2023年2月10日金曜日

朝日新聞の200万人来館報道に怒った和歌山市民

 


こんにちは、日向です。


和歌山市で住民監査請求が提起されてから、ちょうど一か月後の1月27日、朝日新聞デジタルに、こんな記事がリリースされました。


移転2年半で来館者200万人 市民図書館


記事の内容は、タイトルのとおり、2020年6月にグランドオープンしてから、2年と6か月にして来館者数が累計200万人を突破したことを報じたものです。


ツタヤ図書館についてなにも知らない人にとっては、へえー、結構賑わってるんだ、スゴイねえ、ということになるはずですが、多少なりとも知識のある人でしたら、


また、やってんのか、優良誤認のフェイクニュースを


とゲンナリするかもしれません。


この手の記事が出るたびに、指摘されることなんですが、


まず第一に、200万人は、市民図書館の来館者数ではありません。


駅の賑わいスペース、カフェと書店、物販店に子育てスペースや、イベント客、コンサート客、市民活動などをすべてひっくるめた来館者の数です。


ですので、それらがなかった頃の旧図書館と比較するのは、とんでもなく不適切なんです。


しかし、地元紙(地域版)としては、図書館のような市民に身近な施設の話題というのは、定番のマチネタといえますので、まったくふれないというわけにはいかないのでしょう。


朝日のこの記事では、


2020年6月に現在地で全面開館してから1日の平均来館者数は約2千人で、旧館から約4・4倍に増加した。延べ床面積は約7597平方メートルで、総座席数は、湊本町3丁目にあった旧館の約270席から約670席へと倍以上に増やした。


とヨイショしたあと、利用者の声として、


こども図書館を「ここは見晴らしがよく、この子の大好きな電車が橋を渡る様子を見せてあげられる。絵本だけじゃなく、子どもが遊べるスペースもあって、一緒に利用しやすいです」

とか 


無料で利用できるし、座席が多いのでいつ来ても勉強に集中できるから、よく利用しています


と公務員試験の勉強している大学生の声も紹介していました。


それを受けて、市教委の担当者なかの、それともCCC社員の平井館長なのか、運営側の見方をこう紹介しています。


 担当者は、和歌山市駅直結であることや、多様な館内イベント、カフェや書店の併設、関西最大級をうたう子ども向け図書エリアの設置などで利用の幅が広がったとみている。


さすがに、これで終ったら、あからさまな提灯記事になってしまいますので、

新館になってデメリットと言われている司書資格者が激減したことについては、CCCが資格取得支援制度を社内にもうけ、社員に資格取得を促して、資格者増えるように取り組んでいるとされていたり、


旧館時代から貴重な資料を収集してきた移民資料室についても、資料の点数は増えているし、かつては鍵がかかっていたところも一般開放している、とフォローされていました。


そして最後は、こう締めくくっています。


市民図書館は「今後も来館の動機になる話題作りや情報発信、資料の収集、提供を続け、これまで以上に愛される図書館にしたい」としている。



一応、これらの内容についても、ツッコミをいれておきますと、CCCの指定管理になるまでの旧館では、現場スタッフは、1名を除くほぼ全員が司書資格者でした。


なので、CCCが直営時代に準じるような待遇(パート職員も全員がフルタイムで年収200万円以上)さえ用意していれば、ほぼ全員がCCCに移籍して司書資格率も確保できたはずなのに、そうしなかったのですから、なにをいまさら資格取得支援制度なんて言ってるんだろうと思いますね。


全国でもほかに類を見ないほどめずらしい移民資料室については、前任者からの引継ぎさえできていれば、資料の点数は確実に増えていくはずなので、そのことだけで維持管理できているとはいえないと思います。


問題なのは、その担当職員が専任でこの業務にあたっているのか、その待遇はどうなのかということなんですよ。


移民資料室は、中谷智樹さんという長年、和歌山市市民図書館に勤務されていた名物司書の方が1983年の開設時からかかわって整備されてきたもの。中谷さんが新館移行時にご退職された後は、後任者がCCCに移籍してご担当されていると聞いています。

参考・専門図書館見学記 和歌山市民図書館 移民資料室 https://www.jcross.com/plaza/report/libraryreport/post-32.html


その後任の方がいくら有能で、熱心にこの業務にあたられているとしても、もし、非正規で、ほかの業務と兼務していたとすれば、これまで通り維持管理していくのは、ご本人の努力だけでは難しいでしょう。


CCCは、イベントやこども向けの「ほんのやま」などは派手に宣伝するのに、移民資料室については、それがあることすからアピールしているのをみたことがありません。集客に貢献しにくい分野ですので、言葉は悪いですが「テキトーにやっとけよ」みたいな姿勢しか感じられません。そのあたりのことを、もう少し取材しないと事実はみえてこないと思うのですが。



そういえば、朝日新聞は、2020年6月の全面開館した当時、こんな記事を出していました。


変わる公立図書館、いいの? 司書半減…でも屋上テラス

https://www.asahi.com/articles/ASN76756TN6HPXLB00T.html


この記事の後半で、藤野隆晃記者は、こう書いています。


 市とCCCは、旧図書館でも司書の全員が図書館業務にあたっていたわけではない上、市が求める「パート従業員らを除く全従業員の半数以上は司書資格保有者」という基準も満たしているとする。また、展示の方法の工夫などを通じて市民に広く資料を知ってもらうことで、司書の数に関係なく公立図書館としての役割を果たせるという。自身も司書資格を持つ平井薫館長は「司書は数として減ってはいるが、資格取得のサポートなどで増やす努力をしていく」と話した。


このとき、藤野記者は、CCCの痛いところをかなり攻めていました。平井館長が言い訳している司書資格率のカラクリ(「パート従業員をのぞく」とすることで、直営時代の三分の一でもOKとした)を当ブログで暴きましたし、「旧図書館でも司書の全員が図書館業務にあたっていたわけではない」というのも、私の取材によって事実ではないこともわかっています。


さらに「司書資格の数に関係なく」とか言い出したかと思えば、館長は司書資格をもってるんだとドヤ顔してみたり(館長なら当然なのに。あっ、海老名の館長は無資格でしたね)、あげくのはては「増やす努力をしていく」とおっしゃってたんですよ。それが2年半たって、まだ同じことを言ってて、なんの改善もないことを、今回の記事を書いた下地達也記者は、なんのツッコミをいれなかったのでしょうか? 原稿では入れたけど、そこはカットされたのでしょうか?




まぁ、毎度のことなんですが、ツタヤ図書館のニュースというのは、いつも、運営者のCCCをほめまくる内容になっていて、かつて問題視されていた郷土資料とかにも、CCCはいまはちゃんと取り組んでいるし、司書資格者だって減ったって一部騒がれてはいるけれど、CCCはCCCなりにがんばってるんだから、大目にみようよ、その分市民が大勢集まって、憩いの場になっているのは、素晴らしいことではないですか、という世論の誘導になってしまっています。


不思議なのは、なぜか、この記事が地元でほとんど話題になっていないことです。


そればかりか、なかにはこんな報道には黙ってられないと感じる市民もいるんですね。


で、ここからは、なにがあったまではか詳しくは把握してませんが、人ずてに聞いたところによれば、この記事に疑問をもったある市民の方が朝日新聞の記者に直接、話をされたそうです。(住民監査請求をされた市民団体の方ではない)


自分が書いた記事についてクレームめいたことを言われるのは誰しも嫌なはずですし、取材のプロセスについて聞かれても新聞記者は、一切回答しないのがふつうですが、朝日新聞の和歌山市局では、市民からの問い合わせに記者は、ちゃんと対応してくれたとのことでした。

その際には、もちろん来館者数のカラクリや住民監査請求の対象になって蔦屋書店とスタバの激安賃料などのことも市民の方が詳しく話をされたとのことでしたので、誰もが手放しで喜んでいるわけではないということを、記事を書いた記者も理解したと思います。


実は、昨年末に住民監査請求を市民団体が提起された際も、記者クラブを通して資料を配布したり、世話人の方が説明に回られているので、知らないはずはないんですが…。


来館者が200万人に達したのは、1月7日土曜日のことでしたので、遅くとも翌週14日くらいまでに「2年半で200万人来館」は報じられていないとおかしいのですが、掲載されたのは、さらに先のばしされて27日金曜日だったのは、どうしてでしょうか? もしかしたら、住民監査請求の中身を見極めてからという支局全体の判断があったのかもしれません。


いずれにしろ、市民が地元メディアに対して、もっと取材して違う意見を持つ市民の声も幅広く聞いてほしいと働きかけたのは、結構意味のあることではないかと思った次第です。


さて、もう一点、今回、和歌山市の来館者数で感じたのは、これまでのツタヤ図書館とは、大きく異なると感じたのは、「2年半で200万人」という数字は、かなりショボイのではないかってことです。長くなりましたので、ここからは別のエントリーをたてて、市民図書館の来館者数について、もう少し詳しくみていきたいと思います。


「200万人来館!」という“大本営発表” へつづく


デジタル版と同じ1/27に和歌山版に掲載された朝日新聞の記事。デジタル版と同じ内容だった。





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「200万人来館!」という“大本営発表” 

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企業秘密と説明責任


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宇城市へ情報開示決定の審査請求を行いました和歌山市へ提出されたCCC開館準備報告書 ●和歌山市CCCとの定例会議・議事録を入手(その3)添付資料 ●和歌山市CCCとの定例会議・議事録を入手(その2 ●公式回答が“ウソ八百?”の和歌山市読書活動推進課 ●高石市で蔦屋書店の相棒となった日本測地設計 ●和歌山市CCCとの定例会議・議事録を入手(その1 ●大阪府高石市は、蔦屋と南海のカモ? ●『雇用保険から排除される非正規労働者~』の記事が出ました ●蔦屋書店は悪くないと言う高石市の担当課長 ●速報!“ツタヤ図書館もどき“が大阪府高石市にもできる?




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2020年8月29日土曜日

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20206月》

和歌山市民図書館は、ICタグ装備せず「ICタグと自動貸出機」はセット自動貸出機についての補足説明和歌山市民図書館の自動貸出機について3800万円“安全対策”出来レースの代償後編出来レースの代償・前編専門家がほとんどいない審議会 『第9版 失業保険150%トコトン活用術』についてのお詫びと訂正 TSUTAYA占領地のレジスタンス 疑惑まみれのグランドオープン 白塗り”に隠されていた告発意図


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