2021年3月27日土曜日

和歌山市は、CCCと協議すらさせてもらえなかった?

 



和歌山市民に開示されたCCCとの定例会議事録が2018年の後半から2019年3月にかけてゴッソリと抜け落ちていた問題で、この間に、いったい何をCCCと和歌山市は話し合っていたのか



ということが話の焦点でした。



とりわけ、騙し討ちのような形で導入された4階の児童書コーナーの独自分類の件や、新しい図書館ならどこでも導入しているICタグをなぜか蔵書に装着しなかったこと、さらには、全スタッフに占める司書資格者の率が「パートを除く50%以上」としたことなどが、この時期に話し合われていたはずと思っていましたが、


今回新たにわかったのは、司書資格率の規定についてです。


そのことも当然、議事録がない期間の会議で話し合われていたはずだと私がいいましたところ、担当者がこう回答したのです。



いや、司書資格のことは、指定管理者を募集する前に決めていたことで、業務要求水準書に明記されている。


CCCが新しくできる和歌山市民図書館の指定管理者に選定されたのは、2017年11月の選定委員会のこと。その応募を受け付ける時点で、すでに和歌山市は、「司書資格者は、パートをのぞくスタッフの半数でいいよ」としていたというのです。



私はてっきり、指定管理者に選定された後、基本協定を締結する際に、両者で協議して決めたものだと早合点していましたが、指定管理者を募集する前から和歌山市が独自に決めていたことなんだというんですね。



そこで、私も資料の整理が絶望的に悪いなか、その業務水準要求書をさがしてみました。すると、和歌山市が指定管理者を募集したときに募集要項に貼付される形で公開されていたもののアーカイブがみつかりました。確かに、こう書かれています。





図書館の専門的サービスを実施するために常勤の司書の配置に努めること。

目安としては、パート職員や施設の維持管理を主たる業務とした従業者を除く

全従事者の 50%以上とする。




なるほど、和歌山市が自分たちで決めたことなので、あとからCCCと話し合ったりしていないというわけです。



しかし、これおかしいと思いませんか?



もともと和歌山市では、直営時代の職員のほぼ9割が司書資格の保持者でした。その業務を指定管理に出すにあたって、あえて「パートをのぞく」職員の半数以上と、これまでよりも極端に条件を緩和したうえで募集をしているんです。どうして、そこまで要求水準をおとして募集をかけなければならなかったのか。


このときには、建前としては、まだどこが応募してくるかもわかりません。図書館の専門企業であるTRC図書館流通センターがCCCと競合しましたので、もしTRCが選定される可能性があるとしたら、海老名市と同じように「全従事者の50%以上」としてもよかったはず。


なのにあえてこうしたというのは、すでにこのときからCCCが選定されることを想定していたのではないのか。


といういつもの出来レース疑惑がここでもまた浮上してきたんです。







で、この業務要求水準書にある「パート職員や施設の維持管理を主たる業務とした従業者を除く」という奇妙な表現がどこかで見覚えがあるなぁと思って調べてみしたら、ありました。2016年3月にCCC指定管理のツタヤ図書館としてオープンした多賀城市の業務要求水準書をひっくり返してみたところ、ピンポーンでした。


多賀城市・指定管理者業務要求水準書より





和歌山よりも少し詳しいですが、骨格部分の表現は以下のようにソックリです。



(3) 司書の配置

ア 司書の配置人数については明確な法的根拠等はありませんが、図書館運営には司書の存在と力量が不可欠です。そこで、日本図書館協会の見解を参考とし、図書館における司書の専門的サービスを実施するために必要な(概ねパート職員及び施設管理を行う本館職員を除く職員数の3分の2以上)司書有資格者数を確保するよう努めてください



多賀城市が、和歌山市と異なるのは、「50%以上」ではなく「3分の2以上」となっているところです。多賀城市のほうが条件は厳しかったわけですが、「パート職員及び施設管理を行う本館職員を除く」という表現はほぼ同じです。



みなさんご存じのように、多賀城は、2013年にいきなり菊地健次郎市長と増田宗昭社長が記者会見して「新しい図書館をカルチュア・コンビニエンス・クラブが運営する」とした実質、特命随意契約でした。


なので、多賀城のこの業務要求水準書は、CCCを念頭に置いて作成されたものです。というよりも、ひな形をCCCが多賀城市に提示して、それを多賀城市がアレンジしたものであると考えるのが自然でしょう。



多賀城市では、当ブログでも取り上げましたように、CCC指定管理にする直前に作成した図書館基本計画が有名書籍からのパクリ疑惑が浮上(コピペ疑惑の図書館計画())するなど、CCCが作成したのではないのかと疑われるようなことも起きています。


いまや、民間委託する際には、役所が一連の書式を作成するのではなく、受託する民間事業者のほうが書式を作成して役所に提示するようになっているのではないのかと疑われることが多くなっています。




つまり、和歌山市も、多賀城市という前例を踏襲したにすぎず、「3分の2以上」ではなく「50%以上」としたのも、おそらくCCCでしょう。


和歌山市のこの担当者は、CCCに言われてそうしたわけではなく、自分たちで提示した条件だと、どや顔で主張したいのでしょうが、その主張は完全にヤブヘビなわけで、むしろ、全方位から証明されつつある和歌山市の出来レース疑惑を、ますます補強する結果となりました。




ところで、そもそも公共図書館でも司書資格は、通常どのようなものなのでしょうか。私がいつもハローワークの求人などをみている範囲で言えば、


直営か民間委託かにかかわらず、


パートタイムの募集については、司書資格は必須ではないものの


フルタイム職員の募集では、ほぼ司書資格は必須(または図書館勤務経験)であり、



和歌山市のようにフルタイム勤務でも司書資格は必須ではないというケースは、かなり稀のように思います。

(違うよ、そんなことはないよ、よくあるよとおっしゃる方は、ぜひ論証ください)



その点、海老名市のように「全従事者の半数以上」としているのは、かなり要求水準は高いと言えるのですが、それもCCCと共同事業体を組んでいる図書館専門企業のTRCだからこそ、そうなっているとも言えるわけでして、


TRCと言えども、年々求人難が深刻になるなかで、いまや、この要件も満たすのはなかなかたいへんな時代になりつつあるはずです。



そうしたなか、今回のCCCとの会議録がゴッソリ抜けていた件については、



和歌山市は、CCCと話し合うことすらさせてもらえなかった


まるでTSUTAYAに加盟する店舗のように、本部が一方的に提示してきた条件をただ丸のみするだけの立場だった


(そのことは、内部告発された「選定前の密談記録」によくあらわれている)




というのがどうやら真相なのではないのか


というのが私の結論です。





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