こんにちは、日向です。
一昨日、日本PFI協会というコンサルタント団体の「至れり尽くせりサービス」について書きました。
これにより、PFI・指定管理や委託事業で発表される役所の資料のほとんどは、実は役所の担当職員ではなく、
委託された専門のコンサルタント(または受託事業者)によって作成されているのではないかという疑惑に、改めて真実味が出てきたと思います。
これ書いてて、ふと思い出したのが和歌山市のケースです。
2017年11月に、競合するTRC図書館流通センターとのコンペに見事勝利したとして、市駅前に移転する新市民図書館の指定管理者に選定されたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)。
その際の、出来レース・官製談合が疑われる出来事については、これまで当ブログにて、さんざん詳細を書いてきました。
そのなかでも、いまだに、あまり解明できていないのが、協定書や契約書は、市側が作成したのか、それともCCCが作成したのかということです。
もちろん、実務的には、たたき台があって、お互いにそれについて協議した結果、修正した内容で協定や契約を締結したという流れにはなるんでしょう。
けれど、これまでのツタヤ自治体の動きをみていますと、ほとんどCCCから提示されたものを丸飲みしていますから、これらの重要書類についてもCCCが作成したのが実態ではないのかって思います。
ただし、そうはいっても、個別の事案になりますと、本当に、ただCCCからが言われるがままに和歌山市の職員は従ったのかについては、疑問に思うんですね。
そんな小学生のこどもじゃああるまいし、市民の利益を第一に考えるはずの行政マンが、民間企業の一社員に、ヘイコラするだろうか?
そういう疑念はやはり残るんです。ちゃんと契約の中身くらいは検討しているだろうと。
ところが、そんな淡い行政への期待が根底から崩れた出来事が昨年4月にありました。
詳しくは、2021年4月15日木曜日
にまとめていますので、そちらをのちほどお読みいただくとして、ここでハイライト部分のみ書いておきます。
市民図書館の運営をCCCに任せるにあたって、現場で働くスタッフの司書資格率をどうするのかというのがひとつの注目点でした。
ちなみに、2015年にツタヤ図書館として新装開館の海老名市の中央図書館では、
司書資格者を全スタッフの半数以上配置する契約でした。
和歌山市でも、おそらくそれに準じるんだろうなと思っていたところが、その契約条項に、こんな一言が仕込まれていたんです。
パート職員を除く
あれっ、そうするとどうなるの? たいして変わらない?
そう思いますよね。ところがどっこい、
その一言を入れますと、とんでもなく司書資格者が少なくても済むようなカラクリになっていました。
まず、指定管理になる前の市の直営時代(2019年3月)は、総勢37名(うち運営実務にかかわらない新館準備班4人)中、司書資格者は32名いました。
有資格率にすると、86パーセントですが、図書館実務に直接かかわらない館長と準備班の4人を引いた、実務者32人全員が司書資格保持者でしたので、移転する前の旧市民図書館の有資格率はほぼ100パーセントでした。
それがCCCの指定管理になって、グランドオープンした2020年6月時点では、スタッフ総数77人で司書資格者は26人と、有資格率33パーセントと、実質の率にして3分の1までダウンしていたのです。
あれれ、有資格率は、半数以上じゃあなかったっけ?
と思ってよくみますと、77人中56人がパートタイムで、フルタイムは20人しかいません。なので、10人以上いれば、有資格率50パーセント以上を達成できるカラクリですです。
パート職員を除く
この一言をもし入れなかったら、39人の司書資格者を確保しなければなりませんでした。
ところが、その一言をいれただけでに、司書は10人いればセーフになり、実際にはフルタイム20名中16名が司書資格保持者なので、ラクラク条件をクリアできています。
こんな人をおちょくったような文言を、和歌山市サイドは、よく受け入れたものだなぁと、不思議で仕方なかったんです。
なので、機会があれば、直接、そのときの事情を知る担当者を問い詰めてみたいと思っていました。
その機会が訪れたのが、昨年4月上旬のこと。
別件でお願いしていた情報の資料がなかなか送られてこなかったので、何度か催促しているうちに、3月末をすぎてしまい、そのお願いしていた担当の方が別の部署に異動になっていたんですね。
「引継ぎしてますから」とも言われずに、連絡がとれなくなったものですから、慌てて異動先を調べて、その担当者に電話をしましたところ、すでに上司の決裁も終っていてまもなく送っていただけるとのことで、その件は一件落着。
そのときについでといっては失礼ですが、この司書資格率がどのように決まったのかを、しつこく聞いてみたんです。
前にも書きましたこのときのやりとりを、以下に再掲載しておきます。
司書資格率を指定管理者の募集要綱の業務要求水準書の段階で
パートを除く、全従事者の50%以上
としたことについて、しつこく担当部署の人に聞いてみました。
いったい、何を根拠にそのような基準にしたのかを、改めて聞きましたところ、こういう回答でした。
よく覚えていないけれど、CCCからひな形を提示されたということはない。
他の自治体のケースをおそらく参考にして、こういうのにしたんだと思う。
パートを除く、全従事者の50%以上としていたところがほかにあったかどうか記憶にない
どこかで、いまは司書を確保するのが難しくなっているという話があったので、その水準にしたんだと思う
――すでに直営での非常勤スタッフのほぼ全員が司書資格者でしたよね。その非常勤は、指定管理以降の継続雇用される方針だったことからすると、もう少し高い水準に設定するのが自然だと思うが?
和歌山市では、確かにそうだったが県内の他市は難しいという話だった。たとえば岩出市とかは。
――えっ、なんで他市のことが関係あるの?
……
→このあと、私の質問がいい加減しつこかったのか、
すみません、長くなりすぎたので、このへんでいいでしょうか?
と言われてしまいました。こちらこそ、お忙しいところ、お時間をとらせてすみませんでしたと、言って電話を切りました。
2021年4月15日木曜日
よく覚えていないといいながら、
CCCからひな形を提示されたということはない
と断言されているんです。
しかし、もともと和歌山市は、司書資格率がほぼ100パーセントだったわけですから、
もし、民間運営になって、その要求水準を定めるとしたら、なにかしら根拠となる事例がないとおかしいですよね。
それがないのに
パート職員を除く全従事者の50パーセント
というややこしい条件をいきなり設定しているのは、あまりにも不自然です。
ちょうど、その頃、海老名市では、CCCが司書資格率を全スタッフの50パーセント以上を達成できない実態に陥っていたことがあとで発覚しています。
ということは、この司書資格率の文言は、CCCサイドが作成した文書をそのまんま受け入れたと考えるのが自然です。
ただし、もしそれが事実だとしても、和歌山市としては絶対にあってはならないことです。なぜならば、その文言が明記された文書は、運営者に選定された後の契約ではなく、
2017年10月に公開された指定管理者募集要項に添付された業務要求水準書だったからです。
2017年10月に公開された募集時の業務要求水準書には、“図書館の専門的サービスを実施するために常勤の司書の配置に努めること。目安としては、パート職員や施設の維持管理を主たる業務とした従業者を除く全従事者の 50%以上とする”となっていた。CCCが選定されたのは翌月11月30日だった。 和歌山市民図書館指定管理者業務要求水準書 より |
つまり、さぁ、これから運営者募集を開始するという時点で、まだ応募すらしていないCCCサイドからの文書を受けいれていた可能性がにわかにでてきたわけです。
競合したTRCからの提案かも?と思われるかもしれませんが、TRCは、CCCとJVを組んで運営している海老名市でも、全従業員の50パーセントの資格率をらくにクリアしていましたので、わざわざ自分たちが不利になるような提案をするとは思えません。
だとしたら、CCCの担当者は、まだ公募が始まっていない段階で、自ら作成した「業務要求水準書(案)」を、和歌山市の担当者にメールで送っているのでしょうか。
たとえば、こんなふうに。
○○さま
お世話になっております。
こちらで作成しました業務要求水準書(案)をお送りいしたします。
よろしく、ご検討のほどお願いいたします
カルチュア・コンビニエンス・クラブ ○○
いまも、和歌山市の担当部署のメールフォルダには、そんな官製談合の動かぬ証拠がザクザクと埋まっているのでしょうか?
こころあたりのある方は、これからでも遅くないですから、ぜひそのような“爆弾資料”をご提供ください。
よろしくお願いいたします。
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そりゃあ、最低賃金+40円でフルタイム契約社員司書来るかと問われれば岩出市だって辛い。なのでその待遇では司書は揃えられない。年収最低300万も出せば十分揃うと言ってもそんな人件費は出ないで一蹴して、この待遇で移転前の人らが少しでも残れば・・・で上の方に通達あったら現場は表現や見方歪めてもそれに合うようにしなきゃいけない…それが準備班の仕事だったから・・・ 遠目に見てもハードワークでやりがいというよりも敗戦処理してる風だった
返信削除コメントありがとうございます。ということは、まだCCCが応募することもわからない募集要項の段階で、司書確保は困難という認識を、CCCと日常的にやりとりをしていた?宮地さんや額田さん、戸田さんたちは持っていたことになりますね。これ以上は、さしつかえあるようでしたら、右上のアドレスまでメールをいただければ幸いです。
返信削除額田さんはCCCではなく市長方面に上申してました。が、暖簾に腕押し状態だったので最後の方はもう諦めの境地で早期退職希望で市職員から離れていきました。宮地さんは市長のCCC前提のシナリオをどう実現させるかに紛走してたので現職がどれだけ待遇下がっても残ってくれれば・・・と期待してたみたいですが待遇が下がりすぎた上にパートばかりでカフェ店員にも図書館業務させると聞いて真っ青になってた記憶。戸田議員は現場にはほぼ顔だしてきませんでしたが、カフェ同時設置で運営できるところという司書確保よりも業界の手の出ない条件出して移動図書館や西分館運営してた事業所を入札やプロポーザルの参加資格すら奪ってたので・・・
返信削除そもそもが図書館移転の話が浮上した時点で結果ありきで応募するかどうかわからないどころか武雄出来て視察団出した時点で下地計画あったと思われ・・・
コメントありがとうございます。
返信削除額田さんは、確かに、お気の毒というしかないですが、宮地さんに限っては、その後のCCCとの会議録の廃棄に手を染めた点では、A級戦犯だと思っています。残す方法はいくらでもあったのに。えっ、カフェ店員に図書館業務ですか? それは初耳です。図書館スタッフは、書店も兼務するのはいつもやってますが。どれだけ待遇下がっても残ってほしいとは、そもそも人間性を疑いますね。戸田さんは、議員さんではなくて、旧姓YHさんのことです。去年4月から確か農林水産のほうに異動されましたよね。この方が、「たとえば岩出市は」とおっしゃったんです。1400枚をほぼ全面黒塗したのも彼女です。おっしゃる通り、武雄市視察のときに内定したんだと思われます。それは、また別の問題としてあるんですけれど、この司書資格率や児童書への独自分類導入の部分は、純粋に運営にかかわることなので、キチンとプロセスを記録した文書は残してほしかったと思います。違法行為はなにもないんですから。私、役所のみなさんにいつも口を酸っぱくして申し上げているのは、「自分の身を守れるのは記録しかない」ってことです。会議録、メモ、メールなどやりとりを残していれば、事実はわかりますから。それが何もないので「○○さん、CCCからお中元もらったんですか?」と、いつもみなさんに聞くことになるんです。