~2年9か月市民を翻弄し続けた委員たち~
こんにちは、日向です。
昨日、和歌山の市民団体の方から「情報公開に関する審査会の答申が出ました」との連絡いただきました。
和歌山市では、市民が開示請求して黒塗で開示された文書について、これまで二度の不服審査請求が行われています。
まず、2018年2月に審査請求が行われた分は、すでに一部開示せよ、との答申をもとに、ほんの申し訳程度ですが、黒塗をはずした文書が今年2月20日開示されました(ついに審査会答申を受け入れた和歌山市の密室談合ペーパー)
今回、答申結果が出されたのは、2019年3月に行われた、南海電鉄が設計関連業務の入札経過を黒塗りで開示したことに対する二度目の審査請求です。
結論は、実施期間である市の非開示について「妥当である」でした。つまり、南海電鉄から提出された入札企業名が黒塗りされた文書を、和歌山市が開示したのは、正しい行為であり、市民が求めた全面開示の必要はない、との判断です。
どういう審査請求なのか。詳細は、昨年12/25に提出された反論書を、以下に掲載していますので、詳しくはそちらをお読みいただくとして、今回、審査会が市民の審査請求を退けた結論のポイントをいつかあげておきます。
2020年12月25日金曜日
(1)黒塗された入札額、入札企業名が開示されることで、事業者の事業運営に多大なる不利益を与えるほか、事業者の取引企業にも影響を及ぼす可能性がある。これらは条例で規定された「営業活動の秘密」にあたるため、審査請求対象を不開示とすることに不合理な点はない
(2)施工者が民間となる再開発事業であり、実施機関(和歌山市)は、あくまでも補助者として事業を進めているにすぎない。受注した企業以外の法人名・入札額を開示すると、当事者間の信用を損い、関係者の理解・協力が得られにくくなって事業遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、不開示としたことに不合理な点はない
昨年9月に答申が出されて、今年2月に一部開示した前回の審査請求とは違って、今回の審査請求結果は、ほぼゼロ回答。市の主張を100%丸飲みした結果となりました。
反論書に記載された「和歌山市が実施した他の工事では、事業者名も入札額も開示しているのに、今回、落札企業以外は、それらがすべて黒塗されているのは、おかしい」との主張については、
いや、和歌山市が募集した工事ではなく、南海電鉄が主体になって募集した工事なので、和歌山市は、そこまで関与できない、と言っているわけです。
また、陳述で
市民との信頼よりも、私企業との信頼を優先するのか?
という市民サイドの声に対しても、
いや、再開発事業をスムースに進めていくためには、主体となっている南海さんとの関係を壊すようなことはできないんですよ
という市の主張を、審査会は、そのまんま認めているわけなんですね。
ただし、市の南海から提出された文書の黒塗開示に、文句なしにお墨付きを与えるような表現ではなく、~とした判断に「不合理な点はない」という、かなり腰の引けた表現に終始しています。
情報公開の審査会というのは、市が指名した委員による審議ですので、まぁ、こういう結論になるだろうというのは、だいたい予測はつくわけなんですけれども、
それにしても、最初に開示請求してから2年と9か月もかかって、こんな屁みたいな内容の答申を出してくるんですから、ほとほと呆れはてるといいますか、ロクに市民サイドの主張を検討した形跡すらみえないのが、本当に絶望的ですね。
実施機関である和歌山市サイドが作成した作文をそのまんまコピペして、自分たちの答申にしているようにみえます。どこにも独自の意見なり見解がみあたらないのです。
審査会は、ただの追認機関なのでしょうか? また審査会委員のなかには、2名の弁護士さんもいるのに、その人たちは、ただ市の作成した文書にハンコを押すだけの“無能委員”なのでしょうか?
カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営する市民図書館によって、和歌山市駅周辺の「賑わい創出」をめざした主体は、誰がどうみても和歌山市です。南海電鉄は、市からさまざまなサポートを受けることによって、自社の利益を最大限に追求しただけのことです。
その利益を追求するための原資には、和歌山市が通常はそこまでやらないと思われる超ウルトラC級の便宜をはかることによって、巨額の公金が投入されています。
前回の記事・和歌山市が南海電鉄に払った5年間の補助金を集計(2)
で、和歌山市が南海電鉄に、国や県の分も立て替え払いした補助金の総額は、79億円にものぼることが判明しました。
あとから戻ってくる国の補助金は32億円にすぎません。これとは別に和歌山市は、建築を委託していた図書館の買取費用として、30億円を南海電鉄に払います。立て替え分も含めて約100億円ものカネが、南海に払われているというのに、その建設プロセスすら、市民は知ることができないというのは、どう考えても理屈が通りません。
行政としての説明責任を完全に放棄しているといわざるをえません。
再開発計画を立てて、それだけの巨額の費用を負担している自治体は、「補助者」だから、駅の再開発を実施している民間企業には、図書館の設計業務の入札プロセスすら開示させないというんです。
なんか弱みを握られて、逆らったら酷い目にあうことを恐れているように、われわれにはみえてしまいます。
そして、何より、今回の答申で一言もふれられていないのが、私のところに寄せられた“爆弾情報”によっててもたらされた、談合疑惑です。
これまで何度も書いておりますように、南海電鉄がRIAを選定することは最初から決まっていて、それは和歌山市も同意している話なので、南海やその取引業者との信頼関係がうんぬんというよりも、和歌山市自身が、これ開示されたらとんでもなく困るから開示しないのではないでしょうか。
下の書類をみてください。これ、南海と、和歌山県、和歌山市によって構成された調整会議の初回議事録です。
1400枚のうち97%が黒塗で開示(左)されましたが、その黒塗りをキレイにはずれた文書(右)を、私が独自に入手したものです。
これまで一度も当ブログでは紹介してきませんでしたが、この書面に、すでに2014年6月3日の段階で、RIAと竹中工務店の名前が出てきます。
RIAとは、再開発全体のコーディネイター、オフィス棟の設計施工は竹中工務店と契約すると書かれています。
この2年後の2016年8月に、資金計画業務をRIAが落札、さらに3年後の3月に、商業棟の設計・施工JVに竹中が選定されました。
つまり、すべて最初から決まっていたことなのではないのか?
と思う、強力な証拠です。
そして、これまで何度も、とりあげておりますように、
和歌山市と南海電鉄は、市駅前に100万人の客を連れてきてくれる“ツタヤ図書館”にするということは、当初から計画していた通りで、その計画通りに物事がすすんでいったのではないのか。( 黒塗りなし“爆弾資料” )
だから、いまさら官製談合の動かぬ証拠になりかねない、南海電鉄による設計関連業務の入札調書なんか死んでも出せない
ということなんだろうか?と思いました。
さて、みなさんは、どう思われたでしょうか。
【和歌山市・第二次情報公開審査請求のこれまでの経過】
・2018年11月8日、市民団体が開示請求
・2018年12月17日、和歌山市が、入札調書ほぼ黒塗で開示
・2019年3月11日、市民団体が不服審査請求
・2020年10月23日 和歌山市が弁明書を提出
・2020年12月25日 市民団体が反論書を提出
・2021年1月7日 審査会が市長からの諮問書を受理
・2021年2月15日 市民団体が審査会で反論の陳述
・2021年8月27日 審査会が答申結果を通知
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