2019年12月7日土曜日

契約書に盛られていた「毒」

こんにちは、日向です。


12/19に一部開館が予定されています新・和歌山市民図書館の件、

先日お知らせしました和歌山市がCCCと結んだ開館準備に関する業務委託の契約書(本番の指定管理契約と別)を改めて詳しくみていたところ

和歌山市・開館準備情報開示

興味深い点がひとつ浮かび上がってきました。

具体的には、以下の条項です。






画像が少し不鮮明なので、テキストにしてみました。
ちなみに甲が和歌山市、乙がCCCです。



 第19条 乙は、業務委託を履行するに際し、知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 乙は,業務委託に従事する者が業務委託を履行する際に知り得た秘密を漏らさないよう指導しなければならない。

3 乙は、乙又は乙の業務委託に従事した者が秘密を漏らしたため、甲が損害を受けたときには、その損害を賠償しなければならない。


と、まぁここまでは、一般的な契約書によくある内容なので、ななめ読みしていると、つい見逃してしまいがちですが、

このあとに結構ビックリするようなことが書かれています。該当する全文抜き出してみましょう。



4 甲は、乙が委託業務において甲に提出した資料等(別紙仕様書第6項及び第9項に定める提出書類及び成果物を含む。)については、一般に公開されていない事項を外部に漏らし、又は 乙の承諾なく他の目的に使用してはならない。


読み方によっては、CCCが市に提出した報告書をCCCの許諾なしに、市民に開示することを禁止しているようにも取れます。

この後、さらに別に仕様書で定めたCCCの市ヘの提出物にまで、この効力が及んでいることが明記されています。






第22条 この委託業務の実施により生じる別紙仕様書第6項及び第9項に定める提出書類・成果物が著作権法に定める著作物に該当する場合は、当該著作物に係る著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む。)は乙に留保される。


2 甲は、別紙仕様書第6項及び第9項に定める提出書類・成果物及び配架に係る分類に関するノウハウを和歌山市民図書館(和歌山市屏風丁17番地)の運営以外で、自ら又は第三者をして利用し、利用させてはならない。


この通りにすると、市が市民から開示請求受けても、CCCの開館準備に関する報告については、CCCの許諾なしに開示できない

ということになってしまいますね。





では、ここで特定されている「別紙仕様書第6項及び第9項に定める提出書類~」とは、いったいなんなのでしょうか。

仕様書から抜き出してみましょう。






6. 提出書類

委託業務の各工程において、以下に示す書類を遅延なく甲に提出すること,

①契約締結後、速やかに開館準業務計画書・業務体制装・業務実施工程表

②契約後30日以内 配架計画書(配架架計画図を含む。)・配架スケジュール.
         引越搬入作業計画書 (作業スケジュールを含む。)
③適時      業務進捗報告書

④業務完了時    業務報告


不安というか、嫌な予感が的中しました。

やはり開館準備にかかわわるCCCの市への報告書の大半が、この業務委託契約のなかで、スムースに公表できない縛りが隠されていたんですね。



最近は、一般企業でも、かつてはITの世界の慣習だったNDA(秘密保持契約)を結ぶというところが増えてきているようなので

役所が民間委託するときには、委託業者が守秘義務を負うだけでなく、

役所サイドでも、業者から提供されたサービスや成果物に関する情報について守秘義務を負う

なんてことになったら、

「都合の悪い業務は、外部の業者に発注してNDAで縛ればいい」ってことになってしまいます。
(実際に、ネット上でも、桜をみる会の参加者名簿を内閣府が廃棄したとしている件に関連して、こういう意見が出ていました)


そこで、行政訴訟に詳しい人にお聞きしてみると、その方は、こうした危惧を、一笑に付します。

「行政の仕事を請ける段階で、受託者には、そのような権利はありません。すべて市民に開示されるべきものです」

そうですよね。指定管理者に応募するときには、応募書類からして公開されることが前提にされていますから、

一般的な行政のスタンスとしては、

そんなに公開されるのが嫌ならば、おおやけの業務に応募してくんなよ!

ということなんですよ。

ただし、ややこしいのは、受託する民間企業が、ほかの民間企業と交わしたNDAについてまでは、さすがに行政の力も及ばないのではないか

――ということでした。

そういう場合には、確かに開示請求された資料のなかに、一部公開できないものがでてくる可能性はあるけれども、


基本は、受託者が委託者である行政に提出されたものは、一部例外を除けば、すべては開示されるべきものだということです。



下の画像をみてください。これは、2016年3月に宮城県多賀城市に開館した全国で三番目のツタヤ図書館がオープンした後に、開示されたCCC報告書からの抜粋です。写真など黒塗りが結構多いのですが、一応、開示はされているんですね。







そこで、和歌山市でも、市民の方にお願いして、これらの情報の開示請求により、事実を明らかにしていきたいと思います。(市外在住の者は、不服の申し立てができないため)



市民図書館におけるツタヤ分類での配架問題や、学校図書館へのCCCスタッフの派遣問題など、とにかく仕様書をみてみないと、なにがどうなるのかが、さっぱりわかりません。

市民になにか聞かれたら

「まだ何も決まってません」

と逃げながら、裏では、指定管理制度を鬼のようなスピードで導入。その指定管理者にCCCを選定するという難事業をあっという間にやり遂げた和歌山市です。

市民が反対しているツタヤ分類・Tカードの導入や、学校図書館へのCCCスタッフ派遣も、ハナっからCCCに譲歩させるつもりなど、さらさらなく、ただCCCの言いなりになって、CCCのやりたい放題にさせているようにしかみえません。

学校図書館へのCCC司書派遣の件は、市民の方がいち早く気づいて動き始めましたので、最悪の事態だけは避けられましたけれど、

もしもう少し気づくのが遅れていたとしたら、小学校の教室で児童全員にTカード申込書を配布するなどという行為が平然と行われていたかもしれません。


さて、和歌山市の場合はどうなるのでしょうか。


よろしくお願いいたします。





関連記事
和歌山市民図書館の指定管理は12/19から




2019/08/07


2019/07/28
2019/07/21
2019/07/20
2019/07/14
2019/07/14
2019/07/13
2019/07/12
2019/07/9
2019/07/6
2019/07/5
2019/07/5
2019/07/1
2019/06/29
2019/06/29
2019/06/27
2019/06/26
2019/06/25
2019/06/24
2019/06/21

2019/06/21
2019/06/19
2019/06/19


2019/06/08
2019/06/07
2019/06/06
2019/06/05
2019/06/01
2019/05/31
2019/05/30
2019/05/30
2019/05/28
2019/05/26
2019/05/23
2019/05/03
2019/04/29
2019/04/27
2019/04/25
2019/04/23
    2019/04/22
2019/04/19
2019/04/19
2019/04/09
2019/04/06
2019/04/06
2019/04/05
2019/04/05
2019/03/25
2019/03/17
2019/03/08
2019/02/26
2019/02/25
2019/02/24
2019/02/22
2019/02/20
2019/02/18
2019/02/17
2019/02/15
2019/02/14
2019/02/09
2019/02/08
2019/02/02
2019/02/01
2019/01/28
2019/01/27
2019/01/24
2019/01/15
2019/01/14
2019/01/13
2019/01/13
2019/01/10
2019/01/07
2019/01/06
2019/01/03
2019/01/03
2019/01/03
2019/01/03
2019/01/03
2019/01/03
2018/12/31
2018/12/31
2018/12/29
2018/12/29
2018/12/22
2018/12/22
2018/12/20
2018/12/20
2018/12/20
2018/12/19
2018/12/19
2018/12/15
2018/12/12
2018/12/10
2018/12/09
2018/12/08
2018/12/08
2018/12/02
2018/12/01
2018/11/30

2018/11/29
2018/11/27
2018/10/07

2018/09/23

2018/09/23
2018/09/20
2018/09/19
2018/09/17

2018/09/15

2018/09/15


0 件のコメント:

コメントを投稿