2022年8月17日水曜日

権利変換計画ってなんですか?

 ~代官山から始まった再開発マジック~


こんにちは、日向です。



本日も和歌山市民図書館のツタバ(スターバックス+蔦屋書店)店舗の賃料(行政財産の目的外使用料)について、新たにわかったことをメモしておきます。



一昨日、市民図書館を管轄する読書活動推進課の担当者から、2017年の募集要項に記載された店舗の賃料にあたる使用料平米当たり約3万円について


「権利変換計画の数字を根拠にした」という発言がありました。


「情報提供」というワナ



唐突にそんな言葉が出てきて、少し戸惑ったんですが、昨日、改めて、再開発を担当した都市再生課に問い合わせてみて


ああ、なるほど、そういうことだったのか


と膝を打つようなことが、いくつかありましたので、その内容をアトランダムに記録しておきたいと思います。



※ 私、てっきり「権利変更計画」だと勘違いしていて、前回のブログにもそう書きましたが、正しくは「権利変換計画」でした。(修正済み)





1.権利者として再開発に参加した和歌山市



 「権利変換計画」とは、マンションの建て替えを事例にした説明がわかりやすいと思います。


マンションを建て替えるときに、区分所有者が持つ権利をどう新しく建て替えた物件に移転していくかという計画のこと。


50年前に建った頃よりも地価が大きく値上がりしていたり、あるいは、建蔽率や容積率が緩和されていた場合、


5階建てだったのを取り壊して12階建て直すと、新たに生まれたスペースを第三者に販売することによって、


居住者は大きな負担が発生することなく、新しいマンションの一部屋を所有できるケースもあるといいます。


そのためにデペロッパー(もしくはコンサルタント?)が立てるのが権利変換計画です。




都市再生課に、権利変換計画ってなんですか?と単刀直入に聞きますと、「再開発事業において、従前の権利を向後(こうご)に~」


なんて難解な説明が始まりそうになったので、私つい茶々を入れてしまいました。


再開発エリアに、土地もってた町の八百屋さんが持ち分に応じて新しいビルの権利をもらったりするんですよね?


「そうです。ただし、新しいビルに移転しないで、権利を売却するケースもあります」と説明してくれました。


そのために権利者が集まった事業組合をつくるんですか?


いえ、必ずしもそうとは限りません。


というようなやりとりが少しあったあと、和歌山市民図書館が入った南海電鉄和歌山市駅の再開発事業では、


その権利変換計画を担当したのは誰かってことを、次いで確認しました。


確か、商業施設棟の権利変換計画は、2017年3月に施主である南海電鉄が主催したコンペで、アール・アイ・エーが落札されてますよね。


図書館の公共施設棟も同じく、アール・アイ・エーが担当したんですか?



あっさり「そうです」と認められたところで、私の頭のなかで、いろんな情報が一気にスパークしてしまいました。



といいますのも、この瞬間に、なるほど、和歌山市という自治体も、再開発事業の枠組みのなかでは、一権利者だったんだ


ということが、ようやくわかったからです。


少しややここしいので、その背景をじっくり説明します。




2.買取ではなく、権利変換



そもそも南海市駅前に市民図書館が移転するという話が出たときには、


市が施主になって建設するのではなく、ハコモノ建設は、駅ビルを建て直す南海電鉄に一括して委託して、それが完成した後に、


和歌山市は30億円で買い取る計画と報道されていました。


ところが、今年1月、和歌山市が南海電鉄に払った市民図書館の費用について開示された情報について、担当部署に説明を求めると


こうおっしゃるんですよ。


和歌山市が南海から買い取ったわけではありません。和歌山市は負担金を払っただけなんです。



いったいどういうことですか?と担当者に説明を求めはしたものの、ご本人も十分に理解してなかったらしくて、詳しく聞いてもよくわかりませんでした。


とりあえず、開示書面から、わかったことは、以下の2点でした。


・施設建築敷地の権利に係る負担金の額は、6億9,525万2,800円



・施設建築物の権利に係る負担金の額は、27億6,212万800円



 建築費がいくらで土地代がいくらではなく、土地の負担金が6億9,525万2,800円、建物の負担金が27億6,212万800円ということです。


2022年1月13日木曜日








市駅前周辺に、もともと自転車駐輪場の土地を所有していた和歌山市は、この再開発事業に一権利者として参画しました。


アール・アイ・エーが立てた権利変換計画に基づいて、和歌山市は、新市民図書館に足りない土地の権利を、ほかから譲り受けた形にした(?)うえで、再開発ビルであるキーノ和歌山の建築費のうち、


新図書館となる“公共施設棟”の部分だけ負担したということなんです。だから「買取」ではなく、あくまでも「権利変換にかかわる負担金」だったというわけです。



たとえていえば、和歌山市は、古いマンションの所有者と同じ立場です。その権利をもとに、新しく建てられた駅ビルに連なる公共施設棟を手に入れました。



この計画を進めるにあたっては、当然、権利者が複数いるなかで、地権者全員に納得してもらうには、それなりに有利な条件でないと、


進めるのは難しいことが想定されます。なので、権利変換計画で提示されるのは、それなりに周辺相場に比しても悪くない評価を導き出しているものと思われます。




3.再開発をサポートして補助金を出す立場



 次に注目したいのが補助金です。和歌山市駅前の再開発事業には、国土交通省が2010年度に設けた社会資本整備総合交付金が使われています。


総事業費123億円のうち、国からのこの補助金が32億円も出ています。


住宅や道路などに細分化していた補助金を一括して自治体に交付するという、自治体にとって使い勝手のいい制度でしたので、またたくまに全国に広がっていきました。


ツタヤ図書館(もどき含む)でいえば、2016年の多賀城市、2018年の周南市と延岡市で、同じ補助金が使われました。うち、多賀城市と和歌山市で、コンサルタントをつとめたのが


アール・アイ・エーでした。



自治体側は計画や事業費を盛り込んだ「社会資本総合整備計画」を作成して同省に提出すると交付金が事業者に交付されます。


このしくみのなかでの和歌山市の役割は、一地権者としてではありません。南海電鉄が主体となって行う再開発事業をサポートする立場であり、和歌山県と一緒になって


南海電鉄へ巨額の補助金を出す立場です。和歌山市単独では18億円ですが、和歌山県14億円と合わせると、国と同額になる32億円を出しています。


ただし、補助金は、入居者や事業所が所有する区分所有部分には出ません。既存建物の取り壊しや公園、道路の整備のほか、建物の共有部分に対して出るしくみです。それでも、この補助金の効果は絶大。


最近、都心のタワーマンションの建設は、こうした補助金が支えていると言われており、朝日新聞の調査によれば、22地区で総事業費の20%以上を税金でまかない、最大の上板橋駅南口駅前東地区(板橋区)では68%になっていたという報道もありました(2021年9月12日 朝日新聞デジタル・タワマン建設、税金が支える 東京都内の再開発事業で依存率68%も)




4.塩漬け事業が突然トントン拍子に進む


ここで、私の頭のなかでは、また目的外使用料とは、直接関係のなかった別の情報がスパークしました。


そういえば、多賀城市、周南市、延岡市では、駅前の再開発が長年の課題になっていて、ツタヤ図書館ができるまでには、さまざまな計画が立てられては、その後進展がなかった案件だったのを思い出しました。


地権者が入り組んでいるためなのか、あるいは、地価が低迷していてデベロッパーが開発に二の足を踏んでいたためなのか、なかなかややこしいことになっていたところに


突然、ツタヤ図書館の話がでてきて、それ以降はトントン拍子に建設からオープンまで進んでいきました。


和歌山市の場合は、国の政策とのタイミングが、これ以上ないくらいドンピシャだったのか、最初からトントン拍子でした。


南海市駅前の高島屋が閉店すると発表したのが2013年12月。翌年2月には革新系の県議が市駅前の再開発について一般質問。


市議会でも、同じ時期に、公明党の市議が閉店予定の高島屋跡地をなんとかしないと買い物難民が出ると訴えていました。


それが2014年春のこと。なぜかその直後に、のちに黒塗り1400枚の会議録が出てきた南海市駅周辺活性化調整会議がスタート、市民図書館建て替えの方向に傾き、8月に、県土整備部長から転身した尾花正啓市長が初当選したのを待っていたかのように、その直後に、市民図書館建て替えがきまってしまうのです。




5.多賀城スキームの原点はあのビル


和歌山市で再開発事業を手掛けた立役者は、アール・アイ・エー。2016年の多賀城市で、ツタヤ図書館としては、はじめて既存建物の改装ではなく、中心市街再開発の新築施設を手がけました。


国交省の社会資本整備総合交付金は2010年からスタートしていますが、その制度や予算が大きく拡充されたのは、ちょうどこの頃からで、2013年からはじまった“アベノミクス”の金融財政緩和のニトログリセリン効果というか、


CCCが標榜するような官民連携プロジェクトに対しては、湯水のごとく公金がばらまかれる時代が到来して、その大波に和歌山市も見事にのっかっているようなイメージでした。


この再開発イコール権利変換計画については、多賀城のブロジエクトがよほど、うまくいったのか、アール・アイ・エーは建物完成前から、各地で成功例として自画自賛していたほどでした。


CCCと同社のつながりは、同社が2000年に東京・渋谷駅前の東急QFRONTビルを手掛けて以来と言われています。QFRONTとは、渋谷スクランブル交差点前の映像が出ると必ず出てくる一階に「TSUTAYA」がある、あのビルです。1階から8階までほとんどのスペースをTSUTAYA店舗とCCC関連がテナントとして入っています。


すべては、ここからはじまった。渋谷スクランブル交差点側からみたQFRONTビル 
グーグル・ストリートビュー5月2021より




同社とCCCの関係を決定づけたのは、2009年から始まった代官山T-SITEプロジェクトでした。同社がCCC増田宗昭社長から寄せられる無理難題を見事クリア。ややこしい法規制をクリアして都心の一等地に代官山蔦屋書店がオープンしたのが2011年12月。そのコンセプトを公共に持ち込んだのが、2013年4月に、ツタヤ図書館第1号として新装開館した武雄市図書館・歴史資料館でしたが、その時点では、まだ全国に拡大する基盤は整っていませんでした。


その体制が整ったのが、RIAの再開発手腕と、国の補助金を活用して中心市街地に再開発ビルを建てるという、2016年の多賀城以降のツタヤ図書館(もどき含む)でした。


増田宗昭社長の政治力(“嘘つきTSUTAYA”の贈賄疑惑参照)に、官民連携を促進する国の施策、寂れた地元をなんとかしたい地方自治体の首長


―――の三者のベクトルが、うまくあわさったところに、2016年以降の、ツタヤ図書館バブルというあだ花が咲くことになったわけです。




6.仕組まれた偽装賃料のカラクリ



さて、本題に戻りますと、和歌山市民図書館のツタバ店舗の賃料(行政財産の目的外使用料)を2017年10月に発表した、指定管理者募集要項では、めやすとして、平米当たり3万円と記載されていました。


これが3年後のオープン時には、なぜか3分1の平米あたり1万円に値下げされた申請が許可されており、変更になった理由がわかる公文書は、1枚も保存されていないと担当部署では回答しているんですが、


さすがに、それはマズイと思ったのか、担当部署では、募集要項でその平米当たり3万円とした根拠について、これから説明する文書を作成したいと申し出られていて、


その数値の根拠が、権利変換計画の数字だというんです。


考えてみたら、募集要項が公表された(2017年10月)のは、基本設計がその年の3月にできたばかりでした。


指定管理者選定後に実施設計に入るスケジュールでしたので、この時点で、図書館内店舗の使用料を出すのはやや無理があります。


土地の固定資産税評価額は容易に導きだせたとしても、建物については、実施設計段階にならないとグレードや仕様を評価できないはず。



なので、なるほど、この時点では、権利変換計画で、権利者に提示される条件の元になったであろう評価額を基準にして計算した


のだとしたら、それはそれで一理あるなぁと思いました。



だとしたら、募集要項を起案した際に、使用料単価算定方法にかかわる説明文を堂々と開示すればいいように思いますが、


当時作成した文書が1枚もみつからないということが、いちばんの問題なんです。



結局、行政が歪められたのではという指摘には、いつものように最後は「ないものはない」と開き直るのかなと思いました。




ここからは、私の推測ですが、募集要項段階では、権利変換計画をもとにした世間相場に近い目的外使用料になるということは、


最初から、CCCあるいはRIAはわかっていて、最終的に開館目前に固定資産税評価額に引き直したら、三分に一になることも


当然、これまでの経験からよくわかっていたはず。


一方の自治体サイドは、はじめての経験なので、そうなることまでは予見できなかったと善意に解釈することは可能ですが、


その場合でも、募集要項段階での賃料のめやす額については、詳細な説明文をつけて決裁を仰ぐのが常識ですから、


とにかく、何も知らなかった


という言い訳は到底通用しないと思いました。



7.不動産鑑定士の名前すら非公開


ところで、もうひとつ最後に、つけくわえたいことがあります。


今回、都市再生課に問い合わせた際、今年1月に開示された


図書館取得費用34億円が市場価格からみて適正であると判断した根拠について、再度聞いてみました。



都市再生課が不動産鑑定士に依頼をして、この部分についての参考価格を取得している、


そして、その参考価格から、和歌山市が取得した金額は妥当であると判断したとのこと


でしたが、その鑑定書を鑑定士事務所に公開していいかと都市再生課が問い合わせたところ、


担当した事務所から開示しないでほしいと言われたので開示できないそうです。


またその鑑定士事務所名も契約上あきらかにできないそうです。


これが不動産鑑定士業界の常識なのかもしれませんが、


どこの誰かわからない人が評価した結果を、市民がありがたく受け止めないといけないのかなぁと、


その理不尽さに、また溜息が出てしまいました。



2018年に開示された関係者会議の資料は97パーセントが黒塗りだった。図面は、A3版の用紙の隅から隅まで黒く塗りつぶされていた。



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2020年8月29日土曜日

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