こんにちは、日向です。
本日は、
に書きました、和歌山市民図書館の開示文書についてです。
5月31に開示申出をしていた和歌山市の読書活動推進課から先週、連絡がありまして
以下の二点について尋ねられました。
(1)市民図書館の利用者アンケートは、「実施要項」というのはない。調査結果のサマリもない。アンケートの質問項目とその結果が記載された文書が100ページあるが、それらをすべて開示希望でよろしいか?
(2)図書利用カードの発行については、本館と分館の区別はない。Tカード機能つきと、そうでない利用カードの発行内訳枚数もない。全体で何枚発行したかしかない。それでよろしいか?
いつもでしたら、開示を希望してもないものはないので、「はぁ、そうですか。では、あるものだけ出してください」で終わりなんですが、
今回に限っては、なんか、それっておかしいんじゃあないか、それでは納得いかないなという気持ちが湧き上がってきまして、
この担当者の方に、以下のような愚痴をこぼしてしまいました。
――アンケートがどのように行われたのかを知ることは、指定管理者をあとで評価する際に重要な要素になるのではないか。過去に開館したツタヤ図書館では、利用者アンケートを実施する際に、職員が対面で来館者に質問をして回答を得ていたこともあった。そうすると、いい評価をしてくれそうな、図書館併設のスタバ、蔦屋書店利用者をねらって好意的な回答を得ることもできるし、また、対面で質問すれば、圧迫面接のようになり、ネガティブな回答をしにくくなってしまうのではないのか。
なので、どういうふうにアンケートが実施されたのかは、結構重要なことだと思う。
→和歌山市民図書館では、対面で聞くということはなく、CCCのスタッフが来館者にアンケート用紙を渡して書いてもらえるよう依頼をし、書いてもらったら専用の改修箱に入れてもらう方式にしているので、そのような心配はないと思う。
――アンケート対象は、来館者のみなので、たとえ「満足」と回答した人が全体の8割いたとしても、それはあくまでも来館者に限定した結果なので、和歌山市民全体の評価とは言えないと思う。新しい市民図書館に不満を持つ人が、あまり行かなくなっていたとしたら、その声は完全に黙殺されてしまう。なので、ぜひ、市民全体を対象としたアンケートをお願いしたい
→和歌山市の行政サービスについて、市民の意見を定期的に聞く取り組みがあるので、そちらで市民図書館もいずれとりあげたいと思う
多賀城では、対面式でアンケートをとっていた。この事実がわかったときには、面と向かって否定的な意見は言いにくく、「圧迫面接ではないのか」との批判も多かった。 |
で、もうひとつが図書館利用カードの発行内訳です。
本館で発行したのか、分館で発行したのかは、あまり意味がないので、それぞれの数字については、把握していないそうなんですが、さらにTカード機能付きにいたっては、発行枚数全体の何割がTカード機能付きだったかなどというデータも一切とっていないそうです。というか、それはCCCではもちろんとっているのでしょうけれど、和歌山市は、そこまでの報告を求めていないということなんだと思います。
――Tカード機能付きの枚数がわからないと、CCCが自社の民間事業として行っているTポイント事業にかかわる費用と、純粋に図書館運営費用としての図書利用カード発行の費用の区別がつかないではないか? その費用はどうなっているのか?
→Tカード機能付も含めて、カードの発行費用は、全額CCCが負担しているので、そのような区別は必要ない(おそらくあらかじめ指定管理料に入っているということ)。いま自分が持っているTカードを図書利用カードとして登録もできるし、Tカードが不安な人向けに、Tカード機能なしの、シンプルな図書館利用カードも発行している。その「素」の利用カードは、CCC指定管理になる前からストックがあり、いまはそのストックを使ってもらっている。いまのところそのタイプは、新たに作成する予定はない。
そこで、こちらもに、以下のような意見を述べました。
カルチュア・コンビニエンス・クラブが指定管理者となった図書館の一番の大きな特徴なのが、図書館利用カードに、Tポイント機能がついていること。
これは、図書館利用の事実を図書館の外部に指定管理者が送信している(貸出でポイントがつくのは、武雄市と高梁市のみ。その他のツタヤ図書館では、Tカードの有効性を確認するのみ)ことになり、2013年の武雄市以来、Tポイントカード機能を図書館の貸出カードに付与することで、個人情報が外部に漏洩する危険性はさんざん指摘されてきた。
そうした過去に批判のあったことについて、担当部署がまったく何の知識もないのは驚く。そういう事態に対処するためにも、CCCによるTカード付利用カードの発行状況等は、自治体としては常に把握しておくべきではないのか。
利用者は、自治体の公式カードにも採用されているTカードなら安心・安全と思って選択しているが、それによってもし、今後個人情報が流失するなどの不祥事が起きたときにどうするのか。なんのデータも持っていなかったら対処しようがないし、そこまで指定管理者を盲信していいものなのか。
現に、和歌山でも一作年12月の一部開館の際に某市議が公開したTカード機能付き図書利用カードの入会案内には、「DMが送られてくることがあります」と書かれていた。
図書館カードではないが、一般的なTカードの保有者には、ときどき怪しげなDMがくるとsnsで報告されている。 |
――というようなことを申し上げました。
で、これ当日にすべて担当の方ひとりに申し上げたわけではなく、翌日、担当の方が回答できなかったことについて、読書活動推進課の井上課長から再度ご説明がありましたので、一部はその際に申し上げました。(井上課長は、自分も一市民としてTカード機能付きを選択して新たに発行したが、CCCの提携している企業からDMがきたことはないとおっしゃってました)
読書活動推進課は、今年4月1日以降、CCCが指定管理者になるまでの経緯をご存じの方がすべていなくなり、他部署へ配転されました。
新図書館準備にかかわってきた方は、別の部署に異動になってまして、4月以降は、そちらにも電話して、旧担当者にも何度かお聞きしたこともありましたが、あからさまに迷惑そうな態度をされてしまうので、いまは少し詳しいことをお話しいただけるのは、井上課長のみとなりました。
井上課長も、2018年度の途中から来られた方なので、それまでのCCCが指定管理者が選定されるまでの話となりますと、わからないとおっしゃることが多いのが実情です。
さて、もう一点書き留めておきたいのは、今回、開示申し出をしている情報については、図書館要覧を公開していただければ、わざわざ資料をご用意いただくなくても、瞬時に詳しいデータを知ることができるのですが、
2019年度以降は、それがみれなくなっています。(関係者によれば、毎年7月くらいまでに刊行されるが、昨年度は12月刊行とかなり遅れた。CCCスタッフには要覧を作成する能力はないのではないかと指摘する関係者もいます)
その点をさきほど、読書活動推進課に問い合わせましたところ、令和2年版までは、市民図書館に収蔵しており、どなたでも閲覧できる
とのことでした。令和3年版についても、もうまもなく発行される予定だそうです。ネットで公開するかどうかは、これから検討したいとのことでした。
最後に、和歌山市民図書館の情報開示について、ひとつ感想を書いておきます。
この記事を書いている2021年8月2日は、東京五輪開催中であり、感染者数がほぼ垂直に近いグラフで急増している、コロナ禍の第五波の真っただ中にあります。
菅義偉首相は、先週末、緊急事態宣言追加の記者会見で、五輪開催で人の流れは減っているとの見方を繰り返しました。首相周辺では、近く感染状況が改善するとの楽観シナリオが語られているとも伝えられています。
snsなどで、これまでの新型コロナに関する事態を正確に予測してきた専門家の意見や医療従事者による、リアルタイムの声を聞いている者にとっては、官邸が入手している情報は、とんでもないガセばかりではないのかと思ってしまいます。
「首相がそういうデータを出せ」と要求しているとの周辺の話も出てきていて、国の方針や進路を決めるときの情報が、結論ありきで、どれも総理の意向にそって忖度されたものばかりではないのかと思ってしまいます。
それでも、なんとかやってこれたのは、失敗の結果が目に見えてこなかったからではないかと思いました。なんとなく、うまくいっているんだと繰り返しメディアで語られれば、なんかそうなのかなぁと思ってしまいます。
ところが、悲惨な結果が誰の目にも見える深刻な事態になると、事実がいかに大切かわかってきます。
「結果が目に見える事態」というのは、ふたつしか思い浮かびません。
それは、戦争と疫病です。
バタバタと犠牲者が出ていることが、数字で目に見え始めると、「大丈夫だ。成功している」といくら大本営発表があっても、それは真っ赤なウソだったんだということがわかるわけです。
和歌山市のツタヤ図書館も、いまそんな「大本営発表」の真っ只中にあるのかもしれません。
注釈)上記の開示申出に対する回答は、以下の記事に掲載しています。
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