2019年2月26日火曜日

“嘘つきTSUTAYA”を違法認定

こんにちは、日向です。

私は、これまで、ツタヤ図書館についての批判はさんざん書いてきましたが、代官山蔦屋書店やレンタルのTSUTAYAなど、CCC本社が展開する民間事業については、Tカードを除いて、あまり批判的な立場ではみてきませんでした。

公共が食い物にされていることを問題にしているだけですから、民間企業が、自分たちの稼いだカネで展開する事業であれば、どうぞご自由にというスタンスです。

しかし、先日報道された消費者庁が景品表示法違反でTSUTAYAに1億円を超える課徴金を課したニュースについては、指定管理者の選定にもかかわる問題ですので、これは、どうしても取り上げざるを得ないと思いました。

共同通信が2/22に配信したニュースによれば、


動画配信サービス「TSUTAYA TV」で、全作品を見放題であるかのように宣伝したのは虚偽であり、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は22日、ツタヤに課徴金1億1753万円の納付命令を出した。

 同庁表示対策課によると、ツタヤは2016~18年、ホームページや動画投稿サイト「ユーチューブ」で、「動画見放題」「動画見放題&定額レンタル8」「TSUTAYA プレミアム」のプランについて、全ての作品が見放題であるように宣伝。しかし、実際に見放題なのは全作品のうち最大で27%だった

とのこと。

 CCCは、ツタヤ図書館をアピールするときにも、この「優良誤認」を常習的に行なっていますので、ウオッチャーたちなら、「なにをいまさら」と思って、驚きもしないはず。

「何か月で入館者何万人突破」は、駅ビル通過者全員カウントだったり、「利用者の8割が満足」は、来館者限定で職員による圧迫面接だったり、「直営時代より運営経費1000万円削減」は、併設施設の経費を前提条件から外していたりと、とにかく、アピールポイントの根拠データは、ことごとく疑問符のつくものばかりでした。

なので、みなさんこのニュースについての反応は、「いかにも」「またかいな」という感想がほとんどで、少し前に騒がれた「Tカード会員情報が捜査令状なしに警察提供」のときと比べて、あまりにも静かだったように思います。

しかし、この事件は、CCCが運営している基幹事業で明らかな法律違反を認定されたわけですから、このことの意味は、とてつもなく大きいと思います。

これまで、CCCの大きな不祥事のほとんどは、「疑惑」でシロクロはっきりしないグレーでした。Tカード会員情報の捜査機関への提供にしても、会員規約に事前に明記されていなかったことは責められても、その行為自体は、明確に違法とまでは言い切れませんでした。

ところが、今回の景品表示法違反というのは、監督官庁によって法律違反が公式に認定され、巨額の課徴金まで課せられた事件ですから、そういうブラックな企業を選定して、公務を担当させていた自治体は、なんらかの対応をしないと無責任のそしりを免れないでしょう。

とりわけ、注目したいのは、この不法行為が行なわれた最中の2017年に、CCCを市民図書館の指定管理者に選定してしまった和歌山市の対応でしょう。

和歌山市が昨年3月30日に、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブと、新市民図書館運営に関して、基本協定を締結しました。その第45条5項には、指定管理の取り消し事由として


「社会的な不正行為があったとき」

という条項が明記されています。今回の同社が犯した景品表示法違反は、1億円もの課徴金を課せされていることからもわかるとおり、「社会的な不正行為」に該当する可能性もおおいにあります。





指定管理者としての運営は、今年10月の開館以降ですが、その前に、このような市民の期待を裏切る不正行為を犯したことに対して、新市民図書館の運営を任せる和歌山市は、いったいどのような対応をするのでしょうか。

もし、和歌山市がなんの対応も取らなかったとしたら、指定管理者の募集期間中に、不法行為を犯していたことが判明した事業者であっても、なんらお咎めなしに公務を担当できることになってしまいます。

2015年10月からCCCが指定管理者となって新装オープンした海老名市立中央図書館では、応募資格であったプライバシーマークを同社が密かに返上していたことがあとから判明して、議会でも追及される騒ぎになりました。

ツタヤ図書館、応募資格を満たしていないことが発覚!運営開始直後に資格要件の認定証を返上

その行為は、明確な違法行為とまではいえなかったのですが、今回、しつこいようですが、監督官庁に違法行為を認定され、なおかつ巨額の課徴金の支払い命令まで出ているわけですから、そのときと比べても問題の大きさは遜色ないと思います。

少なくとも、ツタヤ図書館を誘致している自治体は、役所に社長を呼んで釈明させたうえで、独自に是正指導を行なうべきです。

もし、自治体がなにもしなかったとしたら、癒着どころの騒ぎではありません。不法行為を犯した事業者をありがたがる、おかしな自治体だと世間ではみる人があとをたたないでしょう。

 現在、和歌山市議会が開会中ですが、その場でも追及する議員は出るのでしょうか。果たして、どうなることやら。



追記 和歌山市が2017年10月に発表した指定管理者募集要項には、通常はあるはずの欠格事項に


「自らの業務に関して、過去何年以内に、関係機関に違法行為を認定されていたこと」

のような内容がみあたりません。和歌山市は、募集時点で、応募事業者が違法行為を犯す可能性も想定していたのでしょうか。それともCCCからすでになにかを知らされていたのでしょうか。



CCCへの公開質問状 へつづく


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2019年2月25日月曜日

「官民連携」の正体


こんにちは、日向です。

昨日は「密談疑惑のパース」で、TSUTAYAの本部CCCと、まちづくりから都市開発を手掛けることで有名な㈱アール・アイ・エー(RIA)との、ただならぬ関係について解説しました。

和歌山市では、いまのところCCCが正式に選定される前に、同社がRIAと密談していた証拠は出てきていませんが、前回の記事でも書いたように、その先例となったのが2016年3月に“ツタヤ図書館”として新装開館した多賀城での「出来レース・スキャンダル」でした。

ツタヤ図書館ウォッチャーにとっては、“いまさら感”が強いかもしれませんが、一般の人にとっては、どうしてCCCがそこまで批判されるのかを知る重要ポイントのひとつだと思いますので、少し長いですが、あえて詳しく解説しておきたいとます。

下をみてください。週刊朝日が2015年11月に、CCC正式選定前から多賀城市の職員がCCCと密かに会議をしていた内部文書をすっぱ抜いた記事の一部です。



週刊朝日2015年11月27
日号『ツタヤ図書館 不透明な契約』


これ、よく読まないと、何が問題なのか非常にわかりにくいんです。

多賀城市は、2013年7月に市長が記者会見をして、駅前に建設中の再開発ビルに市立図書館を移転し、その運営をCCCに任せたいと表明していましたので、

市民からすれば、その時点で「CCC決定したのか」と思いがちですが、話はそんなに単純ではありません。

なぜならば、図書館を管掌しているのは、市長ではなくて教育長。どうするか決めるのは、あくまでも市の教育委員会だからです。

政治から独立して教育行政を推進していくために、地域の教育委員会があり、教育委員会は学校教育だけでなく、社会教育もつかさどっています。

で、ツタヤ図書館にするには、何より、まず、直営の図書館を民間企業に任せるための指定管理者制度を導入しないといけません。

そのためには、教育委員会傘下の図書館協議会にその是非を諮ったり、市民の意見を聞いたり、図書館計画を立てたりといった、条例改正に必要な審議や手続きをひとつひとつ経たうえで、

教育委員会で議論し、そこで「いいよ」となって初めて、民間に図書館の運営を任せる指定管理者制度を導入する議案を議会に提出して承認を受けられるわけです。

なので、市長が「図書館をCCCに任せたい」という希望を述べるのは勝手ですが、本当にそれが実現できるかどうかは、一連の決められた手続きを踏んで、関係者全員の意見を聞いてみないと、本来は、わからないはずなのです。

ちなみに、指定管理者ではなく、「一部委託」といってカウンター業務だけを民間に任せるのでしたら、そこまでの手続きは必要ありません。指定管理者制度というのは、館長も民間企業のスタッフにして、施設の運営を丸ごと任せるという形態です。

ちょっとややこしくなりましたけど、指定管理者制度の導入を決めるまでだけでも、実は、結構タイヘンな道程なんです。


非正規は全員解雇


雇用の問題もあります。そこで働いている非常勤やアルバイトの人たちは、一度解雇されて、新たに指定管理者となる民間企業に雇用してもらわないといけません。

給与も下がるかもしれません。採用されないかもしれません。なので、働いている人にとって民間委託は、もう死活問題です。ただし、市の正規職員らは、別の部署に異動するだけですから、特にデメリットはありません。

そうなると、当然、労使交渉といいますか、反対運動が起きます。最近話題になった東京・練馬区の区立図書館でストライキがあったのも、一部直営館が残っていたのを、すべて指定管理に移行するということが発端でした。

このへんは、最大手の図書館流通センター(TRC)が新規に受託する全国各地の図書館で、この10年さんざん繰り広げられてきた騒動なんですが、ツタヤ図書館を誘致する自治体では、まず、指定管理者制度導入を、ものすごい勢いと短期間に有無をいわさず進めていきます。

そこをクリアしたうえで、今度は、指定管理者をどの企業に任せるかという公募のプロセスがあるんですから、

これも、ちゃんとやろうとしたら選定委員会の設置とか、教育委員会での議論もしないといけません。

ところが、ツタヤ誘致自治体では、このあたりをほとんど“ノー手続き”で決めてしまいました。(とにかく先に進めて、あとから辻褄を合わせるための会議や文書を整える)

第1号の武雄市で、市民が情報開示請求をしても、当初まったく文書が出てこなかったのは、必要な手続きを踏んだことを示す書類が、そもそも存在しなかったからではないかと言われています。

この法的に必要な手続きをキチンと踏んでいくということを、トコトンないがしろにしたのがCCC運営ののツタヤ図書館だったのです。

それは、武雄市の樋渡啓祐前市長が「スピードは最大の付加価値だ」と、独断で進めた市政の象徴のようなものだったのではないかと指摘する人もいます。

市民を無視した行政運営


さて、2013年の多賀城でのケースに話を戻しましょう。

CCCが指定管理者に選定される1年以上前に、多賀城市の職員が武雄市を視察した際に、CCCのスタッフと、「ツタヤ図書館建設」を前提にした密談をしていたことが、内部告発によって暴露されました。

それを最初に報じたのが2015年11月の週刊朝日だったのです。

下をみてください。「建築関係」でも、CCCの担当者が「来週RIAと打ち合わせします」とか「連携を密にしていきます」などと発言してますね。CCCがRIAと一体化して、建築段階から、このプロジェクトを進めていたことがよくわかります。





また、この文書を詳しく読むと、まだ指定管理者候補ですらないCCCが選定される前提で話が進められています。まるでTSUTAYA本部としてのCCCが、フランチャイズ加盟を希望している地元企業を相手に、経営指導している錯覚すら覚えるやりとりでした。

暴露されたこの文書は、後日全文をアップする予定です。週刊朝日では、明らかにされていない内容もすべて開示します。

多賀城市と連携協定を締結したCCCは、図書館建設も含む企画提案を多賀城市に行なうことにはなっていましたが、その提案事業者として、審査されて選定されたわけではありません。

武雄市の図書館を視察した市長が「ウチも、ああいうの作りたい」と、玩具を欲しがる子どもみたいな単純な動機で、連携協定の契約をしただけとしか思えません。

連携協定によって、企画提案をするだけのCCCが、なんの手続きも経ずに多賀城市と会議しているその光景は、ちょうど前回の記事にも書きましたように、和歌山市が、なんの手続きも経ずにRIAを関係者会議に呼んでいたのとソックリです。

異なるのは、ツタヤ図書館誘致自治体としては、和歌山市が初めてCCCを公募で選定した格好をとっているところなんですが、そのプロセスも怪しいところだらけです。(図書館ではない公設ブックカフェの延岡市も最終的には、公募されたが)

すべては、先に「ツタヤ図書館にする」という結論ありきで、その結論をどう最短で実現するかに腐心する役人による、市民を無視した行政運営が、「また、かいな」とため息が出るくらいに、和歌山でも繰り返されているのです。


2019年2月24日日曜日

密談疑惑のパース

こんにちは、日向です。

先日リリースされた和歌山市談合疑惑の後編ですが、ツタヤ図書館ウォッチャーにとっては、

いまひとつ物足りないというか、こころに響かないというか、琴線に触れない部分ばかりだったように思います。

何よりこの問題の最強のヒール(悪役)であるCCCが起こした事件ではなく、あくまで南海電鉄とRIAとの関係で、市がそれに加担しているかのような構図がみてとれるからだと思います。

しかし、後半部分で前武雄市長の「スピードは最大の付加価値である」とのセリフが出てくるように、やはり事件の核心には、武雄市で最初にモデル事業を作ったCCCがいるんです。

その話をすると長くなりますので、今日は、一目でわかる疑惑の証拠画像を以下に貼り付けておきます。

左がCCCのプレゼン画像、右がRIA作成の基本設計画像です。




細かい人の配置や柱の位置こそ違いますが、どちらも高い位置に書架がそびえ、奥にエスカレーターを配置している基本構図は同じです。

問題となるのは、公式に提出された日付です。

CCCのパースは、2017年11月のプレゼンに提出されたもので、その資料として議員のみに配布されたものです。(後日、CCCが選定されたニュースのメディア発表には、この画像が使用されていました)

一方、RIAのほうのパースは、それよりも半年以上前の2017年5月に一般公開されたものです。

「CCCが、RIA発表の基本設計のパースをマネしたのでは?」と思われるかもしれませんが、

そんな公然と他社の著作権を侵害するような不法行為を指定管理者候補がしますか? 

一方、設計者サイドからみたら、まだ指定管理者にCCCが応募してくるかどうかもわからない時点で、高層書架を採用しているのもおかしな話です。

もしCCCが設計担当のRIAの許可を事前に得て、似たものを作成したとしたら、指定管理者選考のコンペで競合した図書館流通センター(TRC)にも、設計者は、同じく許可したのでしょうか? TRCが提出した案もこんな感じだったのでしょうか?

まぁ、あれこれ詮索しても仕方ないのですが、もし、基本設計の素案をCCCと基本設計者のRIAの二社で共有していたとしたら、

2017年11月の指定管理者選考会は、CCCにだけ有利にとりはからわれたのか、それとも最初からCCCとRIAは基本設計について裏で密談していたのではと言われかねません。

少なくとも、このプロジェクトの関係者会議にRIA作成の都市計画が提出された2014年9月の段階で、CCCはこの図書館の設計にも深く関与していたのではないかと疑わざるを得ないです。

和歌山市がRIAと「ズブズブの癒着関係」にあるとしたら、CCCとRIAも似たような関係といえるのでしょうか。

このへんの疑惑の詳細については、以下の記事をご参照ください。


第2回 BJ2018.10.02

よろしくお願いいたします。

2019年2月22日金曜日

不可解な落札調書

こんにちは、日向です。

さきほど、和歌山市談合事件の後編がビジネスジャーナルでリリースされました。

ツタヤ図書館建設で談合疑惑、和歌山が入札偽装か…情報開示請求に“黒塗り”回答


今回の記事では、先週公開した記事の背景を詳しく解説しています。

注目していただきたいのが、前回公開した開示資料の一つ前のバージョン

昨年12月17日付で開示された5枚の落札調書です。

「南海市駅前再開発に関連して、和歌山市が報告を受けた南海電鉄とRIA及びその関連企業との契約に関するすべての文書」

というような内容で、昨年11月6日に和歌山市民の方が請求して、12/17に出てきました。




文書の宛名がない、作成者名もない、決済印もない、日付もない、この手の文書に最低限必要な予定価格とか、落札率とか、契約日などの欄が何もない、という実に怪しい文書でした。

私への1400枚の開示文書で全面黒塗りであったものが、ここでもし開示されたのだとすると、議員さんから要請されたり、公取に告発するぞと言われたり、今後住民訴訟等に発展する可能性などを考慮して、少しずつ市の対応が変わってきたのだろうと推察されます。

事実、この後2/4に、前回掲載しました「必須事項一覧バージョン」が開示されています。

さて、この文書には、すでに以下のような不可解な点が見つかっています。


《3社の入札について》

・5件の指名競争入札業者各3社は全て同じではないか。

・2社はRIAに最低金額を提示させるための隠れ蓑ではないのか。

・指名しながら2社を黒塗りにしたのは、南海電鉄・県・市とつながりがある企業だからではないか。


《記載内容の矛盾について》

・「資金計画作成業務委託について」及び「基本設計業務委託について」には、次の記述がある。


「最低金額を提示したアール・アイ・エーに業務委託するのが適当である」

この記述では、お伺いをたてているのか、文書を作成したところと業務委託を決定するところが異なる組織のようにとれる

ところが
・「実施設計業務入札結果について」には


「株式会社アール・アイ・エーに発注した」

となっていて、こちは、お伺いをたてておらず、自ら決定している。







・「工事整理業務 見積比較」には、「発注額」の欄に「(株)アール・アイ・エー」と「報酬額」等の記述がある。当文書作成段階では、少なくとも発注先は決定されてると考えられる。





・「権利変換計画作成業務 見積比較」には、「発注額(予定)」となっている。発注には至ってないが、決定前の段階にあることが分かる。




ということは、この文書を作成したのは、

(1)資金計画と基本設計については、入札は終わったが契約はこれからのとき

(2)実施設計は、既に発注済み

(3)工事監理は、発注先決定

(4)権利変更計画作成は、発注先決定したが、発注には至っていない


契約日はわかりませんので、あまり意味はないのですが、入札日だけはわかるので、この情報を、先週公開した最終バージョンの開示情報にあてはめてみると、以下のようになります。


(1)資金計画と基本設計→2016年8/1、8/15以降

(2)実施設計→2017年2/1以降

(3)工事監理→2017年8/4以降

(4)権利変更計画作成→2016年9/21以降


別々の時期にバラバラに報告された文書を
ひとつにまとめて開示したということが言えるのではないかと思われます。


さて、今回の記事で、最も注目していただきたいのが、再度市民の方が開示請求のために市役所に足を運んだときの担当者の対応です。


「1月18日に市政情報課に行くと、開示申し出書を書いてほしいと言われたので、それを書いて出しました。しかし、担当部署には『RIAの落札情報が詳しく書かれた書類がないので、新たに作成したメモのようなものしか出せない』と言われました。このとき、よく覚えているのは、対応してくださった担当部署の責任者の方が極度に緊張しているのか、口元がガタガタ震えていて、もう尋常でない様子でしたね」(市民団体メンバー)

みなさん、見逃すかもしれないので、しつこく引用しておきます。


「このとき、よく覚えているのは、対応してくださった担当部署の責任者の方が極度に緊張しているのか、口元がガタガタ震えていて、もう尋常でない様子でしたね」

どうして、たかだか行政文書の開示請求を受けただけで、市の職員がそこまで緊張するのでしょうか?

議員さんから「公正取引委員会に告発する」とか「適切に開示しないと、住民訴訟に発展する可能性がある」などと詰め寄られたからでしょうか?

もし、そうだとしたら、やはりなにかこれ以上調べられたら困ることが隠されているのではないかと思いました。

これまでの記事→和歌山連載の目次2/24更新

2019年2月20日水曜日

94億円の説明責任

こんにちは、日向です。

先日ビジネスジャーナルでリリースしました和歌山市談合事件の続報は、まもなくと出ると思いますので、もうしばらくお待ちください。

その前にどうしても、はっきりさせておきたいのが行政の情報開示についての責任です。

南海市駅前にできる新しい市民図書館については、南海電鉄がホテルや商業施設の入った駅ビルと一緒に建設して、完成後に、和歌山市が30億円で買い取ることになっています。

最近、よくある民間の資金とノウハウを活用して、公共施設を建てて運営する


PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)

という手法が、和歌山市でも取られているわけですが、

そうすると南海電鉄は民間企業なので、公共機関のような情報開示義務がありません。

今回の件で言えば、この再開発事業の詳細なプロセスについて市民が市に開示請求をしても、「企業の競争上の利益を損なう恐れがある」として、

建設工事の施主である南海電鉄が保持している入札情報などは、一切開示しなくていいということになってしまいます。(公募されて決まった施工会社の部分のみ公表されています)

もちろん、南海電鉄から報告を受けた和歌山市は、その報告内容を市民に開示する義務は当然あるわけですが。

また、山形県酒田市では、同じRIAがコンサルタントで設計も担当している似たようなプロジェクトですが、特設ページでちゃんと情報開示はされています。

和歌山市駅の再開発は、総事業費123億円のうち、南海電鉄への補助金だけで64億円、新しい市民図書館を完成後に市が30億円で買い取ることになっていて、その負担分も含めると、94億円もの公金が投入される予定です。

94億円の財源は、もちろん税金ですから、市民は、その詳細な内訳を知る権利は当然あるわけなんですが、

和歌山市は、開示請求を受けるとほとんど黒塗りで出し


「南海に言われて黒塗りした。あとは南海に聞いて」

と言ってます。

南海電鉄は


「個別具体的に、ここは伏せてとは言ってないが、企業秘密に関係した部分は出さないでと言っているだけ」

と、お互いに責任のなすりあいをしています。結果的に情報開示を阻んでいます。いったい、どちらが悪いんでしょうか。

このへんの詳細については、近日中に、南海電鉄との一問一答を公開する予定ですので、もうしばらくお待ちください。

すると結果的には「94億円の公金は投入するけれど、詳しいお金の使い途は一切教えないし、教えたくない」という理屈が通ってしまうんてす。そんなの、超おかしくないですか?



だったら、お前らが自分のカネでやれよ、そしたら誰も文句ねえよ!

思わず、そういいたくなりますよね。

カネはもらうけど、詳しい説明はしたくないというワガママな事業者は、いますぐ公共の世界から出ていくべきで、それを許している役所や政治家は、自分たちの利権を守っているのではないかとの批判は避けられないと思います。



食い物にされる公共


RIA選定の談合なんていうのは、どうせ情報開示をしないのが前提なわけですから、いくらでもやりたい放題にできるわけです。

PPPを「官民連携」なんて、カッコつけてますけど、その中身は

「官民癒着」と「官製談合」のかたまりじゃあないか

って、市民は思いますよね。

ツタヤ図書館のこれまでの事例をみてますと、

公共が民間の資金とノウハウを活用するのではなくて、


民間が公共を食い物にするためのスキーム

になってしまっていると言っても、決して過言ではないでしょう。


こんな当たり前のこと延々と書き続けてますと、だいたいみなさん飽きて退屈されるんですけれど、ツタヤ図書館の問題というのは、それでも、突然ボロが出てきて、また再燃かと、なかなか面白い展開になっていくものです。

先日の談合疑惑なんかは、まさにその典型。

市民や議員さんの働きかけによって、半年かかって一部分のみ開示にこぎつけた入札調書を、会議資料と、照らし合わせてみると、

コンサルタントのRIAに資金計画を作成させて発表までしといて、その2年後に「3社入札して、RIAを選定しました」と、さも競争入札をしたかのように偽装して、辻褄を合わせてることが一目瞭然。


それを「ざっくりした資金計画を先に立てただけ」とか、「業界の慣例」とか、屁理屈をこねて言い訳してますけれど、

関係者会議に一度も競争入札で審査も選定もされていないRIAというコンサルタントが毎回出てきて、詳細な説明を行なっているというだけで、本来はアウトなはずです。

ツィッターでどなたかが、

「すでに完了したはずの業務を2年後に落札?」に対して

「時空の歪み!?」

と指摘されてましたが、常識では到底考えられないことをしといて

「そんなことはない」

と開き直る神経がツタヤ誘致自治体のが凄いところですね。


和歌山では、おかげさまで、これまでほかの自治体では、あまりにも何から何まで手続き無視すぎて、いったい何が問題なのかがほんやりしていたツタヤ図書館の手口がかなり明確になってきました。

それをひとつずつ紐解いていくと、公共を食い物にしている構造をあぶり出すことができるはずです。

よろしくお願いいたします。

参考→黒塗りした理由を開示請求してみた

2019年2月18日月曜日

「談合王国」の悪夢

こんにちは、日向です。

「まちづくり」とか「都市計画」のコンサルタントというのは、いつも役所の関係者会議に当たり前のようにクライアントと一緒に出席しているのでしょうか?

 昨日BJにリリースした記事のなかで、和歌山市の担当部署の人が、官製談合の動かぬ証拠をつきつけられて、こう開き直っています。


「再開発プロジェクトが立ち上がったばかりの頃に、コーディネーターがざっくりした資金計画案を作成して関係者に発表することは、業界では慣例的に行われている。不適切でもなんでもない。最初は“手弁当”で入ってくる事業者もいるほどだ」

ツタヤ図書館、建設で談合疑惑浮上…和歌山市、入札前から特定業者と資金計画について会議 より

これが事実だとしたら、“手弁当”で入り込んできたコンサルタントが、いつのまにか巨額プロジェクトの計画を事前に作成して、あとで正式にコンサルタントに選定されたりするのでしょうか

そういうことが日常的に行なわれているので、コンプライアンス意識が希薄になっているのでしょうか































ところで、
図書館の指定管理の世界で、「コンサルタント」と言えば、


指定管理者に応募するとき、応募企業に代わってプロポーザルを書いてくれる事業者がいる

と、図書館関係者から聞いたことがあります。

民間企業に運営を全面的に任せる指定管理者制度が始まってすでに10年以上たってますので、いまはそういうコンサルタントが活躍する場面というのは、あまりないと思うのですが、始まった当初は、

図書館なんか運営した経験のある企業ってほとんどいなかったでしょうから、コンサルタントにプロポーザルを書いてもらうなんてこともよくあったのでしょう。

でも、その場合、指定管理者の選考会のブレゼンに、コンサルタントが同席するかといえば、そんなことは、ありえないと思います。入学試験や就職の面接に家庭教師が同席するようなものですから。(クライアントのスタッフに成りすまして同席することはあるかもしれませんが)


まして、役所の関係者会議に落札の2年前から出席して、クライアント=応募する事業者に代わって詳細説明をするなんてことも、ありえないと思います。

指定管理者の募集が始まったら、応募する事業者は役所の人間とは接触禁止。質問は一定期間にメールでのみ受け付けるとか、結構厳しいルールがあったりします。

和歌山市のケースでいえば、南海電鉄は、RIAとコンサルタント契約を交わして都市計画を立案してもらい、会議の席では、自社のかわりに事業計画の説明までしてもらっています。

その結果、2016年に南海電鉄が実施する駅前再開発の都市計画を、和歌山市が決定。国の社会資本整備総合交付金も決定されて、県の分も合わせて総額64億円の補助金獲得に成功しているというわけです。

そのスキームに突然浮上してきた今回の談合疑惑。

たぶん、今頃ゼネコンの人とか、施工のほうまで疑惑が波及してこないか、戦々恐々としているんじゃあないですかね。

いや、いちばん「ガクガクブルブル」なのは、市の職員かもしれませんね。

なんたって、和歌山はかつて現職の県知事が官製談合で逮捕されたほどの「談合王国」でしたから、地元で起きたあの事件は、役所の人にとって消し去ることのできない悪夢のはず。

だったら、CCCはカンケーないのではと思われる方もいるかもしれませんので、ひとつ基本的なことを書いておきますと、

ツタヤ図書館というのは、ハコモノの建築からCCCが深く関与しないと実現できない事業なんですよ。

なぜならば、ダミーの空箱を高い位置に配置した独特の高層書架など、TSUTAYA仕様の空間を基本設計段階から反映しておかないと、彼らの思惑通りのものにはならないからです。

なので、基本設計者に選ばれたRIAが、指定管理者に選定される前のCCCと、内緒で打ち合わせしてたっておかしくないわけです。


現に、先行例の多賀城では、CCCが指定管理者に選ばれるはるか前から、RIAと設計の打ち合わせをしていたことが内部告発によって発覚しています。

長くなりましたので、この続きはまた後日書くことにします。

よろしくお願いいたします。





2019年2月17日日曜日

“同棲”していた「南ちゃん」

こんにちは、日向です。

さきほど、ビジネスジャーナルに最新記事がリリースされました。

ツタヤ図書館、建設で談合疑惑浮上…和歌山市、入札前から特定業者と資金計画について会議

まず、記事中の図版が見づらいので、ここに拡大したものを再掲しておきます。


記事内容をかいつまんでおきますと、今秋、南海和歌山市駅前にできる新市民図書館(ツタヤ図書館になることが決まっている)の設計を担当するRIAが、落札の2年前、すでに官製談合で決まっていたのではないかというものです。

RIAは、落札日の2年前から関係者会議に毎回出ていて、その席で後に落札する資金計画の発表までしていたこと示す証拠の文書が出てきたということなんです。

これを男女関係にたとえますと

・南ちゃんは、R男、Q男、S男の三人にプロポーズされてR男を選んだ

・あとでわかってビックリなのは、すでに南ちゃんは、2年前からR男と同棲していた

・あれっ、それってもしかしてQ男もS男も、知っててプロポーズしたの? なんのために?

というようなお話です。

まぁ、男女関係なら、周りがとやかくいうことでもないのでしょうが、これが総額94億円の公金が入る公共事業になると話は別です。

競争入札は形式だけのことで、すべてが最初から決まっていたのではないのか。そう思われますよね。

ウラでは皆業者は談合しているってウワサはされても、ここまであからさまに癒着がオモテに出るケースはめったにありません。

しかも、それを指摘された和歌山市も南海電鉄も「再開発事業では、慣例として行なわれている」と開き直ってるのがスゴイですよ。何が悪いんだって。

本文にも書きましたけど、同じRIAが手掛けている山形県酒田市のケースでは、ちゃんと落札する前の事業計画立案の段階で、市が一般競争入札を実施してRIAを選定する手続きはふまれています。まぁ、ここも怪しいんですけれど、少なくとも手順は踏んでるんですね。

和歌山市サイドに、私と地元市民の方や議員さんが、半年以上かかって粘り強く要求して、ようやくこれだけ出てきたんです。それも相当にすったもんだありまして。そのへんの経緯は後編で詳しく書きますが。

ふつうなら、市のサイトの「入札・落札」ページにアップされていますよね。酒田市なんかは再開発プロジェクトの特設ページで随時発表しているんです。

その程度の情報を出してもらうのも至難の業というんですから、和歌山市のプロジェクトの不透明さを如実に物語っていると思います。

ちなみに、後編では、今回の前のバージョンである日付のない落札文書を公開する予定です。こちらもたいへん興味深いです。

よろしくお願いいたします。

後編につづく↓
ツタヤ図書館建設で談合疑惑、和歌山が入札偽装か…情報開示請求に“黒塗り”回答

2019年2月15日金曜日

嫌われ者の電話メモ

こんにちは、日向です。

 特定の企業・組織を批判する記事を書くときには、一応、その責任者の方に、コメントをいただかないといけないんですが、最近は、メールとかファックスをお送りして、これに回答してくださいとするケースがほとんどです。

 でも、そうすると、通り一遍のコメントしか返ってきませんので、物足りないですよね。なので、ときには、どうしても当事者のお話をお聞きしておかねばということで、セールスのように、しつこく電話して、先方から忌み嫌われることがあります。

今日は、そのメモを一部公開しておきます。


■ある日の午後■


はい、○○○です。 

----日向と申します。お忙しいところ恐縮ですが、~について~なことについて、ちょっとお話をお伺いしたいのですが。 

すみません。あいにく担当者が会議で席をはずしております。 
----そうですか。また後ほどかけなおします。一応連絡先を申し上げておきます。0000000番です。用件は~で~なのが~でな件で確認させていただければと思っております。ご担当の方に、お伝えいただけますでしょうか。

かしこまりました。お伝えしておきます。

----念のためにお名前を

何々と申します。

----それでは、よろしくお願いいたします。


■当日の夕方■


----さきほどお電話さしあげた日向と申します。~のご担当の方いらっしゃいますか? 

すみません。あいにく現場に出たままで本日は連絡がつかないようです。

----そうですか。それではまた、後日、電話させていただきます。

■2日目の午後■



----昨日、お電話さしあげた日向と申します。~のご担当の方いらっしゃいますか?

あいにく担当は、席をはずしております。

----今日お戻りのご予定は?

申し訳ございません。ちょっとわかりかねます。

----昨日お願いしました伝言は、お伝えいただけましたでしょうか?

はい。伝えましたが、まだ指示がなにもありません。

----~が~な件でお電話しているので、もし御都合が悪ければ回答できないとか、取材に応じられないということで結構ですので、よろしければご返事だけ聞いておいていただければ、助かります。

承知しました。

----よろしくお願いいたします。

■3日目の午後■


----昨日、お電話さしあげた日向と申します。~のご担当の方いらっしゃいますか?

あいにく本日、担当は出かけております。

----~が~な件で、先日来、何度かお電話させていただいてるのですが、ご担当のかたには、お伝えいただいたんでしょうか。なにかおっしゃってましたか?

はい。メールで伝えております。いま、たぶん、いま対応中なんだと思います。わかりませんけれど。

----たぶん? そうですか。わかりました。またのちほどお電話させていただきます。


■3日目の夕方■


----さきほど、お電話さしあげた日向と申します。○○課の○○さん(最初に電話に出た人)いらっしゃいますか?

すみません。席をはずしておりますが。

----~の件で問い合わせているので、ほかの方でも結構ですので、わかる方お願いします。

はい。少々お待ちください。はい。なんでしょう

----日向と申します。~の件で先日来、問い合わせさせていただいておりますが、ご担当の方はいらっしゃいますか

すみません。いま席を外しております。

----そうですか。~が~な件で・・・

お電話代わりました(初日に電話対応した人)

----日向と申します。~の件で先日来、問い合わせさせていただいておりますが、その後、ご担当の方と連絡つきましたでしょうか?

はい。ご用件はメールでお伝えしております。

---メールはいつしていただいのでしょうか?

最初の日です。

----そうですか。なんておっしゃってましたか?


いえ、特に返信はないです。

----はぁ、シカト、いや失礼、その伝言について特に返信はないんですね。

はい。

----先日も申し上げましたが、~が~な件でお電話しているので、もし御都合が悪ければ回答できないとか、取材に応じられないということで結構ですので、ご返事だけいただけると、助かるのですが。

はい。

----すみません。ご担当の方のお名前は?

あっ、特に決まっていないんです。
----えっ、プロジェクトの責任者の方はいないんですか?

いえ、広報対応の責任者が誰がなるのか、まだ決まっておりません。

----失礼ですが、○○○では、外部からの問い合わせには、いつも、そのようなご対応なのでしょうか。今回、私がお聞きしたいのは、~が~の件で、~になっていますので、その点はプライベートなことではなく、巨額の税金が使われている事業です。世間的な関心高いと思いますので、ぜひ、コメントをいただければと思っております。ただ、ご都合が悪ければ、取材拒否もしくは、回答しないとはっきりおっしゃっていただければ、それ以上は、こちらからご連絡しませんので、よろしくお願いいたします。


承知しました。こちらで対応を検討してみます。


果たして、回答がくるのやら…。



2019年2月14日木曜日

新国立競技場とツタヤ図書館

こんにちは、日向です。

『ほぼ月刊ツタヤ図書館』2月号は、今秋新装開館が予定されています和歌山市の“アレな件”について、いよいよ本丸に切り込んだ記事をリリースする予定です。

現在確認取材を鋭意進めておりますので、スムースにいけば、今週末には、速報記事がビジネスジャーナルに掲載されるのではないかと思います。もうしばらくお待ちください。

今月のテーマは、ツタヤ図書館名物の「癒着」です。えっ? 「なにをいまさら」ですか? 

まぁ、そうでよすね。もうお腹いっぱい感ありますよね。でも、和歌山では、まだよくわかってなかった部分が多く、その真相に迫ります。

民間事業者と政治家や役所との「癒着」で、なにがマズイかといいますと、やはり「公平・公正」がないがしろにされることではないでしょうか。

市長が、自分の気に入った「お友達」を連れてきて優遇したりし始めますと、もうなにもかもがおかしくなります。

バカ高い費用がかかるわりに、イマイチ事業の成果があがらなかったり、役所の中も外も、トップの覚えがめでたい業者が我が物顔でのさばってますと、真面目な人ほどやる気なくなります。

そうでない人は上の顔色ばかりうかがってソンタクしますので、市民無視の行政が常態化しかねません。

ツタヤ図書館を誘致した自治体は、この「お友達」を連れてくるような感覚があまりにも酷いように思います。

そもそも新図書館建設は、改装にしろ新築にしろ、当然、設計業務から取り組むわけですから、その部分を担当する事業者が公募されてしかるべきなのに、これまで、広く設計者が公募されたというケースを聞きません。

形式的には、指名競争入札をして契約したとされていますが、その実態は、見積もり合わせしただけの随意契約ばかりでした。

でも、これって、よくよく考えてみると、おかしくないですか? 和歌山市駅の再開発は総事業費123億円ですよ。それほどの大きなプロジェクトに、常識ではありえないことが密かに進行していたんです。

新しい図書館をつくるのならば、自治体は、事業構想のスタート時点で設計者の公募をしていないといけないと、ある人に言われて、「なるほど」って思ったお手本が、新国立競技場の設計コンペなんです。

世界的に著名な建築家ザハ・ハディド氏の設計で一度は決定していたのに、3000億円とか建設費用がいつのまにか巨額に膨れ上がって「あまりにも高すぎる」ため、コンペをやり直したのを覚えておられるでしょうか。

最終的には、

大成建設と建築家・隈研吾氏によるA案、

竹中工務店・清水建設・大林組の共同事業と建築家・伊東豊雄氏によるB案

--の二案が広く公表され、そのどちらがいいのかってテレビのニュースなんかでもさかんに解説されてましたよね。最終的には「隈研吾」案が採用されたわけですが。

ツタヤ誘致自治体はどこも、そうした事業者の選定手続きを、トコトンないがしろにしています。とにかくスピートが第一と、中国共産党の一党独裁みたいに、手続きを無視して進めていってますが、

それって一歩間違えば、官製談合でお縄頂戴しかねない行為。昔風の表現をすれば、「刑務所の塀の上を歩いているような行為」です。一歩間違えば塀の中に落ちかねません。

で、今月は、和歌山市のケースで、一体何が起きていたのかということを独自に入手した文書によって明らかにします。前編後編の2回に分けてリリースされる予定です。

「驚きのスクープ!」とか言いたいところですけど、果たしてどうなることやら・・・。

2/18追記 2/17に記事がリリースされました。


ツタヤ図書館、建設で談合疑惑浮上…和歌山市、入札前から特定業者と資金計画について会議


2019年2月9日土曜日

2004年の怒り

こんにちは、日向です。

昨日紹介しました拙稿

勤労統計不正、背後に厚労省の雇用保険給付カットの意図か…失業保険もらえない人続出

について、もう少し補足しておきます。

ビジネスジャーナルに書いた私の記事は、どちらかといえば、厚労省の不正調査に対する批判よりも、国が2001年以降に行なってきたの雇用保険制度改悪に対する批判に重心が置かれています。

なので、“アベノミクス偽装”を追及したい人にとっては、少しピントはずれに思われたかもしれませんが、今回の事件の根底に流れているのは「セーフティーネット解体」であるという点をみていただければ、真意は、ご理解いただけるのではないかと思います

さて、今回の不正調査が始まったとされる2004年当時を思い起こしてみますと、制度改悪に対するメディアの批判は、私が知る限り、あまり強くありませんでした。

とりわけ全国紙をはじめとした新聞には、雇用保険制度のセーフティーネット機能劣化に対する批判的な報道は少なく、その寛容さは、特筆にあたいするほどだったように記憶しています。

そうしたなか、誰も言わないのなら、どうしても書いておかねばと思って、拙著の冒頭部分に強引に挿入した15年前の“怒りの一文”を以下に引用しておきます。厚労省のドタバタぶりもよくわかると思います。




 給付削減ばかりめだつ今回の法改正の背景には「失業者の急増による雇用保険財政破綻の危機」がありました。
平成5年度には4兆7000億円を超えていた積立金が平成15年度中に枯渇することが確実視されたため、急遽「給付と負担の見直し」が行われたわけです。
 しかし、平成13年4月の改正時に「保険料の弾力条項の見直しによって、将来万一、完全失業率が5%台半ばまで悪化した場合でも、雇用保険の安定的な運営ができるようになった」と、厚労省は胸を張っていたのです。 
 にもかかわらず、それからたった2年で「安定的な運営」が困難な状況に陥ったのは、厚労省の見込みの甘さを露呈した結果と言えるでしょう。現在の失業率は、彼らの予想(「5%台半ば」)の範囲内なのですから、なぜそうなったのかまったく理解に苦しみます。 
 また、今回の改正法が、十分な周知徹底期間がないまま施行された点も見逃せません。審議会の最終報告が出されたのが平成14年12月。年明けの国会に法案が提出・審議されて4月末ギリギリ成立。5月施行というドタバタ劇の結果、法改正を知らずに退職して不利益を被った人も少なくないはずです。

 したがって、これから退職を予定している人は、改正の動きがないか常に新聞報道などに注目しておかないといけない時代になったといえるでしょう。

(『新版失業保険150%トコトン活用術』2004年3月刊より)


要領のいい人だけがトクをして、下を向いて真面目に働く人は報われない--。

いま思えば、当時からそんな社会へ急速に変わりつつあったように感じます。


追記 昨日の昼頃に出した記事タイトルを、当初「「大魔神」を殺したのは誰か」としていましたが、内容がわかりづらいと思いまして「セーフティーネットの解体」に変更しました。

2019年2月8日金曜日

セーフティーネット解体

こんにちは、日向です。

 今日は、ツタヤ図書館の話題はいったんお休みしまして、私の本業の労働問題について書いておきたいと思います。

 ビジネスジャーナルに、厚労省の不正調査について以下の記事を書きました。

勤労統計不正、背後に厚労省の雇用保険給付カットの意図か…失業保険もらえない人続出

 今話題になっている毎月勤労統計の不適切な調査手法が始まったのが2004年からというのニュースを聞いて、すぐに

「当時パンク寸前だった雇用保険財政を立て直すためだろう」

と思ったのですが、誰もその点を深く掘り下げることなく、やがて“アベノミクス偽装”に論点が移っていきました。

 しかし、過去の雇用保険データを改めてみてみたところ、やはり

「雇用保険財政との関連性は無視できない」

と思い、急いでそこの点をまとめておきました。


 雇用保険制度を、継続的に失業者側からみている人は、ほとんどいません。受給する人は、お世話になるのは、長くても1年くらいです。

 私の場合は、雇用保険関係の書籍を出版している関係から、毎年改定される失業手当の動向を調べるのは、もう20年以上ルーチンワークのひとつになっていました。

その金額をみて「今年もまた下がってるのかよ、いいかげんにしろよ」などと受給者の立場から嘆息し続けていました。

 不正調査が始まった2004年というのは、雇用保険財政がパンク寸前に追い込まれていた頃でしたから、厚労省がその頃から不適切な手法を用いたとしたら、当然、雇用保険財政との関係を疑うのが筋なのですが、どういうわけか、そこのへんはスルーされてしまいました。

 私がこの記事で言いたかったのは、国が07年以降に推し進めてきた

「セーフティーネット解体」

と呼んでもいいくらい雇用保険制度を改悪してきた暴挙をあぶり出すことです。

 「カネないからしょうがない」 ってみなさん思いますよね。でも、違うんです。

この10年を振り返ると、雇用保険に関しては、カネがないどころか、カネは有り余っていました。

毎年莫大な金額の黒字が積み上がっていき、サイフがパンパンに膨れ上がって、その使い途に困っているほどなんです。

 なのに、一度財政破綻のピンチがトラウマになっているのかどうかわかりませんが、できるだけ失業して困っている人にカネを払わずに、再就職できた人などあまり困ってない人にはカネを払うという方向にカジを切ってしまいました。

 雇用保険は、広く薄く集めることに成功している社会保険の優等生でした。不正調査によって給付額を年々減額し、たびかさなる制度の改悪によって、“優等生”をひきずり降ろして、いったいなにをしようとしているのでしょうか。

 03年には、財政破綻のピンチが訪れましたが、それはセーフティーネット機能がフルに機能したことの証左です。

大魔神が荒波にたちはだかって、「働く人救済」に大活躍したのです。

しかし、08年のリーマンショックのときには、大魔神は現れず、大惨事が起きてしまいました。

 そんな経緯をデータで詳しく解説しましたので、関心のある方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

よろしくお願いいたします。




第8版 失業保険150%トコトン活用術 (DOBOOKS) 単行本(ソフトカバー) 2017/8/30 日向 咲嗣 (著)

2019年2月2日土曜日

“ペーパー図書館”と国交省

昨日のつづきです。


全国市街地開発協会という謎の公益社団法人と契約した和歌山市は、2012年から3年連続で3回にわたって、まちづくりに関する計画策定業務を発注しています。

同協会の下請けで入り、その実務を担当したのが、誰あろうCCCの代官山蔦屋書店を手掛けた設計事務所で、建設コンサルタントのRIAだったのです。


下の図をみてください。

これが昨日説明しました2014年9月に突如として出てきた和歌山市の南海市駅再開発に関する報告書の一部分です。
(『和歌山市 まちなかエリア 公共施設の課題整理と再整備の方向性について』A3版全14ページ)


A3コピーするときに左右が反転しています。図書館部分になると、なぜか黒塗り部分が増えてくる






これまでの経緯をふまえたうえで、南海市駅エリアの再整備の必要性を述べていると思ったら、唐突に市民図書館の建て替えについて言及しています。

このなかで、参考事例として紹介されているのは、徳島市立図書館、和泉市立図書館、武雄市図書館、多賀城市立図書館の4事例でした。






 武雄市を除けば、いずれも駅前=中心市街地の再開発を目的として新築された図書館なんですが、このうち、徳島市立図書館と多賀城市立図書館は、RIAが設計を手掛けた建物でした。

また、武雄市の図書館は、RIAによる設計ではありませんが、みなさんご存知のように、TSUTAYA図書館第1号です。

「手前味噌」と言われても、やはり自分たちが手掛けたプロジェクトは自慢したいでしょうから、すでに開館されて賑わっているのでしたら、2館入っているくらいは大目にみましょう。

また、武雄市も、まだ古本騒動が勃発する前のことですから、新しい試みとして話題になったことを紹介するのも、まぁ仕方ないでしょう。

しかし、誰がどうみても、ここに出てくるのが不適切だと思われる事例がひとつあります。

それが、宮城県・多賀城市立図書館です。

同館が「第三のツタヤ図書館」として、新装開館するのは2016年3月のことです。

この報告書が提出された2014年9月には、まだ建物の骨組みすらできていません。この世に存在しない「ペーパー図書館」といってもいいでしょう。


報告書の事例紹介では、まだ建物すら完成していない宮城県多賀城市立図書館の計画が紹介されていた。20163月にCCC運営のツタヤ図書館として新装開館した同館も、RIAがコンサルタントとして計画段階から関与して、施設の設計を手掛けていた。


それをここまで“ドヤ顔”で紹介するとは、あいた口がふさがりません。

武雄市も、それに続く海老名市も、既存の建物を改装してTSUTAYA図書館としてオープンしていますので、建物をTSUTAYA様式で新築して作られた最初の図書館が多賀城だったのですが、それは、この時点では、まだ影も形も存在しておらず、紙の上だけの計画にすぎませんでした。

しかも紹介文に


「CCCが、宮城県多賀城市が進める図書館などの施設整備について、同市と官民パートナーシップ(PPP)を結ぶことで合意」

とありますが、それは、CCCが指定管理者に選定される前の出来事にすぎず、CCCが適切な手続きを踏んで選定されたとは書かれていません。

文書が発表された2014年9月には、かろうじて正式な選定手続きは終わっていますが、この文章が書かれた時点では、まだ正式決定には至っていなかったかもしれません。

「合意」とは、CCCが多賀城の新図書館建設にアドバイスをするよという連携協定を締結しているにすぎないのですから。

翌年には、選定前の2013年7月からCCCが多賀城市教委のスタッフと密談していた内部文書が暴露されています。

RIAが、まだこの世に存在しない「ペーパー図書館」を紹介したのは、和歌山市も多賀城と同じく、TSUTAYAを誘致して駅前の賑わいを創出するという話が、この時点で、すでにすっかり出来上がっていたからではないでしょうか。

そして、予定通り都市計画を進めていけば、巨額の補助金を国から引き出すことができると、プロジェクトの関係者たちは、みんが有頂天になっていたのではないでしょうか。


すべて随意契約


 さて、和歌山市が契約した謎の公益法人・全国市街地開発協会についても、もう少し補足しておきましょう。

開示請求でわかったのは、和歌山市が同協会に委託した計画策定業務は、総額にして2300万円(2012年1900万円、2013年300万円、2014年87万円)でした。

それだけの受託金額であるにもかかわらず、この件に関して和歌山市が事業者を公募した形跡は見当たらず、同協会には、いずれも随意契約で発注していることです。

同協会が国交省の関連団体であることからすれば、

巨額の補助金をひっぱってくるプロジェクトを進めるためには、県庁が国交省からの天下りを受け入れたのと同じく、同協会を通して指定のコンサルタントに計画立案を依頼しないといけないということなのでしょうか。


また、実務を担当したのはRIAなので、結果的にRIAは、事業者としての審査を一度も経ることなく、スルスルッと巨額プロジェクトに入り込んでいる点にも注目してください。

いったい、どうしてそんなことが可能なのでしょうか。

取材でわかったのは、以下のことでした。

・和歌山市は、全国市街地開発協会から、同協会の会員であるRIAを紹介された。(同協会の下請けで、委託した業務を担当してもらった)

・和歌山市は、同協会の会員ではない

・RIAを紹介されたのは「和歌山市の実情に詳しいから」

 「和歌山市の実情に詳しい」ということは、過去に和歌山市に関連した仕事をRIAは手掛けているわけですよね。

だとしたら、直接依頼すればよいものを、わざわざ国交省の関連団体である協会に“紹介”してもらうというのも実におかしな話です。

とにかく、矛盾だらけなので、自分で書いてても突っ込みどころ満載だと思うのですが、


・和歌山市は、全国市街地開発協会に依頼して、和歌山市の実情に詳しいRIAにまちづく計画を策定してもらった 
・その計画の中心には、いつのまにか「駅前に図書館をもってきて集客する」という案がすえられていた

--ということだけは、間違いのない事実です。

そして、RIAは、和歌山市の仕事をしながら、まったく同じ時期に、南海電鉄のコンサルティングもしていたことを、私の取材に対して、南海電鉄サイドが認めました。

こうして、RIAは、公募を経ることなく、巨額プロジェクトに次第に深く食い込んでいき、基本設計から実施設計、施工管理といった設計関連業務を独占的に獲得していくのです。

2019年2月1日金曜日

謎の公益法人

こんにちは、日向です。

先日書きました 『RIAの暗躍』について、もう少し経緯を詳しく書いておきたいと思います。


昨年7月、和歌山市が97%が黒塗りで開示してきた(『黒塗りの図書館計画』参照)1400枚の資料を調べていくと、

会議がスタートした翌月の2014年7月以降、毎回RIAのスタッフが出席していました。

RIAは、これまで何度も述べている通り、CCCのフラッグシップとも言える代官山蔦屋書店の設計を手掛けた設計事務所であり、まちづくりの構想を手掛けることが得意な建設コンサルタントでもあります。

なんで、そんな会社がまだ何も決まってもない段階で、再開発プロジェクトの関係者会議に参加しているのか、不思議に思った私は、


「RIAは、どういう資格で調整会議に出席しているのか?」

と、和歌山市の担当部署に問い合わせましたところ

当初「和歌山市がRIAと直接契約を締結して、都市計画に関する業務を委託している」

という回答でした。

前回も述べたように、会議資料を読む限り、RIAは、てっきり南海電鉄側の代理人というかコンサルタントとして会議に出て発言しているような雰囲気でしたので、この回答には、正直、驚きました。

もちろん、市が計画する都市計画もRIAが深く関与しているのだろうとは漠然と思っていましたが、それがすぐに問題になるとは、まだこのときには気付いていなかったのが正直なところです。

で、どちらにしろ、市がそう明言しているわけですから、具体的に市とどういう契約をRIAが交わしているのかを知るために情報開示請求をしました。それに対する回答が以下の書面です。




「和歌山市がRIAと直接契約を締結」していると担当部署では言ってたのに、ふたをあけてみしたら、「契約していない」というんですから、これまた、驚きました。

「えっ、じゃあ、RIAと契約してると言ったのは、ウソだったんですか?」

と問い詰めましたところが、こういうおかしな回答がきたんですね。


「契約を交わしているのは、公益社団法人の全国市街地開発協会というところ。詳しくはネットで調べてほしい」

えっ、そこってもしかして国交省の関連団体?

と聞きましたところ

「そうとも言えるかもしれない」というなんとも曖昧な回答。

調べてみると、やはりその団体は、国交省系列の外郭組織でした。


いろいろ聞きましたところ、この協会さんの下請けで入っているRIAが、和歌山市が依頼したまちづくりに関する調査や計画立案などを担当したということらしいんです。

じゃあ、その資料を出してよということで、開示請求の文言を担当課の指導の下に書き直しまして再度請求しました。





出てきたのが2012年、2013年、2014年の三度にわかる契約書と発注書でした。



調査報告書等の成果物は、すでに市のサイトで公表されていたため、文書番号を電話で伝えられただけでしたが、最後の2014年に行なわれた調査報告書については、現物のコピーが開示されたのです。


それがBJでも紹介した「和歌山市 まちなかエリア 公共施設の課題整理と再整備の方向性について」です。日付は「平成26年9月」となっています。




この文書をみて、何が驚いたかって言いますと、2012年以来、さんざん行なわれてきた調査報告書には、図書館の「と」の字もでてこなかったのに、一躍、まちづくりの主役に図書館が躍り出てきてるところでした。

すなわち、市駅再開発には、市民図書館を移転させるのが最善の策みたいな話になってるんですよ。

これは、多賀城以降、TSUTAYAを誘致した自治体に共通していることなんですが、長年中心市街地の空洞化対策をさんざん練ってきたけど、なかなか前に進まず苦労しているところに、ある日突然、「そうだ、図書館もってこよう!」みたいな話がどこからか降って沸いてきてるんです。

多賀城、周南、延岡(図書館ではないブックカフェになりましたが)は、どこもそのパターンですね。

延岡などは、市民主導でまちづくりの計画を進めていたことが伝えられていますが、和歌山もそれとよく似たパターンです。

RIAがからんでいたとは言え、図書館の話が出てくるまでは、市民参加のイベントなども開催されていて、まちづくりの構想に関しては、悪くないというと大変失礼ですが、前市長も市の関係者の方もたいへん熱心に取り組んでおられたのだなぁということがわかる文書が続いていました。

それが市長が変わる頃をみはからったように、和歌山市は、市駅前再開発プロジェクトについて、南海電鉄と県庁を含めた調整会議をスタート。

そして、スタートして3カ月後に、新しい図書館を目玉とした都市計画が突然表に出てくるわけです。

長くなりましたので、続きはまた明日書きます。