2021年3月5日金曜日

『雇用保険から排除される非正規労働者～』の記事が出ました

 

こんにちは、日向です。



今朝、ビジネスジャーナルに、私の本業の雇用・労働問題の記事がリリースされました。


雇用保険から排除される非正規労働者…失業保険を少しでも多く受け取る裏ワザ




当ブログでも何度かとりあげております、コロナ禍で雇用保険を受給できない層が急増している問題を取り上げました。



詳しくは記事を読んでいただくとして、いまごろこんな記事を急いで出した理由について、本日は、少し書いておきたいと思います。



2008年のリーマンショックのときは、連日のように製造業で働いていた人たちが住んでいた寮を追い出されていく「派遣切り」がニュースで取り上げられて、非正規労働者がいかにセーフティーネットのない状態に置かれているかが広く世間に知られるようになりました。


ところが、今回のコロナ禍では、支援団体による炊き出しや生活相談の様子は、よくニュースになりますが、困っているのは、ほんの一部の人たちで、失業率はまだ2％台と低く、失業率5％台になったリーマンショックのときほど深刻な状態にはなっていないと多くの人が感じ取っているのではないのかと思います。



メディアで報じられないものは存在しない


とわれわれは思いがちですが、今回のコロナ禍の特徴は、雇用情勢に、いまだ可視化できない深刻な事態が広がっているのではないのかという漠然とした感覚を持っていました。


そのみえない部分を、見事に可視化してくれたのが、野村総合研究所NRIの調査です。


『コロナ禍で急増する女性の「実質的休業」と「支援からの孤立」』2021年1月19日



全国の20～59歳の女性でパート・アルバイト就業者55,889人と、そのうち新型コロナウイルス感染拡大の影響でシフトが減少している人5,150人を対象に、インターネットアンケート調査を実施し、休業や生活の実態や支援策の利用状況などを把握しました。 調査の結果、パート・アルバイト女性の中に、「シフト5割以上減」かつ「休業手当なし」の「実質的失業者」が少なくなく、2020年12月時点で90.0万人にのぼると推計されました。


拙記事の冒頭にも書きましたように、


この数値を考慮に入れた実質的な失業率は、すでにリーマンショック並みの5％を超えているのではないのか


という見方も出てきています。


で、なんでそんなことになるのかという構造を、雇用保険制度の欠陥というと少し語弊があるかもしれませんが


明らかに制度の網からもれている人が大量に出てきているということを、BJの記事では指摘しました。



具体的には、飲食・サービス業に従事するシフト制で働いている人（女性が多い）の場合、


シフトに入れなければ収入が激減するのに、事業所から休業手当も支給されない


かといって退職しても受給資格を満たしていないとして雇用保険すらもらえない


という、とんでもなく理不尽なことが起きているんですね。










これは、早急に厚労省が対策を講じるべき事案なんですが、


なぜか、雇用調整助成金や休業手当の支給拡大のような


早くなんとかしないとタイヘンなことになる


という声が、どこからも聞こえてこないんですね。


雇用保険はしくみがややこしいうえに、生活保護のように緊急性もないと思われているためか、野党の議員さんや支援団体の人たちも、まだ国に改善を求めるような動きにはなっていません。


困っているという人の声も届きにくく、完全に死角に入ったような状態になっているんですね。



そこで、休業手当が出ないで退職した人は、漏れなく会社都合として半年勤務で失業手当の受給資格が得られる


というような運用をハローワークの現場でしていただけるよう、また退職者の方には、もしこのことが理由で受給資格が得られなかったら異議申し立てをするべきと、問題提起しました。


休業手当の問題とともに、雇用保険制度のこの不具合についても少しでも理解が広がればと思います。


よろしくお願いいたします。



追記　2021年1月27日(水)　NHKクローズアップ現代＋　“コロナ失業” 職業訓練は雇用を救えるか　にコメンテーターとして出演しました。そのときの内容を捕捉する

『職業訓練／ハロートレーニングへの疑問に答えます！』　を同番組スタッフの方に作成していただいています。こちらも合わせてご参照いただければ幸いです。


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