2019年5月31日金曜日

ようこそ、“TSUTAYA小学校”へ

こんにちは、日向です。

昨日書きました和歌山市がCCCに学校図書館の運営まで、正規の手続きを経ずに丸投げしようとしている件ですが、

地味な行政手続き上のことが主題になってきますので、あまり面白くないというか、どうでもいい話に聞こえるというか、なかなか理解されない話なのではないかなと思います。

だいたい、学校に人を派遣するとなると、CCCにしても余計に人件費がかかるので、心配するほどのことではないと思われるかもしれません。

できるだけ安い時給で雇用して、その人を民業である蔦屋書店の店員と兼務させることで、合法的に自社のビジネスに公共のカネを入れることができるのですから、

それとは別に人を雇って学校図書館に派遣するなんて、やりたがらないのではないかなと思う人も多いでしょう。

でも、考えてみてください。

学校という教育現場は、事業者にとっては間違いなく「ラストリゾート」です。

そこに入り込むことができれば、そこから学校施設の運営や教師の派遣、生徒に配布する電子端末など、ありとあらゆるものをビジネスにできる余地がみえてきます。

極端な話をすれば、

将来、学校そのものを指定管理にして「TSUTAYA小学校」とか「TSUTAYA中学校」とかの展開も、決して絵空事ではないと思うんですよ

そのときに、教育委員会とか、しちめんどうくさい機関の承認を経ていたり、議論されたりするのって、事業者にとっては、ただのコストでしかないわけです。

なので、教育委員会はできるだけ飛ばしたい。できれば議会も飛ばして、首長が旗振りさえしてくれれば、実現できるところまでもっていきたいと事業者は、考えるわけです。



役所の窓口が違法認定


いまや役所の業務のほとんどに民間企業がすでに入り込んでいます。

数年前に、話題になったのが、戸籍窓口の民営化です。

東京のある区で、ある大手事業者が受注してはじめたところが、まもなく、労働局の立ち入り調査が入って、是正指導されてしまいました。

人材派遣ではなく、業務委託ですから、課の上司が指示命令なんかしたらダメなんですが、そこでは、難しい案件では、「エスカレーション」と言って後ろの指示を仰いでいたんですね。

そうなりますと、“偽装請負”と違法認定されてしまいます。

住民票の発行などと違って、戸籍業務というのは、個人情報の塊ですし、役所の対応でも細心の注意を払わないといけない部署なのですが、そこを民間に任せてしまったんです。

結局は、違法認定されてしまって、断念したみたいですが、もし、役所を丸ごと指定管理にしてしまえば、そういう心配もなくなるわけです。

そこまでいかなくても、もしこの事業者が戸籍業務の受託で“成功”をおさめることができていれば、その実績を武器にして、全国の自治体で新たな業務を受託できたはずです。


都内の某区が労働局に是正指導されたときの指導書。当時、役所が違法認定されるという前代未聞の出来事に、役所内は騒然となった


学校も同じで、経営を丸ごと民間企業に任せてしまったら、事業者はビジネスチャンスは増えまくりですし、政治家は、お礼に献金してくれる業者がいてウハウハですし、官僚もそういう民間委託を成功させたものほど出世するようです。

まさに、こういうのこそ、みんなが利益を得る「winwin」と呼ぶのでしょう。唯一のloser(敗者)は、市民なんですが。

なので、学校図書館への参入なんてのは、CCCみたいな企業にとっては、“TSUTAYA小学校”への一里塚になるかもしれません。

気が付いたら、生徒全員がTカードを持ち、Tカード番号で成績が管理されたり、校長にはTSUTAYAの店長が派遣されてきて「サービスよくなったね」なんて保護者から喜ばれたりするかもしれません。

実際に、2013年にツタヤ図書館になった武雄市図書館・歴史資料館が、当初、指定管理料金を安めに設定して


「直営よりも運営費は安くなった」
【1】

と、大ウソ言っていたのは、そこでは儲からなくても、一度成功モデルらしきものを構築してしまえば、あとは、その嘘八百の宣伝に騙された自治体を次々とカモにできるからでした。

ちなみに、騙された自治体は、みんな直営時代の2倍の運営費がかかるようになりました。【2】

そのことは、すでにCCCがこれまでの事例で実証済みです。

なので、教育現場への民間事業者の参入というのは、よほど注意しておかないと、あとで取り返しのつかないことになりかねないと考えているわけです。

【1】武雄市図書館・歴史資料館が2013年にツタヤ図書館として新装開館した当初、CCCに支払われる指定管理料は、図書館単独で年間1億1千万円。直営時代の1億2000万円よりも1000万円運営費用が削減できたとされていたが、直営時代の費用は、併設されている歴史資料館の運営費4000万円も含めた金額だったことを考慮すると、実質的には新装開館時点でも、3000万円運営費用は高くなっていたことがあとで判明した。

【2】海老名市 直営時代1億6000万円→CCC指定管理3億3000万円 多賀城市 直営時代1億2000万円→CCC指定管理3億8000万円



校長先生、それ違法ですよ!』へつづく

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