先日、『ようこそ、“TSUTAYA小学校”へ』と題した当ブログのエントリーのなかで、
東京都内の某役所が2014年に東京労働局に違法認定された事件を例示しました。
戸籍窓口を民間企業に丸ごと委託した某自治体の業務が、労働局に“偽造請負”と指摘されたケースです。
民間を指導する立場の役所が、国の機関から査察を受けたうえ、改善命令まで出されるという前代未聞の出来事でしたので、役所内が騒然となったのは無理もありません。
でも、図書館は、とりあえず関係ないよね
そう思った方もいたかもしれませんが、もちろん、そんなことはありません。役所の窓口に負けず劣らず、“偽装請負”の温床なのが学校図書館です。
担当教諭と打ち合わせ厳禁
“請負”である以上、委託会社のスタッフは、派遣された学校において、担当教諭や校長等の直接的な指揮命令の下に動いてはいけません。
学校側と打ち合わせした請負会社の営業担当者が、その要請を現場スタッフに伝えてクライアントの要求に答えるのが筋です。
でも、考えてもみてください。毎日、学校図書館に通っている学校図書館司書が、担当教諭と簡単な打ち合わせすらしないということはありえるでしょうか?
ふつうに打ち合わせくらいしますよね。すると、たちまちその行為が「違法」と認定されかねないほど窮屈なスキームなんです。
なので、規模の小さい学校図書館というのは、役所としても、民間事業者に任せる必然性がみあたりません。ふつうに直接雇用で採用したほうずっとが自由に取り組めるからです。
指定管理になる前の公共図書館でも、かつては、カウンター業務のみの一部委託が主流だった時代があります。そのとき、現場スタッフはやはり、委託会社の管理職としか話をしてはいけないという窮屈な運用をしていました。
Tカード勧誘活動された小学校
ところで、CCCが2016年から市立図書館の指定管理者になっている多賀城市では、市立図書館とは別に、市内小中学校10校の学校図書館の運営をCCCのスタッフが担当しているという記事が出ていました。
多賀城市では、市立図書館と、市内小中学校10校の学校図書館の運営をCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)に委託している。学校図書館司書の佐藤さんは市立図書館から派遣され、10時から15時まで学校図書館に勤務している。https://libinfo.fjas.fujitsu.com/libschool-vpr/post_25.html
図書の配架、展示などの図書館全般に関わる運営を行っている。また、図書の受け入れでは、子どもたちの要望や先生方からの購入依頼や学校司書としての選書を取りまとめ、市立図書館の蔵書を確認しながら購入している。子どもたちからのリクエストについては、市立図書館から本を借りて子どもたちに読ませ、感想を聞いてから購入している。また、除籍については、生涯学習課の「除籍基準」に基づいて行っている。司書教諭と本を確認しながら除籍候補を抽出し、多賀城市から許可を得たのちに除籍となる。
図書館サービス向上委員会 りぶしる 宮城県 多賀城市立天真小学校 より
もちろん派遣ではなく、請負です。CCCとしては、学校図書館、単体では儲からなくても、教育現場に入り込んで実績をあげるには、またとないチャンスなのでしょう。
この記事中で、私が注目したのは「読書通帳」の導入です。
・子どもたちに図書館を身近に感じてもらうための働き掛けとして、2016年度から市立図書館で校外学習を始めました。全学年を対象としており、2016年12月の時点では2、3、4、6年生で実施しました。学習内容としては、図書館についての説明や配架などについても案内していただくというものです。また、市立図書館から全校児童に対し読書通帳が配られており、使用方法についても教えていただきました。
借りた本を預金通帳形式で記録するのが「読書通帳」なるツール。いかにも子供たちが飛びつきそうな“飛び道具”を使って、児童を市立図書館に取り込もうとしているようにみえます。
実は、2016年3月21日のオープン前に、市内で真っ先に読書通帳を配布したのが、この小学校だったことを、当時リアルタイムで把握していました。その顛末は、以下の記事に書きました。
ツタヤ図書館、小中学校で実質的なTカード勧誘活動を展開…教師は説明受けず憤慨
「事前の説明なんか何もないですよ。卒業式前日の3月17日お昼頃でした。突然、『職員室に取りにきてください』と校内放送があって、バタバタと生徒に配っただけです。生徒には1枚の案内がついていましたが、担任の教師にはそれすら渡されませんでした」
そう憤慨するのは、宮城県・多賀城市内にある小学校の…
学校現場でいきなり配布した読書通帳が、「Tカード勧誘」になる巧妙なカラクリをこの記事中で明らかにしました。
多賀城での“実績”をもとにCCCは、市議会でも熱心に“営業活動”してくれる癒着市議がいる和歌山市からは、本格的に教育現場に入り込んで次のビジネスを模索するつもりなのでしょうか。
もしうまくいかなくても、子供たちを市立図書館に誘導して、Tカード付利用カードをつくってもらったら、このところ斜陽気味なTカード会員をガッチリ獲得できるので、損はないのかもしれません。
いずれにしろ、TSUTAYAの虚偽広告で1億円の課徴金を課せられたばかりのCCCが、教育現場でもとんでもない違法行為を犯さないように、くれぐれも注意してもらいたいですね。
『和歌山市民の緊急申し入れ』へつづく
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