こんにちは、日向です。
本日も、昨年11月11日に開催されました和歌山市民図書館の運営審議会の会議録についてです。
なんで、この会議録に私がこだわっているかといいますと、この会議は、来年4月から5年間総額17億円で、これまで通りカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の指定管理とするための、実質的な決定機関になっているのではないかと感じたからです。
もちろん、この4月にスタートした指定管理者の公募は、公平公正に行なわれるとは思いますけれど、会議録のメンバー構成やその発言内容を詳しくみていきますと、また出来レースが行われているのではないのかと、かなり不安が募ります。
公募する前に、新しい市民図書館運営者としてデビューしたCCCの実績を外部の有識者が出席する機関において確認をし、次の5年間の指定管理者候補としての地位をより確定的なものにしたい
――というような市長サイドの意図が見え隠れするのです。
そこで、今回からは、いよいよ会議で話し合われた中身についてくわしくみていくことにします。
一通り、出席者の自己紹介と会長選任を終え、会長に就任した甲南大学の長谷川雄彦先生の司会のもと、議題2の「新図書館の紹介」から始まりました。
プレゼンターは、会議録で名前が■■と黒塗りされていた平井薫館長なんですが、その自己紹介部分7行がいきなり黒塗りされているんです。
そんなバカな。審議会に出席する図書館長さんの自己紹介が、まさか「個人情報」なんでしょうか?
そう思って、開示文書の不開示理由をみてみますと、“2面から6面までの一部”は、「個人に関する情報であって、特定の個人が識別できるため」となっていましたので、まさにピンポンです。
指定管理の図書館なんかでも、新任の館長が赴任しますと、地元メディアのインタビューに登場して、市民に自己紹介をするケースも最近はよくみかけるようになりました。
平井さんも2020年6月の開館当初や、一周年、二周年など節目のイベントで、市民にご挨拶をされているはずなのに、公文書の記録になったとたん、自己紹介の内容すら、市民には知られたくなくなるのでしょうか?
ちなみに、和歌山市が開示する公文書における開示の可否は、発言者に開示していいかを確認するしくみ(黒塗りした理由を開示請求してみた 参照)なので、おそらく、これは平井館長ご自身の希望なのでしょう。
どうして、そんなことになるのか。理由として考えられるのは、平井さんがご自身の経歴をおおやけにしたくないということなのかなと思いました。
といいますのも、CCCが2017年11月に、和歌山市の指定管理者募集の際に提出した書面には、館長の要件として、次のような記載がありました。
図書館勤務年数3年以上 司書資格
2017年10月にCCCが和歌山市に提出した指定管理者の応募書類。当初は全面黒塗りで開示されたが、市民が不服審査請求を行ったところ、3年後にこの部分が黒塗りなしで開示された。 |
これだけ全国的に注目を集める図書館の館長に据える人物ですから、司書資格は当然のこと、少なくとも10年以上は勤務経験がなければ格好がつかないはず。しかし、CCCの場合は、社内のマネージャークラスには、図書館勤務経験者は少ないので、まぁ「3年以上」としたのも、致し方ないのかなぁという感想を持ってました。
ところが、あれれっ、おかしいなと思ったのが、全面開館した数か月後のこと。
私の質問票(館長の経歴、司書資格の有無)への回答として、和歌山市の読書活動推進課からこんな回答がきたんです。
高梁市立図書館で図書館業務に従事、その後、和歌山市民図書館の館長に就任
2017年2月4日に、CCC指定管理の図書館として、駅前に新築されて開館した高梁市図書館で経験を積まれたとしたら、和歌山市民図書館の指定管理が始まった2019年12月19日までには、2年と10カ月しかありません。
和歌山市民図書館の館長に就任される1年くらい前から、開館準備で和歌山に赴任しているはずですから、現実には、高梁市での勤務期間は、もっと短いはず。
すると、足りない分は、開館前の準備も含めるのか、それともほかの館でも勤務されていたということなのか。もしそうなら、そこもキチンと和歌山市に提出する書類に明記しておかないと、応募書類の内容と辻褄があわなくなってしまいます。
私がなんでこんな細かい質問を出していたかといいますと、同じくCCC指定管理の海老名市立中央図書館で、2019年6月に、図書館勤務経験が半年しかなく、司書資格もない(当時取得中)の高橋哲氏が新た館長に就任していたことが発覚(私の直撃取材にブチギレ! 不機嫌な新館長 参照)して世間を騒がせた事件があったからです。(このときにCCC本社広報部へ新館長の経歴について問い合わせたメールには、いまだに回答をいただけておりません)
オレらは、これまでとまったく違う図書館を運営してるんだから、司書の資格とか、図書館業務の経験なんか必要ねえんだよ!
増田宗昭社長(現会長)としたら、そんなつもりなのかもしれません。
和歌山市では、さすがに海老名のように無資格者ではなく、司書資格は持っている人物を館長にすえたようですが、図書館業務の経験については、いまだ要件をクリアしているのかどうかがわからないグレーのままなんです。
そんな事情があったものですから、平井さんも、突っ込まれるのが嫌で自己紹介部分をベタの黒塗りするよう要望したかなと思いました。
でもね、平井さん、こういうのって、隠せば隠すほど、世間は疑心暗鬼になるもの。天下のCCCの看板を背負ってるんですから、下手に隠そうとせず、自己紹介くらいは、堂々と黒塗りなしで開示していただきたいと思いますね。
すみません。今回もまた、冒頭から少し脱線してしまいました。
さて、本題はここから。この後、平井館長から「CCCはいかに、先進的な企業か」というのと「新市民図書館開館から2年で、こんなに成果をあげてきた」という独演会が始まります。
引用しますと、ざっと、こんな感じです。
CCCは、 生活提案をする会社。 大きくは、 「ライフスタイルコンテンツ事業」、 「プラット ホーム事業」、 「データベースマーケティング事業」、 「エンターテイメント事業」がございま す。 これらの強みを生かして、市民ニーズへ提案を行うのが公共サービスの事業でございます。公共サービスに関わる業務といたしまして、 「図書館」、 「市民交流施設」のほかに、「カ フェ・コワーキング」、「物産・観光」、「スタートアップ」、「子供の未来型教育」等の取組を 展開しております。
また、CCCの公共サービス事業部門が、指定管理者として運営管理を担っています行政施 設ですが、和歌山で7館目になります。 現在9館を運営させていただいております。
俺ら、東京・六本木や代官山で、時代の最先端を走る事業を展開してるんだぜい!
みたいな、いつものCCCらしいお約束アピールなので、
特に耳に逆らうことなく、ふーんと聞き流せるのですが、図書館のアピールになったとたんこんな、聞き捨てならない言葉が出てきてしまいました。
この和歌山市民図書館ですが、働いている職員の85%が和歌山市民の方となります。また、 男女比率では70%の方が女性になります。女性が活躍する職場であると考えております。
和歌山市の雇用創出に貢献していて、なおかつ女性を積極的に登用していることをアピールしているつもりなんでしょうけれど、コレ、とんでもない失言です。
行政サービスにあたる職員の多くは非正規で、4分の3を女性が占めると言われています。
低賃金の行政サービスを女性が担わされていることについて批判があるのを、平井館長はご存じないのでしょうか。
図書館業務などは官製ワークングプアの典型例で、1年ごとの契約で働く非正規、ほぼ最低賃金なのは、CCC運営のツタヤ図書館とて同じです。
いや、CCC運営の図書館では、そのデメリットが、むしろ濃縮されているんです。
和歌山市民図書館の全面開館当時の時給は850円。司書資格者890円。フルタイムの契約社員で“月給19万円以上”
そういう条件の職種にですよ、
直営時代は、非常勤職員は、給与安いながらも、ほぼ全員が司書資格アリのフルタイム勤務だったのに、CCC指定管理になったとたん、極端に条件が下がった。そのため、ほとんどのスタッフは辞めてしまったと聞いています。("司書資格率を決めたのは誰だったのか?~和歌山市職員のウソ~)
それなのに新館の館長が
男女比率では70%の方が女性になります。女性が活躍する職場であると考えております
なんてノーテンキなこと言ってるんですから、これは女性としたら、怒り心頭に発する発言だと思います。
女性が活躍する職場どころか、低賃金の公務労働を弱い立場の女性に押し付けている、不平等な職場といえるのではないでしょうか。
女性は家庭に入って、子育てに専念し、余った時間をパートで稼げればいいとでも考えているのでしょうか。
ちなみに、和歌山市の発表によれば、新館が全面開館した2020年6月5日時点で、スタッフ67人中51名がパートタイムです。
残り16名中、平井さんはじめCCC本社からこられた数名は正社員ですが、私が知る限り、和歌山市では、地元採用で正社員になった方はまだひとりも出ていないはずです。(違っていたら、教えてください)
ノウハウの継承が最も必要と思われる移民資料室の担当者も女性ですが、関係者によれば、この方も、正社員ではなく、契約社員だそうです。
もしCCCが、女性登用をアピールしたのなら、館長も、統括マネージャーも、地元の女性で、当然正社員としての高年俸で採用すべきではないでしょうか。
そうしてはじめて、
女性が活躍する職場
――といえるのではないでしょうか。
そもそもCCCという企業は、本社の取締役9人のうち、女性は1人しかいません。それも社外取締役です。長年、ガチガチのオトコ社会で、なおかつ増田宗昭一族が支配するオーナー企業なのですから、「女性が活躍」なんて口がさけても言えないような気がしますけどね。
これは完全に、平井さんの失言でしょう。長年しみついたミソジニーが、うっかり出てしまったということなのかもしれません。
本当に見識のない館長さんだなぁ
そんな感想を持ちました。
また長くなりましたので、このつづきは次回にします。
よろしくお願いいたします。
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2020年8月29日土曜日
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地元で発刊されているリビング和歌山で館長の3周年コメントが写真付きで掲載されています。ネットでも読めるはずですよ。
返信削除コメントありがとうございます。以下に出てますね。
返信削除https://www.living-web.net/ebooks/ebook230603/?pNo=1
海南市のノビノスがイベント全面中止していた頃に、ふつうに開催していたのに、よく言うわと思いましたが。
2021年1月12日火曜日
温度差激しい和歌山市と海南市
https://sakujihyugatext.blogspot.com/2021/01/blog-post_49.html