2020年8月10日月曜日

丸亀市9つの“市民価値”

こんにちは、日向です。


昨日につづき、延岡エンクロスの中林館長が2019年12月19日に丸亀市議会に呼ばれてプレゼンをしたときの模様(中林館長の丸亀市プレゼンの後半です。


CCCとしては、市民活動に参加する人を増やしていくために、


「窓口でしっかりアドバイスや啓蒙を行ったり」

していくらしいんですが、この後


「9つの価値の実現」

ということで、中林さんは、具体的な提案まで行っています。

2013年に佐賀県武雄市でオープンした元祖ツタヤ図書館でも「9つの市民価値」をアピールしていましたが、それとはまた違った市民交流活動センターのための「9つの市民価値」のようです。

全文読むと長いので、以下にひとつずつ要約してそれぞれについて簡潔にコメントしていきます。



1.カフェを入れること


「9つの価値」の一発めがこれです。なんで市民活動センターに「カフェを入れること」が、市民価値なのかがよくわかりませんけれど、「ツタヤ図書館もどき」にするためには、蔦屋書店とスターバックスはセットだということなんでしょう。

「市民にアンケートを取ると、カフェのニーズがいちばん高かった」というのは、ツタヤ図書館誘致の常套句です。

「なんのアンケートとってるの?」って言いたくなりますよね。そりゃあ、新しい施設に何をおいてほしいですか?と聞かれたら、本や雑誌がタダめで読めるカフェという声が上がるのは当たり前で、自分たちがもっていきたい結論にわざと誘導しているアンケートなのかって、いつも思いますね。

そういう意味では、先に開業準備の支援事業をCCCが受託して、自分たちに都合のいい結論を導き出せるアンケートを実施できる立場に立っているアドバンテージが大きいと思いました。

TRC図書館流通センターの傘下企業がこの役割を担った和歌山市を除いて(着地点は同じでしたが)、他のツタヤ図書館誘致自治体では、真っ先にCCCからアドバイスを受ける「連携協定」を締結。その契約によって「自分たちの都合のいい方向に計画をもっていく」作業が行われていました。



2.子育て世代が雨でも集まれる遊び場を用意すること


これも定番ですね。イベントにしろ、書店のお客さんにしろ、あるいはカフェの利用者にしろ「子育て世代」は、絶対的に支持されるキーワードなので、そのためのスペースを用意するというのも鉄板中の鉄板です。

企画もスンナリ通りますし、自己負担せず市民の税金を湯水のごとく使ってさまざまな仕掛けを用意するための魔法のキーワードと言えるでしょう。


3.居心地のいい滞在空間をつくること、具体的にはフリーWi Fi、


いまや必須環境のWi Fiと、電源を設置するというのは、これまた鉄板中の鉄板ですね。でも、すでにどこにでもあるこんなものが、いまさら「市民価値」と言えるんですかね。


4.本・雑誌の閲覧ができる


延岡エンクロスは、図書の貸し出しはしないものの、閲覧できる図書や雑誌をたくさんおいた図書館もどきにしています。丸亀市でも、同様に、図書館もどきにしたいのでしょうか。


5.みんなが集まりたくなるイベント開催


ようやく出てきましたね。本来の市民活動センターの機能が。これが集客のエンジンですから、とにかくイベントを数多く開催することで「年間〇万人来館」を達成するための肝です。


例えば子供たちには着ぐるみが人気だったり、延岡の例ですが、地元のワインのボジョレー試飲会、講演会をやったり、みんなで音楽をつくったりしています。あと、マルシェや地場産 品の販売というニーズも大きいので、例えばパン祭り、ビールのマルシェをできたらいい かと思っております。(公募前に議会に呼ばれたCCCより 中林館長のプレゼン)

このへんは、 確かにうまくいけば、市としても「市民交流活動センター」を建てた成果が表れるところだと思います。あとは、だいたい以下のようなものでした。



6.サークル同士の横断的な活動支援


7.いろいろな出口を用意して、適切な人につなぐ


8.医療、災害、環境、子育てなど市民への情報提供


9.無料で使える時間帯の駐車場をしっかり用意



感想としては、確かにCCCがこれまで6つの図書館とひとつの公民館を手掛けてきた実績を武器に、このようなプレゼンをされれば、一定の説得力はあるのかなと思いました。

しかし、延岡市の市民の方がいみじくも指摘されていた通り、どれも直営でもふつうにできることばかりです。

どうして、こうした市民にいちばん近い部分の行政サービスを民間企業に丸投げして1億3000万円もの指定管理料を毎年払うのでしょうか。

また激安賃料で、CCCにカフェと書店・物販のテナントを出させるのかが、まったくもって理解に苦しみますね。

こんなことするなら、有能な民間人を1人ヘッドハンティングしてきて、地元企業を巻き込んだ展開にしたほうがよほど実になるのではないかと思います。市は、そんなことするの、めんどうくさいんですかね。

そして、中林さんのプレゼンを最後まで読んでも、市民活動を事業者としてサポートしていくCCCの「中間支援」のノウハウがどこにあるのかが、さっぱりわかりませんでした。

延岡市や丸亀市のような地方都市に、東京本社から転勤してきた企業のスタッフが、いったいどのようにすれば、地元の人と交流して、地域の文化を活性化できるものなのでしょうか?




丸亀市市民交流活動センター「マルタス」。丸亀市公式サイトより。




デメリットとしては、やはり人材の使い捨てです。CCCに地元採用されて働く人たちは、ほぼ最低賃金(数人の幹部職員のみ月給19万円の契約社員)。周辺は多少賑わうかもしれませんけれど、東京資本によって経営が圧迫されて廃業する地元店舗も当然出てくるでしょう。

一定の賑わいができとしても、しょせんは商業施設ですから、常に費用をかけてリニューアルし続けていかないと、集客を維持していくのは難しいのではないかと思いました。それも、永久に公共施設を食い物にしていきたいCCCの狙いなんでしょうけれど。

丸亀市は、いまのところ、図書館を指定管理にしてCCCに任せるという話ではありませんので、社会教育や学校教育が侵食されるおそれはないのが唯一の救いですが、

それにしても、こんなにもアッサリと落ちていくのは、驚きです。他の自治体も、ややこしい図書館でなければ、CCCの思うままにされていくことでしょう。

他の自治体のみなさんは、CCCに限らず、公共施設を食い物にする企業の手口をしっかりと頭に入れておいていただきたいと思います。



なりふりかまわぬ延岡モデル


さて、2019年12/19の全員協議会では、CCC中林さんのプレゼンの後、もちろん、議員のセンセイ方たちから議論百出で、次々と意見が出てきました。

↓全員協議会議事録の全文は、以下にあります。

021全員協議会191219.pdf



すでに図面もできて、本格的に建物の工事が進んでいるなかで、なんでいまごろカフェの話が出てくるのかとか、そもそもなんで議員の質問に担当部署ではなくCCCが答えるのかとか、

市庁舎特別委員会で取り上げるべき議題をなぜ全員協議会で話し合うのかとか、いろんな立場の議員さんから、反対討論といってもいいような意見が次々と出されています。

この後、年明けの1月と2月に特別委員会で、再度詳細な事業計画の説明があり、その議論を経て指定管理者募集へとつながっていくわけです。

それにしても、5月にCCCが開業準備の支援業務をステルスに受託しているにもかかわらず、CCC流のツタヤ公民館構想は、ギリギリまでおもてには出てこなかったのは不思議でなりません。

年末になって突然、延岡エンクロスモデルが、限られた委員だけで話し合う市庁舎特別委員会ではなく、

いきなり全員協議会という議員のコンセンサスを得やすい舞台で発表されたことに、改めて驚かされます。

和歌山市から始まった「ギリギリまで潜伏して、ある日突然表舞台に躍り出る。そのあとは一気呵成に主役の座に座る」というCCCの新たな戦略が、丸亀市でも踏襲されたかのようにみえます。

市長と増田社長が連携協定を締結したと派手に記者発表していた、かつての「ツタヤ図書館」の鮮やかなイメージは、もはやそこにはありません。

なりふりかまわず仕事を取りに来る、オワコン企業の必死さが、そこかしこに滲み出るような受託劇と感じるのは、果たして私だけでしょうか。


公募前の官製談合会議?へつづく



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