2023年3月22日水曜日

“尾花市長のポチ”だった監査委員


 こんにちは、日向です。


昨日、ビジネスジャーナルに和歌山市の住民監査請求についての続報がリリースされました。


ツタヤ図書館の不正疑惑、住民監査請求が棄却…和歌山市の杜撰すぎる監査の実態





昨年12月27日に、和歌山市の市民団体のメンバーの方が、市民図書館の運営支出に多数の不正・違法行為があるとして、住民監査請求をされてまして、その結果が先月21日に出ていました。


残念ながら、結果は「棄却」でした。





そうなるだろうなぁと、ある程度、予想はしていましたが、改めて監査結果を精査しましたところ、その中身があまりにも酷い内容でしたので、さすがに、私もゲンナリしました。


これは専門家にみてもらって、ちゃんとその酷さを記録しておかねばと思いまして、


以前、和歌山市や読谷村の不正疑惑についてコメントしていただいておりました、神奈川大学法学部の幸田雅治教授に、今回の監査結果について詳しく解説していただいたわけなんです。幸田先生は、総務省の元官僚で、地方自治、とりわけ公共経営の分野に詳しい専門家ですから、そういう人からみて、和歌山市の監査結果は、どう映ったのをかコメントしていただきました。



詳しくは、記事を読んでいただくとして、ここでは、注目すべきポイントだけあげておきます。




不正・違法行為があったとして住民から請求された監査ですから、ふつうは、市教委の担当部署はもちろんのこと、指定管理者であるCCCからも事情聴取するなり、関連の文書や帳簿をすべて提出させるなりして、提起された事案について、ひとつずつ正しいかどうかをチェックしていく作業がなされると思っていました。


ところが、監査結果を詳しくみてみますと、担当部署に私が問い合わせた際に、答えていたことと同じような釈明をされていまして、それが正しいかどうかの証拠の提出を求めて確認するという、客観的な立場からの検証作業が行なわれている形跡がほとんどないんです。


監査請求されたのは、スターバックスと蔦屋書店の賃料9割引や、違法な他店への又貸し、店舗の冷暖房費タダ疑惑など全部で11項目。いずれもしつこく開示請求してはじめて判明した不正行為でしたが、和歌山市の監査委員は、それらの請求をすべて棄却。指定管理者のCCCには、ただの一枚の紙も出させた形跡はみられませんでした。






ただ、実施機関の言い分を、監査委員の結論としてコピペしているだけという、あの武雄市でもここまでは酷くはなかったのではと感じたほど、ザル監査といいますか、手抜き監査でした。



幸田先生も、「住民監査請求は、市民サイドに不利な結果が出るケースが多い」としながらも、今回の和歌山市の事案については、基本的な事実認定がされていないのにもかかわらず、どれもこれも「問題なし」との結論を出していることには、ほとほと呆れておられました。


一部の目的外使用の許可に必要な手続きすら、まったくされていないのに「市に損害は発生していない」などと強弁した部分については、もう明確に「それは間違いです」と断言されたほどでした(しかも丁寧に判例まであげて)。


ちなみに、幸田先生の結論としては、


このまま住民訴訟に発展した場合は、市民サイドにも十分に勝算はある


とのことでした。




市長の権限から独立して、自治体の財務会計に関する事務について、法令に違反していないか、効率的に行われているかを監査し、その結果を住民に広く知らせるのが監査委員の制度です。


大きな不祥事を起こした企業が、外部の弁護士や有識者で構成される第三者委員会を設置して、事実究明をするのとは、これまた違って、あくまでも自治体の中のひとつの機関である監査委員ですから、市に不利になるような事実認定や勧告を行なうのは難しいのはなんとなく想像はつきます。


それにしても、ここまであからさまに市長の味方をする監査委員って、いったいなんなんでしょう。市民から公正公平な行政の事務執行の監査を付託されている意識があまりにも希薄なのではないでしょうか。




では、具体的に、なにがどうおかしいのか。



下をみてください。これは、以前、東京都立高校・学校図書館の偽装請負問題で紹介した、定期監査の結果です。


不祥事犯した会社が落札できる高校図書館 より





住民監査請求のように、特定された疑惑の箇所を監査するのではなく、定期的に各部署の事務が適正に行なわれているかを広くチェックするものですから、そんなたいそうなものではないんです。


それでも、仕様書、人員の配置状況、業務指示書、業務報告書などを逐一提出させて、仕様書のとおりに業務が行なわれているか、受託企業が請求している通りに人員は配置されているかなど、ひとつひとつ細かく監査しているんですね。


その結果、仕様書通りに人員を配置していないとか、業務指示書と業務報告書が辻褄があってないとか、受託者の業務責任者は、決められた回数学校訪問していないとかといった不適切な行為をみつけて、それらを適切に行なうよう指摘しているんです。これがふつうの監査だろうと思います。


ひるがえって、和歌山市の監査をみてみますと、市教委が出してきた最低限の書類だけをみて、適切に行なわれているとか、手続は適切に行なわれていないが、市に損害は発生していないとか、ものすごく安易な結論を出しています。



ひとつ例をあげますと、募集要項に明記した、目的外使用(カフェ等店舗)のめやす賃料算出の根拠となる資料をすべて提出させていないんです。そんなものはないとしたら、根拠もなく、担当者が適当な額を書いたことになり、それを承認した教育長の責任問題にも発展しかねません。


市教委が釈明している「都市再開発法に規定する概算額」をもとにしたというのなら、監査委員は、せめてその計算式くらいは最低限確認すべきと思うんですけれど、それもしているふうはなし。「担当部署がこう言ってるのは正しい」という一方の反論だけを、ひたすら述べている監査結果でした。


使用許可申請すら出さずに、開業準備を行なっていたことについて、未申請の事実を認めながらも、もし申請していたとしたら、コロナ禍で開館が延期になったという特別な事情があったとしているのには、典型的な「困ったことは、なんでもコロナのせい」なのかと思いました。記事にも詳しく書いた通り、その釈明がとんでもなくデタラメだったんです。


よくぞ、まぁ、そんなウソ八百をこの期に及んでいえたものだと感心したほどです。


というのも、全面開館後に、私は、担当者(宮地班長)に、こうお聞きしたんですよ。


民業店舗の賃料が激安になっているのは、コロナ禍による特別な事情を勘案したのでしょうか?


そうしましたところ、宮地さんは、「そういうことは一切ありませんッ」って、断言してたんですよ(そのときの音声録音があるかもしれまん)。


なのに、「コロナ禍で開館延期になった事情があったので賃料を減免した(正確には、開業準備の期間中の許可申請は出されていないので許可はしてないが、もし許可していたとしたら、そういう理由があったのかもしれない」)という市教委側のナゾの釈明を、そのまんま監査委員は真に受けていました。



不思議に思ったのは、その土台となった市教委の主張は、どこの誰が書いたのか?ってことです。和歌山市にも、当然、顧問弁護士がいるでしょうから、その先生に書いてもらったのかなと思わなくもないですが、それもヘンです。幸田先生が、「これは間違いです」と、完全に論破している開業準備期間中の無許可使用などの苦しい釈明は、とても法律家の手によるものとは思えません。


4名の監査委員に弁護士はひとりもおらず、名前で検索しますと、どうやら筆頭委員は行政書士のようです。残り3名のうち2名が市議会議員、もう1名が識見委員となっていますが、何の分野の有識者か明示されていません。







ところで、蔦屋とスタバ店舗の使用面積を、棚とテーブル・イス単位にして、極端に賃料対象面積を狭くした件については、これ、後日詳しく書こうと思っているんですが、ちゃんと事前に、CCCと協議したであろう証拠の文書がみつかっているんです。


詳細は書かれていないんですが、協議したことだけはわかっています。つまり市が「決定プロセスに関する文書は何も残していない」と言い張っているけれど、実は、協議はしていて、そのときの協議内容はちゃんと記録に残しているはず。それを監査委員は提出させれば、事実はどうであったのかが容易にわかるはずなのに、あえてなのか、提出させていませんでした。


事実を究明するというよりも、事実にふたをする


ような役割を、和歌山市では、監査委員が担っているように思いました。




さて、最後にもうひとつポイントをあげておきますと、監査結果では、もうやぶれかぶれなのか、


民業店舗の冷暖房代を図書館の運営費で負担しているという事実を認めたうえで、


その通りだけど、それがなにか?


と開き直っているかのような酷い記述が、監査結果のハイライトというか、クライマックスととして、待ち受けていました。



<なお冷暖房については、公の施設としての市民図書館全体を維持するためには必要なものであるため、指定管理料で負担することについては不当ではない>



これは、“逆噴射”と言っていいのではないでしょうか?




幸田先生は、その部分について、こうコメントされています。



「市が主張する可能性がある理屈としては、カフェがあることによって図書館の利用者も増えることが期待できるため冷暖房費を免除したというものですが、図書館とカフェは別の業務であり、このような理屈はまったく成り立ちません。図書館は公的施設ですので、むしろ図書館があることによってカフェに人が入り、カフェが利益を得ていると見るのが適切といえます。逆転した論理であって、認めることはできません」


カフェを入れることによって、市民の図書館利用をふやす、そのために民間に便宜供与してもいい


とされてきた民間委託の論理のほころびを、幸田先生は、見事についています。


むしろ、人が集まる公共施設で営業できている民間のほうこそメリットを得ているのではないか。そのような民間に冷暖房費を免除する必要はない。


と断じているのです。


この20年つづいてきた民間委託神話を、よりによって、総務省で公共経営の施策にかかわってこられた元官僚の幸田先生によって完全否定されているんですから、


なんとも味わい深い監査結果といえるのではないかと思います。


よろしくお願いいたします。







ツタヤ図書館の不正疑惑、住民監査請求が棄却…和歌山市の杜撰すぎる監査の実態



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