2019年5月26日日曜日

色めき立つ人事報道

こんにちは、日向です。

先月は、和歌山市がCCCを指定管理者に選定したときの選定委員だった市幹部の退任について書きました。

ツタヤ図書館、和歌山市民図書館の指定管理者選定時に不自然な採点か…2委員のみCCCに極端な高得点

ツタヤ図書館関連で人事の話は、過去にも、二回書いています。

いずれも、CCCの選定に関与した人物が、役所を退職後、CCCに入社するのは、官民癒着を疑われかねないので、いかがなものかという主旨で書いたものです。

こういう人事に対する批判は、日ごろから役所と親密な人間関係のある地元メディアは扱いにくいネタなので、ネットニュースなどにはもってこいの内容だと思うのですが、

他のネットメディアが取り上げた同様の人事関連のニュースで、一度だけ、非常に不可解に感じたことがありました。

具体的に指定してしまうと、いろいろとアレなので、ぼかしておきますが、

3年ほど前のことです。ある指定管理者に勤務していた図書館長が、突然、健康上の理由で退職することになったというニュースが報じられました。ウォッチャーの方でしたら、

「ああ、そういえば、ありましたね」

と、すぐに思い出されるニュースだと思います。

で、なにが不可解かといいますと、


・市教委によれば、館長の退職はまだ確定していない

・いま慰留しているところで、残ってくれる可能性もある

・雇用している指定管理者側は、その事実を認めた

--ということなんですよ。

そこで、私も図書館関係者の方に聞きました。

すると、やっぱり、これはおかしいニュースだというんですね。

だいたい、辞意を表明しているという段階で、こういうニュースが出るというのは、異例ですよね。

政権与党の幹部とか、大臣とかでしたら、「辞意を表明しているらしい」ということでもニュースバリューはあると思うんですが、

いくら話題の図書館だからといって、地方自治体が民間に指定管理させている図書館の館長が辞意を表明しているというのがニュースになることは、ふつうはないと思います。

図書館関係者の方が指摘するところによれば、


・雇用主でもない市教委が「認めた」とか「慰留している」のは、とてもヘン 

・雇用主の指定管理者が、アッサリその事実を認めているのなら、それは、ほぼ決定事項ではないのか 

・これは、ライバル企業によるリークではないか

--ということでした。

で、何より、いまその記事を改めて読んでみますと、記者の署名あるんですが、私の記憶では、この記事が出たときには、記事冒頭に署名はなく、末尾に、よくみると署名らしきものがありました。

この記者の方、図書館界では有名な方です。

おかしいですよね。

いや、オマエなにがいいたいんだよって、そろそろみなさんイラついておられると思いますので、結論を述べますと、


・この図書館での館長人事は、実質、市教委側が決めているのではないか 

・雇用主の指定管理者は、市教委が推薦した人をただ受け入れているだけではないか 

・市教委は、指定管理者のお目付役として、自分たちの組織から人を送り出したいと思っているのではないか 

・指定管理者も、市教委が推薦してくれる人を受け入れておくと何かと融通がきいて便利だと思っているフシがある 

・そういう諸々の事情を知っている誰かが、この情報を流して、その意向を汲んだのかどうかわからないが、この記者が取り上げた

ライバルの悪評などを意図的にリークするというのは、どこの世界でも、よくあることなので、とりたてて、このニュースの報じられ方がおかしいなどというつもりは、ありませんが(正直言うと、ほんの少しあります)、

このニュースには続報もなく、事実がどうだったかも結局わからずじまいで、消化不良のまま終わりました。

そんなこと言うなら、オマエが書けよとおっしゃられるかもしれませんが、この直後、翌年2月にオープンする高梁市で「市教委から館長に天下り」の情報が入ってきまして、それどころでなくなっていました。

加えて、ちょうどCCCによる選書問題にからんで新たな疑惑を調べている真っ最中で、TRCやネットオフの運営会社に事実確認を要請したりしていましたので、そのことで頭がいっぱいだったんだと思います。

ちなみに、このときに書いた“CCCの新たな疑惑”記事は、諸般の事情で1年近くお蔵入りすることになりまして、翌年の2017年8月末に『出版ニュース』の巻頭記事で発表することになりました。【1】

ところで、件の館長退職後の人事ですが、しばらくして調べてみましたところ、退職した館長の後任も、教育委員会からの人でした。

ただ、その人物については、指定管理者選定に関与していた形跡はなさそうでしたので、とりたてて問題になりそうもありませんでした。

とにかく、もやもやっとしていて、いったい誰がどういう目的で流したんだろうということだけは、いつまでも気にかかったニュースでした。

ぼんやりした話になってしまいまして、すみません。

では、また。


1】ツタヤ図書館は死んだに等しい でダイジェスト版を公開しています。

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