～公文書保存ルールを調べてみた～
こんにちは、日向です。
先日来、しつこく取り上げております「和歌山市公文書中抜き事件」について、本日は、行政サイドの公文書保存方法について、その後、わかったことを整理しておきたいと思います。
まずは、この中抜きが発覚した後、行政実務に詳しいある図書館関係者の方から、一般的な公文書保存について、以下のようなことを教えていただきました。
> 担当者が「1週間探した」と言う「共有フォルダー」は、
> 読書活動推進課の「共有フォルダー」のことを言っていると思います。
> この「共有フォルダー」には、当該年度の文書と前年度の文書が保管されます。
> 見当たらないとされる18年7月から19年3月までの記録は18年度の文書に当たりますので、
> 2020年4月の時点で読書活動推進課の「共有フォルダー」から移って、
> 和歌山市役所の保存文書担当課が管理する「保存文書」になっています。
つまり、読書活動推進課の「共有フォルダ」から、和歌山市全体の「保存文書」に移っているとしたら、そのありかを特定して開示請求をかければ、出てくる可能性はあるということです。もちろん、肝心の議事録原本が保存されていたとしても、原本の段階から、すでに重要な部分のページがゴッソリ中抜き廃棄されている可能性も否定できませんが。もし、隠蔽するとしたら、議事録ごと廃棄するかもしれません。
この方のサゼスチョンは、こうつづきます。
> 「保存文書」になっている文書を破棄するのは犯罪ですから、
> そこまではやらないと思います。明るみに出たら大変なことになります。
> 「保存文書」は管理のために一覧表が作られますので、文書を破棄するだけでなく、
>
> その一覧表も改竄しなければなりません。
> 隠したいことと、文書の破棄・改竄を比較すれば、
> 危険な後者を選ぶものはいないと思います。
> 別の方法でしのごうとします。
では、和歌山市では、果たして、そのような文書管理になっているの？ その点を関係各所に問い合わせたときの回答を、この方へ私が返信したメールが以下です。
和歌山市の件、あちこち聞いてみたのですが、
> 見当たらないとされる18年7月から19年3月までの記録は18年度の文書に当たりますので、
> 2020年4月の時点で読書活動推進課の「共有フォルダー」から移って、
> 和歌山市役所の保存文書担当課が管理する「保存文書」になっています。
まず、こういう運用はしていないという回答です。部署ごとに決まりはあるそうですが、
「保存文書」として、市の文書担当課に移るということはないそうです。
一覧表も作成していない、作成しているのは決済文書のみで
議事録などは、市長部局などでは、一年以内に廃棄するものもある。
（前に武雄市への視察の復命書がそうでした）
なので、2018年度と2019年度の担当課から起案された決済文書の一覧リストを開示請求してみようと思います。
和歌山市では、いきなり文書保存の基本がされていないことがわかって、あれっ？ という感じになってしまいました。さらに、この私のメールに対する前出・専門家の回答が以下です。
保存文書の管理が各課に任されているというのは私には奇妙に思えます。
おそらく、市の文書保存基準の上に立って、
それに基づく管理を各課に行わせているといるということをしているのだろうと
思います。
文書の保存はうろ覚えですが、随時廃棄文書（必要がなくなればいつでも廃棄してよい文書）、
1年保存文書、3年保存文書、5年保存文書、１０年保存文書、永年保存文書に分かれます。
1年保存文書は次年度いっぱい保管して、次年度終了後破棄されます。
18年度の文書は20年度になると一斉に破棄されます。
3年保存以上の文書は全体の文書を1か所に集中して管理します。
和歌山市はそれを行っていないようですが、
基本的な文書保存の手法は全国自治体共通のはずです。【※1】
3年以上の文書は簡易決裁ではなく、普通は起案用紙を用いた決裁文書です。
それらは、保存文書の一覧表（起案決裁の一覧表）に搭載されます。
今回の記録は、予算執行にかかわる文書ですので、５年保存になるだろうか、
という重さに見えます。しかし、現場はどのような文書も残したくないので、
短くしようとする傾向がどこにもあります。和歌山も同じだと思います。
ただ、見当たらない報告以外はきちんと保存されています。
しかも、簡易決裁（正式の起案用紙を用いない）であれば、
簡易決裁の跡が資料に残されるはずですが、見当たりません。
随時廃棄・1年保存ではなく、
少なくとも3年保存以上の保存になっている文書であろうかと思います。
| 箕面市役所 新人奮闘記！より https://archive.ph/pR3Ld#selection-755.0-755.89 |
中抜きされた、市教委とCCCとの議事録に関連する文書が、3年保存だとしたら、いまも、どこかに残っているはずです。
そこで、再度、和歌山市の市政情報課に聞いて、その内容を以下のように返信しました。
ありがとうございました。
教えていただいたきことをもとに再度聞いてみましたところ、
その文書が何年保存になるのかは、どの「簿冊」に閉じられるかによって決まるとのこと（これは各課で独自に判断する）。
「簿冊」は分野別のタイトルがつけられている
とのことで、全課共通のタイトルもあれば、その課の独自タイトルもある。
その簿冊には、ぞれぞれ索引がついている。索引は日付順になっている。
読書活動推進課なら、おそらく簿冊は常時40～50に分かれているはず。
それぞれのタイトルのなかから、図書館開館に関連しそうなものの索引を一覧でみてみたら、決済文書一覧はわかるのではないのか
とのことでした。
保存年限が過ぎたものは、この簿冊ごと廃棄するそうです。
職員個人のメモや記録は、共有された時点で公文書となるが
それまでは公文書ではないのではないのか？というトンチンカン
なことをいうほどです。
回答してくれたのは、総務市政情報課の情報公開班長です。
会議はその間開催されていないのではないのか？とか、
コッソリ抜くなど、そこまでの不正はするはずがないとか
おかしな発言ばかりで怒りがこみあげてきます。
というわけで、改めて和歌山市教委あてに、以下のような情報開示申出をしました。
とりあえず、どんなタイトルの簿冊が課内にあり、その簿冊の中、どんなタイトルの該当年度の公文書が保存されているかを出してもらうことにしました。
なお、この文言については、和歌山市市政情報課の職員の方に、具体的な表現を聞いて、あえてその通りに書きました。
それにしても「簿冊」という言葉を聞くたびに、「菩薩」をイメージしてしまうので、保存期間がすぎたら「ボサツごと廃棄する」といわれるのは、ちょっとショックでした。
ルール通りに廃棄される行為に隠れて、市民にとって行政プロセスを詳しく知るために欠かせない記録が、コッソリと抜かれたり、捨てられたりしているかもしれないわけで、それこそ犯罪行為そのものではないのかって、改めて思いますね。
- 和歌山市の簿冊タイトルが開示されました へつづく
【※1】実際に、大阪・箕面市のスタッフブログに、同様の管理方法が紹介されていました。
（1）まず、各部署の文書は、適切に分類し保存するため、主には業務内容ごとに分類し、簿冊と言われるファイルに綴じられます。
（2）各部署で簿冊に綴られた文書は、一年に一度、総務課が編集の仕方や保存期間が適切かなどについて審査をします。これを「文書引継」と言います。
（3）ここで、審査された文書には保存番号がつけられ、書庫へと保管されます。
（4）また、簿冊ごとに永年、30年、10年、5年、1年と文書の保存期間が定められており、保存期間が満了すると文書は廃棄されます。
https://blog.goo.ne.jp/minoh_rookies/e/20033f424a2cbf8989ffdfe9e50e933c
https://archive.ph/pR3Ld
- ふりだしに戻す和歌山市・井上課長へつづく
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