2022年7月15日金曜日

11年前のアンケートを“民意”とする読谷村ツタヤ図書館

 

こんにちは、日向です。


6/24の沖縄読谷村議会で、“20年契約のツタヤ図書館”が正式承認された件に関連した出来事について、忘れないうちにいくつかメモしておきたいと思います。


まずは下の赤線を引いた部分をみてください。






広報よみたんよみたん7月号/特集ミライの図書館(仮称)読谷村総合情報センター の4ページに掲載されていた新図書館の紹介文の一部です。



本村では、平成24年3月に策定した(仮称)読谷村総合情報センター基本計画報告書や利用者アンケートを基に、新たな図書館整備計画を作成しました。



ごくふつうの説明文なので、ある程度事情がわかっている人でないと気づかないことなんですが、この文中の3つの単語がとってもヘンなんですよ。



(仮称)読谷村総合情報センター基本計画報告書利用者アンケートを基に、新たな図書館整備計画を作成


――となっていますが、この「新たな図書館整備計画」って、なんなの? そんな文書あったっけ?と思って、読谷村企画政策課のページをいくら探してみても、そういう文書はみつからないんですね。



そこで、久しぶりに企画政策課に電話して「図書館整備計画」について、直接お聞きしてみました。担当者の方が不在で、伝言をお願いしておりましたところ、昨日メールで回答をいただきました。



Q3「新たな図書館整備計画とは」


A3村ホームページに公表されているPFIに関する実施方針、募集要項などの

資料のことです。



「図書館整備計画」という報告書があるわけではなく、村がPFI方式で事業を始めることを宣言した「実施方針」から始まって、事業者の「募集要項」に至るまでの内容をひとまとめにして「新たな図書館整備計画」と呼んでいるということでした。



なるほど。そういうことでしたか。てっきり、「図書館整備計画」なる文書が別にあるものと思って、村立図書館のほうにも問い合わせしたところ、「探してみます」とのことでしたので、「すみません。そういうのはないそうです」と、伝えとかないといけないですね。



とすると、利用者アンケートって、なんなのかな?と思って、回答をみていきますと、


Q2「利用者アンケートはどの資料のものか」


A2平成23年3月に教育委員会で作成した「新読谷村立図書館基本構想」の資料

のことです。



はぁ? 平成23年? 2011年ですよね。もう11年も前の公文書ですか。


今回の仮称・総合情報センターについては、市民の意見をまったく聞かないで決めたのではと非難ごうごうのなか「いや、そんなことはないですよ。市民の声はアンケートでしっかり聞いてますよ」と、広報紙に、さらりと一行入れていたのはいいんですが、それは、なんと11年前に作成した基本構想で行なっていたアンケートを指しているというんですから、これには驚きました。


実は、私もこの「新読谷村立図書館基本構想」という資料を、他の都府県の図書館の蔵書を借りれる相互貸借制度を活用して入手しておりましたので、それを改めてめくってみましたら、確かにありました。アンケートが。


平成23年3月・新読谷村立図書館基本構想23ページより



平成23年1月5日~31日に行なわれ、回答者は525人ですから、まぁ妥当なアンケートだと思いますが、やはりこれ決定的におかしいのは、10年以上前に行なった調査を元に、今回のPFI事業の「図書館整備計画」をつくったということです。10年もたてばその自治体の基本的なデータがガラリと変わっていることだって、いまやふつうにあることです。


貸出冊数ひとつとっても、最新が11年前のもの



一般的には、どこの自治体でも、10年に一度くらいのペースで「図書館基本計画」というものを作成します。


自治体が定期的に、図書館のありかたを見直すにあたって、その基本思想といいますか、市民とも対話を重ねた結果、こういう図書館をつくろうとなりました、というような報告をするのが図書館基本計画です。(コピペ疑惑の図書館計画(1 参照)


図書館の先進的な自治体でしたら、10年に一度といわず、5年に一度くらいのペースで作成していることもあります。


読谷村の場合、11年前に行なった基本構想をもとに基本計画を作成しているのだとしたら、今回新しい総合情報センター構想に着手するにあたって、次の基本計画を立案して、それを元にすべきだったといえるのではないでしょうか。


人口やまちの状況、図書館に対するニーズや考え方、新たに加わった村民の声などの要素もとりいれながら、図書館構想を上書きしていくべきでした。


それをせずに拙速で、ひと昔前におこなったアンケートを、あたかも最近、村民の意見を聞いたかのように、アリバイづくりのためにひっぱってきて、サラリと説明文にまぎれこませるなんてのは、不誠実といいますか、なにやってんだろうと思いますね。


しかし、それにしても、読谷村の場合は、この基本構想を立てた2011年以降、どういうわけか事業がピタリと止まってしまい、2019年の後半になって、ようやく再起動したのは、いったいどういう事情があったのでしょうか。ホント、不可解です。



ちなみに、数年前に、市立図書館に指定管理者制度の導入を進めていた沖縄県・豊見城市(とみぐすくし)の場合は、これまで一度もこの図書館基本計画を作成していないことが議会で問題視され、まずは、それを作成することから始めましょうという話になりました。結果、議会で議論しているうちに、スタッフの雇用が不安定になるデメリットや自前で図書館を運営していく能力が失われてしまうとの批判があり、結局は、民間委託を中止したということがありました。(沖縄・読谷村と豊見城市 参照)




さて、話が前後しましたが、読谷村企画政策課からいただいた質問の回答には、私が質問してなかったものがなぜかひとつ含まれていました。


広報よみたん4p

Q1「(仮称)読谷村総合情報センター基本計画報告書とは」


A1平成24年3月に教育委員会で作成した「(仮称)読谷村総合情報センター基

本計画報告書」のことです。


これは、私質問してないんですよ。伝言をお願いした方に私の伝え方が良くなかったと思うんですけれど、この公式回答を改めてみて、なるほど、この「基本計画報告書」が、世間一般の「図書館基本計画」に該当する公文書だったのかと思いました。


で、メールを受け取った後、ご担当の方に御礼の電話をしまして、ついでにほかの話もするなかで、つい、いらぬ一言を発してしまいました。


公文書は、市民の理解を得るためにとても大切なものなので、一部を抜いて開示したりしないでいただきたい消されていた検討委員名簿 参照


すると、ご担当の方が、こうおっしゃるんです。


えっ、前にもご説明したように、あれは単なるケアレスミスです。なのに、犯罪行為みたいな言い方はないんじゃあないですか! 私は犯罪者ですか!



すみません。いや、そういうつもりで申し上げたわけではないんですよ。国政でも数年前に、財務省が開示文書を書き換えていたことがありましたよね。今回の巻末部分だけ抜いて開示されたのは、あれと同じなんですよ。カットするならば、この部分カットして掲載しましたという注釈がどこかになければならないのに、それがないというのは、やはり改竄と同じ行為とみなされても仕方ないと思います。犯罪とまではいいませんが、犯罪的です。


そんなことはないですよ。だって、冒頭にちゃんと目次があるじゃあないですか。それをみれば何が抜けてるかは、一目瞭然でしょ。日向さんだって、図書館に問い合わせて、それにすぐ気づいたんですよね。


はい…

 

確かに、それも一理あるなぁと思いまして、改めて目次をみてみました。すると、私がいちばん問題視していた、検討委員名簿は、目次には一切記載されていませんでした。


(仮称)読谷村総合情報センター基本計画報告書.pdf



巻末部分がゴッソリ抜かれているために、結果的に、10年前に基本計画を作成したときには、各分野の委員が参加していたという重大な事実が隠され(消されていた検討委員名簿 参照)今回のPFI事業者の選定委員に、ひとりも図書館や公文書の専門家や村民代表がおらず、役場の幹部職員と、専門家でないコンサルタントと金融機関幹部が委員というメンバーで、事業者グループ選定という、重大なことが決定されたのです。

  •         
消されていた検討委員名簿 より





担当者の方は、そのデータが保存されていた段階で、すでに本文と巻末の資料編が分離されていて、それに気づかず、本文のみをアップしたとおっしゃるので、なるほど、意図的ではなく本当にケアレスミスだったんだなぁと思いました。


ただ、今回の「仮称・総合情報センター」という、読谷村の公共図書館に、村史編纂室と公文書館を一体化したチャレンジングな試みをされる計画の大元になる重要な文書が、そういう状態で保存されていること自体が、適切ではなかったのではないのかと思いました。


これでは、公文書館や村史編冊室でも、ほかの重要な公文書もデータで保存するときに、同じようなことが起きかねないですよね。


そう指摘しましたところ、


それは、専門の職員が適切に保管するので、まったく心配ないと思う


とのことでした。


公文書のルールも明確に示されていないのに、どうしてそんなことが言えるのかと不思議に思いました。


すでに広報紙で、


利用者アンケートを基に、新たな図書館整備計画を作成


と、事実に忠実とはいえない(あたかも村民の声をよく聞いて今回の計画を立案したかのような表現をしている)責任逃れとしか思えない記述をしているのに、どうしてそんなノーテンキなことが言えるんだろうと不思議に感じました。


よろしくお願いいたします。



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