2022年2月20日日曜日

読谷村は、ほぼ“永久不滅”ツタヤ図書館?

 

こんにちは、日向です。


2/18金曜日の午後、沖縄読谷村の総合情報センターPFI事業について、予算関連の議案提出が延期になったと速報でお知らせしました。


速報! 沖縄読谷村PFI議案の提出延期か?【2/18 17時10分追記アリ】


その日の夕方、担当部署に事実確認が取れましたので、速報の末尾に追記として、もう少し詳しい内容をご紹介したわけですが、


小牧市や宇部市の二の舞か?」と思ったのもつかの間、事業者選定については、担当課長が「揺るぎないもの」とまで断言していますので、議員さんがいくら、これから事業者の適性に疑義をさし挟んだところで「そんなのカンケーねえ、俺らが決めるんだ」と言わんばかりのスタンスがその言葉尻に現れましたので、これはそう簡単には覆らないとの印象を受けました。


読谷村発表 客観的な評価結果.pdf より




今回のプロジェクトについて、関係者の方にお話をお聞きしていてつくづく思ったのは、この事業が終結する23年後(3年後に建物完成して、そこから20年契約)というのは、ほとんどの人はリタイアしているか、もしくはこの世にいないのではないのかということです。


指定管理の5年契約でも、とんでもなく長いのに、その4倍というんですから、ほとんど歴史検証の世界だと思うんです。


生まれたばかりの赤ん坊が成人式を迎え、20歳の人は40歳、40歳の人は還暦に、アラフィフの人は、後期高齢者になろうかというほど未来の話なんですから、果たして公の事業計画として、その成果を20年後に検証することなんかできるんだうかと疑問に思います。


20年間にもわたって、公共図書館がCCC独自のライフスタイル分類で配架されたり、カラのダミー本で飾りつけて中身はスカスカだったり、貸出に使われるTカードに自分のさまざまな行動が逐一記録されたりつづけることをイメージするだけで、私だったら、すぐにでも、その町を出ていきたくなるでしょう。



それこそ、いまだけ、自分だけ、金だけ(儲かればいい)のか?と問い詰めたくなる、サステナブルとはおよそ正反対な要素しか思い浮かびません。



これまでにさんざんやらかしたツタヤ図書館のカルチュア・コンビニエンス・クラブが20年も図書館部分を担当するんですから、


ほぼ永久不滅(破滅?)ツタヤ図書館


を意味するように思えてなりません。


20年後には、もうCCCという会社自体がなくなっていて、独自分類を元に戻そうと思っても、自治体の中には、責任を持ってフツーの図書館に変えるノウハウも、人材も、気力も、資金もないかもしれません。


読谷村の担当部署では、なにかというと、そこはSPC(特別目的会社)が責任を持つからと言ってますが、SPCは、単に出資者が倒れても連鎖しないためだけに用いられるリスクヘッジ手段のひとつにすぎません。


さらにそこから10年、20年と契約更新していかざるをえないかもしれません。敷地内に併設されるというホームセンターは30年契約らしいので、そちらは、ほぼ商業施設としての寿命はつきていますね。


運よく20年続いたとしても、もう村民には変える気力も失せてしまって、図書館そのものが廃止になるかもしれません。


バブル後の廃墟ホテルのように、


ああ、あそこ昔、なんかおかしな建物がありましたね


そういうことになるリスクがまったく検討すらされていないことが、背筋が凍るほど怖い事実です。



PFIにしたから、とても事業費が安くなったんだ


そう言う方もいるかもしれません。


しかし、世の中に「うまい話」なんて、そうそうありません。


事業費が安ければ、雇用するスタッフの人件費を極限まで切り詰めるでしょう。非正規パートしか雇用できず、いくら村立の公文書館や郷土資料編纂は直営を維持するといっても、村がこれまで長年かけて育んできた公共図書館の経営能力そのものがどんどん劣化・消失していくでしょう。



CCCカルチュア・コンビニエンス・クラブの名前が、初めて出てきたのが選定発表の昨年12月24日。その後、執行部は、議員さんたちに、ホームページに掲載した一連の書面にある通りの説明をしたそうですが、誰に聞いても、CCCがどんな会社で、ツタヤ図書館が全国でどんな問題を起こしたかといった話が出てきません。


同社の基幹事業であるTSUTAYAが2019年2月に消費者庁から景品表示法違反で1億円を超える課徴金を課せられたことや、昨年春には、T-SITEを運営する全国の系列子会社が軒並み債務超過に陥ったために、それらをすべてCCC本社に経営統合したことですら「そんなこと、初めて聞いた」と言う人ばかりです。Tポイントカードにいたっては、ヤフーが提携を解消したことすら「なんのこっちゃ」という人ばかりです。


その状態で、なんの議論もなく一気呵成に「ほぼ永久不滅ツタヤ図書館」を3月議会で決めるつもりだったというのですから、これはいくらなんでも拙速すぎやしないかと、外の人間は思うわけです。


姑息にも、そうした情報が村民に広く知れ渡る前に、決めてしまおうというのは、いったい誰の意志なのか、つい数年前には、全国で初めての村立公文書館を建設するとメディアで報じられて注目を集めた、あの沖縄読谷村が、ここまで劣化していくのは、もうみていられません。


人口の少ない地方の自治体(村ではあるが人口は4万人もいて、5万人を切った佐賀県武雄市とあまり変わらない)なんだから、しょうがないじゃあないの?


そう思われるかもしれません。


実は、私もつい数日前までは、そういう考えが支配していました。


ところが、同じ沖縄県内でも、つい数年前に、首長の肝いりで図書館を民間委託しようとしたところ、各方面から異論が出て断念したというケースがあったことを知りました。


その自治体では、いたってまっとうな議論が行なわれていたのです。


長くなりましたので、このつつぎは、次のエントリーに書きます。



沖縄・読谷村と豊見城市 へつづく



【2022/3/20 追記】
今回、読谷村に優先交渉権者に選定された企業グループが共同出資して設立されるSPC(特別目的会社)と読谷村の契約が20年である。理論的には、そのSPCと図書館運営者(CCC)との契約となるので、CCCが現段階で20年間運営することが決定したわけではない。もしかしたら形式上は、運営企業と5年契約にして、モニタリングの評価などによって運営者を変えることも可能なしくみにするのかもしれない。しかし、グループ構成員のなかで図書館を運営するのがCCCだけである以上、そのような実態にはなりようがない。また、運営者と形式上5年、10年契約にしたとしても、なにか問題が起きたときにCCCを排除できるとは思えず、ほぼ自動継続で20年となるものと思われる。



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