2023年7月5日水曜日

行列180メートルのカラクリ

 

こんにちは、日向です。


昨日書きました ラーメン屋のような“行列自慢”をする平井館長 を読まれて「そんなに来館者殺到するなんて凄い!」と誤解した方もいたかもしれません。そこで、本日は、もう少しその点について捕捉しておきたいと思います。


私が問題視した平井さんの発言は、以下の箇所です。


こちらは、開館1年目の夏の開館前の図書館の状況でございます。 お並びいただいているの は、学生の方々が中心ですが、この1年目の写真の列の長さは約60mとなっております。 特に土日祝日は200名以上の方にお並びいただいております。 2年目の夏になりますとその 列が約 120mとなり、2年目の冬になりますと約180mとなり、どんどん並ばれている方が 増えております。



学習室を利用するために開館前から並ぶ人が大勢いることを、時系列順にスライド映像をみせながら、審議会委員のセンセイ方にアピールしているんです。


行列の長さは、初年度60メートル、2年め夏120メートル、2年め冬180メートル

こういうふうに映像と数字を出してきて、わが社が運営している図書館が大人気なのは一目瞭然


というアピールをしているんですね。委員の先生方は「うわぁ、そんなに凄いのか!」と、この箇所だけでもすっかり信じ込まさている様子なんです。




しかし、私はこの数字をみて、「ほんまかいなぁと」思わざるをえませんでした。


なぜならば、これまでCCCが運営するツタヤ図書館としてオープンしたなかでも、二番目に公称の来館者数が少ないのが和歌山市だからです。


もし和歌山市で、180メートルもの大行列ができるほど人が押し寄せていたとしたら、ほかの地方のツタヤ図書館は、もっとたいへんなことになっていないとおかしいのですが、そんな話は聞いたことがないからです。


来館者数データについて、丸1年間の期間がとれる移行年の翌年の数字で比較してみますと、最も多かったのが2018年オープンの山口県周南市の211万人(2019年)。最も少なかったのが2017年オープンの岡山県高梁市の62万人(2018年)でした。


「ツタヤ図書館」の“いま”− 公共図書館の基本ってなんだ? -3版 より




それに対して和歌山市は、全面開館した2020年に66万人と周南市の三分の一にも満たない数字でした。人口3万人の高梁市をかろうじて上回った程度です。それからすると、周南市の徳山駅前図書館などは、和歌山市の何倍もの長い長い列ができているはずですが、現実には、そんなことは起きていません。



なので、とっさに思ったのは、和歌山市では、意図的に長い行列を演出したのではないかということでした。


まず第一に、行列のできる曜日や時間帯は限られていること。これは、どこのツタヤ図書館でもそうですが、朝、開館前だけ並ぶ人はいても、その後の平日の昼間はガラガラ(学習席のみ混雑)。週末だけ混雑するというパターンです。また朝の開館前に並んでいるのは、無料wifiを使いたい人や、学習席を確保したい人たちで、非常に限られた層だということです。


2023年7月5日現在 和歌山市民図書館をグーグルで検索すると出てくる混雑状況。平日昼間は、ほとんどすいている。



幸い、和歌山市では2020年から始まった新型コロナの感染者数は他の自治体に比べてかなり少なかったようですが、それでも学習室などは、一定の間隔をあける対策を取っため、一時的にボトルネックが生じてしまい、キャパを超える人たちが週末などの一時期に押し寄せた。そうとらえるのが妥当でしょう。


そうすると、初年度の夏休みに入った頃に、朝長い列ができるようになったのを、なんの対策も講じずに放置しておけば、翌年もさらに長い列ができてしまうのは自明の理です。ここぞとばかりにそのときの写真を撮って、審議会などの場で、こんなに行列ができてますとアピールする材料に使ったのでしょうか。



行列ができるほど繁盛している店舗という演出は、都心部で新しくドーナッツ屋やジェラード屋が新規開店する際の、よくある宣伝方法もひとつです。


「並び屋さん」と呼ばれる業者に依頼してまで、街頭に長い行列をつくって、口コミで宣伝していく手法は、もう1980年代から行なわれている古典的な手法です。


そんな商業施設の発想を踏襲しているのが、ツタヤ図書館なんです。


さすがにCCCは、そんなヤラセ行為まで手を染めているとは思いませんが、消極的な誘導はあったかもしれません。適切に行列を解消する対策を講じなければ、たちまち行列は長くなるものですから。


公共施設の世界では、そんなことが行なわれるなんて夢にも思いませんが、成果をあげようと必死になっている民間企業のマネージャーからすれば、多少ヤバイことをしても翌年度以降の契約更新を勝ち取らないといけないのですから、長い行列なんて、絶好のアピール材料と映ったはずです。



なお、ツタヤ図書館の来館者数については、本来の図書館利用者よりもはるかに多いカフェ等店舗利用者+イベント来館者(いまならサマータイムレンダ展や屋上テラスのコンサート)+駅ビルへの通過者などもすべてカウントして足した数字ですので、純粋に図書館利用者のみをカウントしているほかの図書館との比較には使用できません。


そのことを差し引いてみなければなりませんが、同じツタヤ図書館のなかでも、和歌山市だけが、長い行列ができているという情報は、印象操作が疑われるアピールなので、審議会や指定管理者選定委員の方は、くれぐれも騙されないようにしていただきたいと思います。


なお、これも何度か書いてますが、2018年に開館したツタヤ図書館もどき(市民センター)の延岡市エンクロスは、初年度の来館者数128万人と公表されていますが、地元の人に聞いてみると「1日平均3500人来ている計算だけど、そんなことはありえない。多少賑やかなのは週末だけで、平日は高校生がチラホラみられる程度でガラガラ」ということでした。この来館者数については、後日また検証してみたいと思います。

よろしくお願いいたします。


【2023年7月8日追記・行列を演出するカラクリはこれか?】

7/6に書きました 読谷山市長が暴いた来館者数のカラクリ に読者の方から、以下のようなコメントが寄せられました。


開店前に100人以上もの行列ができるのは学生たちの、テスト期間中だけですよ。それ以外の日は列なんてできません。そして3箇所ある入口が9時になっても塞がれていて、わざと1箇所に集中して待ちが大勢並ぶように作為されていますから。


 CCCが会社をあげて行っている行為なのか、それとも平井館長の独断で行っていることなのか、どちらにしても、市民を欺く行為ですから、もし事実だとしたら、結構たいへんなことになりそうですね。



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「CCCの営業マン」 と呼ばれた話題の市議を直撃!【前編】











宇城市へ情報開示決定の審査請求を行いました和歌山市へ提出されたCCC開館準備報告書 ●和歌山市CCCとの定例会議・議事録を入手(その3)添付資料 ●和歌山市CCCとの定例会議・議事録を入手(その2 ●公式回答が“ウソ八百?”の和歌山市読書活動推進課 ●高石市で蔦屋書店の相棒となった日本測地設計 ●和歌山市CCCとの定例会議・議事録を入手(その1 ●大阪府高石市は、蔦屋と南海のカモ? ●『雇用保険から排除される非正規労働者~』の記事が出ました ●蔦屋書店は悪くないと言う高石市の担当課長 ●速報!“ツタヤ図書館もどき“が大阪府高石市にもできる?




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2020年8月29日土曜日

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20206月》

和歌山市民図書館は、ICタグ装備せず「ICタグと自動貸出機」はセット自動貸出機についての補足説明和歌山市民図書館の自動貸出機について3800万円“安全対策”出来レースの代償後編出来レースの代償・前編専門家がほとんどいない審議会 『第9版 失業保険150%トコトン活用術』についてのお詫びと訂正 TSUTAYA占領地のレジスタンス 疑惑まみれのグランドオープン 白塗り”に隠されていた告発意図


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