こんにちは、日向です。
読谷村は、ほぼ“永久不滅”ツタヤ図書館?
のつづきです。
まず下をみてください。全国で9番目のツタヤ図書館になりそうな沖縄読谷村の総合情報センターについての担当課長の答弁です。
“例えば図書館でコーヒーを飲みながら本を見るとか、新しいライフスタイルの提案を図書館から求めるとか”
という箇所に赤線を引きました。こういうのをみますと、まず発言した日付を確認します。すると、令和3年3月18日の議会答弁であることがわかります。
図書館を核とした総合情報センターをPFI(民間資金等活用事業)で行なう事業者グループの募集要項が公表されたのがこの翌月の4月30日。なのに、課長の発言は、もうこの時点で、ツタヤ図書館になることがすっかり決まっていたかのような内容です。
「図書館でコーヒーを飲みながら本を見る」とか「新しいライフスタイルの提案を図書館から」とは、TRC図書館流通センターが受託するプロジェクトではまず出てきません。なぜならば、これらのワードはツタヤ図書館を説明するときの基本コンセプトだからです。
では、次に別の自治体の答弁みてみます。
これ、読谷村と同じ沖縄県内の豊見城市(とみぐすくし)で2019年3月に行なわれた議会でのやりとりです。
“平成28年度に那覇市で市立図書館の指定管理制度に向けた検討委員会を立ち上げて、結論が出ています。読み上げます。「指定管理者制度導入は、妥当でないとの結論に達しました。主な理由として、図書館事業そのものが収益の見込みにくいサービスであり、受託団体の確保が困難であるということ。また、図書の選書や廃棄、図書資料の収集など、他館とのバランスなどを考慮する必要があり、指定管理協定では、詳細に定める必要が出てくるため、指定管理者制度の利点である民間のノウハウを生かした弾力性のある運営が難しくなる」と那覇市はこういう結論を出しています。県立図書館は指定管理ではなくて、民間委託業務で運営しております。 この指定管理者制度は、市長の施政方針でもうたっているのです。市長、市長の仕事は説明をすること、責任をとることです。今回の債務負担行為で、図書館の指定管理に向けた予算を提案されたのは市長、あなたです。これまで一般質問などで市長は答弁を、責任逃れするような答弁がありますので、ここはちゃんと答えていただきたいのだけれども、今後もしも市民から指定管理に向けた反発があった場合に、教育委員会や、この行革を進めた担当職員の責任ではなくて、ここではっきりと答えてください。図書館の指定管理に向けた債務負担行為の予算は、あなたの政策で間違いないですか。市長に答弁を伺います”
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/tomigusuku/MinuteView.html?council_id=727&schedule_id=5&is_search=true&minute_id=122
豊見城市では、この直前まで中央図書館を指定管理者に移行するプロジェクトが進行しており、ほぼそれは既定路線みられていて決まりかけていたのですが、土壇場でそれがひっくり返りました。
そのときの議論が結構まともなんですね。
同市では、2019年3月議会で、指定管理を導入するのなら、せめてこれこれの条件をクリアするようにという付帯決議をつけた議案を可決した後、同年9月議会で予算5億円の指定管理の議案を否決してしまいました。
いったい、どういうことだったのか。早速、豊見城市の関係者をあたってみたところ、以下のような話をきくことができました。
「もともと●●●(大手運営会社)にやらせるということで話はほぼ決まっていたが、事業者者先行で図書館をこれからどうするかという手続きがあまりにもおろそかにされていたので反対した。付帯決議で図書館の民間委託導入のための条件を提示した。それらをクリアしたら今後すすめていく可能性はある。ただ当時も、CCCは図書館運営で問題起こしていたので、話は出てなかったと思う。いきなり指定管理というよりは、まずは一部委託で話は進めたかった」
「いきなり指定管理にするという話が出てきた。豊見城市は、それまで図書館基本計画すら20何年も作成していなかった。やるなら、まずその基本計画を策定したうえで、新しい図書館像を描いて、進めるのはそれからと反対した。そのための議論には、地元のPTAなども加わって進めていった。そうしているうちに市長がかわったことで、指定管理にするという話は立ち消えになった。読谷村のPFIは、20年というのは長過ぎると思う。私も全国のPFI、プールとかあちこちみてまわったが、問題山積。補修工事の責任などが不明確。20年の間に、競争性が確保できないのは、かなり不利だと思う。沖縄では、最近の事例はしらないが、民間図書館に任せている自治体はあまりないと思う」
このほか中央図書館を指定管理にしたら「市に図書館運営していく能力がなくなってしまう」「直営では、スタッフは非正規でもフルタイムに近い時間数働いて、少ないながらも生活していける収入をえているが、もし民間勤務となったら、パートタイム雇用ばかりで、その給与では生活していけない不安定雇用を増やすだけだ」(すでに、豊見城市中央図書館は職員23人中21人が非正規職員)
というご意見もありました。本当に、これがまっとうな議論というやつですね。
豊見城市・図書館の指定管理、白紙 と報じる地元・沖縄タイムス https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/469163
豊見城市のこの事件は、地元メディアでも大きく報道されましたので、県内で、こういう議論が巻き起こって指定管理を諦めた推移を、読谷村の市長部局が知らないはずがありません。
そこで、なにもかも伏せたまま、隠密に進めていって、一気呵成に決めるPFI方式を採用したのではないのか?と疑いたくもなります。
地域の大切な図書館をどうするかということを決めるんですから、そういう議論がなにもなくて、ただPFIにしたら安くできるよというんですから、読谷村は、本当にバカみたいですね。
ところで、ここで改めて読谷村が採用しているPFIのBTO方式という意味を調べてみました。
BTO方式とは、PFI方式の一種。民間事業者が設計・建設・工事監理を実施した後、施設の所有権を市に移管し、維持管理・保全業務を民間事業者が担うもの。民間事業者の資金で建設し(Build)、完成後に施設の所有権を公共に移転(Transfer)、民間事業者が維持運営(Operate)を行うことからBTOと言う。PFI方式は、主にBTO方式、BOO方式、BOT方式に大別される。 施工の神様 https://sekokan-navi.jp/magazine/skk_words/bto%E6%96%B9%E5%BC%8F より引用
これ読んでたら、南海電鉄に建設を委託して、完成後に市が買い取った和歌山市と、実質的には大きな違いがない方式だということがわかりました。和歌山市は、形式的には、民間側が特別目的会社を設立して、一貫して受託する方式ではなく、建設と運営は別々に進めたものの、実態としては、読谷村がやろうとしているPFIと同じというわけです。(唯一大きな違いは、和歌山市の指定管理は5年契約だが、読谷村のPFIは20年契約ととんでもなく長いこと)
和歌山市では、コンサルタントのRIAの落札に談合疑惑が持ち上がったり、指定管理者の募集開始される前にCCCが市長プレゼンをしていたりといった、イリーガルに陥ることだけらけでしたが、このBTO方式にすれば、完全に自治体は、計画段階から丸投げできるので、そういった心配が一切なくなるということなんでしょう。
図書館の民間委託は、首長肝いりの政治案件になりやすく、その背景には、社会教育とか学校教育との連携とか、市民の知る権利に答えるとか、本来の目的や理念はどこかに置き去りにされて、地元のカネをばらまくためのハコモノ行政ゴリラが跋扈するといったら、言い過ぎでしょうか。
いま沖縄読谷村は、まともな議論を封じて、あたかも市民を騙すかのような手法でプロジェクトを進めています。
結果はどうであれ、村民にこのPFI事業のプロジェクトについて、その中身をしっかりと理解してもらえるような場を一刻も早く設けるべきではないでしょうか。
- 村民の意見を聞かない読谷村 へつづく
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2020年8月29日土曜日
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