2023年2月22日水曜日

“空箱”を拝んだ142万人

 

こんにちは、日向です。


先日、和歌山市民図書館がグランドオープンから2年半で、来館者数200万人を達成したことを取り上げました。



2023年2月12日日曜日


この記事のなかで、和歌山市と比較したのが宮城県の多賀城市立図書館でした。2016年3月に、和歌山市と同じく駅前へ新築移転により、来館者数を大幅に増やして「大成功!」とされた第三のツタヤ図書館です。(元祖が2013年の佐賀県・武雄市図書館・歴史資料館、二番目が2015年の海老名市立中央図書館。いずれも大規模改装)





来館者数が直営時代(2011年)の9万3000人から、オープンした2016年度は142万4000人と15.3倍にも増えたと、CCCとRIAは、この実績を武器に、全国の自治体をセールスに回っていました。


直営時代と比較するなら、2014年と比較すればいいものを(移転のため一時休館した2015年はのぞいて)、わざわざ震災のあった2011年度と比較しているのも、なにやら意図的なものを感じざるをえませんが、


それにしても、15.3倍という数字は、驚異的です。平均すると一日約4000人が来館するというのですから、館内はそれこそ立錐の余地がないくらい、毎日人が集まってお祭り騒ぎになっていたのでしょうか?


いやいや、そんなことはありえないという声は、当初から根強く、不正な“来館ゲート疑惑”が再三指摘されています。


駅を利用する毎日の通勤客や学生、施設内のコンビニ、カフェ、書店、レストランの利用客もすべて、この図書館の来館者数にカウントされるしくみで、図書館が閉まったあとに入ってくる店舗の客までもが、図書館の来館者数にカウントされるんです。

アベノミクスの統計不正まがいの行為を、臆面もなく自治体と一民間企業が何年も先取りしていた(無批判に報じる地元メディアもそれに加担)ことに、改めてあきれ返りますね。そんなことばかりしてて、恥ずかしくないのかな。(延岡市の市民が、2018年のエンクロス年間128万人来館なんてありえない、土日ならともなく、毎日3000人も絶対に来ていないとまで断言されてました)


さて、本題はここから。そう思ってみておりましたところ、統計を詳しくみていきますと、多賀城市の数字には、まったく別の側面があることが最近わかりました。





下をみてください。これは、多賀城市立図書館が新築移転する2年前の2014年度(平成26年度)~2019年度(平成31年度)までの6年間における【市民の実利用人数】の推移を表したものです。



第三次多賀城市立図書館基本計画 令和3年3月 多賀城市教育委員会 


新築移転する直前の2015年度(H27年度)には、トータル1万709人だった実利用者人数が、ツタヤ図書館として新築移転した2016年度(H28年度)は、2万9,735人まで増えています。


あれっ、実利用者数にすると、3倍にしかなってないじゃん。


そう思いますよね。


しかも、アミのかかっている市民の実利用者数をみますと、移転前7,493人から、移転後11,960人と、6割くらいしか増えていません。


来館者数15.3倍!という派手な数字は、いったいどこへ消えたのでしょうか。



さらに、移転後の推移をみますと、全体の来館者数は、2016年度の2万9,735人をピークに、年々ジリジリと減っていて、2019年度には、20,980人と3割減!


市民の利用者数も、2019年度には9002人と、ピーク時から2割減!




実利用者人数というのは、「図書資料の貸出を受けた人の実数」ですから、図書館の本は借りずに、単に、新聞や雑誌を読みに来ただけの利用者は、カウントされないものの、何個所にも設置されたBDSゲートを通過するたびに、ダブルカウント、トリプルカウントもありえる「来館者数」と大きく異なるのは、その数字の信頼性の高さです。


本を借りるという積極的に図書館を利用する行為をした人数を、貸出記録から出したものですから、水増しのきかない、いわばコアの部分の図書館利用者数といえます。


そのコアの人数がツタヤ図書館になっても、思ったほど増えていないことを示しており、大きく増えているのは、市外の利用者だけということがわかりました。



おそらく、これは関係者にとって、たいへんショッキングな数字といえ、まじめに新図書館移転に取り組んだ職員にとっては、はっきり言って「大失敗」を意味するのないでしょうか?


市民の1割しか利用していない図書館の利用率を5割まで引きあげる


そうCCCは開館前に豪語していましたが、いざ開館になって、ふたをあげてみたら、市民の実利用率は、1割をわずかに上回った程度でした。


第三次多賀城市立図書館基本計画 令和3年3月 多賀城市教育委員会 


大きく増えたのは、市外からの来館者数のみ。高層書架にダミー本を飾った図書館の内装を物見遊山で見に来た人や、同じ建物に入っているレストラン、コンビニ、カフェ、書店、イベントなどの利用者は増えた(図書館閉館時間後も店舗客をカウント)ものの、図書館の実利用者は、それにつられて一瞬だけ3倍まで増えて、その後は少しずつ減っていて、定期的にリニューアルでもしない限り、やがては元に戻りつつある、市民の利用者は、2割くらいしか増えていない、というところでしょうか。




なにはともあれ、来観者が激増したのは、めでたいこと


そう思われる人は、下をみてください。







多賀城市の図書館を核とした駅前再開発事業の総事業費は、約60億円。そのうち、多賀城市の負担は約40億円。図書館だけに限定しても、建設費負担金は2014年度6.8億円と2015年度11.5億円で18.3億円。それにシステム構築費1.1億円、移転開館準備費に2.16億円、事務費備品購入に5600万円、極めつけは、指定管理料に年間2.8億円(直営時代の2.3倍)と、文字通り“湯水のごとく”カネを注ぎ込んでできたのが、“初の新築ツタヤ図書館”でした。


長年、塩漬けになっていた市の保有地をもとに、国の補助金をトコトン活用、多賀城駅北開発という第三セクターに商業施設部分を保有させるなどワザを駆使することで、市の負担を最小限にして、中心市街地の活性化をめざした計画として、全国から注目を集めた模範プロジェクトだったのです。




その成果として、市立図書館をみた場合、市民の実利用者人数が一瞬だけ6割増えた(その後は減る一方)というのは、あまりにも期待外れと言っていいのではないかと思います。



金儲けしか興味のないレンタル屋が運営している以上、公共図書館機能の充実には期待できないと、賢明な市民は思っているかもしれませんが、実は、その図書館をダシにした、中心市街地の活性化そのものの事業の雲行きすらあやしいのです。


多賀城の図書館を訪問した人たちのsnsの投稿をみていますと、判で押したように、吹き抜け構造の高層書架の写真をアップしています。






オシャレ、スゲー、カッケー 一日いられる、ここに住みたい、うちの地元にもほしい、


――という空虚な言葉がならぶその視線の先には、中身カラのダミー本がそびえたっています。蔵書や図書館機能が褒められることは、ほとんどありません。


彼らは、図書館の書架とスタバ・蔦屋書店をみた後、多賀城市内をあちこち観光して、商店街でお金を落とすことも、ほとんどありません。駅直結できたら、駅直結で帰るだけです。


“経済効果”を享受できるのは、運営者のCCCが経営するスターバックスと蔦屋書店に、コンビニのファミマ!(CCCの関連会社ソウ・ツーが経営)だけでしょう。


そんな基盤の脆弱さは、まもなく露わになりました。2016年にオープンしてから、1年もたたないうちに、図書館と同じA棟で営業する蔦屋書店のレンタル部門がなくなりました。CCCと合弁で蔦屋書店を設立していた地元企業のホットマンが、あまりにも酷い赤字の垂れ流しに悲鳴をあげて撤退を決断。CCCがその持ち分を関連会社に引きとって、なんとか事態を収拾しましたが、1年で当初のもくろみが崩れたこのときのショックは決して小さくなかったはず。


また、商業施設部分の床保有会社である多賀城駅北開発は、CCCから毎年5400万円程度の賃料が得られることになっていて、それを原資にして、取得した不動産を償却していくしくみなんですが、


同社は、2016年度にこの事業がたちあがって、まだ1年しかたっていない2017年度(2018年3月期決算)には、なぜか赤字決算をしています。


どういう理由でそうなったのか、さっぱりわかりませんが、少なくとも駅前新築の不動産を所有して10年や20年はビクともしない安定した事業基盤にに綻びが出たのは確かでしょう。


情報公開をしない第三セクターの破綻が次々と表面化したバブル崩壊後の悪夢の再来にならないことを祈るばかりです。



さて、そうした状況のなかで、CCCは、これからも死に物狂いで取り組んでいくだろうと思えるのが館内のイベントです。


来館者数が増えても、自治体からもらう指定管理料は変わりませんが、がむしゃらに入館者を集めれば、自動的に自社店舗の売上もあがります。その開催回数を、成果というか実績として、次の受託のための営業活動で強力にアピールできます。


図書館の機能を充実させるためには、人手もコストもそれなりにかかりますが、イベントだけは、企画と場所貸しに注力すれば、たいしてコストもかからずに開催でき、人を集めることが可能です。イベントの中身が評価されることはほとんどありません。それが、バカのひとつ覚えみたいに『賑わい創出』を連呼している自治体の評価にもつながります。


ですから、CCCの運営施設では、今後も、とにかく一にも二にもイベントだけに力を入れて生き残りをはかるであろうことは、容易に想像できます。


イベントさえ多数開催していれば、役所の人たちは、さすが民間企業と喜んでくれるでしょう。そして、そのためにも、知的な雰囲気を醸し出す図書館書架を借景にした、入り口近くのポップアップショップのスペースや、子育て世代のためのブックマウンテンは、必須のハコモノです。


なので、新しいツタヤ施設は、図書館ではもはやなく、TSUTAYAイベント館として全国に名をはせるでしょうが、集まった人の数にはなんの意味もなく、飾られた書架を拝む人たちで、とんでもなく空虚な賑わいだけがつづくことになるのかもしれません。


そうならないためにも、ツタヤ誘致自治体の市民の方は、ぜひ、図書館の実利用者数の推移に注目してください。よろしくお願いいたします。


2016年12月21日水曜日付・河北新報のネット記事。年内に来観者120万人の目標に届きそうだと、手放しでCCCの運営を賞賛している。武雄市、海老名市につづいて、多賀城市でも、古本大量購入の実態が露わになった事件など一切なかったことにしているばかりか、巨額の公金を投入した再開発事業のなかでの図書館事業の費用対効果を検証する姿勢がまるでない。



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2020年8月29日土曜日

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