2023年12月26日火曜日

和歌山市民図書館の除籍リストと不明本リスト

 

こんにちは、日向です。


さきほど、久しぶりに和歌山市のツタヤ図書館についての記事をリリースしました。


和歌山市ツタヤ図書館、所在不明本が急増…1度に7千冊を除籍、CCC運営で



今回のテーマは、図書館の「除籍」と「不明本」です。


除籍リストといえば、武雄市図書館・歴史資料館がCCC運営で新装開館したときに、貴重な郷土資料やレンタル店の営業と一部重なりそうなCD・DVDなどが大量に廃棄されていた事件以来、そこには、とんでもない火種が隠されている、少し大袈裟にいえば“ツタヤ図書館の火薬庫”みたいなものと認識されていました。


とはいえ、さすがに、CCCにとっては和歌山市は、6館めの図書館ですから、いつまでも、そんなど素人のような下手を打つようなことはするはずがなく、いくら調べたところで、おかしな除籍など出てくるわけはないんです。


ところが、和歌山市では、2019年12月19日からCCCが指定管理をスタートしてから1年3か月にもわたって、一度も除籍を行っていないという不可解な事実が、6月に書いたブログでわかっていました。



そのときに、担当課長さんに直接「この期間に、本当に除籍リストないんですか?」と問い質したほどです。私はてっきり、あるんだけど隠しているんじゃあないかと疑ってて、それでしまいには「その期間中の除籍リストがないことを証明する不存在を出してください」とまで詰め寄っていたほどなんです。



いまから思えば、CCCは本当に除籍をその間、一度もしてなかっただけなんですが…。


さて、そんなこともあって、いろいろと調べていくうちに、貴重な郷土資料とかレコードとかCDなんかが、数は少ないにしても、本当になくなっているのではとの疑惑が浮上したんです。


これは、いけるぞと思って、本腰を入れて調べ始めたんですが、「除籍リスト」という文書とは別に「不明本リスト」というものが作成されていることがわかりまして、今度はそちらも調べはじめると、もうワケがわからなくなりつつありました。


図書館のなかで、盗難とか、紛失とか、あとは返却されていない本とかが日常的に出てくるんですが、それをリストにして、すぐ除籍するわけではなく、原則年一回の蔵書点検の際に不明本をリストアップしていて、その不明状態が連続して4回以上になってからはじめて除籍候補になるしくみということがわかりまして、これは一筋縄ではいかないなぁと、その時点で記事化するのは、ほぼ断念していました。


まぁ、そうは言っても、この間に注込んだ膨大な時間と労力を思えば、なんとか形だけでもレポートにして残しておこうと思い直しまして、再度調べ始めたのが10月くらいでした。


で、担当課の方が「CCC指定管理になってからも、不明本は増えてないですよ」とおっしゃるので、「でしたら、それを示すデータを出してくださいよ」とお願いしましたところ、出できた過去11年間における初不明本の数が、なぜか激増していたんです。


こ、これは…と思いまして、そこから図書館関係者の方にあたって、いろいろと教えていただいたことをまとめたのが今回の記事です。


残念ながら、CCC指定管理になってから、重要な郷土資料やレコード・CDが次々となくなっているという明確な事実を示すものはみつかりませんでした。


その代わりといってはヘンですが、最後の最後で、突然飛び込んできたのが福音館書店が全品回収措置を取った児童書のスキャンダルでした。





いったい、なにがあったのかと思っていたら「これこれこういうことだったらしいですよ」と事情を教えてくれる方がいて、へえーそんなことで回収するのかと驚いていたところに、


なんと、和歌山市民図書館が、その返本要請に素直に応じていたというんですから、これは吃驚仰天でした。


出版業界の常識からすれば、一度発行した本を全品回収するのは、よほどのことがない限りやらないものです。


一度流通に流れたものを回収するのは至難のワザです。ましてや図書館が入れたものまで返品要請をかけていたんですから、これは、ただごとではないですよ。


そこは今回の記事では、あまりつついてないんですが、その要請に和歌山市民図書館が、いとも簡単に応じてしまったというのが問題の焦点でした。


で、具体的にどうしたのか。このときの和歌山市教委の対応といいますか、手続に瑕疵があったのではないかというのが、今回の記事のハイライトになっています。手続もおかしいですし、あるはずの文書が出てきていません。もし隠蔽していたとしたら、大問題に発展しかねません。


で、例によって、担当課に質問状を送ってますが、例によって、なんの回答はありません。


来年4月から、次の5年間の指定管理も、これまで通りCCCに任せることを決めた和歌山市は、そのために指定管理者の業務評価や選定員会でCCCに高評価を与えていました。


除籍や不明本の手続という、図書館運営業務のなかでも、最も地味だけれども重要と言われている部分については、評価の対象にはなっておらず、そこにこそ、ツタヤ図書館の危うさが潜んでいるという結論になっています。



よろしくお願いいたします。


和歌山市ツタヤ図書館、所在不明本が急増…1度に7千冊を除籍、CCC運営で


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2023年12月3日日曜日

『都立高校・学校図書館の闇』について緊急告知

 

んにちは、日向です。


大分前に書いた都立高校・学校図書館に関する記事へのアクセスがが突然急増していて、何事かと思ったら、こんな事件が起きていました。


東京都パスポートセンターで大量の個人情報が漏洩

11月24日、警視庁公安部は東京都豊島区にある池袋パスポートセンターに勤務していた中国籍の女を、窃盗容疑で書類送検した。

警視庁によると、容疑者はパスポートセンターの業務を受託する(株)エースシステム(東京・足立区)の契約社員として窓口で勤務していた。容疑者は、旅券申請者が提出した戸籍謄本や住民票をコピーしたり、窓口での対話を録音するなどの手段で、1920人分の個人情報を不正に入手した疑いがあるという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a97ffbaee46b5a95d3e60a3e4710e72111e0f4d7



この中国籍の契約社員を派遣していたのがエースシステムという会社だったことから、


私が当ブログ記事『都立高校・学校図書館の闇』としてレポートしていた記事がなぜかヒットしまして、「そんなにあやしい会社がパスポートセンターの仕事を受託するのはおかしい。なにか背景があるだろう」(契約は派遣ではなく委託ですが)ということで、拙稿が俄かに注目を集めていたということらしいんです。


私の記事が、非常にわかりにくいうえに、特定企業が都立高校の学校図書館を独占するなどという、常識ではありえないことから「この会社は怪しい」となりました。


中国からのスパイを送り込んで、日本で工作している会社ではないのか?


という話にまで広がってきておりました。


結論からいいますと、


私が調べていたエースシステムはじめその関連も含めた「光エス三社」には、そんな陰謀論めいたことに関与している可能性はほぼゼロです。


なぜならば、このグループ企業は、政治的にはバリバリの自民党系に属する会社であり、どちらかというと、このニュースを拡散している保守系の人たちと同じ立ち位置にいる人たちだからです。早い話が自民党の集票マシンですね。


役所の現場では、どこもそうらしいんですが、中国語ができる人がひとりでもいると、とても助かるらしいんですね。中国系の人が窓口に来たときに、スムースにコミニュケーションがとれるからです。なので、ただ単に、エースさんもそういう人を採用してただけなんでしょう。


じゃあ、なんでお前が書いてるみたいに、ここの関連が都立高校の学校図書館をかたっぱしから受託してるんだよ。おかしいだろ。東京都と癒着してるに決まってんだろうが!


そんな声が゛聞こえてきそうなので、簡単に私の認識をご説明しておきます。


●都立高校を席捲した“三種の神器”


光エス三社は、足立区を地盤に、いまや東京都全域で公務を受託するようになっていますが、それを可能にしているのは、「自民党系議員からの後押し」、「電子入札」、「業界内での話し合い」の“三種の神器”です。


まず新規に受託するためには、「今度からこういう仕事も外に出すみたいよ」と議員さんから情報提供してもらえると、他社に先がけて準備できます。実際の入札は、入札資格さえクリアしていれば、入札価格だけで決まります。そこに情実が入る余地は一切ありません。


なので、私がみてきた範囲では、このグループは異様に安い価格で入札、つまり、ダンピングするんですね。これ紙を入れるわけではなく、電子入札なので、社長か参謀がひとりで、東京都中の入札案件を研究して、これなら取れるという価格を入れれば、それだけで仕事はどんどん増えていくんです。


しかも、これ一社でやったらたいしたことなくても、次々と関連会社をつくっては、グループ企業で手分けして入札するようになると、都内全域にどんどん仕事を広げていけます。


えっ、そんなに仕事とってきても人が集まらない? いやいや、いいんですよ。落札してから募集すれば。もしまにあわなくても、大きなペナルティーはありません。採用できてからハケンすればいいんです。なので、現場では、不配置が日常的に起きてました。


都立高校・未配置事件


次に、そうこうしているうちに、おそらくですが、業者間で話し合いが待たれるようになったんだと思います。何社かいつも入れてくる会社は決まってますから。そこで違法な談合があったかどうかまではわかりませんが、なにか話し合いというかルールみたいなものは作られた可能性はあります。というのも、入札状況をみていたら、途中で辞退とか、あきらかにおかしな動きがときどきでてきますので。


で、都立高校の学校図書館の場合は、その後、不配置とかがあまりにも多いので、都教委内部で問題になりました。このときに、都の教育庁との間に誰か議会関係者が入ったかどうかまではわかりませんが、指導する都教委が一応は対策を講じてくるんですね。


具体的には、価格のみの落札から総合評価方式に変えたり、あとは総価契約から、人をハケンできた日数のみ委託費を払う単価契約に変えたりと、都教委サイドが不祥事対策を講じる頃には、光エス三社も、ある程度実績を積んでますし、業者間の話し合いもするようになってたでしょうから、ダンピングをやめても、これまでと同じように落札できるようになっていました。


逆にダンピングやめれば、委託費はどんどんあがっていき、利益率も高まっていきます。10年前からつい最近までは、図書館司書でも、最低賃金の募集でそこそこ人は集まりましたから。何により、いちばん大きかったのは、複数年契約でしょう。単年度ですと、毎年入札しなければなりませんが、複数年になると、一度落札したら最低でも3年は続けられます。その間に他の地域に、別会社でどんどん進出していけるんです。


そういう行動を、ありとあらゆる分野の公務で続けていくと、面白いように仕事は増えていったんだと思います。なにしろ、これは全国どこでもそうですが、バックに自民党の議員さん、関西なら維新の議員さんたちがいて、とにかく「民間にできることはすべて民間に任せろ!」という圧を国と一緒になってかけてきますから、黙っていても、年々役所の仕事は増え続けるんです。


よくパソナの例が指摘されますが、地場でも、ミニパソナは、そこいらじゅうにいて、公務、つまりは税金でどんどん潤うというとんでもないバカげたしくみがこの20年間に広がっていったんですね。その現象が、都立高校学校図書館という事例に如実に現われていたということなんだと思います。


あとは、議員さんがほんとうに口利きなんかするのかと思われるかもしれませんが、むかしみたいにその御礼で何パーか政界にキックバックすることもあるのかと疑問に思われるかもしれませんが、そこは、巧妙なカラクリがいろいろあるようです。


都立高校学校図書館問題では、受託とは正反対に、廃止に奔走した米川都議のプロセスをつぶさにみていきますと、相当、表には出てこなかった、都教委や都の契約関連部署との暗闘があったことがわかってますので、受託するときにも、なにか、橋渡しみたいな行為はあったのではと疑っています。


●デマを拡散する人たちの目的は?


今回、パスポートセンターでの個人情報漏洩事件では、エースシステムが受託していたことが判明して以来、ものすごい勢いでニュースが拡散されましたが、その源流をたどっていきますと、特定政党の関係者とおぼしき人と、あとは排外主義的な報道も平気でするメデイアにいきつきました。


外国系の人による犯罪が報道されるたびに、ネトウヨさんたちが「○○人ガー」と吹きあがって、炎上をしかけています。それをまたかいなぁと、見過ごしていると、2021年に起きたアメリカの連邦議会襲撃みたいな騒動に発展しかねないなぁと危惧しています。


私が追いかけてきた、都立高校学校図書館の問題は、あくまで「教育界に押し寄せる民間委託の波」という切り口で書いてきました。そこの核心にあるのは、コモン(=誰もが無料で利用できる社会の富)を政官財が一体となって金儲けの道具にしようとしている犯罪的行為に対する批判です。


改めて、そのことを、よく考えていただければ幸いです。


なお、都立高校学校図書館の民間委託は、2022年度末ですべて廃止になりました。



よろしくお願いいたします。


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CCC経営危機が再燃?

 

こんにちは、日向です。


今週は、CCC関連で、一件関係なさそうで、その実、内部の関係者にとっては、激震が走るようなニュースがいくつかありましたので、それらの話題をアラカルト形式でお届けします。


まずは、木更津市の話題から。


千葉 木更津市 新庁舎を自前で建設する計画に変更の方針 11月25日 06時48分


千葉県木更津市はJR木更津駅周辺で整備する新庁舎について民間施設を借りる方向で検討してきましたが、事業費などを改めて試算した結果自前で建設する計画に変更する方針を決めました。



今年5月29日付当ブログ記事 木更津市でゼネコンが辞退!  にこう書きました。



千葉県木更津市は22日、JR木更津駅西口北側で進めていた新庁舎整備を中止すると発表した。2026年4月から供用開始の予定だったが、事業候補者の新昭和(君津市)が今月、「建設費高騰や用地も地権者と最終合意できず事業化は困難」と市に伝えた。


新庁舎の整備中止に 木更津駅西口 建設費高騰で より

https://www.asahi.com/articles/ASR5R77L9R5RUDCB008.html


CCCが公募の2年前から基本計画案を作成し、事業者公募の裏方を担っていた船場が自ら応募して選定された基本計画・基本設計。


その市民交流プラザが入居する予定の西口庁舎そのものの計画が白紙になったのですから、

 

ツタヤ図書館もどきが木更津市にできる!


という計画も、一瞬にして露と消えてしまいました。



これは、危ういなと思っていたら、それから半年もたたないうちに、今度は、木更津市が、民間が立てたビルを賃借する計画そのものを全面撤回して、自前で建てる方式に大転換したようです。


もともと自前での新庁舎整備を計画していたのが、東京オリパラの影響で資材が高騰したのを受けて、いったん計画を中止して見直し。再検討の結果、民間ビルへの入居方式にして、事業者も地場のゼネコンに決まっていました。ところが、突然、そのゼネコンが整備事業そのものを辞退したという吃驚仰天ニュースだったのですが、今度は、その民間ビル賃借方式そのものを諦めて、「やっぱ計算し直してみたら自分たちで建てるほうが安いわ」ということになってしまったという、二転三転して、わけわからなくなりつつある状況です。


こういうときに、市からの説明をすぐにレポートしてくれる議員さんがいるのが、木更津市の強味です。


田中のりこ市議が、早速、『2023年11月議会速報  web』 に新しい駅周辺庁舎 自前建設に決定、という記事をアップしてくれています。新聞報道もほとんどないなか、こういう議員さんからのニュースはありがたいですね。


田中のりことみんなの会 

2023年11月議会速報  web



そうした動きにもかわらず、CCCと一緒に、渡辺市長の寵愛を受けているとされる船場さんが、相も変わらず関連業務を受託されていました。


富士見通り意匠設計業務委託に係る事業者募集(公募型プロポーザル)




●オスプレイと三井住友社長の急死


さて、その余韻もさめやらぬ一昨日のことでした。文字通り、激震が走るような事故のニュースが日本列島をかけめぐりました。


米軍オスプレイ墜落 6人搭乗、1人死亡 鹿児島・屋久島沖

朝刊1面 毎日新聞 2023/11/30

https://mainichi.jp/articles/20231130/ddm/001/040/105000c


ツタヤ図書館問題とはまったく関係がないように見えますが、これが関係大アリ。木更津市は、オスプレイの暫定配備を受け入れていますから、こんな事故が起きたら、木更津に地盤を持つ浜田前防衛大臣の立場が危うくなりかねません。防衛族である浜田代議士の影響力に陰を落とす出来事です。5月にBJに書いた記事では、地元関係者がこうコメントしています。


「渡辺市長のワンマン体制を支えているのは、国政との太いパイプじゃないですかね。特に浜田靖一防衛大臣とのつながりです。市民も、どっちかというと浜田系が強い。だからオスプレイの暫定配備もできるんです。国との強いつながりで補助金を持ってきてくれるならいいと。そういう流れのなかで船場が食い込んで、CCCも入ってきているんじゃないでしょうか。

 https://biz-journal.jp/2023/05/post_341150.html



いずれのニュースも、CCCについての危機の気配は、まだどこにも現われてませんでした。それが突然、CCC本体に襲いかかったのが27日のこと。


三井住友FGの太田純社長が膵臓がんで死去、65歳…顧客基盤の強化進める

2023/11/27 10:43 訃報

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20231127-OYT1T50052/#r3



なにが驚いたかというと、太田社長と言えば、Tポイントと三井住友smbcのVポイントの統合の話をまとめた人物。TポイントとVポイントの統合は、三井住友による実質的なCCC救済とみられていましたから、CCC増田会長とトップ交渉で話をまとめた張本人がいなくなったのですから、後任の社長人事次第では、いったんは終息しかけたCCCの経営危機が再燃しかねません。


CCC関係者にぶつけてみたところ、「社内の大反対を押し切って増田社長の朋友である大田さんが強引にすすめてきたので風向き変わる」「現時点で赤字40億。増田社長の土地や車を売却して数字をつくるかと」いうような反応でした。


2023年3月期の決算で、なんとか10億円の黒字を確保したものの、内実は、公共施設部門をのぞくすべての分野で二桁の赤字というCCCの経営危機(2023年11月17日金曜日 Tカード規約改定時に、なにもしなかった和歌山市 )について、少し前にも書きましたが、いまはさらに経営状態が思わしくない状態らしいです


となると、あとは増田会長が政界人脈を駆使して、大規模なプロジェクトにからむなど、起死回生の策がでてきそうですが、


そこにも逆風が吹いてきました。


安倍派、1億円超の裏金か パー券ノルマ超えを還流 地検が立件視野

2023年12月1日 5時00分

https://digital.asahi.com/articles/ASRCZ6W8LRCZUTIL03K.html?ref=tw_asahi



これまた、ツタヤ図書館問題とは一見、なんの関係ものない話に思えますが、増田会長と仲がいいのが、西村康稔元経産大臣です。西村氏は、安倍派の一角を占める重鎮ですから、いまや政治資金面では、派閥内でも一、二を争う集金力を誇っています。もし、自民党の裏金づくりに西村氏も関与していたとなれば、窮地に陥った増田会長をサポートするどころではなくなります。政界からの強力な支援は、期待できなくなるかもしれません。(“嘘つきTSUTAYA”の贈賄疑惑


2011年にMBOで上場廃止を敢行、その年の11月には代官山T-SITEをオープンして、レンタルTSUTAYAから新業態へと脱皮するはずが、どこでなにがどう狂ったのか、TSUTAYA大量閉店の波を乗り越えるだけの体力は、もうCCCにはありませんでした。それは、われわれ図書館利用者サイドからウォッチしている者としては、一にも二にも、コンプライアンスの甘さからくる事業の綻びが原因のように思います。


ちょうどこのタイミングで、週刊東洋経済が、2023年12月2日号で 【第2特集】CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地 を掲載しています。私はまだ詳しくは読めてませんが、CCC関係者に聞くと「良記事。事実に基づいてよく書いてましたね。社員のインタビュー丁寧」と、かなり好印象のようでした。




私のスタンスからすると、東洋経済は、アレは書いたのかなと、気になりますね。


“アレ”とは、もちろん、2019年2月の消費者庁からTSUTAYAが景品表示法違反で1億円の課徴金を課せられた事件のこと(2020年9月20日 “嘘つきTSUTAYA”を違法認定)です。経済紙のなかでも、比較的リベラルな立場の東洋経済ですら、アレについては、いまいち厳しく切り込めていないように思うのですが…。


なお、CCC関係者は、現在の高橋誉則社長についても、こんなコメントをしてくれました。


 高橋さんはいいひとで終わりそうですね。主婦の話で(?)

マスコミでてますが勝ち筋を見出せず社内は白けてるとか。経営者でなく事業部長なみの器なんですね。退職者が加速度的に増加してるみたいです。企画出る人の流出であとは増田社長の子飼いばかり。人がいなくて廃業するのでは



【関連記事】

Tカード規約改定時に、なにもしなかった和歌山市

“嘘つきTSUTAYA”の贈賄疑惑



2023年11月26日日曜日

無印図書館、違法スレスレ事業者選定プロセス

 

こんにちは、日向です。


岐阜県可児市に、11月23日オープンしました無印良品店内のカニミライブ図書館について、開館日に掲載されたBJ記事の説明をちゃんとしておりませんでしたので、本日は改めて、いくつか捕捉しておきます。


「無印良品」図書館、可児市の選定過程に不可解な点…ツタヤ図書館の二の舞か




 この記事を書くにあたって、基礎資料としたのが可児市から二度目に開示された決定までのプロセスがわかる公文書です。そのうち、良品計画さんが市に提出した提案書24枚については、全面黒塗りの「のり弁」でしたので、これみてもなにもわからなかったのですが、一方で、市が作成した文書については、黒塗りの合間に白地の資料も結構ありましたので、そちらを詳しくみることからスタートしました。


真っ先に驚いたのが、出来レースなんて改めていうまでもなく、最初から「11月に無印良品店舗に図書館を開館する」という結論があって、その結論を、いかに、誰にも文句をいわざずに最短で進めるかという苦労の一端が、ここかしこに隠れていたことです。下をみてください。




 可児市に良品計画から、突然、図書館設置に関する提案があったのは、今年1月6日のこと。可児市が、地域の社会課題解決のために、民間企業からの提案を受け付ける「公民連携」ワンストップ窓口」を設置したのが1月4日でしたので、それを待っていたかのようなジャストタイミングでの提案でした。


まあ、それは、ほんとにたまたまそうなったのかもしれませんけれど、この後、土日と祝日を挟んだだけの1月10日には、早くも、可児市の市長部局と良品計画の担当者の間で、初会合が開催されていることに至っては、到底、たまたまたとは思えません。









正月明けの6日に提案窓口(市のサイト?)に提案が投げ込まれたんだとしたら、その日のうちに、どちらかが連絡を取って、


じゃあ一度会って話しましょう


ということになったんだとしても、提案した6日は、もう金曜日です。土日を挟んで、9日月曜日は成人の日ですから、初会合となる翌営業日の10日に市長なのか担当職員なのかとアポイントが取れて、すぐに良品計画さんのスタッフが可児市を訪問するなんていう話は、普通の社会人には信じがたいことです。(市と良品計画とのメールでのやりとりも開示されていますが、そこには初会合の日程調整の件は一切出てこない)


もともと前年の暮れに、初会合の予定が決まっていて、それだと、さすがにマズイので、形式的に先に窓口に簡単な提案書が送られていたことにしたのでしょうか。


もっと言えば、可児市の冨田市長が無投票で4選が決まった前年11月くらい(おそらくこの時期にヨシヅヤ出店が決まったのでしょう)には、水面下で折衝が行われ、トップ同士ではほぼ合意に達していたと考えるのが自然です。企業としたら、ワンマン市長さえ取り込めれば、それでもうすべてが決まったようなものと思うはず。行政の手続がいかに大切かなんてことは露ほども考えないでしょう。もしそうだとすれば、まさに、ワンマン市長とワンマン社長とのコラボです。


その後、市長部局が良品計画と設置する分館の詳細について協議して、事務レベルで同社の提案に同意したのが、ゴールデンウィーク中の5月3日です。

もちろん祝日ですよ。役所の職員が、祝日に民間企業と会議するなんていうのは、なかなかないと思います。




記事にも書きました通り、可児市のヨシヅヤ一階に無印良品の店舗が11月にオープンに合わせて開館するというお尻が決まってましたから、なにがなんでも6月議会で承認を得ておかないと開館できない、そのためには連休明けに庁内で意思決定は最低条件だったのでしょう。


あとからわかったことですが、無印図書館を開館するミッションを背負った館長と市長部局の実務スタッフは、この4月に新たに配置されたばかり。市長部局のスタッフの方は、3月までも、同姓の人がいらしたので、同じ人かと思ってましたが、4月からは別の人だったことが最近わかって、吃驚仰天しました。お話を聞く限りにおいては、館長さんも市長部局の方も、畑違いの部署からこれらていて、図書館についてはズブの素人のようでした。


カウンターパートとなる良品計画さんも、もちろん会社そのものが図書館運営経験ゼロですので、これまたズブの素人かも(転職組なら、もしかして経験者かもしれませんが)。そのズブの素人たちが、半年余りで、国内初の無印店舗内の公共図書館をつくろうというんですから、それはさぞタイヘンだったのではと、察します。


頼みの綱といえば、外部のキュレーターとして紹介されている元蔦屋の三条さんだけ。三条さんも、代官山、六本木で本のディスプレイを担当したとインタビュ―記事のプロフィルで紹介されてはいるものの、武雄市や海老名市での勤務経験は書かれていないところをみると、これまた図書館についてはズブの素人かも。唯一、大阪市「こども本の森 中之島」の実績がおありだとのこと(可児市の関係者の話)ですが、この施設は、本の貸出はしない図書館もどき(入場制)ですから、図書館のプロとは言い難いですね。むしろ、素人だからこそ、図書館の既成概念を打ち破ことができるとかなんとか言うんでしょうけれど、基本を知らない人たちが勝手に宣言する常識打破って、要するにツタヤ図書館そのものというか、見世物図書館っていうことですよね。だから、図書館本来の機能のことはほとんどアピールせずに、開館時間が長いとか、便利な場所にあるとか、内装がオシャレとか、他と比較できない独自分類とか、イベントをやたらと開催するとか、周辺のことばかりをアピールするんです。


6月議会では、記事中に書きました関係者のコメントを読んでいただければわかるように、みんなが諸手をあげて賛成したわけではありませんでした。図書館スペースをビルオーナーではなく、なぜか良品計画さんが又貸しする形で、15年契約というのもかなり異論は出てきますし、本館をどうするかというグランドデザインが必要という意見もあったみたいですから、議会の人たちはわりとまともで、市長と事業者が拙速主義で暴走したのかってところが読み取れます。


そんなわけで、5/10に開催された審査会で、良品計画の提案を受け入れて実施することが決定します(正式決定は5/15の庁議)。審査委員は、もちろん全員が市の幹部職員。市民代表はもちろん、外部の有識者はひとりももいません。






唯一、市民の意見を聞いたことにしているのが、審査会の前日に開催された図書館協議会でした。これも記事にも書いたように、会議の時間は、たったの30分。図書館の専門家は、学校司書代表だけで、公共図書館部門からはゼロ。ここでこそ、図書館の専門的な内容について、侃々諤々で話し合われないといけないはずなのに、それも一切なし。「とってつけたように」というのは、まさに、こういうときに使う言葉なんだと思いましたね。





さて、今回の記事のハイライトは、やはり“偽装委託”です。無印店舗内のカニミライブ図書館の運営は、当然、良品計画が雇用したスタッフが担当するのかと思ったら、そうではなくて、本館と同じく、市が雇用したスタッフ(会計年度任用と派遣スタッフ)ということで直営を維持することになりました。


しかし、店舗内の図書館を開館できるまで、内装工事から配架、デザインまでを、すべてひっくるめて行うのは、市から委託された良品計画さんなんです。とするとその業務の部分は、当然、法的には「委託契約」ということになりますよね。


ところが、これ「委託」ではなく、あくまでも「整備負担金」という名目で、市から良品計画に1億7600万円を支払うようになっているんです。そうしますと、形式上は、委託ではなくるので、これらの支出だけ盛り込んだ補正予算のみ議会の承認さえ得られれば、新図書館の設置については、教育委員会はもちろん、議会の承認も必要なくなるわけです。


でも、この見積書をみますと、内装工事からはじまって、無印仕様の専用什器や家具の設置、選書や企画までもが整備に含まれていて、開館準備業務をまるごと良品計画さんに、可児市は委託しているようにしかおもえません。


もし、まともにこれを委託にしていたら、委託契約の内容についても議会承認が必要となるため、とても6月議会では間に合わなくなります。なので間にあわすためのウルトラCとして、こういう「委託ではない」脱法的な手法を編み出したんだろうと思いますね。そうした手法をアドバイスしたコンサルタントがいるのかもしれません。



さて、私がいちばん心配しているのは、可児市は、図書館のど素人に、とんでもない実績を与えてしまったということです。


下をみてください。総額1億7600万円の新図書館の整備事業を、可児市は、複数の事業者に価格や提案内容を競わせる競争入札を行うことなく、一社のみの提案をただ丸飲みした随意契約によって、進めてしまいました。これは、通常ならアウトの行為です。







あなたの住んでいる街で、これだけの巨額の事業が市長の一存で決められるでしょうか? そんなことは法的にはできません。もししていたらタイヘンです。


可児市は、幹部職員だけが採点する審査会によって、公平公正な審査のもとに、良品計画が選定されたという茶番劇を演じてますが、その評価対象は一者だけでした。競合はいないんですから、提案内容も独自ノウハウも、比較のしようありません。市長がいいと言っているんなら仕方ないとされただけです。


無印良品を展開する良品計画が、新図書館の整備について、他社にはマネのできない特別なノウハウを持っていたのなら話は別ですが、少なくとも、内覧会のニュースや事業計画をみる限りにおいては、店舗内にちょっと変わった風の書架をおいているだけの図書館であり、セルフ貸出機にしても、AI技術ででラベルを読み取るとされていますが、そんなことしなくても、バーコードを読み取ることで、特別なシステムを必要せずに可能になるはずの程度のものでした。


この程度の図書館機能であれば、ひとりの有能な図書館の専門家をトップに据えることで、あとの設置ノウハウについては、各事業者を競わせることで、かかる費用は、もしかしたら現行の半額以下になったかもしれません。ショッピングセンター内に分館を設置するのであれば、もっとほかにも候補地はあったはずで、15年契約などという非常識な条件を飲まなくても、もっと賃料が安く、市民にとっても利便性の高いテナントもあったかもしません。なのに、今回なにゆえ、ヨシヅヤの無印良品店舗に決め打ちしなければならなかったのか不思議でなりません。



 競争のない随意契約といえば、11年前に発表された、佐賀県武雄市がツタヤ図書館第1号の発表がその典型例です。それまでまったく図書館運営経験のなかったカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が選定されてオシャレな内装の図書館ができたと旅行者やメディアが大絶賛したことで、CCCには図書館運営の特別なノウハウがあるという誤った印象を世間に流布することに成功。それをみた他の自治体が次々と、うちにも来てほしいとCCCに誘致合戦を繰り広げたほどです。


ところが、CCCは、そもそも図書館運営の経験も実績もゼロ。まったくのド素人だったため、2年後に、郷土資料が大量に廃棄されていたり、大量の古本を選書していたことや、神奈川県海老名市では、独自分類がとんでもなく使いにくいことなどが発覚。それをきっかけに「ど素人のCCCに図書館を任せていいのか!」と、進出が内定していた愛知県小牧市、宮城県多賀城市、岡山県高梁市、山口県周南市などで、市民の反対運動が勃発しました。


良品計画による無印図書館も、基本的な構造は、それとまったく同じです。可児市のケースを、もし黙って見過ごしていたら、人が来て賑わえばそれでよいのか、公共図書館の使命など一切考えない世間は、こう思うことでしょう。


無印図書館は大成功だったね


あきらかに事実ではない印象を世間にバラまくことで、ツタヤ図書館と同じく、良品計画の図書館づくりの実績として、可児市のカニミライブ図書館は印象づけられて、空きテナントに苦しむ全国の商業施設(特に赤字を抱えている第三セクターが飛びつきそう)が次々と、うちにも無印図書館をつくってほしいと依頼がきかねません。


かくして、図書館のど素人だった良品計画が、可児市での実績をひっさげて全国の自治体にセールスに回ることに。そして、可児市と同じような図書館分館を設置する自治体が次々と登場したら、どうするのでしょうか。


ツタヤ図書館誘致の自治体がその後にたどったのと同じく、図書館機能は劣化するわ、特定企業への利益供与は酷くなる一方で、街はますます廃れてシャッター通りに拍車がかかるという事態が待ち受けているのです。いまだにツタヤ図書館は大成功だったと言っている、過去の事例に学ばない人たちは、「歴史修正主義者」とのそしりを免れないでしょう。


ちにみに、ツタヤ図書館1号となった佐賀県武雄市では、こんな出来事がありました。


昨年11月、「議会の承認を得ずに、市内1万5000戸に防災情報システムを導入したのは違法だ」とした市民の訴えを認めた佐賀地裁は、武雄市の現市長に4億円を請求するよう命じました。


その議会無視の前例となったのが、前市長がツタヤ図書館を誘致するにあたって、議会承認の前にTSUTAYAの運営会社CCCと指定管理契約を締結したことだったと報じられました。


今年8月の高裁判決では、問題になったあとから議会が追認したことから、市長への4億円請求は棄却されましたが、あやういところで、議会軽視が市長の政治生命を絶ちかねないところまでいっていたのです。


無印図書館の可児市も、そんなに危うい橋をわたってまで、超特急で図書館の分館を整備する必要は、いったいどこにあったのか。もしかして、市長と事業者の間で、なにか密約があったのではないか。市長と良品計画は、癒着しているのではないのか。それとも、空きテナントに苦しんでいたヨシヅヤさんが、市長に泣きついたのか。


そんな疑問は誰しもが抱くでしょう。


企業サイドから、政治家に対して、事前なのか事後なのかはわかりませんが、なにかお世話になった御礼はされていないのかって視点が重要です。記事の最後にも書きましたように、ツタヤ図書館第一号の武雄市では、樋渡市長が退任後にCCCの関連子会社に天下りされたことあとで判明して、一大スキャンダルになりました。良品計画さんも、当然、御礼くらいはちゃんとするでしょうから、それがどんな形で冨田市長にされたのかってことを掘っていきたいところですね。


よろしくお願いいたします。


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2023年11月24日金曜日

虚偽宣伝からスタートした無印図書館

 

こんにちは、日向です。


昨日11/23に、かねてより予告されていた通り、岐阜県可児市の無印良品店内に新しい市立図書館がオープンしました。


良品計画さんがまだなにも決まっていない今年3月に商標登録を申請していた「カニミライブ図書館」という名称が早速使われて、地元メディアを賑わせています。


どんな図書館なのか、独自分類はどんなものか、ブックジャングルと称する書架はどんなデザインかなど、いろいろと気になることは山ほどあるんですが、


新聞報道をみて、いきなり


これは大丈夫なのかな?


と思う箇所が出てきてしまいました。


下をみてください。朝日新聞デジタルの記事に、


“無印店舗は県内8店目だが、店内の図書館は全国で初めて”


という売りの言葉が出てきます。


https://digital.asahi.com/articles/ASRCP6QLFRCPOHGB001.html より



これ、少し前に同社がリリースで公式にアナウンスした際、


すでに刈谷市のクマシカ図書館があるのに、それは無視?


という指摘がsnsでされていました。


クマシカ図書館というのは、公共の図書館ではなく、一風変わった私設図書館。




ウィキペディア・ルビットタウン刈谷より


本棚のオーナーがひと箱2000円を払って、館内に、誰かに読んでほしい自分が所有する本を入れておいてもらうことで、来館者は誰でも、借りたい本があれば自由に借りれるというもの。


そんな私設の図書館が、愛知県刈谷市にあり、その場所というのが、無印良品ルビットタウン刈谷店内なんです。


あれれっ、さっき朝日新聞には“(無印)店内の図書館は全国で初めてと書かれていましたよね。


とすると、刈谷市のクマシカ図書館はなんなんでしょう。


私設図書館だから、それは図書館には入らない


というつもりで、良品計画さんは考えているかもしれませんが、私設だろうが、なんだろうが、図書館には変わりません。


もし、それでも「全国で初めて」としたいのならば


無印店内の●公共●図書館は全国で初めて


――とすべきではないでしょうか。


これ二週間くらい前に出ていた良品計画のリリースをみて気づきました。すぐにその旨を可児市の担当部署に「これは虚偽表示では?」と指摘しておきましたところ「ご指摘の件につきましては、良品計画さんに共有いたします」との回答がありましたので、おそらくオープンまでには改善されるんだろうと思っておりましたが、ふたをあけてみたら、そのまんまでした。


良品計画の公式リリース。
https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2023_1113_01.html より
https://archive.md/9aUwz



これは、もしかしたら、私設図書館だけど良品計画が関与しないところで設置されているものなのかなぁと思って、いろいろみておりますと、無印良品の公式ページに


【ルビットタウン刈谷】よみきかせ会を開催します!


https://www.muji.com/jp/ja/shop/046695/articles/events-and-areainfo/events/1289971
https://archive.md/2FUaV#selection-315.0-315.24 



――とした案内もあるんですね。そのなかには、こんな記述もあります。

“また、クマシカ図書館さんは、無印良品ルビットタウン刈谷店内にて本の貸し出しを行っています。
購入はできませんが、絵本も棚に置いてある本も借りて読むことができます”

この図書館には、思いっきり無印良品が関与されているようです。これはもう確信犯でしょう。

オープン前にも、「全国初の無印店内に図書館設置」とした記事をみかけていましたので、数日前に、良品計画さんの広報部に電話をしまして、


“全国初の無印良品図書館”は、虚偽表示では?

――と申し上げました。ご担当者の方はいらっしゃらなくて、直接お伝えすることはできなかったのですが、そう言っても、あまり重大なこととは認識されていない様子で、

ご意見として承っておきます

の一言で終わりました。このときに、ジャーナリストの日向ですと一応は、名乗りまして、もし改善されない場合は記事に書きますと通告はしておりますので、結局、オープンまでにまったく改善されなかったというその事実は、遠慮なく、このブログに記録させていただきます。もし、ご反論・ご釈明がありましたら、右上のメールアドレスまで、ご連絡ください。


ワンマン市長とワンマン社長のコラボ?



さて、ここからは、私の感想なんですが、可児市の担当部署(秘書政策課)も良品計画も、情報を上にあげたところで、上層部は、それを一顧だにしないような組織風土があるのかなと感じました。

「伝えます」という対応は、その指摘が重大な事実かどうかは自分では判断せずに、一応関係者全員で情報共有をして、意思決定は、その権限を持つ者だけが行うという、いわば軍隊の指揮命令系統のようなものです。

情報を共有するだけでなく、それが重要な問題だと認識されれば、現場の人が進言をして、こうしないとマズイですよというところまでいかないと、不祥事を未然に防ぐことは極めて難しくなります。

その意味でいえば、可児市は市長のワンマン、良品計画もユニクロからきた堂前社長のワンマンの体制なのかなぁという印象を持ちました。


事実なんかどうだっていい、「全国初」とか宣伝になりそうなことは、たとえ虚偽ではないか?と指摘されても、ウソでもなんでも押し通してしまえ、どうせ10日もすれば、みんなそんなことあったなんて忘れるでしょ。

みたいな感じでしょうか。これは、今回の無印良品の図書館に限らず、CCC運営のツタヤ図書館などでも、あきらかに事実とは異なるのではないのかと思えるようなことを平然と宣伝材料に使って、いくら指摘されても、なかなか改善しないんですね(タウンワークの豹変など)。だから、CCCは消費者庁から景品表示法違反で1億円の課徴金を課せられたりしているんです。



そういう自治体と企業がコラボしてできた図書館ですから、図書館の中身以前の問題で、

まずは、

ウソをつかないようにしましょう

ということから始めていただかないといけないのかもしれません。

よろしくお願いいたします。

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2023年11月23日木曜日

無印良品の図書館についての批判記事がリリースされました。

 

こんにちは、日向です。


昨日、無印図書館の記事が延期になったと書きましたが、さきほど、BJ編集部のご尽力のおかげで、なんとかオープン当日にまにあって、リリースとなりました。


取り急ぎお知らせします。




この記事の内幕は、以下に詳しく書きました。


【参考記事】




2023年11月22日水曜日

宇城市スタバの最新の家賃は2800円!

 

こんにちは、日向です。


本日はまず最初に、告知をひとつしておきます。


といっても、記事リリースの予告ではなく、記事延期のお知らせです。


7月くらいから、岐阜県可児市にできる無印良品店内の市立図書館について取材を進めておりまして、11月23日のオープン当日に、“無印図書館”に関する記事をぶつけるつもりでおりました。


ところが、諸般の事情で、この記事のリリースが少し遅れることになりました。誰の責任ということではなく、ほんとにアクシデントとしかいいようのない出来事が起きていたことを今朝知りました。オープンに間に合わなかったのは、たいへん残念ですが、速報性を重視する内容でもないので、後日、みなさんには、じっくりと読んでいただければと思います。


さて、本日の本題は、タイトルにしたように熊本県宇城市のスターバツクス賃料についてです。







これまで、昨年4月にCCCによる指定管理で新装開館した、宇城市の図書館と美術館(正式名は、宇城市立図書館・宇城市不知火美術館)内にあるスターバツクスの賃料は、一カ月3,700円とお伝えしておりましたが、今回、改めて最新情報を請求しましたところ、いつのまにかその金額が変更になっていました。


結論から言いますと、宇城市ツタヤ図書館のスターバックスの一カ月の賃料は、3,700円ではなく、2,800円でした。




それとは別に館内の通路に配置されている販売用の平台18.7平米が、いつのまにか追加されており、こちらが年間1万449円、月当り870円の賃料が発生していたことがわかりました。





不思議なことに、この両方を合わせた金額が月約3,700円(3,666円)ということになっていました。





もともと、スタバだけで月3,700円と言う金額は、指定管理者の募集要項に記載されていた


・目的外使用料は、1平米当たり年間700円


という基準をもとに算出した金額でした。開館前は、スタバ54.5+蔦屋書店9.05㎡=63.55㎡でしたので、これをかけると年間4万4,485円、月当り3,707円という金額が出てきまして、その金額を担当課にぶつけて「その通りです」と確認したものです。



で、今回の正式な行政財産の目的外使用申請をみてみますと、


スタバの面積が61平米となっています。結果的に、当初予定されていた蔦屋書店が開設されませんでしたが、スタバ単体で、当初の63平米とほぼ同じ面積をCCCが借りて営業することになっていて、このエリアのなかで書籍や各種物産の販売も行なうようになっていました。


なので、スタバの賃料としては、今回の申請書に書かれた63平米で、年間3万3,547円、月額2,795円が、正しい金額です。



開館前の計画時とスタバの面積はほとんど変わっていないのに、どうして賃料は安くなったのか、加えて、なにゆえ通路部分の平台を借りるようになったのかが不思議なんですが、


もしかしたら、私が、「宇城市のスタバの家賃は3,700円!」と書いたので、それに合わせて平台もセットで借りて同額にしたのでしょうか。


まさか、そんなバカなことは、さすがのCCCもしないですよね。



どうして、そんなに安くなるのかというカラクリは、和歌山市のケースで詳しくみてきた通り、大昔(昭和30年代)につくられた条例の計算式をいまだに改正せずに適用しているからです。


その頃は、公共施設内を民業に貸すのは、小さな売店や自販機くらいで、営利目的で本格的な飲食店が出店することは、まったく想定されていませんでしたので、指定管理施設内に店舗を営業させる際には、当然、この条例を時代にあったものに改正しなければならないところを、そのまま使っているからです。


この手法は、ツタヤ図書館だけの問題ではなく、Park-PFIの制度を活用して、公園内にスターバックスを設置している地方都市などでも、よくみられる手法だということが最近わかってきました。スタバとしたら、むかしながらの条例をみつけたら「ラッキー、これは賃料タダみたいになる」と喜んでることでしょう。




それから、もう一点、開示申出に書いた、水道光熱費については、今回開示された資料に、その負担状況がわかるものは、なにもありませんでした。


あれれっ、まさかシカトされたのかなと思って、よく開示資料を読んでみますと、行政財産の使用許可書のほうに、以下のような記述がありました。





当該使用物件に付帯する電話、暖房、電気、ガス及び水道の諸設備の使用料を負担しなければならない


――となっていますので、これは当然、CCCのほうでスタバと平台で営業する販売店の部分の光熱水費は、負担しているということなんでしょう。


ただし、注意したいのは、和歌山市と同じく、直接、子メーターのある部分については、CCCが負担しているにしても、問題なのは、館内全体の空調部分ですね、冷暖房にかかわる電気代等については、図書館・美術館が全額負担しているかもしれないということです。


なぜならば、公共部分と私的営業部分に境界がなく、空間は一体化していますので、全館空調の恩恵をスタバと平台部分も享受している可能性は高いのではないかとみています。



そうしますと、スタバの賃料を月2,800円にし、月10万円以上かかるエアコン代もほぼ無料にできるわけで、こんなにおいしい話は、街場の商売では、まずありえません。


そのことを市民にはまったく知らせずに、官民連携事業をすすめる構造そのもに問題がありそうです。



そうしますと、これは、CCCにかぎらず、無印良品の良品計画にも言えることですが、官民連携事業でたっぷりとウマイ汁を吸って、商売している一方で、


自治体の創業支援をサポートする事業なんかにも手を出している(良品計画は出そうとしている)のは、とってもおかしいと思います。


「独立してカフェを始めたいんですが」という若者が相談に来た際には



家賃30万円、光熱費10万円、仕入れ10万円で、月に50万円固定費はかかりますね


なんていうアドバイスをしているんでしょうか?


それこそ、地域の若者には、月2,800円の家賃でカフェを出店させたり、空きスペースで毎週末ごとに、一日数百円の賃料で屋台を出して稼げるようにしてあげるほうが、何百倍も地域の活性化につながると思うのですが、現実は、東京の大資本だけに、自治体がとんでもない優遇措置を与えているという、まさに「売国奴」みたいなことばかりしていると感じるのは、果たして私だけでしょうか。


よろしくお願いいたします。


開示資料全文はこちら↓

宇城市目的外使用料231121.pdf




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2023年11月18日土曜日

議案なしに“口頭議決”をした和歌山市

 

こんにちは、日向です。


昨日につづけて、和歌山市のことについて書くのは、少し気が引けるのですが、これもどうしても書いておかねばならないことなので、できるだけ簡潔に記録しておきます。



来年4月からの5年間、市民図書館の指定管理者にCCCを選定したことについて、教育委員会の議決が確認できなかったことの顛末を以下の記事に書きました。




いくら探しても、みつからなかった、指定管理者選定の議案が、「議案27号」という中身がわからない無タイトルのものに入っていました。


開示された議案の資料について、いつもsnsでツタヤ関連の情報をウォッチされている方から、こんなコメントがありました。



この資料は議案じゃなくて説明資料じゃないかと思うのですが、議案の開示はなかったですか?



言われてみれば、確かにその通り。開示されたのは、説明資料ばかり。肝心の「議案」本体がみあたりませんでした。


そこで、翌日、この資料を開示した教育政策課に問い合わせてみたところ、


冒頭の3枚が「議案」です。これ以外には文書はありません。


とのこと。


私も行政手続きについては、不勉強なので、そういわれたら、そういうもんかなぁと丸め込まめそうになりましたが、ウォッチャーの方が、すぐにちゃんとしている他市の事例をあげてくれました。以下がそれです。






これみたら、それぞれの議案が「議案何号」のあとに、ちゃんと中身がわかるタイトルついてますね。そして、必要事項が明記されたうえで、「審議願いたく提案する」とされています。この後に詳細な説明資料がつづくという正式な議案書です。


議案番号、議案名、提出日、教育長名があって、詳細が必要なら別紙にする形が多い


そうです。


また、別の方からも、以下のような議案の事例を教えていただきました。




和歌山市では、こういう正式な議案書を作成せず、説明資料を配布して「原案どおり承認してよろしいか」と教育長が口頭で聞いて、委員一同が「はい」と答えるまでがワンセットのようです。しかも、総額17億円の指定管理者指定議案が、タイトルもなしに、ほかの予算案に一緒くたに紛れこんでいました。



和歌山市は、いつもそうなのか、それとも今回だけは異例だったのかはまだ不明なんですが、和歌山市教育委員会の手続が世間の常識とは異なっているという、これらのら指摘について、なにか事実と異なることはありますか? もしありましたらご反論くださいと、教育政策課にメールで問い合わせましたが、結局、それについてご返答はなにもありませんでした。(このメールは、図書館を管轄する読書活動推進課にもCCで送信しました)



こう書きますと、重箱のスミをつついているように思われるかもしれませんが、5年間で総額17億円の指定管理者選定の議案が、ほかの予算案のなかに潜り込ませて、市民がいくら探してもみつからない状態にしているうえに、説明資料配布して、あとは教育長が口頭で「よろしいですか?」と聞いて議決したというのは、人口35万人を誇る中核市の行政としては、いかがなものかと思いますね。


CCCの再指定については、他の自治体がそうであったように、もう当たり前のように進められて一切議論もなく決定されました。和歌山市の市民の方も、おそらくそうなるだろうなと予感はしつつも、昨年末の監査請求からはじまって、定例の教育委員会は欠かさず傍聴されるなど、いつ議題にのぼるのだろうかと根気よくウォッチされていました。



ところが、最後の最後で教育委員会がCCC再選定を議決した臨時会は、火曜日に緊急告知して金曜日に開催された臨時会でしたので、結局、市民は、傍聴することができないまま、まったく知らないうちに通ってしまっていたという顛末でした。騙し討ちみたいなものでした。(もっとも、議決された臨時会当日に出席できたとしても、議会上程議案は秘密会となるめ、その議題になったとたん、退出させられていたでしょうけれど


全国でもめずらしい「市民図書館」という名前をもちながらも、実態は、市民を排除して、事業者の都合を優先するのは、こういう手続の杜撰さからくるものではないのかって、ふと思いました。


市長の暴走にブレーキをかけるはずの教育委員会の手続が杜撰でなければ、ツタヤ図書館などというものは、そう簡単には、つくれないものかもしれません。


よろしくお願いいたします。


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