2020年6月7日日曜日

TSUTAYA占領地のレジスタンス

こんにちは、日向です。


おかげさまで、先日グランドオープンしました和歌山市民図書館についての最新記事は、二本ともたくさんの方に読んでいただけたようで、たいへんありがたく思っております。



和歌山・ツタヤ図書館、市が公募前にCCCを内定か…事前に市長と面談、内部資料を独自入手








ところで、市民図書館のオープンについての記事を書かれた朝日新聞の記者の方のツイートに、四階にある階段状になった「えほんの山」の写真が掲載されていたことから、

「本を足蹴にするのか」「バリアフリーではない」「上から転んだら危険」など、批判的なコメントが相次ぎ、一時「炎上」といってもいいような状況になっていました。

「えほんの山」は、もともと図書館関係者から、その危険性を指摘されていましたから、当然の反応だとは思うのですが、

朝日新聞がわざわざ四階の写真を市民図書館の顔として掲載したのがちょっと不思議ですね。一階にしておけば、あんなに炎上することもなかったでしょうに。

とはいえ、ネット上での反応というのは、必ずしも地元の世論と連動しているとはいえませんので、訪れた人の多くは、見た目で「なかなかいい空間デザイン」だと気に入っていると思います。



和歌山市民図書館のグランドオープンを報じた朝日新聞の記事。この記事を書いた記者がsnsで発信したところ、写真の「絵本の山」に対する批判が巻き起こった。



そういう多くの声のなかで、私がいちばん気になったのは、


・ネットで批判ばかりしてたって、何も変わらない 

・現にこうして次々とツタヤ図書館ができているのではないか 

・その責任は批判する側にもある

というような内容でした。


確かに、批判のための批判をいくらしても、建設的ではないですし、それで何かが変わるわけでもないです。

しかし、ツタヤ図書館の問題で非常に興味深いのは、市民の批判がCCCの暴走に確実にブレーキをかけ続けているところです。

もし2013年開館の前年から始まった武雄市プロジェクトに対する批判がなければ、もっともっと酷いことになっていたと思います。

市長と一民間企業の社長がトップ会談で市民抜きに、地域の図書館の民営化を発表するという前代未聞の事態に対して

ある人は、snsやブログでの詳細な検証を行い、ある人は、すべての決定プロセスについて徹底的にに情報開示請求を行って、背丈をも超えるほど書類の「薪」を積み上げ、ある人は、住民監査請求までの道筋を整え、またある人は市長に迫り、そしてsnsに次々と現れる論客のウソを暴いていきました。

その成果は、すぐには現れませんでしたが、やがて劇的な展開を迎えます。

CCCが追加蔵書として、大量の古本を2000万円もかけて系列企業ネットオフから購入していたことが発覚した、あの有名な2015年の9.10事件です。(詳細は文末の【参考記事リンク集】参照)






たぶんこの人は、死ぬまで人に謝罪などしないだろうと思われていたCCCの増田宗昭社長が、文書だけではありましたが、謝罪せざるをえない状況に追い込まれてしまいました。

うずたかく積み上げられた情報開示請求の「薪」は、マッチを擦ったくらいではなかなか燃えませんが、一度燃え始めるとその炎の勢いは増すばかり。

それまで多くの著名な文化人、政治家が賞賛していた代官山蔦屋書店風・公共図書館に対する批判が巻き起こり、

愛知県小牧市では、住民投票でツタヤ図書館建設にストップをかけました。すでに内定していた自治体も、一度CCCと締結していた連携協定を解除して、改めて公募スタイルにして決定するなどの対応に追われました。


2017年12月に決まった和歌山市でも、メディアは一切報じませんが、

地元の市民団体や有志の方が、自分たちが知らないうちに隠密に進められていたとの反省から、いまも、常時議会や教育委員会を傍聴し続けています。

凄いのは、学校図書館にCCCから司書が派遣されるのではとの情報を得たら、各会派の議員を回って、文科省が推進している1.5校に1人司書を配置する地方交付税交付金の政策を説明して回り、学校教育のなかでの司書の役割の重要性を説くなどの地道な活動を日々続けておられることです。



たとえは適切ではないかもしれませんが、TSUTAYA指定管理になってしまった自治体の図書館は、関係者からみれば、ナチスドイツに首都パリを占領されたときのフランス人のような心境でしょう。

突然、武装した進駐軍が入ってきて、自分たちの好きなように、ありとあらゆることを替えてしまう。それは“文化の破壊”以外のなにものでもないでしょう。

占領地では、レジスタンスが地下でしぶとく活動したように、ツタヤ図書館誘致の自治体でも、実は、強烈なレジスタンス活動が、いまも絶え間なく続いています。

これまで当たり前だと思っていたインフラが、ある日突然、強制的に奪われて、“進駐軍”に支配されてしまう。

もしかしたら、あなたの自治体でも、将来、同じようなことが起きるかもしれません。

そのときに、ツタヤ図書館のときにはどうだったのかを思い出してください。





ウィキペディア「French Forces of the Interior」より




【関連記事】
黒塗りなし“爆弾資料”


【参考記事リンク集】

関連会社から“疑惑”の選書 武雄市TSUTAYA図書館、委託巡り住民訴訟に発展
(週刊朝日 牧野めぐみ記者


大批判の渦中、ツタヤ図書館が身内の中古書店から“無用の100円本”を大量購入 

(週プレNEWS 興山英雄記者)


(HuffPost 猪谷千香記者)




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