今日は、ツタヤ図書館の話題はいったんお休みしまして、私の本業の労働問題について書いておきたいと思います。
ビジネスジャーナルに、厚労省の不正調査について以下の記事を書きました。
勤労統計不正、背後に厚労省の雇用保険給付カットの意図か…失業保険もらえない人続出
今話題になっている毎月勤労統計の不適切な調査手法が始まったのが2004年からというのニュースを聞いて、すぐに
「当時パンク寸前だった雇用保険財政を立て直すためだろう」
と思ったのですが、誰もその点を深く掘り下げることなく、やがて“アベノミクス偽装”に論点が移っていきました。
しかし、過去の雇用保険データを改めてみてみたところ、やはり
「雇用保険財政との関連性は無視できない」
と思い、急いでそこの点をまとめておきました。
雇用保険制度を、継続的に失業者側からみている人は、ほとんどいません。受給する人は、お世話になるのは、長くても1年くらいです。
私の場合は、雇用保険関係の書籍を出版している関係から、毎年改定される失業手当の動向を調べるのは、もう20年以上ルーチンワークのひとつになっていました。
その金額をみて「今年もまた下がってるのかよ、いいかげんにしろよ」などと受給者の立場から嘆息し続けていました。
不正調査が始まった2004年というのは、雇用保険財政がパンク寸前に追い込まれていた頃でしたから、厚労省がその頃から不適切な手法を用いたとしたら、当然、雇用保険財政との関係を疑うのが筋なのですが、どういうわけか、そこのへんはスルーされてしまいました。
私がこの記事で言いたかったのは、国が07年以降に推し進めてきた
「セーフティーネット解体」
と呼んでもいいくらい雇用保険制度を改悪してきた暴挙をあぶり出すことです。
「カネないからしょうがない」 ってみなさん思いますよね。でも、違うんです。
この10年を振り返ると、雇用保険に関しては、カネがないどころか、カネは有り余っていました。
毎年莫大な金額の黒字が積み上がっていき、サイフがパンパンに膨れ上がって、その使い途に困っているほどなんです。
なのに、一度財政破綻のピンチがトラウマになっているのかどうかわかりませんが、できるだけ失業して困っている人にカネを払わずに、再就職できた人などあまり困ってない人にはカネを払うという方向にカジを切ってしまいました。
雇用保険は、広く薄く集めることに成功している社会保険の優等生でした。不正調査によって給付額を年々減額し、たびかさなる制度の改悪によって、“優等生”をひきずり降ろして、いったいなにをしようとしているのでしょうか。
03年には、財政破綻のピンチが訪れましたが、それはセーフティーネット機能がフルに機能したことの証左です。
大魔神が荒波にたちはだかって、「働く人救済」に大活躍したのです。
しかし、08年のリーマンショックのときには、大魔神は現れず、大惨事が起きてしまいました。
そんな経緯をデータで詳しく解説しましたので、関心のある方は、ぜひ一度チェックしてみてください。
よろしくお願いいたします。
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