2020年7月24日金曜日

答申されなかった専門家会議

こんにちは、日向です。


先日、当ブログに書きました CCCと専門家会議をつなぐ点と線 のなかで、

和歌山市が2017年6月に指定管理者制度を導入(CCC選定より半年前)するにあたって、図書館協議会で相当活発な議論が行われたと書きました。

そのときの資料をあさってみたところ、ありました。

市民図書館協議会会議録一括.pdf

和歌山市の図書館協議会は、2015年5月~2018年2月までの足掛け3年間に、6回開催(最後の回を除く五回は、すべてCCCを指定管理者に選定する前)されているのですが、

ふつうでしたら、図書館協議会で議論して出た結論は、最終的には、図書館長に答申することになっています。

この会議の目的からいえば、たとえば、こういう結論が書かれた文書になる予定でした。


和歌山市民図書館に指定管理者制度を導入するのが妥当である

市としては、建物の設計も計画もほぼできあがっていますので、これをもとに制度を導入して、指定管理者の募集~選定まで一気呵成に進めていきたいわけです。

ところが、この一連の会議の結論は、なぜか答申がされていないことに気づきました。

当時、関係者に確認しましたところ、

「答申はされていない」「議事録を職員間で共有して、その後の計画に反映した」

とのこと。要するに、議論しただけでその内容はどこにも報告すらされていなかったのです。

いったいどうして、そんな前代未聞のことがおきたのでしょうか。

それは、図書館学の専門家である、協議会の座長に就任された、和歌山大学の渡辺幹雄教授の存在が大きく、

渡辺教授自らが市教委がリードする方向の案に対して反旗を翻し、想定されていた結論を安易に導き出すことを拒否したからです。

あれだけ新図書館建設~指定管理者の選定までは、出来レースの証拠がきれいにそろっている和歌山市ですが、表面に一切出なかったこの専門家会議の部分だけは、図書館の民営化に対して激しい抵抗があったわけです。



カラダをはってでも図書館は守る



株主総会で、議事進行を声高に妨害する総会屋にたとえるのは、いくらなんでも失礼かもしれませんが、それと同じくらい協議会での議論は予定調和を破壊するかのような方向に進みました。

主催者サイドで、しかも座長自らが用意されたシナリオを大きく逸脱して、“活発な議論”を始めてしまったのですから、さぞや市教委の人たちは困ったことでしょう。

しかし、そもそも渡辺教授を三顧の礼を尽くして呼んできたのは、市教委の人たちですから、これはもう自業自得です。彼らの計算というか思惑がなぜ、どうくるったのかは、いまだにナゾなんですが。

周辺から伝え聞くところによれば、「カラダをはってでも市民図書館を守りたいので力を貸してください」と頼み込まれた渡辺教授が渋々引き受けたということです。

シャンシャン会議で終わらせたい市当局にとって、困るのは、渡辺教授が単純な直営論者ではなく、世界中のいろんなタイプの図書館を誰よりもよくご存じであり、なおかつ公共図書館のマネジメントということについても、非常に重視されていいること。

そのため、新しいスタイルの図書館にしたいとの提案に対して、実にさまざまな事例や対案をすぐに出してこられるので、なかなか自分たちが思った方向に議論が収れんされていかないのです。これぞ専門家の知見という話が、随所にうかがえます。



ご関心のある方は、ぜひ議事録全文をお読みいただくとして、注目したいポイントを挙げておくと、以下の4点です。



・当時の和歌山市の図書館部門では、TRCへの指定管理を想定していたフシがある(図書館専門家の分析による) 

・この会議を推進した、図書館畑が長い担当者は、CCC選定前に配転(更迭?)されている(後任は図書館については素人)

・途中から座長に就任した和歌山大学の渡辺幹雄教授が自らの持論を展開した 

・渡辺教授が退任した後の会議では、他の委員に対して、CCC選定についての報告がされた



1. 2015年5月11日 回次記載なし 
2. 2016年4月26日 第1回
3. 2016年10月24日 第2回
4. 2017年2月13日 第3回
5. 2017年3月3日 第4回
6. 2018年2月22日 回次記載なし


市民図書館協議会会議録一括.pdf


とても全部読めないという方のために、私の取材メモを以下に貼り付けておきます。


【取材メモ】

・図書館協議会は、もともと年一回開催(第2回池永館長冒頭挨拶)だが、2016年度だけは、なぜか4回開催している

・2015年5/18に図書館を駅前に移転する「南海市駅活性化構想」発表(これが120億円つぎ込む駅前再開発の都市計画)

・その1週間前の5月11日に2015年度の図書館協議会を開催 このとき、発表前の基本構想の内容が詳しく説明されて、それを元に議論

・その2ヵ月後の7/9「新図書館基本構想」を発表


・TRC作成の図書館基本計画は、翌年2016年4/25発表

・その翌日の4/26に、2016年度の第1回図書館協議会開催(ここから渡辺会長参加)
TRC作成基本計画を紹介して、そこから議論がスタート。
つまりTRC作成の基本計画を待って協議会を開催(これをオーソライズしたかったのでは?)

・2016年10/24に第2回協議会開催。このときは、翌年5月に発表されるRIA基本設計の素案をもとに事務方が説明して議論をリードしようとしている

・2017年2/13に第3回協議会開催。このときも、RIA基本設計素案について説明。前回までおとなしかった渡辺会長発言多し。議論百出するも、指定管理については話せない
まま時間切れとなり、渡辺会長が次回にと提案。

この最後のところで、山路事務局長の「丸投げはしない」発言が出る



指定管理に詳しい図書館関係者の分析によれば、この発言はTRC指定管理を想定していたのではないのかとの指摘


・2017年3/30第4回開催 書式が前回までと異なるのは、事務方の担当者が交代したためと思われる。内容は、渡辺会長の独演会だったが、この意見がその後反映された形跡はみられない。渡辺会長もこれを最後に退任された模様

・2018年2/22 平成29年度はじめての協議会。前年6月に指定管理導入、年末に指定管理者選定されてCCC決定した後、最初の会合。新館長になり、委員も打田委員をのぞいて全員交代。委員4人なのに、図書館事務方が館長はじめ7人出席。内容は、主にCCC提案の説明と報告



【7/24 22時01分 取材メモ追加】




《関係者取材メモ》

――2016年度に4回も協議会を開催したのは、指定管理制導入のためだったのか?

→そうだと思う。2016年度に開催された4回は、本来は、2017年2月に結論を出して終る予定だったのが、渡辺教授が反対したために結論が出ず、翌月3/3まで持ち越した。2018年2月は、渡辺教授は、すでに座長を退任している。

渡辺教授は「海外も含めて、いろいろな事例をみてきている。そういう事例を参考にして議論すべきなのに協議会では、まったくそういうことがなかった。本来出席者の意見をまとめる立場の座長自らが説明せざるをえなかった」と漏らしていたらしい。

行政側は、2017年3月議会に(審議会の答申をもとにした指定管理導入法案)出したいので急いでいたようだ。指定管理は2017年6月に正式決定している。

(当初、8月に指定管理者の選定委員会開催する予定だったのが、11月末までずれ込んだのは、このことが影響していたかもしれない)

CCCに決まった2017年12月上旬
「指定管理者が決まったのでご説明に伺いたい」と、渡辺教授のもとに市から連絡があったらしい。ところがご本人は「自分は、関与していないのでその必要はない」と断ったらしい。←強烈


市当局への事実確認

――2016年度の図書館協議会での内容は、答申されたのか?

「答申はされていない」「議事録を職員間で共有して、その後の計画に反映した」

協議会の日程については、なぜああいうスケジュールになったのか?

「担当者が代わっているので、わからない」





なお、誤解のないように、いつもこの手の話題では、お約束のように繰り返している但し書きを今回も書いておきます。


和歌山市当局が新図書館の運営者に、一度でも、TRCに傾いたという形跡はありません。

少なくとも、市長部局と南海電鉄に関しては、このプロジェクトスタート時点から、徹頭徹尾、CCCに運営を任せて、賑わい創出してくれるツタヤ図書館にする

――という意思は、かなり強固なものがあり、一度もその意思が揺らいだことはないように思えます。



【関連記事】
CCCと専門家会議をつなぐ点と線

和歌山市騙し討ち事件

〇〇さんは、お飾りですか?

図書館流通センターの暗躍(1)

図書館流通センターの暗躍(2)





↓最近の記事

2020年7月》
タウンワークの豹変社名隠した求人広告答申されなかった専門家会議CCCと専門家会議をつなぐ点と線CCC広報部へのメール和歌山市は“CCCの下請け”?パワハラ告発がぶちまけた丸亀市の裏事情〇〇さんは、お飾りですか?開示は、1枚です丸亀市情報開示・CCC受託実績和歌山市騙し討ち事件“ツタヤ公民館”の衝撃奇天烈な和歌山分類新・和歌山市民図書館についての専門家コメント図書館流通センターの暗躍(2)図書館流通センターの暗躍(1)企業秘密と説明責任

20206月》
和歌山市民図書館は、ICタグ装備せず「ICタグと自動貸出機」はセット自動貸出機についての補足説明和歌山市民図書館の自動貸出機について3800万円の“安全対策”出来レースの代償・後編出来レースの代償・前編専門家がほとんどいない審議会 『第9版 失業保険150%トコトン活用術』についてのお詫びと訂正 TSUTAYA占領地のレジスタンス 疑惑まみれのグランドオープン 白塗り”に隠されていた告発意図

20205月》

20204月》

20203月》

20202月》



2019/12/23
2019/12/12
2019/12/12
2019/12/07
2019/12/06
2019/10/10
2019/10/07
2019/10/01
2019/09/28
2019/09/27
2019/09/28
2019/08/07


2019/07/28
2019/07/21
2019/07/20
2019/07/14
2019/07/14
2019/07/13
2019/07/12
2019/07/9
2019/07/6
2019/07/5
2019/07/5
2019/07/1
2019/06/29
2019/06/29
2019/06/27
2019/06/26
2019/06/25
2019/06/24
2019/06/21

2019/06/21
2019/06/19
2019/06/19


2019/06/08
2019/06/07
2019/06/06
2019/06/05
2019/06/01
2019/05/31
2019/05/30
2019/05/30
2019/05/28
2019/05/26
2019/05/23
2019/05/03
2019/04/29
2019/04/27
2019/04/25
2019/04/23
    2019/04/22
2019/04/19
2019/04/19
2019/04/09
2019/04/06
2019/04/06
2019/04/05
2019/04/05
2019/03/25
2019/03/17
2019/03/08
2019/02/26
2019/02/25
2019/02/24
2019/02/22
2019/02/20
2019/02/18
2019/02/17
2019/02/15
2019/02/14
2019/02/09
2019/02/08
2019/02/02
2019/02/01
2019/01/28
2019/01/27
2019/01/24
2019/01/15
2019/01/14
2019/01/13
2019/01/13
2019/01/10
2019/01/07
2019/01/06
2019/01/03
2019/01/03
2019/01/03
2019/01/03
2019/01/03
2019/01/03
2018/12/31
2018/12/31
2018/12/29
2018/12/29
2018/12/22
2018/12/22
2018/12/20
2018/12/20
2018/12/20
2018/12/19
2018/12/19
2018/12/15
2018/12/12
2018/12/10
2018/12/09
2018/12/08
2018/12/08
2018/12/02
2018/12/01
2018/11/30

2018/11/29
2018/11/27
2018/10/07

2018/09/23

2018/09/23
2018/09/20
2018/09/19
2018/09/17

2018/09/15

2018/09/15

0 件のコメント:

コメントを投稿