2022年12月7日水曜日

図書館の人件費を店舗運営への流用疑惑

 

こんにちは、日向です。


和歌山市民図書館の公私混同疑惑は、ハイライト部分の光熱水費編が一段落しましたので、残る人件費の問題についても、少し書いておきたいと思います。


まず、2020年6月5日にオープンした時点での、スタッフの数です。


先に公式発表からいきますと、以下のようになっています。


2020年11月に筆者の求めに応じて和歌山市が開示したデータ





令和 2 年 6 月 30 日時点 

・本館    従事者  67 名(パート 51 名を除く従事者のうち司書有資格者 12 名)


全体で67人のスタッフが働いていて、うちパートが51人ということは、正社員・契約社員含むフルタイムが16人ということになります。


ところが、CCC発表は、その数字が大きく異なるんです。


2020年7月7日付朝日新聞『変わる公.図書館、いいの. 司書半減…でも屋上テラス』によれば、






新図書館ではパート従業員らを含む職員56人のうち司書は16人になったという。


旧図書館とのスタッフ数の変動も入れるとややこしいので、とりあえずここではスルーして、新館開館時のスタッフだけみていきますと、総数が56人、司書資格者は16人だと、CCCは、ここで発表しています。


市教委の公式発表よりも11人も少ないんです。


逆に、司書資格者数については、公式が12人なのに、朝日新聞記事では16人と、4人も多いんです。


いったいどういうことなんでしょうか?


朝日新聞の記事が7/7と、開示データの6/30時点の一週間後なんですが、その取材をしたのは一週間くらいは前と推測されますので、両方のデータはほぼ同時期のものといえます。




どちらかがウソをついていることになりますが、さすがに市教委の読書活動推進課が平然とウソをつくとも思えないので、


CCCは、和歌山市には、全体の従事者が 67人と報告しておきながら、実際に、図書館業務に従事しているのは56人であり、司書資格者は、新聞の取材にちょっと多めに答えてしまったということなんでしょう。



ここで、ふと気づくのは、もしかしてスタッフは全員、図書館と蔦屋書店の業務を兼務してるのでは? という疑問です。


もしそうなら、CCCとしては、図書館の専従者は56人だけど、蔦屋書店の専従スタッフは11人で、あわせて67人が市に報告した従事者数なのではと考えてしまいます。



でも、公務と営利店舗の両方を、ひとりひとりのスタッフが兼務していたら、それどういう風に按分するんでしょうか。56対11の比率は、8:2の割合として、8時間勤務のうち2時間だけ書店や販売の仕事をするというふうになっているとしたら、かなり窮屈ですね。


2017年11月の開館前にスタッフを募集した山口県周南市立徳山駅前図書館の求人広告。図書館スタッフと書店スタッフを同時募集。両方の職種を兼務するニュアンス。





いま忙しいんだからさ、図書館の仕事チンタラやってんじゃないよ、ほらレジに出て接客してよ!


なんていうマネージャーがいても決しておかしくはないので、なしくずしといいますか、利益優先となった場合には、図書館の人件費を、一部店舗に流用してしまうことになりかねません。


まして、昨今の人手不足は深刻ですので、いくらオシャレな図書館とはいえ、ほぼ最低賃金で働いてくれるスタッフが常に定員いっぱいまで集まるとは考えにくく、ましてフルタイムの司書資格者ともなれば、一年中募集しても定員を確保するのは至難の業でしょう。


そこで重要になってくるのが、当初の指定管理料の積算です。


下をみてください。2017年に、和歌山市と同じくCCC指定管理者でオープンした岡山県高梁市図書館の場合は、CCCから提案されたスタッフ体制は、合計35人となっています。


高梁市提案書より








ところが、地元事情通の方によると、実際に働いているのは30人弱で、常に5人以上の人件費が浮いている状態なのに、指定管理料は一切見直しが行なわれていないと指摘されています。



高梁市図書館の指定管理料は、初年度1億5000万円ですから、和歌山市の3億3000万円からすれば、ほぼ半分の規模。それからすると、和歌山市で市の発表が67人で、実際に働いているのは56人というのは、高梁市とほぼ同じ比率なのではないかと思います。


和歌山市令和2年度図書館要覧より



つまり、和歌山市でも常に10人くらいは、人件費を積算したときの職員数との隔たりがあるとすれば、その分ちゃっかりCCCの隠れ利益にされているのではと疑ってしまいます。


あるいは、本当に67人スタッフはいるんだけれども、蔦屋書店や物販のほうに人手が取られてしまって、実質図書館業務に専念しているのは常時50人以下になっているなんてことも十分に考えられます。(オシャレな図書館で働きませんか?と求人広告で誘い、実際には販売業務をやらされるなど)



指定管理者制度は、性能発注なので、何人のスタッフで業務を遂行するかは問われておらず、仕様書通りの業務さえキチンとこなせていれば、当初予定していた人員よりも少なくても問題ないという建付けにはなっているんですけれども、じゃあその図書館としての本来の業務がちゃんと遂行されているかというと、かなりこれが怪しいんです。



現実に、当初約束した人数でサービスを提供することができなければ、当然、そのサービスの質も落ちるはずなんですけれど、


ツタヤ図書館というところは、レファレンスなど本来の図書館業務の質が厳しく問われることはほとんどなく、なんとなく雰囲気がよくて、大勢のお客さんが来場してくれれば「8割の利用者は満足」とか激しくアピールされて「賑わい創出」に成功したということにされてしまいます。


図書館としてのサービスの質が問われると、やはりスキルのある司書が一定数いて、安定的なサービスが提供されないといけません。


司書の方が和歌山市民図書館の年間レファレンス数をみて驚いていました。えっ、これ年間の数字?1週間とか1カ月の数字じゃあないの?と。


さらには、こんな市民の方のぼやきも聞こえてきます。


…レファレンスどころか読書相談もまともに機能しなくなった「今流行の~」とか「今人気の~」みたいな本屋的アピールしかできなくてちょっと専門分野聞いたらそこにないなら無いですみたいなダイソーみたいな対応になった・・・ 相互貸借とか特別貸し出しなんて




“そこにないなら無いですみたいなダイソーみたいな対応”


というのは、なかなか言い得て妙ですね。



そういう図書館としての機能を適切に評価しない自治体では、なんでもやりたい放題になってしまうというわけなんです。


ですので、良識派の市民の方とすれば、客寄せイベントとか突拍子もないことしなくていいから、とにかく図書館としての基本的な機能を充実してほしいとなったときに、


なんだよちゃんと約束の人員すら配置してないじゃあないのか!


となるはずなんです。だから、人件費が民業に流用されていないかという、チェックは常に必要なんです。


そのためは、まずは、市民図書館の運営実態について、市民の方が関心を持ってもらうというのが、先決なのではないのかって、ほんとにしつこいぐらいに言っておきたいですね。


よろしくお願いいたします。


【12/8 22時10分追記】

レファレンスの件数(旧館では、相談件数)を調べてみると、旧館の2015年度は、4463件ありましたが、派手に新館が開館した2020年度は、年間288件と15分の1にまで激減していました。



https://web.archive.org/web/20180818082839/https://www.lib.city.wakayama.wakayama.jp/youran/youran_H28.pdf#page=12 より



http://www.city.wakayama.wakayama.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/651/youran2021 より


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2020年8月29日土曜日

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20206月》

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