2023年1月1日日曜日

■宇城市から審査請求の結果が送られてきました


 こんにちは、日向です。


2021年3月、宇城市からの開示情報に不服審査請求をしておりました件


先日、裁決書(裁判でいう判決)が送られてきまして、ようやく結果が出ました。







全部不開示はおかしいので、一部開示せよと、宇城市情報公開審査会が答申をし、


それを受けて教育委員会が、一部開示した文書を送ってきました。


というと、とてもいいニュースのようですが、


2年かかって、ようやく開示された情報は、以下の4点だけで、まったくなんの意味もないものでした。


(1)不採用法人の合計点数

(2)令和2年・合同会議・第一回議事録の出席委員名

(3)令和2年・合同会議・第二回議事録の出席委員名

(4)指定管理者選定審査会の委員名








こうなることは、ある程度予想はしておりましたものの、それにしても、ここまで宇城市の情報公開審査会が酷いとは思いませんでした。制度だけは整っているようにみえても、中身がとんでもなくお粗末なものでした。以下、簡単に感想だけ書いておきます。



■卑劣な時間稼ぎ


情報開示請求をしたのが2020年11月。翌月12/27の年末に開示された資料は、大事な部分はすべて黒塗りで、どこの誰が審査したのかすらわからない無意味なものでした。


そこで、2021年3月に不服審査請求を行ないまして、実施機関(市教委)の弁明書に反論をしたのが6月でした。和歌山市でちょうど官製談合事案の情報開示が1年8か月にもわたって審査会に送られずに放置されていたのと比べると、「宇城市は随分まとも」と当ブログに書いた記憶があります。


順調にいけば、年内に結論出るかも


そんな淡い期待を抱いたのもつかのまのこと。半年後の2021年12月には、なぜか二度目の反論要請がきまして、すぐにそれに応えた反論書を送付しましたが、その後は、一年近く、待てど暮らせどなんの音沙汰もありませんでした。


あとで、気づいたんですが、順調にいけば、年内答申されて、2022年4月までには裁決が出る見込みでしたが、ちょうど4月に宇城市のツタヤ図書館・美術館は、6億円の改修費をかけて派手にリニューアルオープンされるところだったんです。


そのタイミングで裁決が出て、私に騒がれたらとても困りますよね。そこで、わざわざ二度目の反論を要請して時間稼ぎをしていたのでは?と思ったんです。その証拠に二度目の反論要請の中身はほとんど、なんの意味のない不自然なものでした。


で、4月オープンを無事乗り切りまして、あとはゆっくりやっているうちに夏と秋がすぎて、さすがに2年過ぎたらまずいだろうということで、2022年中に裁決と再度の一部開示までもっていったということだろうと思いました。



■帳面づけだけの審査会答申


今回、開示された情報というのは、不採用企業の採点結果と関連会議に出席した委員名だけでした。


裁決書をみとる、14ページにもわたって長々と、プロセスが書かれていますが、ほとんどの部分が請求人(私)と実施機関(市教委)の主張のコピペです。


その間にチヨロッと、審査会自らの意見というか、見解を披露しているだけです。読むだけ時間の無駄のように思いました。


宇城市裁決書コピー.pdf



ざっと、私の主張と実施機関の見解をまとめておきましょう。



【2020年12月情報開示請求】

・宇城市立図書館及び宇城市不知火美術館指定管理者にカルチュア・コンビニエンス・クラブを選定するまでの経緯がわかるすべての文書


・消費者庁から基幹無事業が違法行為を認定された同社の公務運営者としての適格性について詳しく検討した経緯がわかるすべての資料


【2020年3月 審査請求書】

①カルチュア・コンビニエンス・クラブのような法令遵守意識の低い企業を、宇城市がなにをどう評価した選定したのか、理由がまったくわからない


②どこの誰が評価してCCCが優れているとしたのかプロセスが不明(覆面審査員が評価したのか?)


③選定されたら、こうしますという企業側からの提案内容がわかるプロポーザルすら秘匿はおかしい


④市長が議員か職員が、CCCからワイロでももらった見返りとして選定したのでプロセスを明かせないのでは?(意訳)



【2021年6月 弁明書に反論】


①市民の大切な美術館と図書館の運営者を選定した審査員の氏名や肩書が全て黒塗りされているのは、おかしい。どこの誰かわからない人物が下した評価をみて「指定管理者の選定は適正に行われた」とは思えない


②指定管理者の公募に参加した二社のうち、選定されなかったもう一社の社名も開示されるべき。それが開示されないのは、何か不都合なことがあるからではないのか?


③「ツタヤ図書館問題」が、広く世間に認識されていて、全国で不祥事やトラブルを起こしているカルチュア・コンビニエンス・クラブを「優れた事業者」として評価した根拠を示してほしい。同社が起こした不祥事がことごとく審査対象になっていないのはおかしい



【2021年12月 二度目の反論書】

①採点内訳を開示しないのはおかしい

②提案書のデザイン・アイデアは企業秘密というが、募集要項で提案内容は公表する旨が明記されていて、それに同意して応募してきたのに不開示はおかしい。


③もう一社は、業界ガリバーのTRC図書館流通センターなのに、落選企業として開示されると評判に傷つくというのはおかしい



 これらについての市教委サイドの反論は、ほぼ全編にわたって、壊れたテープレコーダーといいますか、ツタヤ誘致自治体の回答フォーマットといいますか、以下の点を繰り返してしました。(まるでCCCが裏で回答を用意しているみたい)


宇城市情報公開条例7条第3号ア

開示することで競争上の利益を害するおそれがある 


今回二社のみの参加なので不採用企業の名前が知られると、信用に傷つく可能性がある



宇城市情報公開条例7条第2号 個人を識別する情報にあたる


開示することで利害関係人から不服や批判が委員に向けられる可能性がある


選定プロセスとなる会議録は作成していない


プロポーザル方式による随意契約は参加企業名を開示していない 入札ではない



■市の職員名も個人情報



詳しく私の主張を読んでいただければわかると思うんですが、どれも、私の主張の反論にはなってないんですよ。



なんていうかな、むしろ説得力ゼロでもなんでもいいから、官房長官の会見のように、ロクに理由も説明しないで「~はあたらない」をひたすら繰り返す手法です。


こちらの反論に対して、論点を微妙にずらして、まともにとりあわないというのが、彼らの基本スタンスです。



最終的には、裁判の判決にあたる「裁決書」という一見権威のある文書を装って、


全部不開示は妥当ではないので、こことここは開示せよなんていう答申を審査会は今回しました。あとは、市教委自らが、開示せよという命令を出すんですね。誰に? いや、自分にですよ。市教委が市教委に、一部開示せよと言ってるわけです。



とりわけ酷いなぁと思うのが、審査員7名中5名が市の幹部職員。残り2名は、美術館専門委員と図書館協議会の委員で、これがどういう人物なのかもわかりません。



その人たちの名前が「個人を識別する情報にあたる」という、困ったときの個人情報ですね。選定にかかわった役所の職員の名前が個人情報と認められるんでしたら、ほんともう、なんでもやりたい放題になってしまいます。


選定した委員への不服や批判やその人にあてられるなんていうのも、おかしな話です。どんなコンテストでも、審査員は顔と名前を出して決めるんです。凶悪犯や暴力団組長の裁判員裁判でもない限り、判断をしたら、その波紋が怖いというのは、指定管理者の選定ではありえないと思います。


だからまともな自治体では、市の職員ではなく、あえて外部の専門家に選定委員になってもらい、せいぜい1~2名市の職員も選定委員に加わって公平性を担保するのです。



あとは、これまた定番の“競争上の利益をそこなう”、つまり企業秘密というやつですね。これも闇雲に不開示の理由とされるのは、官製談合の温床になるわけで、提案内容というのは市民に対して、選定されたらこういうサービスを提供しますという約束でもあるわけですから、少しもそれについて前向きな姿勢がないというのは、最初から不開示の結論ありきだと思わざるをえません。


応募企業は、開示されたくないでしょうけれど(使い回しがバレる?)、そこは公務を担う以上、自らの提案内容は堂々と公開して、市民に問うべきです。


そもそもこの情報公開審査会について、宇城市は最近の運営状況すら公表しておらず、名前の出ている審査会の森脇伸一氏というのが、どういう職務の方なのかすらまったく不明です。


宇城市 情報公開・個人情報保護

https://www.city.uki.kumamoto.jp/toppage/shinseisho/dl_somu/2010076



2年かけて、一応、一部開示の答申を出して審査したようなふりをしてますが、いくら読んでもその理由がさっぱり理解できないという、守田市長がニンマリしそうな答申を出すのですから、まぁ、そういうことなんでしょうね。


■なにからなにまで企業秘密


唯一の収穫といえば、公文書に堂々と


CCCは2018年5月に、基幹事業が消費者庁から景品表示法違反で1億円の課徴金を課せられた


と何度も明記されたことくらいでしょうか。


でも、逆にいえば、私の審査請求に対して、2年かかって、1ミリも宇城市市民が「なるほど! それも一理ある」とおもえるような反論を提示できなかったという事実が、よりツタヤ図書館問題の深層を雄弁に物語ることになったと思います。


それから、もう一点、


二社のみの参加なので不採用企業の名前が知られると、信用に傷つく可能性がある


と、今回最後まで、これを実施機関は、押し通してましたが


実は、これ黒塗り忘れといいますか、消し忘れによって、不採用企業が、すでにわかってるんですよ


そう、日本一図書館を受託している、業界ガリバーのTRC図書館流通センターであることが。


そのTRCにとっては、自社の採点結果が他社にわかると、信用に傷がつくなんてことはありえません。それどころか、またわざと負けてあげたのかいなぁ、といつものように出来レースだったのかと誰もが思うだけです。


いい加減、TRCさんもCCCにつきあうのはやめたらどうでしょうか。2017年の和歌山市の後、2020年の宇城市と門真市、2021年の読谷村と2022年の延岡市エンクロス二期め(読谷村と延岡市の2案件は推定)と、市長との癒着が疑われる特命随意契約を批判されて以来は、すべてCCCの競合はTRCでした。


TRCにとって、おつきあいを辞められない理由(独禁法?)が、別にあるのでしょうか?


いつか内部告発があって、一大スキャンダルに発展しなければいいですが。

(※TRC関係者の方は、右上のメールアドレスまたは当ブログ末尾のコメント欄へ、ぜひ情報提供をお願いします)


宇城市裁決を受けた開示.pdf




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2020年8月29日土曜日

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