2021年9月11日土曜日

図書館要覧からみる市民図書館の惨状

 

こんにちは、日向です。


先日にひきつづき、和歌山市から開示された資料を公開しておきます。


本日は、和歌山市民図書館が市駅前に移転して、カルチュア・コンビニエンス・クラブの運営によるツタヤ図書館として開館した前後の実績データです。


ツタヤ図書館になると、どこの自治体でも入館者数が激増して「賑わい創出」に大成功したと、かまびすしく喧伝されていますが、図書館本体の機能はどうのように変わったのかについては、あまり知られていません。なので、その点を、和歌山市のケースで、詳しくみていきたいと思います。



開示していただいた資料が、図書館要覧から必要なデータのみを要領よく抜粋していただいているので、以下に貼り付けておきます。


①平成29年版から令和3年度版までの図書館要覧(抜粋).pdf



ちなみに、市民図書館の図書館要覧は、令和2年度のものが、いつもより数か月遅れで昨年12月に刊行になり館内で閲覧できるようになっていたそうですが、ネットでは公開されてませんでした。また、令和3年度のものは、前回ブログで取り上げたときには、未刊行でしたが、それも含めて、過去3年分が8/4に和歌山市 読書活動推進課 のサイトで公開されました。



  • 和歌山市の“大本営発表” で取り上げた際に、「ぜひネットでも図書館要覧のデータを公開してください」と、申し上げておりましたところ、担当部署で、迅速に、ご対応いただいたようです。改めて、御礼申し上げます。


和歌山市民の方から、令和2年版の現物をコピーして送っていただいていました。市民図書館では自由に閲覧できるそうです。





さて、簡単にこの開示資料の感想を述べておきます。


まず気になるのは、なんといっても入館者数ですね。


100万人には届かなかったけれど、初年度は80万人と旧市民図書館時代の5倍になった


と報道されていましたので、改めてその点をみてみますと、



令和3年版図書館要覧 より



あれっ、令和2年度の本館入館者数は66万人です。西分館の8万8000人を足しても75万人にしかなりません。


四捨五入して「80万人」と言っているのでしょうか? 


移転のための利用制限と休館が9か月くらいあり、CCCの指定管理がスタートしたのは12月19日からでした令和元年度は、比較の対象になりません。


市の直営として1年間丸々開館していた平成30年度(2018年度)と、指定管理者になって6月にグランデオープンした令和2年度(2020年度)を比較することになります。


すると、本館だけで比較しますと、入館者数は17万人から66万人と約4倍に増えたということになります。




コロナ禍の影響で派手なイベントを開催できなかったことが多少なりとも影響しているものと思われますが、


和歌山市の場合は、当初、新型コロナウイルス感染者数は極端に少なかったですし、CCCサイドでも当ブログで指摘したように、ガイドラインを無視した定員を入れてイベントを開催していましたので、ほかの商業施設ほど大きな影響はなかったのではないかと推察します



まぁ、それでも来館者数さえ増えてくれれば、自然と市民の図書館利用も活発になるはずですから、そのほかの指標も飛躍的に延びているはず。そう思っていました。


ところが、ですよ。開示された資料をみていくと、

あれっ、あれれっ、ほうー、えっ、そんな…という驚きの連続なんですね。


たとえば、登録者数。平成30年度までは、16万人近くいたのが、なぜかCCCの指定管理が本格稼働した令和2年度は9万4000人と大きく減っているんです。





一方、貸出利用者数は18万人から22万人、貸出冊数は83万冊から101万冊と、どちらも、1~2割程度しか増えてません。


人口に占める登録者数の割合を示す「市民利用率」にいたっては、44パーセントから26パーセントと激減しているんです。


いったい、これはなんなんですかね。


カルチュア・コンビニエンス・クラブに運営を任せて、スターバックスと蔦屋書店も入ったオシャレで素晴らしい空間が実現。


おかげで、これまで図書館に足が向かなかった市民も多数利用するようになってもう万々歳。


駅前再開発の補助金に78億円、図書館建設に30億円、内装とシステムにそれぞれ3億円ずつかかり、開業準備に1億円、毎年の運営管理費に3億円と、文字通り湯水のごとくカネをつぎこんだ結果が、これですか。



運悪く、開館のタイミングでコロナ禍が襲来したということなのかもしれませんけれど、それにしても、ここまで数字がぱっとしないと、大丈夫かいなと思いますね。



専門家に一度この数字をみてもらわないと、性急に「失敗」とまで結論づけることはできませんけれど、解釈に苦しむデータであることは確かだと思います。




さて、もうひとつ気になるのが、ツタヤ化されると海老名などでは、館内で閲覧できる雑誌が激減して、その後改善されないままということがありましたので、その点は和歌山市はどうなるかってことです。










2018年度と、2021年度を比較してみますと、雑誌は149誌→151誌、新聞は21紙→21紙と変わらずでした。



なので、その点でのデメリットはなかったみたいです。



逆に驚いたのが、レコード6542点、紙芝居2705点と、直営時代とほぼ同じか少し増えているようなんです。


アナログレコードの価値を見出すのは、さすがTSUTAYAさんといいたいところですが、過去には、ツタヤ化されるにあたって、古いビデオなどを大量廃棄されたこともありましたので、今後、価値がないとなるとどうされるのか不安は残ると思います。紙芝居は、和歌山市ならではの貴重な財産なのでしょうから、こちらもできればおおいに活用していただきたいと思います。


よろしくお願いいたします。



【関連記事】


和歌山市の“大本営発表” 

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