2020年3月23日月曜日

都立高校ピンハネ事件の核心

こんにちは、日向です。

今朝、当ブログでもしつこく書いております東京都立高校のピンハネ事件の続報がビジネスジャーナルでリリースされました。


2020.03.23 
東京都、民間委託事業者の“ピンハネ”を黙認…司書を低賃金で使い捨て、文科省の指針を無視



今回の記事で、注目していただきたいのは、偽装請負の実態がクッキリと浮き彫りになっている従事者のコメント部分です。

BJ記事本文から、該当部分を以下に引用しておきましょう。



当時、問題になっていた偽装請負について、現場ではどのような認識だったのか。 

「現場の教師との打ち合わせは、特に意識せず普通に行っていました。会社からも特別に何か注意するようにとは言われていませんでした。図書だよりも、相談しながら制作していました。生徒の図書委員会だけはノータッチでしたね。

業務責任者は、私が入った直後こそ、ほぼ毎週のようにきていましたが、そのうち月に1回、来るかどうかになりました。あらかじめ訪問の日程が決まっていても、突然『ごめん、今日行けなくなった』と電話してくるようになりました。
 
すごくいい加減なので驚きました。担当の教職員の方は、とても温厚で『忙しいんだから、しょうがないよね』というだけでした」 

請負会社の業務責任者が同席しない“打ち合わせ”は、クライアントが直接、委託スタッフに指示命令するものと解されるため、労働者派遣業の許可がなければ違法となる。つまり、現場の教師と打ち合わせを行っていたという証言には、違法性が漂う。



「違法性が漂う」と、控えめな言い方をしていますが、これは明確に「偽装請負にあたる」と言い切っていいのではないでしょうか。

学校長が業務責任者を通して、委託会社に指揮命令を行う

という請負業の基準はなし崩しにされており、現場教師が直接、委託会社のスタッフと打ち合わせをし、

実質的に指揮命令を行っている実態は、まぎれもなく「労働者派遣事業」です。

2015年7月に請負を装った違法な派遣業イコール“偽装請負”として、東京都から是正指導を受けた実態がそのまんま現れています。


もし、この事業が派遣業であれば、記事にもあるように、現場スタッフの賃金は、当時の都内の水準なら、少なくとも時給1300円以上。それが910円で募集していたわけです。

コンプライアンスという面では、世間の模範ともなるべき教育機関を管掌する都教委が、このような脱法行為を黙認していた実態が浮き彫りになっています。


では、いったい、なぜこのようなことがまかり通っているのでしょうか?

百歩譲って、都立高校の学校図書館を民間委託することで、より安い費用でより高いレベルの教育効果が期待できるサービスの提供を受けているというのでしたら、

予算が足りないからそうした

という言い訳も、理屈としては成り立たないわけではないのですが、

過去記事でもしつこく取り上げているように

図書館に関しては、まったく素人の受託企業が必要なスタッフを集めることすらできず、不履行を乱発していたうえに

「偽装請負」にならないよう、現場でも打ち合わせなどは厳禁にしないといけない窮屈なやり方を余儀なくされているわけですから

都教委が自ら直接雇用で非常勤(現在なら、会計年度任用職員)を雇用したほうが、より安い費用で、現場の教師等との連携できて、より教育効果の高い図書館運営が可能になるのは、自明の理です。

委託費も、2016年当時と比べて倍増していますから、そこまでして都が指名した事業者にやらせたいのは、何か特別な理由があるとしか考えられません。

それについて指摘している関係者のコメントがなかなか意味深です。



「契約は、そのために配当された予算の中で行います。現場が予算要求するためには、その根拠として業者の見積書が必要になります。このような大幅値上げの見積書を普通は現場担当課も業者に対して認めないし、予算担当課も認めることはありません。こんなバカげたことは、何か異常な背景がない限り通らないものです」


都がこの事業の入札を行うにあたっては、事前に、予定価格を積算しているはず。その元にとなる数字は、当然、事業者から出された見積書でしょう。

2015年頃までは、都が設定した予定価格よりもかなり安く落札されたダンピングだったのではないかと捉えていましたが、今回の中野工業の数字を検証してみてわかったのは、

そもそも都の予定価格で想定している人件費そのものからして、かなり安い、つまり、事業者が最低賃金で雇用することを前提にしたかのような水準でした。

それが、どうしてウナギノボリに上がっていったのか、また、選定プロセスにおいて、特定の事業者が優遇されているような実態はないのか。

というこの事件の“核心”に、いよいよ近づいてきました。

果たして、そんな疑惑をどこまで解明できるのか、まだ先はみえておりませんが、

とりあえず、東京都には、落札経過に関する情報を開示請求しておりますので、その点もわかり次第レポートしていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。



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