2023年8月30日水曜日

11年前の悪夢を再現した無印図書館~のり弁すら出てこない岐阜県可児市~

 

こんにちは、日向です。


岐阜県可児市に開示請求していた無印図書館の件、該当する資料が昨日ようやく開示されました。


送られてきたCDに収録された資料は、6つの文書に分かれていましたので、これは膨大な資料が出てきたのかなと恐れおののきながら、データをひとつひとつ開いてみましたところ、開示文書の総枚数はたったの10枚でした。





あれっ、これですべて? 肝心の事業者からの詳しい提案内容や、それを評価した行政サイドの審査の詳細についての資料は、一枚もないのです。


これはやられたかな…。


そう思ったのは、担当部署に電話して内容確認してからでした。


改めて、自分請求した文言を確認してみたところ、こうなっていました。


無印良品ヨシヅヤ店内に開館予定の市立図書館分館

の事業決定までの経緯がわかるもの







“事業決定までの経緯”ですから、行政のブロセスとして、事業者から提案を受けてそれを検討して決定した過程におけ決裁文書だけを抜き出すと、こういうことになったんでしょうか。それにしても、良品計画から提出された詳しい提案内容がわかるものがなにもないのは、納得がいきません。(私は、「~に関する一切の文書」というような請求文は、あまり使いません。事前に担当部署にこちらの請求の主旨を伝えて、迅速に対応してもらうため)


提案書が不開示なら、そうあらかじめ通知されてないとおかしいのでは?


そう担当者に指摘しましたところ「開示決定通知書をよくみてください」と言われまして、改めてそれをみてみましたところ、そこには確かに「一部公開」となっていました。そして、「非公開とする部分及びその理由」の欄には、確かに、こう明記されていたのです。


・提案書の内容、審査会の合計審査点


ん?


そんなバカな。もし提案内容が非開示だとすれば、その部分は、通常は全面黒塗りされた、通称のり弁になって出てくるはず。そうしないと、不開示部分の公文書が存在していることすら明確にはなりません。しかし、どこにも全面黒塗りされた書類はありません。


事業者からの提案内容を審査した際のプロセスについても、それと同様に、黒塗り文書が出てきてはじめて「なるほどそういう評価があったのか」ということがわかるわけですので、一言「非開示」としただけでは、情報公開としては不完全ではないのかと指摘しまして、現在、追加で黒塗り文書を出してもらえるよう交渉中です。


ちなみに、私がこれまで開示請求したなかで、事業者の提案内容(採用された)すら非開示になったのは、「史上最悪のツタヤ誘致自治体が熊本県宇城市」とした熊本県宇城市でのCCC提案だけでした。情報開示に消極的な和歌山市ですら、メチャクチャ黒塗りされてはいても、提案書そのものは開示されているのです。


●時計を11年前に戻した無印図書館計画


では、開示された資料の中身はどうでしょうか。


ざっとみたところ、いくらなんでも、こんな経緯で市民の大切な図書館が一民間事業者の思い付きのような企画にふりまわされるのか、というのが率直な感想です。


まずスタートラインが、可児市が突然、今年1月4日、「公民連携ワンストップ対話窓口」を設置したことでした。


市政について、なにかいいアイデアがあったら民間事業者の方は、どしどし提案してね


――とした窓口に、2日後の1月6日、無印良品の良品計画からこんな提案がありました。


社会課題の解決に関する連携協定について


そう題した「対話申し込みシート」には、


11月にオープン予定の自社店舗内に、地域課題解決のためのコミュニティスペースを設置して、そこに図書を配架するとされていました。






図書館とは書いてないものの「買い物ついでに本を借りる」とされていることからして、明確に図書館のボランチ(分館)を想定していることがうかがえます。


ここで注目すべきなのは、なにゆえ、良品計画という物販事業者が


地域の課題を解決するために自治体と連携協定を締結


するという話になっているか、です。


図書館など、これまで運営した実績や経験は一切なく、カルチュア・コンビニエンス・クラブのように本を販売する書店としての実績すらもなく、ましてや地域課題を解決してきた実績があるとは思えない事業者からの唐突な提案に対して、なぜか可児市は、驚くほどのスピートと熱意で実現へと邁進していきます。


3カ月後の4/18には、正式な提案書が市に提出され、この時点では、ほぼ内定していたのではないのか?と思えるほどトントン拍子で進んでいきます。





提案書を提出したと同時に、事業提案に関する審査会の設置とその審査を担当する審査委員のメンバーについて伺い書を起案。かと思ったら、驚くべきことに、その当日決裁がなされています。

ふつうでしたら、ここにいたるまでに庁内で検討会議が開催されて、その会議録等が出てくるはずですが、そういった経緯は一切ありません。


そして、正式提案から一カ月もたたない5月10日に審査会がか開催され、5月15日に開催された庁議において、良品計画からの提案が正式に了承されています。









これが“事業決定までの経緯”のすべでです。


ふつうでしたら、役所がまずは、市民や有識者の意見を聞いたうえで、その意見をもとにした新しい図書館の構想をあきらかにし、その事業を担う事業者が公募され、それに応募してきた複数社が参加したコンペにおいて選定された事業者の提案が採用される、という流れになるはず。

なのに、可児市の場合は、良品計画の一社の提案のみが俎上にあげれて審査が行われ、同社の店舗が11月に出店するショッピングセンターのスケジュールに合わせるかのごとく、事業が決定するという、市民にとっては「市長の個人的な趣味で図書館をつくってんの?」と疑ってしまうほど、市民を無視したプロセスだったことがよくわかります。


いまから11年前の2012年5月4日、当時の佐賀県武雄市の樋渡市長が、市民の意見も聞かずに、突然、TSUTAYA図書館を宣言した事件をほうふつとさせます。(代官山T-SITEで派手に記者会見)


武雄市立図書館の企画・運営に関する提携基本合意について。武雄市立図書館を指定管理者制度を活用して、CCCにその運営を委託する


みなさんご存じのように、これがツタヤ図書館騒動の始まりでした。図書館について何の実績もないカルチュア・コンビニエンス・クラブが、コンペも経ずに、市長の鶴の一声によって随意契約で武雄市と連携協定を締結。翌年4月からは、自分たちの好きなように図書館を運営するのです。


当時、「9つの市民価値」とぶちあげた武雄市図書館のセールスポイントは、その後どうなったか、知ってますか? 


  • 説明会開催せずに逃げまくった読谷村の宣伝文句・その3~武雄市「9つの市民価値」の残骸~

    • ロクにコンペもせずに、良品計画の提案を丸飲みした可児市は、11年前にさんざん批判された武雄市のテツを、いま踏もうとしているのです。



      ●民間の商標を図書館名に採用した可児市



      ちょうどこの情報開示を精査していたときに飛び込んできたのが、可児市が良品計画の提案通りにショピングモール(ヨシヅヤ店舗内)に設置しようとしている、いわゆる無印図書館の名称が決まったというニュースです。


      「無印図書館」こと可児市のショッピングモール内に開館する図書館分館の名称は「市立カニミライブ図書館」に決定した(8/24岐阜新聞


      ん? 公共図書館の分室なのに、なんで名称がカタカナなの? 愛称なの?


      そう思って担当部署に聞いてみたところ、これも良品計画からの提案らしいんです。可児市が同社から提案を受けたのは、店舗内に図書館を設置することに加えて、もうひとつ地域活性拠点となるスペースも店舗内に立ちあげるというものがあったそうなんです。

      で、その地域活性化拠点の名称が「カニミライブ」となるそうで、こちらの運営には役所は直接関与せずにあくまでも良品計画が独自に展開する施設。その施設の名称「カニミライブ」、しかも、隣接する図書館もその名称を使って「カニミライブ図書館」と、正式に設置条例を改定しているんです。


      https://www.city.kani.lg.jp/secure/25807/R5.8.23.pdf#page=10



      いや、民間が勝手にやることでしたら、市民は特に文句は言わないと思いますが、これが図書館の名前にもなるというと話は別。どうしてその名称を一般公募するなりして、市民の意見を聞かなかったのか?そう指弾されかねないことだと思います。

       

      しかもですよ。この「カニミライブ」という名前、すでに良品計画が商標登録を申請しているものであることが判明。つまり、民間が権利をもっている名称を役所がタダで使わせてもらうという約束になっているそうなんです。


      可児市が良品計画の提案を庁議で正式に了承する2カ月近く前の3/6の時点で、「カニミライブ」という名称の商標登録の申請がすでに出されていた。



      しかし、今後この「カニミライブ」という名称を市民がなんらかの目的で使用(たとえば「カニミライブスポーツクラブ」とか)しようとした場合、権利者から使用料を請求されたりするおそれはないのでしょうか? あるいは、同名のキャラクターがこれから登場したりしますと、そのグッズの販売等で利益をあげることも想定されますから、そのキャラクターの使用料を請求されたりするおそれはないのでしょうか?


      そもそも図書館ではない「カニミライブ」という施設はいったい何をするのでしょうか?


      地域の住民が困っていることについて相談にのる窓口


      だと担当部署では説明していますが、そこに市の職員を配置するのか、それともソーシャルワーカーなど専門職を配置するのかなど、具体的なことはこれから協議するそうで、なにも決まっていないんだそうです。


      地域の課題を公民連携して解決する窓口を設置する


      そう言えば聞こえはいいですが、無印良品がほぼ最低賃金で雇用する(おそらく)非正規スタッフが、相談窓口で対応して、空き家問題とか健康問題とか、市民の困りごとを解決できるのでしょうか?


      設置するなら、図書館司書と同じく、それなりに特定分野に精通している専門職か、あるいは市の出先機関の職員を設置しなければならないはずですが、果たして民間施設で、そんなことはできるのでしょうか?


      これは、ツタヤ図書館問題でさんざん体験してきたことなんですが、まるで広告代理店が作成したかのような美辞麗句が並べられた民間の提案書は、イメージ先行で、実態といいますか、中身が不明なことがほとんどです。


      要するに、「公民連携」という大義名分のもとに、単に民間事業者が行政に簡単に入り込むための、「バックドア」を設置しているだけではないのか? としか思えない事例ばかりをみてきたものとしては、「公民連携」して「地域の課題を解決する」イコール、民間が公共を食い物にしていくために行われる公共事業の不適切な推進ではないのかって思います。


      それを可能にしているのは、透明性がまるでない、密室で決められた政官財の癒着構造があるのではないのか、というのが、今回の開示資料を読んだ感想です。


      また、なにかわかりましたら、おしらせします。


      よろしくお願いいたします。




      (以下、関係各所とのやりとり・取材メモ 単なる忘備録ですので、内容は不確実です)



      図書館の分館を一緒にやりませんかとは別の提案として、


      地域のコミニティセンター 地域課題に一緒に対応 地域の課題 いろいろ


      空き家 健康 年寄りの介護 相談窓口 図書館とは関係ない


      図書館が入る。核として。地域の住民が困っているこを相談する窓口。市とか良品計画 ソーシャルワーカー? 場合によっては。そうでない人。職員もありえる。決まっていない。場所を。提供してくれる。隣接? 店舗の中。可児市ではなく良品計画が自前。市の職員おくかどうかわからない。


      地域の課題を解決する場所。カニミライブと命名。地域の拠点の中にある図書館ということで、カニミライブ図書館。正式名称? その予定。


      市民の相談窓口。ネーミングライツではなく、図書館も地域の拠点の中に含まれている。施設というほど大きくない。市民活動センター。市が直営でやるわけではない。


      カニミライブ図書館。図書館の名前がそれになるのは理解できないが? 拠点がカニミライブ。総称。使用料は払いません。無償で。そういう約束で。


      今後使うたびに良品計画の商標を使用? カニミニイブのキャラクター商品、グッズ商品を可児市がオーソライズ? そこで金儲けすることができると。 市がそれを支援する?


      一緒に、公民連携して地域の課題を解決していこうと。拠点の名前カニミライブ。商売。権利発生。どのように対処。グレー。請求されかねないのでは? 市が使っていく分には費用発生しませんと約束。市民がカニミライブで団体拠点。使用料。カニミライブクラブとか。ドカンと。キャラクターもつくるとしたら? 販売権利。まだなっていない。想定。自治体は。クマモン無料。市民が勝手に使ったら有料では?


      図書館に命名するのが違和感あるが? グレーにする。施設の名前を民間。検討がなにもない。権利関係。なにもない。使うと言うと約束。無償で?


      市民に名称案募集していない。提案。市民は口出しできない。名称募集。愛される施設で募集。民間なにもなしに。参加できない。そこが時間的なところ。タイトスケ。そこもふくめて。地域拠点を一緒にやりましょう。


      短い期間にいいなり? 市民の声を聞かずにやった?市長の独断? 庁内では。選考委員会。提案事項ない。黒塗りもない。プロセスもない。勝手に決めたわけではない。市民が知らない。なにもない。可児市では、いつもこう? 市が自分でつくる場合は、意見募集する。建物建てるのならどういう図書館に。建設委員会検討するのが通常のプロセス。これは、企業のなかで提案受けて決めていったもの。


      こういう提案受けてますがと、市民の意見は聞かない? 時間的猶予があればそうする。なぜ。(11月の)開店に合わせて? 良品計画が店舗を開店するのにあわせて。そのなかに入る。いいなりでは?


      競合の企業があって、うちはこれとコンペ。店舗出す決める。図書館を分館をつくるという計画があって、どこかありませんかとこちらが主体で動くことがあれば、今回は公民連携のなかで進めた。


      図書館が主でやったわけではない。主は公民連携の事業。なんのために? 開店に合わせて。そこらへんの詳しい資料があるはず。主旨は市のホムペにのっけている。それにあわせてやった。


      ネーミングはあわててやらなくても。図書館の名前を決めないと。設置条例。名前まで丁寧に。議会からの意見。付帯決議。異議はあった。ユーチューブ。付帯決議。分館も位置づけなさいという意見。それを受けて条例改正。いままでは規則の委任事項でうたっていた。9月議決がないと正式にならない。


      開示請求の仕方悪かった? 担当者とよく話をしてもらって、こういうのないのか。あるないと詰めていかないと。一回では難しい。真っ黒な紙すらないですが?


      良品計画さんと一緒に地域の課題解決。これから決めていく。名前もハコも誰かを置く。コアがこれから決めていく。解決できる人がそこにいる。図書館の本が解決。がんになったときに読む本など、医療であぶない行為がたくさんあるのでは? 専門家がいないと本を紹介するのもあやういのでは? 問題解決してるんだというとんでもない話では? そんなこと言い出すとなんでもそう。安易に市民の問題解決するなんて言わない。相談。解決するとは言わない。こころの不安を少しでもやわらげる。それにしても訓練受けた人いないと。民間のレジの人では対応できないのでは? 別部署がやっている。市は責任もてないのでは?



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      “無印図書館”が会計年度職員を募集の奇怪

















      2023年8月8日火曜日

      無印図書館のキュレーターは、蔦屋の元社員だった!

       

      こんにちは、日向です。


      先日から取り上げております、岐阜県可児市の無印図書館の件、


      ひとつ新しい情報が飛び込んできました。


      良品計画サイドのキュレーターさんとは、株式会社ORDINARY BOOKS代表の三條陽平さんという方で


      この人、蔦屋(CCC)の元社員でした。


      6月12日の市議会予算決算で、計画内容を執行部があきらかにしていまして、そのなかで、以下のようなやりとりがありました。



      そのために良品計画から提案のあった専門のキュレーターさん、現在、株式会社ORDINARY BOOKSの代表者であります、三條陽平さんという方、経歴的には東京の六本木、代官山、銀座、名古屋のTSUTAYAさんの店舗企画をしたり、本の選書集団BACHのブックディレクターとして務めていた方


       

      https://www.youtube.com/watch?v=reUULjvHMq8&t=2929s より



      とりあえず、お名前のあとに「蔦屋」を入れて検索してみますと、ご本人が登場するインタビュー記事がいくつか出てきて、数年前までは、CCCの社員だったことがわかりました。


      ブックカフェとして開業した六本木(2003年~)の建築とデザインを担当した後、代官山のコンシェルジュを勤めていたというんですから、ツタヤ図書館の路線もおそらく踏襲されるんだろうと思います。


      無印図書館は発表当初から、独自デザイン(ライフスタイル)を提案する店舗に図書館を設置して、選書から独自分類まで手がけるとしていました。


      生活提案型のアプローチ(イメージ先行で中身は曖昧)はCCC流の発想なので、他社がまったく同じ路線を打ち出してきたことにビックリしたんですね。


      まさか、他社がツタヤ図書館のコンセプトからしてマネをしてくるとは?


      そんな疑問が一瞬で氷解したのが、キュレーターさんが元蔦屋の社員だったという落ちです。


      でも、そうなると、無印にマネされるCCCは、果たして黙っているでしょうか。


      三條さんが増田宗昭御大に仁義を切っていないと、CCCが権利を持っている空間意匠登録や、元社員の競業禁止義務等にひっかかるとして訴訟を起こされたりしないでしょうか。そのへんのリスクを可児市は意識しているのでしょうか。





      さて、別のルートから判明したのが、もうひとつの「見世物図書館」との関連です。


      三條さんの経歴には、


      幅 允孝氏率いる選書集団BACHに入社


      というのが出てきます。(2020.06の情報)


      幅 允孝氏といえば、「こども本の森 中之島」のクリエイティブ・ディレクターを務めたことで有名です。


      市の関係者によれば、三條さんの実績としていちばん注目したのが、実は代官山や六本木ではなく「こども本の森 中之島」だったらしいのです。



      そう、あのツタヤ図書館にも負けず劣らない、吹き抜けに天井までつづく高層書架の“図書館もどき”ですね。




      https://www.premium-j.jp/premiumsalon/20200320_9376/#page-1 
      Premium Salon 幅允孝が描く「こどものための物語の聖地」2020.3.20より



      「こども本の森」は 図書の貸出しをしない、一定時間入場できる図書館もどきです。そのみてくれによって市民からは絶大なる人気を誇る一方、


      こどもが手の届かないところに本を飾ってどうするの?


      という批判も渦巻いてますので、もし可児市の無印図書館が、三條さんによって、その路線を踏襲するとしたら、これまた毀誉褒貶は避けられないような施設になるのではないでしょうか。



      というわけで、本日、可児市に



      無印良品ヨシヅヤ店内に開館予定の市立図書館分館

      の事業決定までの経緯がわかるもの


      という内容で情報開示請求を出しました。


      果たして、黒塗りや不存在ではなく、ちゃんと経緯がわかる資料が開示されるでしょうか。



      追記 三條陽平さんについてご存じの方は、コメント欄にお願いします(公開はしません)。



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      “無印図書館”が会計年度職員を募集の奇怪







      2023年8月5日土曜日

      “無印図書館”が会計年度職員を募集の奇怪


       こんにちは、日向です。


      先日、少し取り上げた岐阜県可児市が良品計画とコラボして無印図書館を設置するという件で(宇部市が再度CCC選定!~知の基盤が破壊される自治体の危機~)ひとつ奇怪なことが出てきました。


      あれれっと思ったのは、可児市が図書館に勤務する会計年度任用職員を募集しておりまして、そのなかで勤務場所として


      無印良品ヨシヅヤ店内または本館


      と明記されているんですね。その募集が以下です。


      https://www.city.kani.lg.jp/23798.htm



      無印良品が、TSUTAYAのマネをして、生活者目線の新しいスタイルの図書館を運営すると話題になっていたものですから、当然、運営を市から委託された良品計画のスタッフが実務を担当するのかと思っていたら、これが違うんですよ。市が直接雇用した職員が配置されるというのですから、


      いったい、どうなっているの?


      と思いました。委託会社のスタッフと市のスタッフが混在してしまうと、指揮命令系統がおかしくなって、最悪の場合、当ブログでも取り上げているように、偽装請負とみなされかねない状況になってしまいます。


      運営主体が良品計画ということならば、民間企業のスタッフが市の職員に指示命令を出すなんていうおかしなことが起きるのかも。


      というわけで、この点を可児市の図書館に電話して、担当の方に聞いてみました。





      まず、わかったのは、無印良品ヨシズヤ店内に設置する分館の運営には、良品計画は関与しないということでした。


      どういうことかといいますと、ヨシズヤ店内の無印良品店舗内に開館する分館の店内デザインや図書館の分類・配架までを良品計画が担当し、その引き渡しを受けた可児市が分館を運営するということです。



      一部委託かと思っていたら、良品計画は、単なるアドバイザーにすぎないわけです。以下取材メモです。



      ヨシヅヤさんから良品計画さんが店舗を借りて、その良品計画さんが出した店舗の一部を可児市が借りて図書館の分館とする


      ・その図書館を可児市が運営する


      ・分館に勤務するのは、市が直接雇用した職員(正職員と会計年度任用職員)と、あと派遣社員を配置することも予定している


      ・派遣社員は、良品計画からではない。これから入札にかける


      ・無印良品には、図書館をデザインして、図書館の形態をつくってもらう


      ・図書は、可児市が購入する


      ・良品計画のスタッフは図書館のなかにはいない、無印の店内にはいるが


      ・独自分類導入は? 良品計画さんから公民連携ということで、こういう形態でやりませんかと提案を受けている


      ・配架は、市が行うが、その分類方法を提案してくれる人は、とりあえず良品計画さんが契約したキュレーターさん


      ・キュレーターさんは、図書館の専門員ではない。その他の分野の専門。図書のコーディネイトする人です。


      キュレーターさんとは、(編集工学研究所の)松岡正剛さんのような人? いえ、その方は存じません


      ・指示命令系統は、市と良品計画の間には発生しない


      ・派遣社員は、これから入札。専門の派遣会社から? 正職員と会計年度に加えて、派遣でお願いする人は、司書資格あればいいがなくてもいいですよという格好


      ・指揮命令はうちの職員がする



      ・開館までの図書館づくりには、無印良品が行うが、その後の運営には直接はタッチしない? そうです。


      ・選書は、無印サイドのキュレーターさんが担当。うちとの共同で行う。決定権は市にある。アドバイスを受ける。




      どうです? みなさんわかりましたか。無印良品は、店舗のデザインまでは担当するけれど、運営にはタッチしない


      運営にはタッチしないけれども、図書館の基幹部分である独自分類と配架や選書には、思いっきり関与する


      ということなんですが、



      これまで公共図書館を運営した実績がゼロの会社が、どこかからキューレターさんという専門家を連れてきて、



      その人のご神託を、ありがたく承りながら、市民が喜ぶ図書館をつくっていく


      ということらしいんです。



      もしこの事例が「賑わい創出」に成功したら、無印良品は、全国各地で自治体とコラボして、同店舗内に、公共図書館を設置。


      自分たちが提案する“無印風ライフスタイル”とやらを、布教していくことになるのでしょうか。


      そんなのは自社店舗だけにしてほしいと思うのは、私だけなのでしょうか。


      自治体とコラボした図書館によって来店客を増やしつつ、自治体からの収益をはかっていくという、ツタヤ図書館のビジネスモデルそのまんまではないのかって、思いました。




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      宇部市が再度CCC選定!~知の基盤が破壊される自治体の危機~






      2023年8月3日木曜日

      3行回答への怒り


      こんにちは、日向です。


      あまりにも、人をバカにしたような話で、怒り心頭に発するような話といいたいところですが、


      誰かが意図して行なったわけではなく、本当にたまたまそうなってしまったという、無責任事案ですので、怒りの矛先を向ける人物がいません。


      あえて言えば担当課長さんでしょうか。(どこの自治体かは、とりあえず伏せておきます)





      話は、4か月前にさかのぼります。


      カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が図書館で採用しているTカードの規約を大幅に変更しましたので、そのことについて、自治体の担当部署にメールでいくつか質問をしました。


      しかし、待てど暮らせど回答はありません。



      難解なTカードの規約なので、担当部署でも、その内容の解読に、相当ご苦労されているんだろうと勝手に解釈して


      しばらくお待ちしておりましたが、その後も、回答をいただけなかったので、


      電話で催促といいますか、ほかの件の問い合わせをした際に、「あの件はどうなってますか?」と、何度かお聞きしておりましたところ、


      電話に出られた方が、「担当に伝えます」と、そのつどおっしゃるんですね。


      その際には、「ご回答が難しいようでしたら、情報開示申出に切り替えますが?」とお尋ねしましたが、


      「そうしてください」とは、おっしゃられなかったので、その後も回答をお待ちしておりました。



      そのうち、私もメールで質問をしたことすら忘れていたのですが、急に思いだしたのが、先月、7月3日のことです。


      たまたま除籍リストの件で、担当課長さんと直接お話をすることができましたので、


      そういえば、前に質問した件はどうなりましたか?


      と聞いてみたんです。


      そうすると、その場で回答されそうな雰囲気でしたので。


      すみません。文書でお願いできますでしょうか?


      とお願いしましたら、ご快諾いただきましたので、これでようやく回答をいただけるんだと


      安堵して、一件落着と思っておりました。


      ところが、どっこい、またまた、その後もなしのつぶてなんです。



      もう呆れ果ててものも言えないといいますか、なんだろう、役所の人って、こんなに約束を守れない無責任な人たちなのかって、心底がっかりしました。



      それで、これが最後と思って、本日の午前中にメールでご回答を催促し(電話でメール到達確認もしました)ましたところ、数時間後に


      ようやく回答がきました。それが以下です。




      日向 様


       いつもお世話になっております。

       お問い合わせいただいた件について、回答いたします。


       (1)CCCから事前に改定について、情報提供はありました。

       (2)変更点は聞いています。

       (3)CCCが適切に運用しているものと認識しています。


       以上のとおりです。

       お返事が大変遅くなりすみませんでした。

       よろしくお願いいたします。



      120日かかっていただいた回答が、たったの3行でした。


      おそらく、担当部署でも、図書館で導入しているTカードのしくみなんて、まるで理解していないのではないのかって、思いました。


      規約改定によって、市民の大切な個人情報がどのようなリスクにさらされるのか、なんていう検討をこの自治体ができるはずがなく、またしようともしていないのでしょうか。


      とにかく、


      あなたたち民間に任せるから、うまくやっといてね


      というスタンスなのでしょう。


      CCCとしては、ほんとに、いいカモですね。






      私の質問内容



      > > いつも、お世話になっております。

      > >

      > >

      > > 4/1より、●●●●●図書館でのTカード利用に関する規約が改定されていることを知りました。

      > >

      > > つきましては、お忙しいところ、たいへん恐縮ですが、以下について教えていただけますでしょうか。

      > >

      > > (1)事前に改定内容についてCCCから情報提供や事前通告はありましたでしょうか?

      > >

      > > (2)今回、当規約のどこがどう変更になったのか、貴課においては、把握されておりますでしょうか?

      > >

      > >

      > >

      > >

      > > 私が把握している範囲では、規約の主語がカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)からMKHDへと変更になっています。

      > >

      > > 3/31日までは、以下のようになっていました。

      > >

      > > “CCCは、本条第1項に基づき図書館から取得した個人情報を、CCCの連結対象会社もしくは持分法適用会社及びTポイントプログラム参加企業を含む第三者に対し提供することはありません”

      > >

      > > 4/1からは、以下のように変更になりました。

      > >

      > > “MKHDは、第1項に基づき図書館から取得した個人情報を、CCC及びCCCの連結対象会社もしくは持分法適用会社及びTポイントプログラム参加企業を含む第三者に対し提供することはありません”

      > > https://cccmkhd.co.jp/privacy/member/agreement-wakayamaciviclibrary/index.html

      > >

      > >

      > > これにより、●●●●●図書館の利用者情報は、CCC本体からMKHDへと移管されたことになります。

      > >

      > > MKHDは、昨年10月に同社のTポイント事業を担う、Tポイント・ジャパンと、CCCマーケティングが統合してできた同社の関連企業です。

      > > https://www.ccc.co.jp/news/2022/20220228_002484.html

      > >

      > > なので、●●●●●図書館の利用者情報をすべてMKHDが管掌することとなり、本来、図書館の外部へは送信されてはならない利用者情報をMKHD社が取得することになります。

      > >

      > > (3)このような重大な規約変更を、利用者へ事前通知することなく、実施していることは適切と言えるのでしょうか?

      > >

      > >

      > > 以上、取り急ぎ、疑問点を挙げました。ご回答いただけましたら幸いです。


      【8月4日 15時30分追記】

      さきほど、教育委員会へ以下の内容で、改めて情報開示申出を行いました。


      (1)2023年4月1日より改定された和歌山図書館でのTカード利用に関する規約(新規約)について、カルチュア・コンビニエンス・クラブより、改定日前に行われた情報提供及び事前通告の日時・内容・連絡手法がわかるもの(付随する電話メモ、電子メール、会議録、訪問・面談記録等も添付してください)


      (2)新規約が、改定前の規約のどこがどう変更されたのかを、自ら詳細に分析・検討した結果がわかるもの→CCCから通告を受けただけで、自らは一切検討していない場合は、「不存在」を出してください


      (3)新規約の内容が、市民図書館でTカードを利用している者にとって個人情報が意図せずに第三者へ渡るリスクは一切ない等として、“CCCが適切に運用している”と評価した根拠及びその評価プロセスがわかるもの


      (4)新規約において“図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日”を取得するMKHDが、そのような行為を行える法的根拠がわかるもの(MKHDとの直接契約であれば、その契約までのプロセスがわかるもの、CCCからの再委託であれば、その経緯がわかるもの及びそれに関連した決裁文書)


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