こんにちは、日向です。
3月に、熊本県宇城市に行なっていた審査請求の件で、進展がありましたので、取り急ぎ、それについてお知らせしておきます。
昨年12月、市立の図書館と美術館の指定管理者にカルチュア・コンビニエンス・クラブを選定した宇城市に、その選定プロセスについて開示請求をしたところ、
ほとんどが黒塗りで、評価をした選定委員がどこの誰かすらわからないようになっていましたので、とにかく黒塗りは全部開示せよとばかりに、不服審査請求を行なったのが今年3月のこと。
審査請求をした後、反論書も提出したり、これまでも何度か文書でやりとりがありましたが、今回は、意見があれば、再度反論書を提出しろということらしいんです。
送られてきた文書をもとに、どういう主旨なのか、電話でも問い合わせをしましたところ、だいたいこういうことのようでした。
・すでに、情報公開審査会は、6月、8月、10月の三回開催されている
・次回の第4回審査会が来年1月21日に開催されるにあたって、審査会は、実施機関(市教委)に対して、不明点を質問していたところ、その回答がかえってきた
・ついては、実施機関のその回答内容について、審査請求人(わたし)の意見があれば、12/24までに送ってほしい
・それをもとに4回以降審査会の審議を進めていきたい
ということでした。
で、審査会がどういう質問をしたの?というのが、以下に書かれています。
1 宇城市立図書館・宇城市不知火美術館に係る宇城市指定管理者審査会の審査結果について, 採用法人の点数内訳を開示しなかった具体的理由及び根拠規定を教えてください。
2 宇城市立図書館・宇城市不知火美術館に係る宇城市指定管理者審査会における審査にあたり,実施機関は,プレゼンテーション参加者からプレゼンテーションに係る資料を取得し,保有していますか。
3_2)で,「取得し,保有している」旨回答した場合)請求者による令和2年(2 020年)12月1日付け公文書開示請求に対し,処分庁が,プレゼンテーション資料を,その存否に関する情報も含めて開示していない具体的理由及び根拠規定を 教えてください。
審査会をすでに三回も開催しているのに、何をいまさらこんなこと聞くんだろうというのが正直な感想です。
採点の内訳を開示しないのはどうして? 選定会議で行なわれた応募企業のプレゼン資料は取得しているの? もし取得しているとしたら、それどうして開示しないの?
という質問でした。
市教委サイドの回答は、以下のとおりです。
1について
(回答) 点数内訳を開示することにより、採用法人の得意・不得意とする分野が露呈されることになり、今後同様の案件の応募に際し、競合する事業者の研究材料とされる恐れがあり、宇城市情報公開条例第7条第1項第3号(ア)の「競争上の地位その 他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当すると判断した。
2について
(回答)
取得し、保有している
3について
(回答)
令和2年12月17日付宇城市中図第231号の部分開示決定においては、令和 2年12月1日付けで提出された開示請求書に具体的な文書の例示がなく、選定に関する資料として、「提案書」を開示文書として特定していなかったことによるもの。
また、令和3年7月7日付け宇城市教文第358号の部分開示決定においては、 プレゼンテーション資料は、採用法人がこれまで蓄積してきた運営のノウハウや館 の改修に係るデザイン・アイデアが納められているものである。
そのような法人の 正当な経済的利益とも言える情報が開示されると、競合する事業者がそれらを知る ところとなり、法人が営業上の不利益を受ける恐れがあるため、宇城市情報公開条 例第7条第1項第3号 (ア)の「競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが あるもの」に該当すると判断した。
まず、1の採点の内訳を開示しなかった理由として、市教委があげたのは、
点数内訳を開示することにより、採用法人の得意・不得意とする分野が露呈されることになり、今後同様の案件の応募に際し、競合する事業者の研究材料とされる恐れがあり
それが
「競争上の地位その 他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当
ということらしいんですね。
この回答を読んで、ぶっ飛ぶというのは、やや大袈裟かもしれませんが、
公務の入札に応募してきた企業が、その評価項目別の採点が公開されると、得意分野、不得意分野が世間に知られてしまうとマズイ言っているのは、かなり常識を逸脱していると思うんですよ。
しかもこれ、応募企業が主張してるのではなく、選定する自治体サイドから、こういうのわかっちゃうと困るでしょうと配慮しているわけなんです。
賑わい創出は得意だけど、図書館運営の実務は苦手とかにされていたら、それがライバル企業の研究材料にされて、
よっしゃあ、この企業は、ココが苦手だから、うちはここで攻めよう、なんていう話になるんでしょうか?
二番目のプレゼン資料に関しては、
開示請求書に具体的な文書の例示がなく、選定に関する資料として、「提案書」を開示文書として特定していなかった
から、開示しなかったというんですね。私の開示請求書では「(1)カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を選定するまでのプロセスがわかるもの」としていましたので、プレゼン資料を出してとは書いてませんでしたが、これ昨日の電話でもしつこく申し上げましたが、
応募者のプレゼン内容がわかるものは、選定プロセスの中核をなすものではないんですか?
と思いますね。
あなたが細かく文書を指定しなかったので出さなかっただけですよ
というのは、役所がよくやる、あげ足取りですけれど、いまごろになって、そんな言い訳が出てくるとは夢にも思いませんでした。
さらに、そのブレゼン内容についても、こう釈明しています。
プレゼンテーション資料は、採用法人がこれまで蓄積してきた運営のノウハウや館 の改修に係るデザイン・アイデアが納められているものである。そのような法人の 正当な経済的利益とも言える情報が開示されると、競合する事業者がそれらを知る ところとなり、法人が営業上の不利益を受ける恐れがあるため、
これは、CCCお得意の「企業秘密」というやつですね。
としますと、採点の内訳も、ブレゼン内容もすべて非開示にして、総合点と選定企業名だけ公表して、ここを指定管理者にしましたと発表するだけで、市民は、
なるほど、そういう会社であれば、大切な図書館と美術館を任せても安心だ。きっとすばらしい運営をしてくれるに違いない
なんて思える材料がひとつもないんですよ。
だいたい、CCCが運営している図書館は、全国で問題噴出しているうえ、同社はこれまで美術館の運営実績なんて一切ないはずなんですよ。
類似施設として、商業施設の展示のノウハウはもしかしたら、あるのかもしれません。
2013年、佐賀県武雄市に、ツタヤ図書館が最初にできたときも、多くの人は、レンタル店と図書館は、DVD等を貸す行為は同じだから、CCCには、なんか関連ノウハウあるんだろうと思ってましたが、
ふたをあけてみたら、独自分類はデタラメだし、配架は探しにくいし、検索システムも使いづらいと、スタバでまったりコーヒー飲む以外に使いみちないんじゃあないのって、思ったじゃあないですか。
そうしたら、2館めの海老名の開館前日(2015年9月30日)の会見で、高橋聡カンパニー長が
武雄市の時は、ド素人でした。僕ら
と発言して、世間をあっと驚かせたくらいですから、今回の宇城市の美術館も「大丈夫かいなぁ」と、みなさん不安に思いますよね。(現在改修中で、リニューアルオープンは来年春予定)
選定プロセスを記録した文書というのは、そういう不安を解消するためにあるんですよ。
われわれは厳正な審査をして、この会社がいちばん優れていたと判断したということなんですから。
ところで、先日、東京都が情報開示制度で、これまで一部不開示部分は、黒塗りにしていたけど、みてくれがよくないので、いつのまにか、コッソリと白塗りに変えていたことが発覚しました(しんぶん赤旗11.23)。
なんて姑息なことするんだと、snsで非難囂々でしたが、市民サイドからみると情報公開制度の主旨というのは、行政文書は、原則はすべて開示だけど、例外的に一部だけ不開示にすることもあるということだったはずなのに、
いつのまにか、ツタヤ図書館誘致自治体のように、原則大事なところはすべて黒塗り、例外的にどうでもいいとろこだけちょこっとみせてあげるよ
というんでしたら、情報公開制度そのものが無意味ということになってしまいます。
こんな黒い紙大量に送ってきやがって、なんの意味あるの? コピー代返せ!
と言いたいくらいです。
そうは申しましても、宇城市の場合は、和歌山市みたいに市外の者は不服の申し立てできないようにはしていないのですし、
担当者が審査請求書を、1年7か月も手元に放置して、審査会に送ることすらしないで時間かせぎする(審査請求を1年7か月放置した和歌山市都市再生課)のに比べたら、はるかにマシとは言えるんですけどね。
というわけで、これから、二度目の反論書を書いて、なんとか24日までに送りたいと思います。
よろしくお願いいたします。
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2020年8月29日土曜日
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