2022年2月2日水曜日

行政視察という“感染ルート”~沖縄・読谷村の場合~

 

こんにちは、日向です。


先日、判明しました沖縄県読谷村がツタヤ図書館の誘致を内定した件(速報!沖縄・読谷村にツタヤ図書館ができる?)、あちこち聞きまわっているのですが、いまいち事業の中身がみえてきません。


本日は、その途中経過の報告です。これまでに、わかったことをメモしておきたいと思います。



まず、先に基本情報を整理しておきますと、建設通信新聞1/5付の報道でわかっているのは、以下の点です。



・読谷村では、PFI方式(建設から運営まで包括的に民間に委託)により図書館や村史編集室、青少年センターなどで構成する公共複合施設を整備・運営する


・併せて、事業用定期借地権方式により余剰地で民間収益施設を設置・運営する


・読谷村総合情報センターはS造平屋建て3791㎡


・選定されたCCCの入ったグループの提案では、民間収益施設は、カフェや物販店舗、ホームセンターなどで構成する延べ7738㎡を設置するほか、公共施設内にカフェを併設。


・提案価格は、PFI事業が34億1090万7638円(税別)、30年間の地代収入総額が6億4200万円


・公共施設などの設計・建設は2025年3月まで


・2025年10月に開館し、45年3月まで20年間、維持管理・運営。民間収益施設の事業期間は、契約日から30年間を予定



(仮称)読谷村総合情報センター及び周辺環境整備事業の優先交渉権者決定についてより



この後、直接、担当部署に聞いてわかったことは、以下の通りです。



・今回、PFI事業として行なう複合施設のプロジェクトの土地は、もともと米軍の飛行場のあった土地で、長年、その跡地の利用をどうするか検討を重ねてきたもの


・基本計画(構想?)のもとになったのは、平成24年(2012年)に地元企業がサポートして作成したもの


・当事業をPFIで行なう方針は2019年から出てきて、その年の12月に行なったサウンディング型市場調査によって、民間による公共施設の建設は可能と判断


・その方針に則って、2020年3月に実施方針が決定し、正式に特定事業(法律にもとずくPFI)として選定


・2021年4月から、事業者の募集を開始


・3事業グループが応募してきて、そのうちCCCが図書館運営の構成員として入った1事業グループ(CCCをのぞいた4社はすべて地元企業)を選定したのが2021年12月


・20年間で34億円の事業費は、イニシャルコストの建設費に加えて、毎年かかるランニングコストの運営費も含んだ金額


・そのうちいくらが建設費で、いくらが運営費になるのかは、まだ公表できない。議会承認されたたあとになるだろう



ここまで聞いて、えっ?となってしまいました。だって、34億円という事業費の総額け明示するのに、建設費や運営費はいくらなのかが、まったくわからないのです。もうひとつわかっているのは、村に入る土地の賃料収入が20年で6億円ということ。これもちろん、選定された事業者グループが提示した額です。



公共施設の土地は3791㎡ですが、平屋なので、4階建てで延べ床面積約7300㎡ある和歌山市民図書館のちょうど半分くらいの床面積。それに広場や水辺、駐車場なども整備するわけですから、事業費のほとんどが建設費で消えていきそうな額のようにみえます。


毎年かかる運営費が、もし年1億円としたも、20年なら(ホームセンターの土地部分のみ30年)それだけでも20億円かかってしまいます。


なので、総額34億円というのは、決して高くはないのかもしれません。



で、次に驚いたのが、補助金の関係です。


どんな補助を活用するんですか?と聞いてみたところ、


補助金は、ありません。すべて読谷村の単独費によってまかないます。


そう言われてしまったんですね。


これはまったくの肩透かしでして、これまでCCCがからむツタヤ図書館(もどき)関連の事業では、そんなことは一度もありませんでしたので、これは、本当に意外でした。もしかしたら、まだ何かウラがあるのではないかと、つい疑ってしまいます。





ところで、私がいちばん関心があるのが、いったたいどうして沖縄の読谷村で、ツタヤ図書館を誘致しようなどという話になったのか、ということです。


正直、ガチンコで3グループが競合したとは思っていません。なぜならば、これまでCCCが公平公正にコンペで審査されて勝ち抜いた事例と思えるケースはが、ただの一件もなかったからです。



にぎわい創出をめざしたツタヤ図書館を誘致する、という結論がまず先にありきで進められるのがいつものパターンです。


そういう視点でみますと、知りたいポイントは2つあります。


(1)誰が、仕掛け人なのか


(2)どこでツタヤ図書館という、“はやり病”に“感染”したのか



1はまだわかりません。先にわかったのは2のほうでした。



どうやら議会での説明で、執行部がいくつかの自治体を行政視察してきていたらしく、それによって今回の事業のスキームを決めたという話を小耳にはさんだものですから、担当部署にズバリ聞いてみました。


図書館は、どこを視察したんですか?と。


そうしたら、こんな回答がかえってきました。


武雄市と和歌山市です



アチャー、そうでしたか、という感じですよね。


いまや賑わい創出をめざした図書館、あるいは、まちづくりの一貫として図書館を建設した自治体は、全国にもう腐るほどあるのに、よりによって視察したのは、ツタヤ図書館だけだったというんですから、すでにそのときには、一定の方向性を向いていたのではないのかって、思わざるを得ないわけなんです。



武雄市は、3年ほど前に自治体向けの研修というかツアーで行ったそうで、和歌山市のほうは、一昨年6月の新館オープン以降に、京都や泉南市(りんくう公園)、泉佐野市などの視察ルートに組み込んで行ったそうです。(担当者によれば、わざわざツタヤ図書館を選んで視察したわけではなく、たまたま京都や大阪の視察地に近い和歌山を視察ツアーに組み込んだだけとのこと)



もちろん、正確なことは、改めてそのときの復命書等を開示請求してみないとわからないのですが、なにしろ読谷村の場合、開示請求も資料の送付もすべて郵送しか受け付けてない(その後、FAXでもOKとなりました)そうなので、それ待っていたら、かなり時間がかりそうです。




ツタヤ自治体への視察は、議員さんグループでしたら、単なる慰安旅行とみていいかと思いますが、行政の職員の視察というのは、すでに“感染”している可能性が高いというのは、こんなところからもよくわかりますね。


で、和歌山市では、誰からレクチャーうけたんですか?と聞いてみましたところ、自治体の職員と、CCCの社員の両方だそうです。


たとえ視察時には、まだ白紙の状態だったとしても、視察した先で視察受け入れた自治体とCCCの社員によって、ウソ八百を吹き込まれますと、すっかりその気になってしまうのは、ほかの自治体も同じです。同じように“感染”した自治体が、ショールームとなって、さらに別の自治体にも“感染”が広がっていくんですから、本当に視察というのは困ったものです。


通常、対応するCCCのような指定管理者にとっては、行政視察は、自社の受託先を増やすための絶好の営業機会ですから、そこでは、自分たちの成果を大袈裟にアピールするのはもちろん、ときには、あきらかにデタラメではないのかと思われるようなことまで言います。


本来中立であるはずの役所サイドでも、自分たちが行なっている官民連携事業がいかに素晴らしいかをアピールすることに余念がありませんので、指定管理者のアピールにお墨付きを与えて、そのまま垂れ流してしまいます。



その結果、運営自治体の市民からすれば、自分たちの税金を使って、一民間企業にショールームを提供し、その一民間企業が他の自治体の仕事を獲得するためのコストも負担してあげていることになります。(CCC図書館部門のトップをつとめる、海老名市の高橋聡前中央図書館館長が海老名を留守にして、全国を営業に飛び回っていると、市議会で批判され、CCCはあわてて実務経験も司書資格のない若手を館長に据えました)


アピール内容が多少大袈裟なくらいは目を瞑るとしても、あきらかに事実と異なる内容を視察した自治体や議員にレクチャーしていることも、視察自治体の復命書などからあきらかになっています。


たとえば、「年間120万人来館」「利用者8割満足」といった、誰がどうみても異論のないはずの、客観的なデータでさえ、「図書館の利用者なのか?」「複数カウントしているのでは?」「自由記入ではなく、来館者に対面でアンケートは不適切では?」といった疑問がついてまわるくらいですから、あとは押して知るべしです。(中林館長の丸亀市プレゼン 参照





そうなりますと、読谷村では、2019年12月に、当事業についてサウンディング市場調査を始めた時点で、すでに公共施設の核に、賑わい創出をめざすツタヤ図書館タイプにするという、おおまかな方向性は固まっていた可能性も出てきました。


ちなみに、サウンディング市場調査というのは、2020年に、百貨店跡地にツタヤ図書館もどき計画を進めていた山口県宇部市で採用。どういう方向性、枠組みで事業を行なうかを事業者に聴き取りをするという手法。事業者名はもちろんそれぞれの提案内容も一切開示しなくていい、つまり重要なプロジェクトでも隠密・ステルスに進めていけるという、われわれ市民からしてみたら、とんでもなくたちの悪いブラックボツクス行政のツールとなっています。




同じ時期に実施された、この宇部市のサウンディング調査では、三者の意見といいますか、具体的な費用も算定した事業提案が出されまして、そのうち一者が、あとからCCCだったことが判明しています。


このときCCC提案を採用した宇部市の担当者は、もちろん同社の基幹事業TSUTAYAがその前年に消費者庁から虚偽広告で1億円の課徴金を課せられていたことも一切知りませんでした。


読谷村は、これまで、われわれがさんざんみてきた、そんなツタヤ誘致自治体がたどってきたのと同じ道程を歩んできているといえそうです。



すみません。長くなりましたので、今日はこのへんにしておきます。


よろしくお願いいたします。



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2020年8月29日土曜日

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