2019年7月9日火曜日

誰でもできる“図書館業務”

こんにちは、日向です。

図書館の運営業務というのは、特別なノウハウなんて持ってなくても、誰でもできます。あなたの会社でも、明日からできます。

えっ、そんなはずない? TRCなんか、図書の装備からデータ、選書システム、スタッフの研修まで凄いんだぞという声が聞こえてきそうですが、

確かに、出入り業者として、提供するサービスは、専門企業は優れているのかもしれませんが、

指定管理者としてみた場合、他社と比べて群を抜いて優れたスタッフを多数抱えているかというと、外からみる限り、そんな感じは、あまりしませんよね。むしろどこも変わらないんじゃあないですかね。

というのも、直営→一部委託→指定管理というふうに、運営形態は変わっても、働いている人の顔ぶれはほぼ同じなんてことがよくあるからです。

たとえば、自治体直営の非常勤で働いていたAさんが、

図書館業務の一部委託と同時にB社に移籍を余儀なくされ、

さらに館の運営を丸ごと事業者に任せる指定管理者制度導入と同時に、新たに落札したC社に移籍することになりました、

というような話はこの世界では、よくあることです。

一部委託業者や指定管理者の事業者には、それぞれ特別なノウハウがあったとしても、結局、そこで働いている人が同じだったら、あまり業務の質は変わらないはず。


そんなこたぁない。業者が変わるとスタッフも劇的に変わるはずだとおっしゃる方もいるかもしれませんが、図書館業務では、それ現実問題として無理なんですよ。

なぜならば、現場で働く職員には、多くの場合、交通費が出ないか、もし出たとしても、非常にしょぼい額のため、わざわざ遠くから通ってくる人があまりいないためです。

結果、どこが受託しても、地元の経験のある人ばかり採用されるということになります。

年俸1000万円出す専門職ということなら、通勤時間一時間半くらいの範囲内で、有能な人があちこちから結集するかもしれませんが、

「2キロ以内はバス代も出ない」「自転車手当が少し出る」というような求人ですと、地元の人しか応募してきません。たまたま地元に薄給でもいいという有能な人がいたら、受託会社としては幸運ですが、そうでなければ、業務の質なんてどこの事業者がやっても変わりようがありません。

そもそも当事者である自治体からして、図書館なんかに重きをおいてませんので、安く済ませられたらそれでよしなので、まぁ、そうなるのは仕方のないことです。


「ノウハウゼロ」のお仕事


で、なにがいいたいかといいますと、自治体から図書館運営業務を受託するビジネスの本質というのは、誤解を恐れずにいえば

ピンハネ業

ではないかってことです。

現場職員の給与を時給2500円くらいで計算して、それをもとに自治体からの委託費が積算されます。

しかし、業者が実際にスタッフに払うのは、最低賃金プラスアルファです。司書資格を持っている人でも、せいぜい数十円プラスされるくらいですかね。

それでも、公共図書館となりますと、まだ事業者のノウハウらしきものはあるのかもしれませんが、

これが学校図書館なんかになりますと、その実態は、限りなく派遣に近くなります。

受託企業が採用した人を派遣して、その給与をピンハネしているだけと言っても決して過言ではないくらいの「ノウハウゼロ」のお仕事です。

でも、派遣業の免許を持った企業がやっているかというと、そうではないですよね。

大学図書館などでは、一部派遣スタッフもいるようですが、公立の小中学校・高校では、派遣は見当たらず、ほぼ業務委託。

そうすると、どういうことが起きているかというと、

清掃業者、害虫駆除業者、ビル管理業者、事務派遣業…

というような異業種の企業がゾクゾクとこの世界に入ってきます。

こういう会社と比べますと、TRCとかCCCは、素晴らしいと思われるかもしれませんが、現場スタッフの待遇は、こういう企業とたいして変わらないのはどうしてですかね、不思議ですね。

とにかく、問題噴出なんですが、それが表面化することはめったにありません。

なぜならば、誰も告発なんかしないからです。

薄給で働いている人は、現場で多少おかしなことがおきていても、みてみぬふりします。下手に正義感ふりかざして抗議すると会社からは排除されますし、同僚たちからも「余計なことしやがって」と非難されかねません。そう考えると、不当な扱いを受けても、黙って従うしかありません。

そういう、ゆるゆるな世界に乗り込んできたのが、TSUTAYAの看板をかげるCCCだったわけです。

すみません。前置きが長くなりましたので、本題は、次のエントリーで。

激烈なピンハネ屋 につづく


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