2019年7月14日日曜日

“労働警察”の取り調べ【2】

こんにちは、日向です。

先日公開しました“労働警察”の取り調べ【1】の続きです。

2015年5月21日、東京労働局が都立高校の学校図書館運営に関して偽装請負の疑いで調査に入ったわけですが、

当日、都の担当者への聴取べが一通り終わった後、労働局の指導官からの意見が伝えられています。




以下にその全文を引用しておきましょう。


4. 労働局からの意見 

・請負業務は、指揮命令が従事者と学校の間には発生せず、独立して業務を行っているものである。現状の委託内容や体制を確認する限り、請負業務が独立しているとはいえない。

近年、偽装請負などの事例が増えており、需給調整事業部においては、委託と労働者派遣の切り分けがなされているかの確認・指導を行っている。  

・例えば「図書だより」では、校内決裁により修正指示等をしており、発注者と受託者が 連携している以上、独立した業務とはいえない。あくまでも業務責任者を通しての指揮・ 命令を行う必要がある。 

 ・従事者とのミーティングについても、司書教諭と連携しており、議事録のような書類が あると間接的な指示となっているととらえかねない。 

 ・業務内容を変更できる権限がある者(業務責任者)が現場にいて、従事者への指揮・命令をとれる体制があれば、発注者との調整は可能である。 
 
・本調査は是正指導であり、改善策等の提示を求めている。改善等が確認できない場合は 行政指導となる場合もある。 


具体的に“偽装請負”の疑いを指摘されたのは、以下の2点でした。


(1)請負スタッフが制作して提出された定期刊行物「図書だより」を学校側が修正を求めている 

(2)請負スタッフが発注者である教諭と打ち合わせを行い、そこで話し合った内容を議事録として残している



請負会社のスタッフは、独立して発注された業務を完了させるべきもので、まかり間違っても、現場で打ち合わせをしたり、業務の完成前に、修正を求めたりしてはいけないということなんです。

このへんが非常にわかりにくいので、工場に派遣された作業者を例に説明しておきます。



委託スタッフに命令したら違法


クライアントのネジ工場に、下請け会社のスタッフGさんが毎日、出社してネジの製造を行っていたところ

ネジ工場のタコ課長が「Gクン、これこれこういうふうにやってよ」と直接指示命令を出してきたりします。

あげく、不良品が出ると「ダメじゃない。これこういうふうにやり直してよ」とタコ課長がいうので

Gクンは、「すいません。こんな感じでいいでしょうか」とタコ課長にみせて「やるじゃないか、その調子で頑張ってくれ」

というようなケースは業務請負業の要件である

「指揮命令が従事者と発注者の間には発生せず、独立して業務を行っているもの」

とは言えません。「労働者派遣業事業にあたるため、違法ですよ」と指摘されているわけです。実態は、無許可の派遣であり、偽装請負ではないかと。

じゃあどうすればいいの? 

そう疑問に思われた方も多いと思いますが、答えは、簡単です。

受託会社の業務(営業)責任者が来て、クライアントである工場のタコ課長とミーティングをして、そこで決まったことを現場スタッフGクンにつたえればいいのです。

本件でいえば、学校図書館を受託した請負会社の業務責任者が頻繁に、各学校を回っていれば、そうした打ち合わせもわりとスムースにできるはずですが、現実には、「月に一回来るかどうか」というのが実態だったことがのちに判明しています。完全に実態は「派遣」ですね。


この後、都立高校の担当部署では、労働局の示唆を受けて、

全校への実態調査

その結果を受けて指導・通達を出す

労働局へ、指摘された点についてすべて無事是正しましたと報告

――という流れで進んでいきます。

労働局サイドは、事件として着手する前から、そうした落としどころをあらかじめ設定していたフシがありありで、あとは改善されているかどうかを後日確認さえすれば、それでこの事件は一件落着と見込んでいたでしょう。

事実、その通りになりました。以下が、都が労働局に後日提出した是正完了の報告です。









この報告書では、前記の二点に加え、選書リストについても、現場で修正再提出を求めることは不適切との認識から、完成品として受け取り、あとは学校サイドで最終的に決定することとされています。

では、労働局が調査に入って、違法行為を是正させることで、なにもかもが改善されたのでしょうか?

いえ、そんなことは、まったくありませんでした。

「大山鳴動して、鼠一匹」

とは、こういうことをいうのでしょう。

形式はいくら改善して合法となったとしても、都立高校の学校図書館は、これ以降、改善されるどころか、ますます状況は悪くなっていくのです。

長くなりそうなので、その点については、別のエントリーをたてて、そちらに書きます。


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