に任せるための指定管理者制度を導入しないといけません。

そのためには、教育委員会傘下の図書館協議会にその是非を諮ったり、市民の意見を聞いたり、図書館計画を立てたりといった、条例改正に必要な審議や手続きをひとつひとつ経たうえで、

教育委員会で議論し、そこで「いいよ」となって初めて、民間に図書館の運営を任せる指定管理者制度を導入する議案を議会に提出して承認を受けられるわけです。

なので、市長が「図書館をCCCに任せたい」という希望を述べるのは勝手ですが、本当にそれが実現できるかどうかは、一連の決められた手続きを踏んで、関係者全員の意見を聞いてみないと、本来は、わからないはずなのです。

ちなみに、指定管理者ではなく、「一部委託」といってカウンター業務だけを民間に任せるのでしたら、そこまでの手続きは必要ありません。指定管理者制度というのは、館長も民間企業のスタッフにして、施設の運営を丸ごと任せるという形態です。

ちょっとややこしくなりましたけど、指定管理者制度の導入を決めるまでだけでも、実は、結構タイヘンな道程なんです。


非正規は全員解雇


雇用の問題もあります。そこで働いている非常勤やアルバイトの人たちは、一度解雇されて、新たに指定管理者となる民間企業に雇用してもらわないといけません。

給与も下がるかもしれません。採用されないかもしれません。なので、働いている人にとって民間委託は、もう死活問題です。ただし、市の正規職員らは、別の部署に異動するだけですから、特にデメリットはありません。

そうなると、当然、労使交渉といいますか、反対運動が起きます。最近話題になった東京・練馬区の区立図書館でストライキがあったのも、一部直営館が残っていたのを、すべて指定管理に移行するということが発端でした。

このへんは、最大手の図書館流通センター(TRC)が新規に受託する全国各地の図書館で、この10年さんざん繰り広げられてきた騒動なんですが、ツタヤ図書館を誘致する自治体では、まず、指定管理者制度導入を、ものすごい勢いと短期間に有無をいわさず進めていきます。

そこをクリアしたうえで、今度は、指定管理者をどの企業に任せるかという公募のプロセスがあるんですから、

これも、ちゃんとやろうとしたら選定委員会の設置とか、教育委員会での議論もしないといけません。

ところが、ツタヤ誘致自治体では、このあたりをほとんど“ノー手続き”で決めてしまいました。(とにかく先に進めて、あとから辻褄を合わせるための会議や文書を整える)

第1号の武雄市で、市民が情報開示請求をしても、当初まったく文書が出てこなかったのは、必要な手続きを踏んだことを示す書類が、そもそも存在しなかったからではないかと言われています。

この法的に必要な手続きをキチンと踏んでいくということを、トコトンないがしろにしたのがCCC運営ののツタヤ図書館だったのです。

それは、武雄市の樋渡啓祐前市長が「スピードは最大の付加価値だ」と、独断で進めた市政の象徴のようなものだったのではないかと指摘する人もいます。

市民を無視した行政運営


さて、2013年の多賀城でのケースに話を戻しましょう。

CCCが指定管理者に選定される1年以上前に、多賀城市の職員が武雄市を視察した際に、CCCのスタッフと、「ツタヤ図書館建設」を前提にした密談をしていたことが、内部告発によって暴露されました。

それを最初に報じたのが2015年11月の週刊朝日だったのです。

下をみてください。「建築関係」でも、CCCの担当者が「来週RIAと打ち合わせします」とか「連携を密にしていきます」などと発言してますね。CCCがRIAと一体化して、建築段階から、このプロジェクトを進めていたことがよくわかります。





また、この文書を詳しく読むと、まだ指定管理者候補ですらないCCCが選定される前提で話が進められています。まるでTSUTAYA本部としてのCCCが、フランチャイズ加盟を希望している地元企業を相手に、経営指導している錯覚すら覚えるやりとりでした。

暴露されたこの文書は、後日全文をアップする予定です。週刊朝日では、明らかにされていない内容もすべて開示します。

多賀城市と連携協定を締結したCCCは、図書館建設も含む企画提案を多賀城市に行なうことにはなっていましたが、その提案事業者として、審査されて選定されたわけではありません。

武雄市の図書館を視察した市長が「ウチも、ああいうの作りたい」と、玩具を欲しがる子どもみたいな単純な動機で、連携協定の契約をしただけとしか思えません。

連携協定によって、企画提案をするだけのCCCが、なんの手続きも経ずに多賀城市と会議しているその光景は、ちょうど前回の記事にも書きましたように、和歌山市が、なんの手続きも経ずにRIAを関係者会議に呼んでいたのとソックリです。

異なるのは、ツタヤ図書館誘致自治体としては、和歌山市が初めてCCCを公募で選定した格好をとっているところなんですが、そのプロセスも怪しいところだらけです。(図書館ではない公設ブックカフェの延岡市も最終的には、公募されたが)

すべては、先に「ツタヤ図書館にする」という結論ありきで、その結論をどう最短で実現するかに腐心する役人による、市民を無視した行政運営が、「また、かいな」とため息が出るくらいに、和歌山でも繰り返されているのです。


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