こんにちは、日向です。
おかげさまで、3/12にビジネスジャーナルでリリースされました読谷村ツタヤ図書館の第一弾の記事は、たいへん大きな反響をいただきました。
ビジネスジャーナルのアクセスランキングでは、ジャーナリズム部門1位、総合部門でも1位を獲得しまして、ツタヤ図書館問題は、いまだに世間の関心が高い話題でありつづけていることに、筆者としても驚いているところです。
さて、この記事を読まれた方がいちばん敏感に反応されたのが、選定プロセスの不透明さだったと思います。
何故そうなったのか? 誰もが思いつくのは、意図的に、特定の事業者グループの評価が有利になるような選定委員の構成にしたのか、あるいは、そもそも最初から出来レースで、選定されるグループは決まっていたために、その専門家を排除した、と考えざるをえないわけですね。
では、いつからそうなったのか。10年前に基本計画を作成したときから、専門家を排除していたのかというと、そうではありませんでした。
下をみてください。
で取り上げました、なぜかカットされていた基本計画の奥付けにあたる部分です。
あとから抜け落ちていた部分のコピーを入手しましたところ、私が疑っていた通り、ここに、基本計画の策定検討委員会の委員名簿がちゃんと掲載されていたんです。
■委員名簿委員長 糸賀 雅児 (イトガ マサル) 慶応義塾大学文学部教授大湾 由美子(オオワン ユミコ) 図書館協議会委員長宮城 傳 (ミヤギ デン) 村史編集委員長福地 江美子(フクチ エミコ) 前図書館長長浜 宗賢 (ナガハマ ソウケン) 社会教育委員委員長池原 憲彦 (イケハラ ノリヒコ) 楚辺区長比嘉 秀仁 (ヒガ シュウジン) 村民代表波平 律子 (ナミヒラ リツコ) 村民代表長嶺 浩也 (ナガミネ ヒロヤ) 村民代表富永 一也 (トミナガ カズヤ) 県公文書館主幹儀間 敏光 (ギマ トシミツ) 総務企画部長與儀 優 (ヨギ マサル) 教育委員会 教育次長
外部から招へいした慶応大学の糸賀雅児教授は別にしても、図書館協議会委員長、村史編集委員長、前図書館長、社会教育委員委員長に、村民代表と、まさに図書館を核とした村民のための「知の拠点」をつくるために意見を述べるべき立場の人たちが、きれいに揃っていました。
ですから、本来、PFI事業を担う企業グループの選定にあたっても、これらの立場の人たち当然が入るべきところだったことがよくわかります。
その人たちをすべて排除して、役場の幹部たちと、コンサルタントだけで、今回のPFI事業者を選定したというのは、まぁそういうことだったんだろうなと誰もが思いますよね。
そして、この参考資料のキャプターをゴッソリ抜いて、基本計画を公開したのは、明確な意図があったかどうかはわかりませんが、こういう事実を隠したいという心理が働いたのかもしれません。
企画政策課の担当者は、私が問い合わせたら、単なるケアレスミスでうっかりその部分だけ抜け落ちてしまったと答えていましたが、それを信じる人は少ないのではないでしょうか。
こういうことがあると、つくづく公文書の改変・改竄が、いかに重要な事実を覆い隠すかということがよくわかります。
図書館との複合施設として、村史編纂室と公文書館を設置しようとしている読谷村が、たとえ一部であっても、公文書の一部を抜いたまま、さもそれがすべてであるかのように公開するのって、本当に公文書の管理保管は、大丈夫なのかなぁと、いまから不安が募ります。
そんなわけで、ついでといってはなんですが、以下に、私が記したこの基本計画についてのメモを全文公開しておきます。
みなさんも、もしなにかお気づきのことがありましたら、sns等で疑問をなげかけてください。
よろしくお願いいたします。
【読谷村・基本計画についての疑問点】
今回のプロジェクトの大元になったのが、10年前に作成された基本計画。
10年前に作成された基本計画を元に、新たにPFI事業を展開するのは異様。10年前の統計をもとにした計画ではおかしい。再度、新しいデータをとって基本計画を作成し直すべきではないか?
作成者は、地元建設会社の国建となっていて、コンサルタントが誰なのかは不明。慶応大学の糸賀雅児教授が、前年2010年に行なった講演の内容を冒頭にもってきている。
村立図書館は、平成12年(2000年)4月に開館して、このとき11年目だが、もともと議会のあった建物を転用しているため、この時点で建40年くらい。
そのため建て替えを検討していたものと思われる。
このときに打ち出されたのが、図書館と村史編纂室と公文書館の三つの機能をひとつの建物に併設する、総合情報センターの構想。
施設整備の方針 として「人々の集い、にぎわいをつくる新図書館 」となっていて、この時点で、ツタヤ図書館風の方針を打ち出している(2012年なので武雄市図書館の開館前)
ただし、基本計画の中身を読むと、オーソドックスな内容で、CCCが多賀城で関与したと思われる、やたら著名本から拝借してしてきたカタカナまじりの広告文体の雰囲気はない。TRCが作成したような印象の基本計画。
80ページに以下の記述があり、周辺部分の業務は、民間委託を意識していることがわかる。
また、近年は業務の効率化の観点から、施設管理の一部や情報システムの導入・運用、資料の装備など、民間業者への業務委託を選択肢とすることも考えられます。 人員体制の構築にあたっては、サービスの質の確保と効率化の観点から検討していくことが課題となります
・巻末に設計図面やパースもあり、この時点で、計画はかなり完成していた
・事業手法についても、この時点で、直営、リース方式、PFI(BTO)の三タイプの比較がされており、
・スケジュールも直営の場合、6年で開業までの案を作成しており、その下の但し書きで「リース方式の場合は、設計・工事の入札手続きなどに要する時間が短縮となる」となっていることから、リース方式で進めることが内定していたものともとれる
・最後に「今後の課題」として「設計段階における住民意見の反映(ワークショップの開催等」とあり、このときには、村民の意見を聞く場を設ける予定だったこともわかる。
●開示されていなかった「参考資料」
実は、このネットで公開され基本計画は、目次にある「参考資料」編が抜けていた。そのことに気づいて、その部分を読谷村図書館にあった原本をコピーしてもらって送ってもらった。
参考資料
参考資料1 関連施設の概要 ...................................................................... 参考‐2
参考資料2 読谷村の風水と「知の杜」について .............................................. 参考‐4
参考資料3 施設の現況写真 ...................................................................... 参考‐5
参考資料4 「地方公文書館における複合館の展開」 ...................................... 参考‐6
参考資料5 図書館の利用圏域モデルについて ............................................. 参考‐18
読谷村企画政策課が事業のプロセスを公開した際に、おそらく意図的にこの部分だけ落として公開したものとおもわれる(担当者は否定)
興味深いのは、参考資料 4 ■「地方公文書館における複合館の展開」 -芳賀町総合情報館を事例として-の部分が参考として掲載されていること。
栃木県芳賀町が、読谷村が計画しているの似たような、図書館と博物館、文書館を複合した総合情報センターを開設していて、その事例を詳しく紹介している。
この芳賀町の建設構想は、読谷村が強調していた「賑わい創出」や漠然とした「知の拠点」ではなく、より具体的な生涯学習機能と文化活動の機能を融合させることや、期待できる相乗効果について詳しく書かれていて、そうした内容は、民間委託では難しいような印象を受ける。
最後のページに「基本計画策定委員会の委員名簿」があった。図書館や村史編纂室、社会教育の部署からも委員が選ばれており、村民代表もいる。今回CCCのグループが選定された会議でも、本来は、このような顔ぶれメンバーが中心に入るべきところが、意図的に、そうした専門家たちはひとりも入れずに、お手盛りで決めた印象がより強く残った。
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2020年8月29日土曜日
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《2020年2月》
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