こんにちは、日向です。
さきほど、『月刊ツタヤ図書館』10月号がビジネスジャーナルに掲載されました。
和歌山市、談合疑惑を隠蔽か…市民からの情報開示請求に黒塗りだらけで回答
水道橋崩落の和歌山市、再開発には巨費投入…談合疑惑浮上、情報を不当に隠蔽か
今回は、異例の前編・後編の同時リリースです。
タイトルだけみますと、一連の和歌山市情報非開示ネタの焼き直しみたいにみえて、もう、おなか一杯と思われたかもしれません。
しかし、今回の2本の記事は、和歌山市内の市民団体が、開示された文書の黒塗りに対して行った、不服審査請求にスポットをあてて、その詳細を検証したものです。それによって、これまで見過ごしてきた重大な事実がみえてきました。
●幸田教授「違法の可能性が高い」
行政に情報開示請求をして、もし文書が黒塗りで出てきましても、それに黙って従う必要はありません。
当然、不服を申し立てる手続きというのがありまして、それが「審査請求」と呼ばれる手続きなんです。(ただし、和歌山市の場合は、それをできるのは市内在住者のみ。熊本県宇城市は、全国どこに住んでいる人でも審査請求可能)
このへんの経緯については、これまでも随時レポートしてきましたが、今回は、同じ市民団体による2度目の審査請求手続きのプロセスについて、その道の第一人者である、神奈川大学法学部の幸田雅治教授に取材をしました。その結果、
和歌山市の行為は違法の可能性が高い
とのコメントをいただいています。
幸田教授は、自治省(現総務省)出身の元行政マン。地方自治がご専門で、現在は神奈川大学法学部の教授をつとめながら、各自治体の情報開示審査会の委員や会長として、審査会の実務も多数ご経験されています。
では、何が違法なのか、本編記事にはすべてに書けなかったことを以下に捕捉しておきます。
今回取り上げた審査請求の経緯は以下の通りです。
【和歌山市・第二次情報公開審査請求のこれまでの経過】
・2018年11月8日、市民団体が開示請求
・2018年12月17日、和歌山市が、入札調書を一部黒塗で開示
・2019年3月11日、市民団体が不服審査請求 ←■ココから
■~この間、1年7か月進展なし~■
・2020年10月23日 和歌山市が弁明書を提出←■ココまで
・2020年12月25日 市民団体が反論書を提出
・2021年1月7日 審査会が市長からの諮問書を受理
・2021年2月15日 市民団体が審査会で反論の陳述
・2021年8月27日 審査会が答申結果を通知
2019年3月に、市民が不服審査請求をしてから、審査会の答申が出るまでに3年近くかかっているわけですが、詳細に経過をみていきますと、和歌山市の担当部署である都市再生課が、弁明書を作成して市民団体に提出(2020年10月)するまでに1年7か月もかかっているんですね。
市民からすれば、審査請求はしたものの、その後市からは、待てど暮らせど、なんの返答もない状態が1年半以上もつづいたわけなんです。
行政手続きで、何か申請をしますと、どんなにややこしい手続きでも1か月程度で、なんらかのアクションは返ってくるものなんですが、この第二次審査請求では、1年7か月もの間、まったく何もせずに放置されていたことになります。
幸田先生にお聞きしますと、通常なら、審査請求があった次の審査会で議題にのぼるはずとのことでした。和歌山市は、この1年7か月もの間、審査会は一度も開催されていなかったのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。下をみてください。
令和元年度(2019年度)だけでも、「第 48 回 平成31年 4月 8日(月)」を皮切りに、4/24、6/13、8/8、8/29、9/20、11/5、11/19、12/23、1/31(令和2年・2020年)2/28、3/24と、ざっと12回開催されていました。
本件は、この間に、一度も議題にのぼることなく、あとから審査請求された分の審査が次々と議題にのぼって審議されていくなか、なぜか、本件だけは後回しにされているのです。
下をみてください。2020年4月に審査請求された別の案件が、3か月後の7月には審査会へ諮問され(実施機関の弁明書と市民の反論書の提出完了後)11月には審査会の答申が出されているんです。この間、7か月しかかかっていません。
情報公開制度・個人情報保護制度/運用状況報告書/令和2年度より |
南海電鉄の入札調書だけは、なぜか審査請求してから諮問までに2年近くかかっても、まだ審議中となっている。情報公開制度・個人情報保護制度/運用状況報告書/令和2年度より |
情報公開制度・個人情報保護制度運用状況報告書 令和2年度 (PDF 1.8MB)
実は、私も和歌山市の市政情報課に、先日、こう聞いてみました。
一般的にいって、審査請求をすると弁明書はどのくらいで出てきますか?
すると、同課はこう答えてくれました。
だいたい1か月程度です。もちろん特別に時間がかかるケースもありますが。
ほー、スゴイなぁ。本件で市民が開示請求をしているのは、南海電鉄が実施した設計関連業務の入札調書5枚にすぎず、RIAをのぞく2社の企業名と入札額は、行数にすると説明文も入れて計18行程度にすぎません。
その開示の是非を審議してもらう審査会にはかるための弁明書2枚を書くのに、和歌山市都市再生課は、1年7か月かけているということなんです。
どうです。これがいかに異様な事態か、みなさん、わかっていただけましたでしょうか?
記事中の、幸田先生のコメントは「違法の可能性が高い」と、法律家らしい控えめな表現となっていますが、実際に行政訴訟を提起されたとしたら、当然、和歌山市は、その対応時には、特別な事情があったことを説明せねばならず、どこをどうひっくりかえしても、そのような事情がみつからない以上、住民訴訟になると、相当厳しい立場に立たされるであろうことは想像に難くありません。
では、なぜそのように、都市再生課は、みっともない時間稼ぎを行ったのか?
ここで、記事中に入れることができなかった、行政実務に詳しいある図書館関係者の見解の一部分をご紹介させていただきます。
和歌山市が不服審査を却下させるのに時間をかけたのは、そのあとの裁判のための時間を与えないためだろうと考えます。
開示請求対象の保存年限が何年であるのか知りませんが、もし5年であれば裁判になった時には文書は廃棄されているように見えます。
開示請求の不服審査結果が出るまでは文書を廃棄できませんが、結果が出た以上、5年を過ぎた文書は廃棄していると思われます。
裁判にかけた時には当該文書が存在していない状態を作り出すためではないかと思います。このために、遅滞させたと考えるのが和歌山市のこれまでのやり方から見て、妥当であろうかと思います。
「官製」かどうかはまだわかりませんが、おそらく、私のところに情報提供があったような「談合」は、現実に行われたんだろうと思います。
巨額の公金が入る再開発事業では、もしかしたら日常的に、そういう不正行為が行われていて、和歌山市の場合、その事業計画の大元をたどっていくと、カルチュア・コンビニエンス・クラブの増田宗昭社長が描く「年間100万人が来館するツタヤ図書館」があるのかもしれません。
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